- 投稿日:2026/04/04
夜、布団に入ったのに頭の中が動き続けてしまう。明日のこと、今日の失敗、どうでもいい昔の思い出まで。気づけば目が冴えていて、眠りがどんどん遠のいていく。
病気というほどではないけれど、「満足できる眠り」がなかなか手に入らない。そんな夜を、私はずっと繰り返してきました。
眠れない夜が続くと、日中に眠くなって作業が捗らない、便秘になる、イライラしやすくなる――そんな困りごとが積み重なっていきます。睡眠って本当にリターンの大きい習慣なんですよね。しっかり眠れただけで、頭は冴えるし気分も軽い。だからこそ、なんとかしたいと思い、私はCBT-I(不眠に対する認知行動療法)に取り組みました。
結論から言うと、日中の困りごとはほぼ解消されました。それどころか、自分の時間が1時間増えるという予想外の恩恵まで得られたのです。
本記事では、看護師の私の体験を中心に、CBT-Iの基本的な考え方・具体的なテクニック・そして実践を強力にサポートしてくれるアプリ『睡眠日誌』についてご紹介します。難しい理論よりも「私はこうやった」という実体験を軸にお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
※ 本記事は個人の体験に基づく情報提供を目的としています。重篤な不眠症状がある方は、医療機関への受診をおすすめします。
CBT-Iとは何か?|眠れない悪循環を断ち切る方法
CBT-I(Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)は、不眠に対する認知行動療法のことです。「認知(考え方)」と「行動(振る舞い)」の両面から不眠の悪循環にアプローチし、それを断ち切ることを目指します。科学的に効果が証明されており、世界中に普及している心理療法です。
睡眠薬と違って依存性がなく、根本的な改善を目指せる点が大きな特徴です。また、手法が体系化されているので、専門家のサポートがなくても自分で実践しやすいというメリットがあります。
CBT-Iには、主に以下の2つのテクニックが含まれます。
・ 刺激制御法:「寝床=眠る場所」という体への条件づけをやり直す方法
・ 睡眠制限法:眠気を意図的に高めてから寝ることで、寝床でだらだら過ごす時間を削る方法
この2つはセットで使うことで相乗効果を発揮します。次のセクションでは、それぞれを私の体験とともに詳しく解説していきます。
刺激制御法|「寝床は眠る場所」を体に覚えさせる
刺激制御法の考え方
刺激制御法は、一言で表すなら「ベッドでは寝る以外のことをしない」という方法です。
眠れない夜が続くと、「寝床=眠れない・焦る場所」という記憶が体に刷り込まれてしまいます。刺激制御法はこの条件づけをリセットして、「寝床=眠る場所」という適切な認識を取り戻すことを目的とします。
実践の2つの鉄則
鉄則1:10分眠れない場合は寝床を出る
眠れずに寝床でもんもんと過ごすことが、「寝床=眠れない場所」という悪い連想を強化してしまいます。眠れないと感じたら、つらくなる前に寝床を出ることが大切です。「10分」という目安はありますが、時計を確認することは推奨されていません。「眠れなくてつらくなったら出る」という気持ちの余裕をもって実践するのが現実的です。
鉄則2:寝床を出たら「眠れない時のTODO」をこなす
寝床を出たあとにしてはいけないことがあります。スマホ、パソコン、テレビなど強い光を発するものや、集中して覚醒してしまうことです。逆におすすめなのは、読書・手芸・音楽鑑賞・ストレッチなど、心が落ち着く穏やかな活動です。
大切なのは、眠れない時のTODOをあらかじめ決めておくことです。眠れない夜にあれこれ考えなくて済むよう、ルーティンとして準備しておきましょう。
私が刺激制御法を実践して変わったこと
私がもっとも困っていたのは、中途覚醒後に考え事が始まって眠れなくなることでした。起きたとき、スマホを時間確認のために持ち歩いてしまっていたのも問題でした。時計を見て「まだ◯時か」と焦り、さらに目が冴えてしまう悪循環です。
刺激制御法を始めてから、私は次のTODOを決めました。
・ 中途覚醒時は読書をする
・ 考え事が止まらないときは筆記開示(紙に書き出す)をする
・ 寝床を出る時はスマホを持ち歩かない
実践後は、考え事で眠れなくなることがほとんどなくなりました。日中に筆記開示で気持ちを整理するようにしてから、夜の考え事自体が減ったのも大きかったと思います。「眠れない夜」への恐怖感が薄れていったのが、私にとっては一番の変化でした。
睡眠制限法|眠気を貯めてから寝床に入る
睡眠制限法は、「寝床で眠れない時間を削る」方法です。名称から「睡眠時間を削る」と誤解しそうですが、削るのは「寝床にいるのに眠れていない時間」です。
実践の2つの鉄則
鉄則1:眠気を貯めてから寝床に入る
眠くなっていない状態で寝床に入っても、眠れずに悶々とするだけです。「早く寝なければ」という焦りが逆に覚醒を高めてしまいます。眠気がしっかり溜まるまで寝床に行かず、別の活動(読書など)をして待つことが大切です。
鉄則2:起床時間から逆算して就床時間を決める
睡眠制限法では、まず「毎日同じ時間に起きる」ことを固定します。起床時間を固定すると、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、自然と夜に眠くなるリズムが整っていきます。そして自分の平均睡眠時間を把握したうえで、起床時間から逆算して就床時間を決めます。
就床時間から先に決めてしまうと、眠気が溜まっていないうちに寝床に入ることになり、また「眠れない時間」が生まれてしまいます。だから「起床時間を先に固定する」のが正しい順番なのです。
私が睡眠制限法を実践して変わったこと
予想外の収穫として、朝4時半〜6時の時間が自分の時間になりました。この時間に読書と勉強をするようになってから、心の安定が大きく増した実感があります。「睡眠の質を上げたら自分時間が増えた」という不思議な体験でした。
子育て中の注意点
私は3人の子どもを持つ主夫でもあります。子どもの就寝時間の都合で、21時には一緒に寝床に付くことが多いです。眠気が溜まっていない状態で寝床に入るため、そのまま眠れないこともあります。
そういうときは、「無理に寝ようとせず、子どもが寝たと感じたら読書などをして眠気を待つ」という対応にしています。子育て中の方は、理想通りの実践が難しい場合もありますが、できる範囲でコントロールすることが大切です。
先ほど『起床時間を先に決める』と説明しましたが、子育て中は例外かもしれません。
私は「21時に子供と一緒に眠れたらより一層良いな」と思いました。
私は7時間程度眠れていれば日中に支障がない事が分かりましたので、21時に眠くなるように4時20分に起きるようにしました。
私は朝型なので、朝に作業ができるようになり満足しています。
CBT-Iを実践して起きた変化|体験談まとめ
CBT-Iを実践したことで、私の生活にはいくつかの大きな変化が生まれました。
変化① 寝床についてすぐに眠れるようになった
以前は寝床に入ってから眠りにつくまでに時間がかかっていました。「早く寝なきゃ」という焦りが逆に目を覚ましてしまっていたのだと思います。睡眠制限法で十分な眠気を貯めてから寝床に入るようにしたことで、入眠のスムーズさが劇的に改善されました。
変化② 中途覚醒後の再入眠がスムーズになった
中途覚醒は誰にでも起きている現象で、それ自体は問題ではありません。問題なのは、回数ではなく総時間です。私は以前、夜中に2〜3回目が覚めるたびに考え事が始まり、なかなか眠れなくなっていました。
刺激制御法で「眠れないなら寝床を出る」という行動パターンを定着させてからは、目が覚めても落ち着いて対処できるようになりました。今でも2回ほど中途覚醒しますが、10分以内で眠れています。
変化③ 日中の困りごとが減った
CBT-Iを始める前に私が抱えていた日中の困りごとは次の3つでした。
・ 日中に眠くなって作業が捗らない
・ 便秘になる
・ イライラしやすくなる
これらはCBT-Iを実践してから、ほぼ解消されました。「睡眠問題による日中の困りごとの改善を最終目標にする」という考え方は非常に大切で、「眠れているかどうか」への過度なこだわりから解放されたことで、ストレスそのものも軽くなった気がします。
変化④ 自分の時間が1.5時間増えた
これが最も予想外の変化でした。以前は21時から6時まで9時間を寝床で過ごしていましたが、その時間には眠れていない時間も含まれていました。
2026年4月現在は睡眠時間を21時から4時20分に変更して、4時30分〜6時まで自分の勉強や作業に使えるようになりました。
私は朝型クロノタイプ(その人が最も活動しやすい時間帯を司る体内時計の傾向)なので、早朝の時間に頭がよく働きます。この時間の読書と勉強が、毎日の心の安定にも大きく貢献しています。
ただし、クロノタイプは人それぞれです。夜型の方が早朝の朝活を無理に真似する必要はありません。自分のクロノタイプに合った生活リズムに調整することが大切です。
CBT-Iをうまく実践するためのポイント
まず1週間、記録から始める
CBT-Iで最初にすることは、いきなりテクニックを実践することではなく、まず自分の睡眠の実態を記録することです。1週間ほど記録を続けて、平均睡眠時間・睡眠効率・中途覚醒のパターンを把握しましょう。アプリ『睡眠日誌』はこのフェーズから大いに役立ちます。
目標は「日中の困りごとをなくすこと」
「8時間眠れるようにしたい」という目標設定は、実は逆効果になることがあります。眠れていないことへの意識が高まるほど、焦りが生まれ眠れなくなるというパラドックスです。「日中にしっかり活動できること」「昼間の眠気がないこと」といった、具体的な日中の困りごとの解消を目標にしましょう。
日中はなるべく活動的に過ごす
日中に仮眠を取ると、夜の眠気が弱まってしまいます。眠気を貯めるためにも、なるべく日中は活動的に過ごすことが大切です。
導入序盤は日中の眠気が強くなることを知っておく
CBT-Iは導入序盤は日中に眠気が強くなります。
なんとなく眠れていた時間を一旦削るからです。
その眠気を日中の昼寝で消化してしまうと結局夜に眠れなくなってしまいます。
ただし、夜勤や安全な作業に関わる場合は眠気をそのままにしておくと仕事に支障が出るので計画的な昼寝を取り入れましょう。
実践のおすすめアプリ|『睡眠日誌』

CBT-Iを始めるには、まず自分の睡眠の実態を把握することが欠かせません。「何時に寝て、何時に起きて、実際に何時間眠れたのか」を1週間ほど記録し、平均睡眠時間と睡眠効率を算出するところからスタートします。
私が実際に試したアプリのなかで、CBT-Iの実践にマッチしていたのが『睡眠日誌』(iOS/Android対応)です。
『睡眠日誌』を選んだ理由
他にも睡眠記録アプリは試しましたが、CBT-Iで必要な「中途覚醒の記録」ができないものや、広告が気になるものがありました。その点、『睡眠日誌』はCBT-Iの実践に必要な機能が揃っており、かつ無料・広告なしで使えるという点が決め手でした。
アプリ『睡眠日誌』の微妙ポイント1選
①トラッキング機能が付いていない
『睡眠日誌』は自動で睡眠状態を判定して、計測する機能はついていませんので、手入力の手間が発生します。
私は『入力は1分程度で可能』、『無料・広告なし』、『学習も同時に出来る』などでトラッキング機能が付いていない点には目をつぶれると思っています。
アプリ『睡眠日誌』のおすすめポイント4選
① 総睡眠時間と睡眠効率を自動計算してくれる
CBT-Iで睡眠制限法を実践するうえで、「自分の平均睡眠時間」と「睡眠効率(寝床にいる時間のうち実際に眠れている割合)」を把握することは必須です。『睡眠日誌』はこれを自動で計算してくれます。過去の平均値も確認できるので、取り組みの変化が一目でわかります。
② 「快眠のヒント」で毎日少しずつ学べる
睡眠の記録後に「快眠のヒント」が表示されます。CBT-Iに基づいた内容が1日1つずつ学べる形式なので、負担なく知識を積み重ねていけます。「記録する→学ぶ」のサイクルが自然に作られているのが秀逸です。
③「フミン指数」で客観的に不眠状態を把握できる
アプリには定期的に「フミン指数」のチェックが促される機能があります。これは世界的に使われている「アテネ不眠尺度」と同じ8問の質問で、自分の眠りの状態を客観的に測ることができます。2週間〜1ヶ月ごとに記録することで、改善の手応えを数値で実感できるのがいいですね。
④ 無料・広告なしで使える
2026年4月時点で、無料で使用でき広告もありません。無料で使い始められるため、『まず試してみる』というハードルが低いのが嬉しいところです。
参考書籍のご紹介(補足)
本記事の内容は、書籍『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』(岡島義 編)の内容も参考にしています。医師・コメディカル向けに書かれているため専門的な表現もありますが、Q&Aが充実していて読みやすく、「一人でも実践できる!」というコンセプトのもと書かれています。
CBT-Iをより体系的に学びたい方には、この書籍はおすすめできます。
まとめ|眠れない夜に悩んでいるあなたへ
この記事で紹介した内容を整理します。
・ CBT-I(不眠の認知行動療法)は、薬に頼らず根本から睡眠を改善できる科学的な方法です
・ 「刺激制御法」で寝床は眠る場所という認識を体に取り戻す
・ 「睡眠制限法」で眠気を貯めてから寝床に入り、睡眠効率を高める
・ アプリ『睡眠日誌』は無料・広告なし・CBT-I実施の最初の一歩におすすめ
・ 目標は「日中の困りごとをなくすこと」。眠れているかへの執着を手放すことも大切
私自身、眠れない夜への恐怖感・日中の眠気・イライラ・便秘といった困りごとが、CBT-Iの実践によってほぼ解消されました。何より、「自分の眠りをコントロールできている」という感覚を取り戻せたことが、一番の収穫だったと思っています。
眠れない夜に悩んでいる方は、まずアプリ『睡眠日誌』をダウンロードして、1週間の記録を始めてみてください。それだけで、自分の睡眠の実態が見えてきます。そして記録ができたら、刺激制御法と睡眠制限法を少しずつ取り入れてみましょう。