- 投稿日:2026/01/26
第二章:届かない叫びと、止まらないストレッチャー
目を覚ますたび、そこは微妙に、しかし決定的に違う世界だった。 私は、終わりのない夢の回廊を彷徨い続けていた。
「夢」という言葉から連想されるような、輪郭が曖昧で、セピア色に霞んだような世界ではない。そこは、恐ろしいほどに鮮明で、現実以上に「色彩」が暴走した世界だった。
視界を埋め尽くす極彩色の光。窓から差し込む陽光は、まるで最新鋭のCG映像のように粒子の一つひとつが過剰に書き込まれ、プリズムを通したようにギラギラと輝いている。赤は血管を流れる血よりも毒々しく、青は深海のように目が痛くなるほど深く、黄色は警告色のように神経を逆撫でして明滅する。
空間そのものも、どこか狂っていた。 部屋の四隅を見ても、直角であるはずの線がぐにゃりと歪んで交わっている。天井は不自然に高く、あるいは低く、遠近感がデタラメな抽象画の中に閉じ込められたようだ。 壁にかかった時計を見上げると、文字盤の数字が水あめのように溶け出し、渦を巻いていて時間は読み取れない。ここでは「時間」という概念自体が意味をなさず、ただ永遠に引き伸ばされた「今」があるだけだった。
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