- 投稿日:2026/02/23
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
「子どもの体験に格差なんて本当にあるのか?」
「旅行に行けないくらいで人生に影響が出るのか?」
そう思う人も多いだろう。
しかし本書が描くのは、想像以上に深い“体験の壁”である。
今回は今井悠介著『体験格差』2024年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:今井悠介
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事。1986年生まれ。兵庫県出身。小学生のときに阪神・淡路大震災を経験。学生時代、NPO法人ブレーンヒューマニティーで不登校の子どもの支援や体験活動に携わる。
✅ 体験は楽しみ以上に、人生の選択肢を広げる基盤である。
✅ 日本では家庭の所得差が体験の量と質に直結している。
✅ 社会全体で体験の担い手を増やす仕組みづくりが必要である。
あるシングルマザーの方から、こんなお話を聞いた。息子が突然正座になって、泣きながら「サッカーがしたいです」と言ったんです。それは、まだ小学生の一人息子が、幼いなりに自分の家庭の状況を理解し、ようやく口にできた願いだった。たった一人で悩んだ末、正座をして、涙を流しながら。
今井悠介著『体験格差』
この国が本当に豊かなのであれば、この議論をすることは必要である。
実に卑怯な言い方をするのなら、この議論を避けたがる者は「恵まれている」。
現代では子供のころから丁稚奉公や工場で働かされることもほとんどない。
少なくとも、私たちは誰かを傷つけながら豊かになっている。
豊かになり、時間に対しての選択肢が急激に増えて生まれてきた問題ともいえる。
SNSを通じて見えなかったものが見えやすくなったともいえる。
俗にいう、「相対的貧困」である。
今回は、子どもの未来を左右する体験格差の正体と、社会全体で何ができるのかを解説する。
『体験格差』
経験しなくていいことはしなくていい。どのみち厄介ごとはやって来る。
社会政策学者の阿部彩氏は、2008年の著書『子どもの貧困』の中で、日本の一般市民においては、イギリスやオーストラリアといったほかの社会に比べて、「子どもが最低限にこれだけは享受するべきであるという生活の期待値が低い」と述べている。
今井悠介著『体験格差』
子どもにとって何が「必需品」であるのか?という問い。
つまり、「たまたま恵まれた家庭に生まれた一部の子ども」だけではなく、「その社会に生まれたすべての子ども」が享受できて然るべきものは何か? という問いに向き合わなければならない。
一口に「体験」と言っても、その潜在的な範囲はとても広く、明確な境界線を定めきることはできない。
本書では、子どもたちが放課後に通う習い事やクラブ活動、週末・長期休みに参加するキャンプや旅行、お祭りなど地域での様々な行事、スポーツ観戦や芸術鑑賞、博物館や動物園といった社会教育施設でのアクティビティなどを「体験」として定めている。
体験格差とは何か――日本社会に潜む“見えない壁”
厄介なのは、目に見えてしまうことだ。スネ夫の生活がいつでも見える。
本書より引用。
経済的な格差は各家庭が支払っている「体験」の平均的な年間支出額にも表れていると、本書は語る。
極めて重要なことに、年収300万円未満のいわゆる「低所得家庭」では、子どもたちの「体験」が平均的に少ないというだけでなく、「体験」の機会が過去1年間で一つもない「ゼロ」の状態にある子どもたちが、全体の3人に1人近くにまでのぼることがわかった
今井悠介著『体験格差』
⇒ 体験の量が子どもの未来を左右する。
体験格差とは、家庭環境によってスポーツ、旅行、自然体験、文化活動などの「経験の総量」に大きな差が生まれる現象である。
日本では年間所得が低い家庭ほど子どもの体験機会が極端に少なく、調査によれば「体験がほぼゼロ」の子どもが3人に1人という深刻な状況である。
これは単なるレジャーの話ではなく、子どもの認知発達や自己肯定感に直接影響する“社会の構造的な壁”である。
体験が少ない家庭の子どもは、周囲の大人も体験の少ない環境で育っていることが多く、そもそも「体験を与える方法を知らない」というケースが少なくない。
子ども自身は何が自分に向いているか、興味を持てるかを確かめる機会がないまま成長するため、人生の早い段階から選択肢が閉じていく。
まとめると、世帯年収300万円未満の家庭のうち、子どもの「体験」のために「無理をする」家庭が約7割、「あきらめる」家庭が約1割、「求めない」家庭が約2割である。
体験格差とは、見えない形で未来を狭める“静かな不平等”なのである。
体験格差をめぐる日本社会の「現在地」を知り、私たちがこの課題を無視せずに、向き合っていくことが必要だ。
なぜ体験が重要なのか――非認知能力と選択肢を生む“経験の蓄積”
想像力は「できること」と「行動力」に強く影響する。
「体験」は子どもの社会情動的スキル(非認知能力)にも関係するとされている。つまり、子どもたちへの短期的な影響(楽しさ)だけでなく、かれらの将来に対する長期的な影響もある。だからこそ、その格差を放置しておけないわけだ。たまたま裕福な家庭に生まれた子どもたちばかりが様々な「体験」の機会を得られ、それによって大人になってからの収入などの格差が再生産されているとすれば、とてもフェアな社会とは言えないだろう。
今井悠介著『体験格差』
⇒ 体験は非認知能力と未来の想像力を育てる。
体験の価値は「楽しい思い出が増える」ことだけではない。
未知に触れる経験は、協調性、集中力、挑戦心、粘り強さ、他者理解力といった“非認知能力”を育てる。
これらは学力テストでは測れないが、人生の適応力や幸福度、キャリア形成に強く影響する要素である。
また、体験の量は「将来の選択肢」を直接広げる。
なぜなら、人は自分が過去に経験したものからしか「やりたいこと」をイメージできないからだ。
旅行に行ったことがない子は地理への興味を持ちにくく、スポーツに触れたことがない子は運動の才能に気づけない。
本や遊び、自然体験を通じて世界が広がるほど、子どもの中に“将来の自画像”が育つのである。
さらに、家庭の所得や住む地域によって体験量が大きく異なる事実も無視できない。
年収が高い家庭では週末の習い事や旅行が当たり前であるのに対し、低所得家庭では体験の機会は激減する。
文化、スポーツ、自然体験などあらゆる分野で格差が生まれ、しかもそれは親の世代から子どもの世代へ連鎖していく。
体験は、豊かさではなく「生きる力」を左右する基盤なのである。
沖縄県で長く子ども・若者の貧困問題に取り組み、不登校状態の子どもたちを支援しているNPO法人の代表理事エピソードがある。
様々な困難を抱える子どもたちを連れて北海道へ旅行に行った。
子どもたちにとって初めての旅行だったにもかかわらず、子どもたちは北海道の現地に着いても、沖縄の地元にあるようなアニメショップやゲームセンターなど、普段の生活とまったく同じことをやりたがったという。
「北海道に来たらこれをやってみたい」といったことが無かったのだという。
そういう選択肢がそもそも頭に思い浮かばない。貧困とは「選択肢がない」ということです。私は、子どもの貧困問題の中心にあるのが、体験格差だと思っています。 何かを一度もやったことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。何かを一度も食べたことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。どこかに一度も行ったことがなければ、その場所が好きか嫌いかもわからない。
今井悠介著『体験格差』
体験格差をどう埋めるか――未来をひらく社会の責任
恵まれた時代だ。できるだけ多くの人にその機会を。
提案1:体験格差の実態調査を継続的に実施する
提案2:体験の費用を子どもに対して補助する
提案3:体験と子どもをつなぐ支援を広げる
提案4:体験の場で守るべき共通の指針を示す
提案5:体験の場となる公共施設を維持し活用する
今井悠介著『体験格差』
⇒ 体験の担い手を社会全体で増やすことが鍵である。
体験格差を解消するには、家庭の努力だけでは限界がある。
必要なのは、地域社会全体が「子どもに体験を届ける仕組み」を持つことである。
実際に全国では、NPOや地域団体、図書館、スポーツクラブ、行政などが協力し、無料または低料金で参加できる自然体験、文化活動、科学イベントなどを提供する取り組みが広がり始めている。
重要なのは、このような“体験の担い手”をどれだけ地域に増やせるかである。
学校外で子どもが多様な大人と出会い、未知の活動に触れられる環境があれば、家庭環境に左右されない成長機会をつくれる。
また、親自身が体験を増やすサポートも必要だ。
親の体験が増えれば、その豊かさは必ず子どもに連鎖する。
体験格差は放置すれば世代間で固定化され、社会全体の活力を奪っていく。
しかし、地域がつながり、社会全体で子どもを支える仕組みを作れば、「生まれ」の差を乗り越える力は確実に育つ。
体験は贅沢ではない。
子どもの未来を支える、社会の基盤である。
「体験格差」を私たち社会の課題として捉え、解決を目指していくには、より多くの人たちに議論に参加してもらわなくてはならない。
まとめ
✅ 体験は楽しみ以上に、人生の選択肢を広げる基盤である。
✅ 日本では家庭の所得差が体験の量と質に直結している。
✅ 社会全体で体験の担い手を増やす仕組みづくりが必要である。
「体験」の機会は、得られなくても仕方のない「贅沢品」だろうか。
そうであるべきではない、「必需品」であって然るべきだと私は思う。
だが現実は厳しい。
今井悠介著『体験格差』
⇒ 体験は人生の幅を決める“未来への投資”である。
子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の「体験」の影響を受けている。
「将来にやってみたいと思うこと」の幅が狭まってしまうのは、あまりにも悲しいではないか。
「知ることで、人生はもっと楽しくなる」と私は考えている。
副業や転職や起業も同じである。
「体験」があるからこそ、前に踏み出す勇気と進んでいく方向の選択肢が手に入るのだ。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
