- 投稿日:2026/03/04
- 更新日:2026/04/05
【第13話】
リベシティの皆さん、こんにちは!
前回の第12話「トマトハウスでの挫折」には、温かな励ましをありがとうございました。
特に、OGA@🔰FIRE1年生さんからの「戻るべき場所へ導いてくれたきっかけ」という言葉。泥にまみれたあの3日間が、今の週3勤務という「余白」を肯定するための大切な儀式だったのだと、改めて深く頷かされました。
さて、全13回にわたってお届けしてきた第1章も、今回がいよいよ締めくくりです。これまでの道のりを振り返りながら、私が見つけた「FIREの正体」についてお話しさせてください。
■ ふり返ると、FIREはいつも静かに始まっていた
この連載を書き進める中で、私はひとつの大切なことに気づきました。 FIREとは、ある日突然、テープカットをして華々しく宣言するような「イベント」ではないということです。
むしろ、もっと静かで、もっと日常的で。 例えるなら、日が沈む間際の空が、ゆっくりと、けれど確実にオレンジから深い藍色へと変わっていくような「じわじわ」としたプロセスの連続でした。
第1話で抱いた「60歳を過ぎた退職はFIREなのか?」という素朴な疑問。 第2話で感じた、週5日勤務から週3日勤務へとギアを落とした瞬間の、あの心地よい風。 第3話で見つけた、自分の手で生活を整える「Hands-on FIRE」の喜び。 そして、第12話で泥にまみれて再確認した、自分のスキルの価値。
振り返ってみれば、どれも派手なエピソードではありません。 けれど、その一つひとつが、私にとっては「自分の人生のハンドルを、自分の手に戻す瞬間」だったのです。
■ FIREとは“選べること”である
リベシティに入会し、65歳という節目を迎え、週3日勤務という今のスタイルに落ち着いてから、ようやく私なりの答えが出ました。
FIREの本質とは、「働かないこと」でも「資産をいくら積み上げること」でもありません。 それは、「自分の人生を、自分で選べるようになること」、ただそれだけなのです。
今日は働くか、それとも庭のDIYに没頭するか。どこで誰と過ごし、どんな空気を吸って生きるか。何に情熱を燃やし、何を大切に守り抜くか。
その選択肢がひとつ、またひとつと増えていく過程こそが、私にとってのFIREの歩みでした。 結局、私は「FIREした!」と叫んだ瞬間なんて、どこにもなかったのです。ただ、静かに積み重ねてきた選択の先に、いつの間にか「選べる状態」が広がっていた。
夕暮れ時、ビール片手に七輪に火を熾し、じわじわと炭が赤らんでいくのを眺める時間。 その火を見つめながら、「明日、もし仕事に行きたくなければ、行かなくてもいいんだ」とふと思える。その静かな確信こそが、預金の残高の数字よりも私を自由にしてくれました。
■ 点が線になったとき、価値観が形になる
第1章で綴ってきた12の話は、バラバラの「点」のように見えるかもしれません。 しかし、こうして振り返ると、それらは一本の「線」で繋がっています。
元税務調査官として「数字」や「正解」を追い求めてきた私が、少しずつ「手触りのある生活」や「心の充足」へと価値観をシフトさせていった軌跡。 それは、白か黒かの決断ではなく、豊かなマーブル模様を描くような「じわじわFIRE」の体現でした。
「定年まで働いたら、もうFIREじゃない」なんて、誰が決めたのでしょうか。 60歳からだって、65歳からだって、人生のハンドルは何度でも握り直せます。むしろ、これまでの経験という「おもり」があるからこそ、ハンドルはより安定し、行きたい方向へじわじわと、確実に進んでいけるのです。
■ 結び
第1章を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 私の不器用な歩みが、定年を控えて不安を感じている同世代の方や、自由を求めて奔走している皆さんの心に、少しでも「温かな灯火」として届けば幸いです。
FIREは、遠くにあるゴールテープではありません。 今日、あなたが「自分で選んだ」小さな一歩の中に、すでにそのかけらは存在しています。
さあ、次はどんな選択をしましょうか。 第2章でも、皆さんと共に「じわじわ」と、この自由な旅を続けていければ嬉しいです。
あなたの人生のハンドルが、今日もあなたの手の中にありますように。
第2章も、どうぞよろしくお願いします。
第2章第1話はこちらから読めます。
https://library.libecity.com/articles/01KK1JP7X6QYFNP97F829R26NB