- 投稿日:2025/08/16
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はマシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』2018年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:マシュー・ディクソン
世界有数のアドバイザリー会社CEBにおいて、マシュー・ディクソンはエグゼクティブ・ディレクターを務める。彼は「ハーバード・ビジネス・レビュー」に数多く寄稿し、著書「チャレンジャー・セール」はウォールストリート・ジャーナルのベストセラーに。 CEBは、数千社におよぶクライアント企業の成功事例、先進的な調査手法、人材分析を組み合わせて、経営陣に事業変革のための知見やソリューションを提供。 その独自アプローチで、世界中のエグゼクティブから注目を集めている。
前提になる書籍
フレデリック・F・ライクヘルド 著「顧客ロイヤルティのマネジメント」
顧客ロイヤルティは「自社や製品、サービスに対して顧客が抱く愛情や信頼」を指す。つまり、「顧客との絆」のこと。
新規開拓よりも「ファンや推してくれる人」を大切にしよう!
高い顧客ロイヤルティ(忠誠心)をもつ顧客は商品を何度も再購入し、購入額を増やし、他人に勧めてくれる!と語る本。
その結果、「おもてなし」が重視されたが、本書のマシュー・ディクソンの調査結果は、それが幻想だったことを明らかにした。
より正確にいうなら、「おもてなし」と「おせっかい」の線引きを考えよう。
✅ 感動より「手間のなさ」が重要。
✅ 顧客努力を減らすことでリピートが増える。
✅ ロイヤルティはCESで測れ。
「顧客努力を減らせば、顧客ロイヤルティは高まり、売り上げも伸びる」
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
おもてなし幻想
超最高級のホテルとカプセルホテルに求められているものは同じか?
すなわち、顧客を喜ばせるサービスを。
価値のある目標である。しかし、これがまったくの間違いだとしたら?
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
顧客ロイヤルティの正体
知りたいのは、顧客を喜ばせるべきかどうかではなく、どうやって喜ばせるかだ。
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
「顧客の期待を上回ろう」と努力するのは正しいと思われていたが、著者らが顧客9万7000人に調査すると実態は逆。
期待が満たされただけの顧客と、期待を上回った顧客とでは、変化がなかったのである。
⇒ 感動はロイヤルティを生まない。
「期待以上のサービス」が顧客を離れさせないというのは幻想である。
多くの顧客は、約束どおりのサービスで満足している。
逆にそれが叶わないときに離れていく。
堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」
サイゼリヤに最高級の個室や従業員サービスを求めている人はいない。
当たり前品質を求めている。
つまり、あって当たり前と受け取られるが、ないと不満に感じるサービスである。
アンケート調査をしたことがありますが、たとえば、メニューブックがベタベタしているのが不快だ、という声があります。テーブルがガタつく、ソファに穴が空いているというのもそうです。そうしたことをなくそうと考えました。
堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」
顧客が望むのは「楽さ」
楽しみにしていたゲーム機が家に届いた時、不具合があった。
メーカーに問い合わせたが、電話は話し中。
初期不良とわかるまで半日かかり、最後に「当社で修理できません。販売店に返品ください」と言われたら誰だってうんざりする。
懸念すべきは「なぜ顧客は再度電話をしなければならないのか」でなければならない。
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
⇒ 問題なくスムーズに解決されることが最優先。
⇒ 問い合わせの煩雑さがロイヤルティを4倍悪化させる。
顧客が企業に連絡する時点で問題を抱えている。
求めているのは「感動」ではなく「普通に戻してくれること」だ。
調査では顧客がカスタマーサポートとやり取りすると、ロイヤルティが4倍悪化するという。
特に何回も問い合わせしなければならない顧客は、ロイヤルティがとても悪化する。
電話がつながらない、日本語が通じない、たらい回しされる。
(もうこの会社の製品を買うのはやめよう……)となる。
顧客が求めるのは、期待したことが提供され、ダメなら説明があることだ。
Visaの対面決済におけるタッチ決済比率は13%から45%へ、そして2025年3月には52%へと急上昇している。発行カード数は1億5000万枚に達した。
Visaタッチ決済の普及スピードが凄まじいのは、インバウンド需要の拡大で、外国人がそのまま使える決済手段であることも大きい。
また、店側の導入も大変だが、対応しないと「じゃあいいです~」と逃がしてしまう客層が増えた結果、対応できるレジが増えてきたのも大きい。
大半の国でも、「同じように」「タッチするだけ」で利用できる。
この手間の少なさは強い魅力である。
参考外部サイト:Yahoo!ニュース
今や対面決済の半分が「タッチ」に――iD・QUICPayが撤退し、Visaが独走するワケ
W・チャン・キム/レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン・シフト』
現場に赴く際には、可能な限り自ら顧客の立場になるか、既存顧客の家庭や職場での様子を観察するかして、顧客経験のサイクル全体を通してどのような苦痛や困難が生じるかを注意深く記録するよう強く勧める。
W・チャン・キム/レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン・シフト』
ドラッグストアで処方薬をもらいたいのに、医師の診察を受け、処方箋を貰うまでに時間がかかりすぎるなら、自宅にいたほうがラクである。
そのサービスがどのようにして顧客の手元に届くのかは1度体験すべきだ。
顧客努力は数値で測れる
安いのは魅力だけど、家具の組み立てに手間がかかりすぎるのは嫌だ。
外国人の立場から見てみよう。タクシーから降車するとき、驚くほど多くの決算手段はあるけれど、自分が使えるものは現金しか使えない。仮に使えるカードや電子決算があったとしても、サイン伝票や領収書が印刷されるのをじっと待っていなければならない。乗車して降車するまで、いっさい何の手間もかからない UBER(ウーバー)を体験している 外国人からみれば、日本のタクシーは、丁寧だけれど、手間を強いるのだ。
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
⇒ 「顧客努力」という概念
⇒ CES(Customer Effort Score)で管理できる。
「この手続きは楽だったか?」という質問を通じて顧客努力を数値化できる。
回答は以下のように5~7段階の選択方式をとることが多い。
1:全く負担がなかった・まったくストレスを感じなかった
2:負担がなかった・ストレスを感じなかった
3:あまり負担がなかった・あまりストレスを感じなかった
4:どちらともいえない
5:やや負担があった・ややストレスを感じた
6:負担があった・ストレスを感じた
7:非常に負担があった・非常にストレスを感じた
選択肢1・2の合計得票率から選択肢5・6・7の合計得票率を差し引くことでCESが求められる。
選択肢1・2の合計得票率が70%
選択肢5・6・7の合計得票率が20%の場合
CESのスコアは70−20=50%となる。
CESのスコアが低いほど、顧客に手間や労力を感じさせてしまっている。
これでロイヤルティ悪化の原因を突き止めるのに役立つ。
本書内では…。
努力が少ない経験をした顧客は再購入する人が94%。
逆に多大な努力を要する経験をした顧客はわずか4%だった。
⇒ 企業は「楽な経験」を設計せよ
⇒ 顧客の再購入率は“努力の少なさ”で決まる。
手間が少なければ94%が再購入するが、多ければたった4%。
リベシティの方なら、アップルは顧客の努力軽減に徹底的に注力しているのがなんとなくわかるだろう。
iPhone、iPad、Mac などの Apple 製品やサービスについて、電話やチャットで問い合わせたり、修理サービスを申し込んだりできる。
障害時にはウェブで申請すれば数秒後に熟練サポート担当者と電話で話せるし、過失や事故の損傷の修理サービスも簡単に受けられる。
手間がかからないサービスを提供すれば、顧客に選ばれるようになる。
アップルなど優良企業は、手間を最小化する仕組みを構築している。
ジェレミー・リフキン著『限界費用ゼロ社会』
限界費用は生産を1つ増やしたときの追加コストのことだが、手間は「ロス」といえる。
ロスの少なさは従業員の手間も減り、効率が良くなる。
フレデリック・F・ライクヘルド著『ネット・プロモーター経営—顧客ロイヤルティ指標NPSで“利益ある成長”を実現する』
似たような指標でネットプロモータースコア(Net Promoter Score)がある。
NPSは顧客がどれだけ自社を推奨してくれるかを測る指標で、企業の成長性を明確にするもの。
NPSは「よい売上」と「悪い売上」を見分けるのに使われる。
よい売上:満足した顧客が繰り返し買う。
売上は継続的に成長していく。
悪い売上:不満な顧客が仕方なく買う。
そして他によいサービスが現れると破綻する。
外国人が京都に滞在したときのこと。
レストランで砂糖入りの緑茶を注文した。
ウエーターが丁重に「緑茶に砂糖は入れません」と説明した。
彼は「知っているが、私はお茶を甘くして飲むのが好きなんだ」と返した。
困ったウエーターは店の奥で店長と長時間相談した末に話しかけてきた。
「申し訳ありません。砂糖を切らしています」。
「そうか、仕方がないね」。
彼が仕方なくコーヒーを注文すると、コーヒー皿には砂糖袋が2つ添えられていた。😲⁉ ☕🧊🧊
お客さまはおひとりおひとり、お顔立ちが違うように、お気持ちだって違うのです。
それぞれに合ったおもてなしをしなければいけません。
お仕着せのサービスでは喜んでくださらないということです。
お目にかかった瞬間に、お客様の気持ちを察して、こうしてほしいと望む対応をしていくのです。 これが私がおもてなしをしてきた人生で、体験から掴んだモットーなのです。
田口八重 著『おこしやす』
これぞ本来のおもてなしである。
そして旅館、家電、物流といった各種サービスでの「おもてなし」は異なるのだ。
まとめ
✅ 感動より「手間のなさ」が重要。
✅ 顧客努力を減らすことでリピートが増える。
✅ ロイヤルティはCESで測れ。
本書はおもてなしを否定するどころか、むしろ今までのおもてなしを、事実に基づく新しい手法で、さらに次のレベルに引き上げていくことがわかるだろう。
マシュー・ディクソンほか 著『おもてなし幻想』
⇒ 顧客の「感動」より「負担を減らす」ことにこそ価値がある。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆