- 投稿日:2026/04/29
知らないだけで毎月損をしている人がいる
先日の記事で「親の介護にかかるお金の現実」をお伝えしたところ、こんな感想をいただきました。
「介護保険があっても、毎月の自己負担がかなり大変になりそう」
その通りです。でも実は、介護保険の自己負担にも月の上限額があります。上限を超えた分は申請すれば戻ってきます。
この制度を「高額介護サービス費」といいます。
現場で20年働いてきた私が断言しますが、これを知らずに損をしている家族が本当に多いです。今日はこの制度を徹底的に解説します。
高額介護サービス費とは
1ヶ月間に支払った介護保険の自己負担額が、一定の上限を超えたとき、超えた分が後から返ってくる制度です。
たとえば、上限が44,400円の方が1ヶ月で60,000円を支払った場合、差額の15,600円が返ってきます。
介護保険サービスをフルに使う月が続けば、年間で数万〜十数万円の還付になることもあります。
上限額は所得によって違う
所得区分 月の上限額
現役並み所得(住民税課税・高所得) 44,400円
一般(住民税課税世帯) 44,400円
住民税非課税世帯 24,600円
住民税非課税・年金収入等80万円以下 個人15,000円
生活保護受給者等 15,000円
親の年金が少ない、住民税が非課税という場合は、上限がさらに低くなるので還付される金額が大きくなります。
絶対に知っておきたい3つのポイント
■ 申請しないと一円も戻ってこない
高額介護サービス費は自動的には支払われません。申請が必要です。
超えている月が続いていても、申請しなければずっと損をし続けます。
■ 初回だけ申請すればOK
これが一番知られていないことですが、初回に申請するだけで、翌月以降は自動的に還付されます。
一度手続きすれば、毎月申請する必要はありません。
■ 領収書は不要
「領収書を全部とっておかなきゃ」と思っている方がいますが、介護保険の利用実績は市区町村が把握しているため、領収書の提出は不要です。
申請方法
手続き先
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(市役所・区役所・町役場)
必要なもの
・介護保険被保険者証
・本人確認書類
・振込先の口座情報(本人または家族名義)
過去分も遡れる
申請が遅れてしまった場合でも、2年以内であれば遡って申請できます。まだ申請していない方は今すぐ確認してみてください。
担当ケアマネジャーに確認するのが最速
「窓口に行く時間がない」「どう聞けばいいかわからない」という場合は、担当のケアマネジャーに相談してください。
ケアマネは利用者が使えるお金の制度を把握しているのも仕事のうちです。「高額介護サービス費の申請はしていますか?」と一言聞くだけでOKです。
ケアマネがいない場合は、地域包括支援センターに相談してください。
まとめ
・介護保険の自己負担には月の上限額がある
・上限を超えた分は申請すれば還付される
・初回だけ申請すれば翌月以降は自動
・申請先は市区町村の介護保険窓口
・2年以内なら遡れる
知っているだけで毎月数千円〜数万円が戻ってくる可能性がある制度です。親が介護保険サービスを使っている方は、今すぐ申請状況を確認してみてください。
次回は「高額療養費制度」についてお伝えします。入院したときの医療費にも同じような上限の仕組みがあります。あわせて読んでおくと、いざというときに役立ちます。
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むむぶどう
社会福祉士・介護支援専門員|岐阜の福祉事業所所長・20年