- 投稿日:2025/11/16
- 更新日:2025/11/19
【第31話】FIREについて研究してみた
〜お金の話では終わらない「働き方・生き方の研究」〜
🔶 なぜいま「FIRE」が注目されるのか?
リベシティのみなさん、こんにちは!社会人大学院生のOGAです。
大学院で「FIRE(Financial Independence Retire Early)」をテーマに修士論文を書いた経験を、みなさんにも共有したいと思います。
・「FIREって早期退職のこと?」
・「どうせお金の話でしょ?」
そんなイメージを持たれがちですが、論文を書き上げる中で気づいたことは──
FIREは “生き方そのもの” を問い直すテーマ だということでした。
1. 背景:FIREムーブメントの広がり
近年、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉を耳にする機会が増えています。
FIREとは、「経済的自立を達成し、早期退職や自由な働き方を実現する」というライフスタイルのこと。投資などによって生活費をまかなえるだけの資産を築き、労働収入に依存しない生き方を目指す考え方です。
Google Trendsの分析によると、世界的に「Financial Independence Retire Early」への関心は 2018年頃から急上昇し、2019年にピーク を迎えました。その後も高い関心を維持しており、FIREは単なる一時的なブームではなく、持続的な社会的テーマ になっています。
2. 日本でのFIREブーム
日本でもこの動きは加速しています。
Amazonで「FIRE」をタイトルに含むビジネス・経済関連書籍を調べると、2018年以前はほとんど存在しなかったのに対し、2021年以降は急増。
2024年には 70冊を超えるFIRE関連書籍 が販売されています。
これは、FIREに関する情報・ノウハウを求める人が増え、「どうすれば経済的自由を実現できるのか?」という関心が社会的にも広がっていることを示しています。
3. 背景にある社会の変化
FIREブームの背景には、次のような社会的要因が考えられます。
・少子高齢化による 年金制度への不安
・長時間労働や職場ストレスといった 働き方の問題
・副業解禁・リモートワーク普及による 自由な働き方の広がり
・物価上昇や将来不安による 生活防衛意識の高まり
こうした環境変化の中で、「企業に依存せず、自分で働き方を選ぶ生き方」への関心が高まっているのです。
FIREは単にお金を貯めるための戦略ではなく、働き方や人生の価値観を見直すライフスタイルの一つ として位置づけられています。
4. FIREがもたらす問い:「なぜ働くのか?」
FIREムーブメントの本質は、「早く仕事を辞める」ことではありません。
むしろ、「自分はなぜ働くのか」「どんな人生を送りたいのか」という根源的な問いを突きつけます。
資産を持ちながら働き続ける人もいれば、仕事を辞めて地域活動や学びに時間を使う人もいます。
つまり、FIREは “自由に選べる状態” を作ることに価値があるのです。
また、企業側にとっても、FIRE志向の人材をどう関与・動機づけていくかは、新しい人材マネジメントの課題になりつつあります。
5. FIREと「ウェルビーイング(Well-being)」
FIREの広がりは、「お金の話」だけではありません。
人が 心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態 ——つまり「ウェルビーイング(Well-being)」をどう実現するかというテーマとも密接に関わっています。
たとえば、FIRE後に働くかどうかを選べる自由は、
・お金ではなく「心と時間の余裕」
・仕事をする/しないを自分で選べる「働く選択権」
・仲間づくり・地域活動などの「社会的つながり」
といった人生全体の質(クオリティ・オブ・ライフ)に直結します。
FIRE後の「生活満足度」や「生きがい」をどう築くかを探ることは、個人の幸福の再構築だけでなく、組織と個人の新しい関係性を考える上でも重要です。
🔶 まとめ
FIREは特別な人だけのものではありません。
・今の働き方を見直したい人
・将来の選択肢を増やしたい人
・家族との時間をもっと持ちたい人
・自分らしいキャリアを作りたい人
こうしたすべての人にとって、FIREという考え方は生き方のヒントになりえるのです。
論文を書き終えた今、そう強く思います。
「お金」から始まり、「自由」へ、
そして「人生」へとつながっていく──
それがFIREの本質です。
次回も、研究で得た知見をわかりやすく紹介していきます!
・Google Trends:検索キーワード「Financial Independence Retire Early」 ・Amazon書籍検索データ:検索キーワード「FIRE」 ・厚生労働省(2023)『令和5年版 労働経済白書』 ・総務省(2022)『就業構造基本調査』