- 投稿日:2026/03/28
- 更新日:2026/03/31
◯はじめに
差額ベッド代に関する注意点などは既に素晴らしい投稿が沢山あるので、それらを参考に予定入院で差額ベッド代を断った私に起こった事と心の変化を中心にお伝えしたいと思います。
◯私の場合
・入院の経緯
39歳。独身男性。地方公務員。関東在住。
6月に受けた人間ドックのレントゲン検査で「気管が曲がっている」と指摘され、よくよく調べて貰ったら甲状腺に腫瘍を発見。
血液検査では悪性(がん)のリスク無しの判定で「おそらく良性腫瘍でしょう」とのこと。ただし、サイズが大きいため手術の対象ではあるそう。
定期的に経過観察を続ける選択肢もありましたが、病院通いで時間やお金を使うのは嫌だなぁ、と本音が口から漏れたら、先生から「この場所の腫瘍なら甲状腺を半分切除して半分は残せる。予後が良ければ服薬も定期通院も必要無くなりますよ」とのお言葉が!
腫瘍と付き合い続けていつか取らなきゃいけないなら、若くて体力があるうちに取ってしまえ!と手術を決心しました。
今の部署は配属1年目のため春の異動は無いとたかをくくり、年度末(3月下旬)に5日〜1週間の予定で入院することに。(その後、異動内示が出て大騒ぎしたのはまた別の話)
・差額ベッド代で得られるメリット
私が入院する予定の病院では、一番安い差額ベッド代でも4人部屋で1日約8,000円!
5日間で4万円の自己負担が発生します。(しかも医療費控除の対象外)
無料の4人部屋と何が違うかというと。。。
①テレビ、冷蔵庫の利用が無料(1,000円/日相当)
②間仕切り家具(パーテーション?)が付きます
えっこれだけ?テレビは見ないし飲み物は常温で飲みたいから冷蔵庫も不要。どう考えても無料で良いじゃん!と感じました。ちなみに個室は1泊約4万円〜です。
・入院申込時に気をつけたこと
他の方のノウハウ図書館の記事を読み、「同意書にサインしてはいけない」ということだけを頭に刻み込んで申込手続きに臨みました。
・事務員さんからのおどかし?
3月頭、診察で手術日を確認し、先生と入院予定日を相談。受付で入院申込をするように案内されました。
先生「短期入院だと有料のお部屋になっちゃう事が多いんだよね〜」
怖いこと言わないで、先生(泣)。若干の不安を感じながら入院申込へ。
事務員さんとのやり取りの中で、部屋の希望の話になりました。
事務員さん「入院を円滑に進めるため、できるだけ多くのお部屋の希望を出して頂いています」
私「無料のお部屋を希望します」
事務員さん「有料の部屋の希望が無いと、入院を延期して頂く可能性がありますが、よろしいですか?」
怖っ!仕事している人にとって、まとまった休みを取るのも大変だし、その予定が直前に変更されるなんてたまったもんじゃありません。
でも、ここで屈したら相手の思う壺。
私「希望は、しないです」
事務員さん「わかりました。無料のお部屋のみ希望ということで承ります。入院日の確定は入院前日となりますので、連絡をお待ち下さい」
こうして「予定通りの日付で入院できないかも?」という不安と戦う日々が始まりました。
◯入院までの不安と気持ちの切り替え
・入院延期の可能性、無料の大部屋に入る不安
「入院を延期して頂く可能性があります」
事務員さんのこの言葉がしばらく頭から離れませんでした。確かに、有料の部屋しか空いてなかった時、差額ベッド代に同意している人としていない人がいれば、同意している人を優先するのは病院経営上当然だと思います。しかも私は手術の急を要しない良性腫瘍だし。
また、無料のお部屋を希望する人は、私のようにケチな人かお金に余裕が無い人。クセが強くて同室で過ごす際不快に感じる可能性も否めません。
・入院先の病院のベッド数を調べてみた
不安な気持ちをどうにかできないかと、あらためて入院する病院を調べてみました。
無料のベッド数:300床以上(大部屋)
有料のベッド数:300床以上(大部屋、個室合計)
これ、、、無料のベッドが全て埋まるなんてことある?
・病院経営の立場で考えてみる
このベッド数が大規模なのか小規模なのか私には分かりません。ですが、病院経営をする立場だとしたら、有料のベッドの稼働率は少しでも上げたい。だからあの手この手で有料のベッドへ誘導するのも無理は無い。と感じました。
同時に、もし有料の部屋しか空いていなかったときに、入院や手術を延期させてでも無料のベッドが空くのを待たせるか?とも考えました。
手術は、執刀医の先生をはじめ、麻酔の先生や看護師さんなど様々な人が関わります。人を動かすにも当然ですがお金がかかります。できた筈の手術の予定を無くした時の機会損失と、差額ベッド代を貰えない損失、どっちが病院にとってマイナスだろうか?
正しいかどうか分かりませんが、私の中の結論は、こうです。
「手術をキャンセルする機会損失>差額ベッド代が貰えない損失」
この結論に至って、不安な気持ちは少し軽くなりました。
私「多分、大丈夫でしょ!」
・不安を取り除く価値を感じるか
そろばんを弾いて出した結論ではありません。病院に確認したわけでもありません。不安は残ります。
たかが4万円。されど4万円。
豪華な食事が食べられたり、ちょっと良いホテルに泊まれたり、大切な誰かに贈り物ができる金額です。
不安は気持ちの問題。どうせお金を使うなら、自分や誰かを笑顔にするために使いたい。
そう感じた私は、「入院が延期になるリスクを取って、差額ベッド代は支払わない」選択をしました。
◯入院前日〜当日
・入院決定の連絡(SMS)
入院前日は平日だったので日中は仕事。電話には出られない可能性があるため病院からの連絡はショートメッセージでお願いしました。
14時ぴったりに「明日、9時に来てください。大部屋の予定です」とのメールが届いて大喜び!
この瞬間に少しだけ残っていた不安な気持ちはすべて吹き飛びました。
・入院同意書での「特別療養室」の記載
入院当日、通勤とほぼ同じ時間に家を出て病院へ。事前に申込書などは受け取り記載を済ませていましたが、入院受付でも追加で記載する書類がありました。
事務員さん「無料の大部屋になります。よろしければここにサインを。」
提示された書類には、「特別療養室への入室に同意します」のチェックボックスと料金表が。
特別?!無料じゃないの?!とビビり散らかす私。
私「特別療養室ってどういう意味ですか?」
事務員さん「(無料の部屋を含め)すべてのお部屋がこのお名前なんですよ」
、、、焦ったぁ。平静を装ってサインしました。
◯入院生活
・快適な入院生活
当たり前かもしれませんが、無料の大部屋だからといって、病院の対応が悪くなることは(私が感じた限りでは)ありませんでした。
看護師さんはじめ、病院のスタッフの方々は皆さん笑顔で感じもよく、入院患者が心穏やかに過ごせるよう振る舞ってくださっているようでした。
ちなみに、有料の大部屋にしか無い、と書いてあった間仕切り家具(パーテーション)らしきもの、部屋についてました。使っちゃダメとも言われなかったので、レンタルした寝間着やタオルを置かせて貰ってました。有料のお部屋を無料で使わせて貰えてたのかもしれません。
・4床が埋まったのは4日目から
私が通された部屋は4人部屋。案内された時点で同室の人は他にひとりだけでした。その人も昼前には退院し、同日、私より後から同じ部屋に案内されたおじいちゃんがお一人。初日は二人だけで空きベッドが二つの状況でした。
同室のおじいちゃんは、寝ているときにいびきをかいたり呻いたりするタイプ。
普段、音の出る食洗機を回しながらでも寝られるくらい図太い私にはそこまで大きなストレスにはなりませんでした。
寝入りにいびきが聞こえると少し気になるくらいで、一度寝てしまえば起こされる程ではなく。私もいびきをかいてるかもしれないし、日中は持ち込んだパソコンカタカタしてるので、生活音はお互い様です。
入院二日目の朝イチで手術をし、無事成功。事前説明を受けていたリスクも全く起こりませんでした(先生ありがとう、、、!)。
この日は、夜も2時間毎に看護師さんが血圧や体温を確認しに来てくれたため、おじいちゃんのいびきに関係なく睡眠は中断されました(笑)。
入院三日目に、同じ病室へおじさんが案内されてきました。
このおじさん、大きな音のするオナラがよく出る方でした(笑)。
私も普段、タンパク質や食物繊維量の多い食事をしていてオナラがよく出るので、勝手に親近感を感じていました。
おじさんも寝ている時にいびきをかいていましたが、不思議とおじいちゃんのいびきと輪唱になることはなく、どちらかがいびきをかいているときに片方は静か。
おじいちゃんのいびきで慣れている私にはノーダメージです。
入院四日目になって、ついに4床すべて埋まりました。新しく来た方は声の感じが今までで一番若そうですが、それでも私よりは大分歳上。たまにお菓子を食べる音が聞こえてきます。
部屋のベッドがすべて埋まったとはいえ、カーテンでプライベートな空間は確保されていますし、皆さん静かに過ごされていて不快に感じる場面はありません。
そしてこの日、経過が順調なため「明日退院にしましょう」と先生が退院OKの判断をしてくださいました!
食事は上げ膳据え膳で快適、とはいえ量が少なく体重も下がり続けていたため、これは私にとって朗報。想定の最短スケジュールでもあります。
・嵐?は最後にやってきた
退院日も決まって気分は上々。家に帰ったら何をしようかとワクワクしながら迎えた最後の夜に、それは起こりました。
、、、隣のおじさん、いびき大きくない?
21時に消灯して、私は22時頃に眠りにつきます。いびきが気になって起きたのが、深夜1時頃。
目が覚めてしまったのは仕方ない。水を飲み、トイレで用を足し、部屋に戻ります。
まだいびきかいてるなぁ。あ、向かいのおじいちゃんもいびきの輪唱はじまっちゃった。
入院し、見ず知らずの方と同じ部屋で夜を共にする。こんな経験は人生で一度きりかもしれません。
これも記事のネタになるなぁ、と思いながら、いびきが収まり再度私が眠りにつく頃には深夜2時を回っていました。
明け方に、二度目の嵐がやってきました。
ガサゴソ(ビニールがこすれる音)、ゴン(ガラスビン?がテーブルにぶつかる音)、おじさんのうめき声。
この5日間で一度も聞かなかった、配慮ゼロの生活音。起床時間の6時まではまだ30分以上あります。
でも、私は知っています。隣のおじさんが病院の方とキツい点滴を使う話をされていたことを。昼間、薬が始まる前、静かに過ごされていたことを。
辛いんだろうなぁ。痛み止めを飲んだのかなぁ。今は自分のことで精一杯なんだろうなぁ。そう思うと不快感や嫌悪感が湧いてくることはありませんでした。
心穏やかなのは、退院間近だからかもしれません。これが手術前日だったら、、、私の感じ方は違っていたかもしれません。
◯退院時の支払額
・窓口負担と付加給付
術後の経過も良好で、予定通り入院5日で退院することになりました。
どきどきの請求額確認タイムです。
保険医療部分は高額療養費に加え付加給付もあるのでたかが知れています。
問題なのは自費部分。無料の部屋と言われてはいるものの、明細を見るまで気が抜けません。
請求金額:約8万7千円
うち自費部分:約5千円(食事療養費)
※入院中にパジャマやタオルを借りたため、別途約3千円支払予定
※付加給付の自己負担上限は2万5千円
今回の実質自己負担は約3万3千円でした。
5日分の差額ベッド代を支払っていたら、プラス約4万円。入院費用より大きな負担になっていました。
不安でたまらない時もありましたが、私にとっては「やってよかった」経験となりました。
◯おわりに
差額ベッド代を「豊かな浪費」ととらえる方もいらっしゃいます。入院の経緯や期間、その方の価値観、経済状態など、環境や条件によって正解は人それぞれ違うと思います。
「入院するだけでも不安なのだから、不安要素はひとつでも少なくしたい。」
「正直今は生活が苦しい。仕事ができない間は収入も減る。だから入院費用は1円でも安く抑えたい。」
「正直お金には余裕がある。個室で他人の目を気にせず過ごしたい」
どれもあなたにとっての「正解」です。
私の体験と感情が、皆さんの「正解」を導き出す参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました!