- 投稿日:2024/08/24
- 更新日:2025/10/09
こんにちは!
名古屋市守山区で整体院を経営している理学療法士のきむです。
学長ライブで「稼ぎ方を学ぶスクールに高額なお金はいらない」と言われていますが、スキルを学ぶためにスクールに通うことは自己投資になるのか、それとも浪費なのかというテーマで、私の経験談をお話しします。スクールに通うか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

はじめに
私は理学療法士として15年間、医療・介護施設に勤務したのち、個人事業主として整体院を開業しました。地元の高校を卒業後、理学療法士の養成校で3年間学び、国家試験を経て理学療法士に。その後、医療の現場で働く中で、ある「違和感」に気づきました。
新人時代の違和感と錯覚の絵
新人時代、同僚の理学療法士たちと同じ患者を見ていても、解釈やアプローチが全く異なることに気づきました。それはまるで「錯覚の絵」を見ているかのようでした。同じ絵でも、見る人によってまったく異なるものに見えるように、同じ患者でも見方が異なると解釈や治療が変わってくるのです。
これは、医療現場においても同じことが言えます。同じ患者を複数の理学療法士が見ても、それぞれが異なる解釈をすることがあります。治療方法や目標が違えば、当然ながら治療効果も変わってきます。
錯覚の絵

これは、絵や図形の中に違う見え方が隠されている「多義図形」と呼ばれるだまし絵の一種です。
隠し絵やダブルイメージとも言われます。
人によって違うものに見えたり、見続けているうちに見え方が切り替わったりする不思議な絵です。
同じ絵を見ているのに2人の向かい合った老人に見えたり、柱にもたれて座る帽子をかぶった2人の男に見えたり。
複数の見え方のうち一方を脳が選んでおり、一般的に自分が興味を持っている対象ほど見えやすいと考えられているため、こんな現象が起きると言われています。
もう一つ錯覚で有名なのは、

二つの図の縦の線の長さを問う絵です。
どっちが長いように感じますか?
左の図の方が長く感じないでしょうか?
答えは、左右とも同じ長さです。

この二つの図のように、
医療現場においても、同じようなことがあります。
例えば、同じ患者さんを複数の理学療法士が同時に見ている状況があるのですが、
見る人によって解釈が変わります。
見る人によって解釈が変わるっていうことは、リハビリの内容も変わる可能性があります。
理学療法はアートかサイエンスか?
学長は「経営はアートであり、再現性がない」と言いますが、医療はどうでしょう?医療もまた、サイエンスの部分がある一方で、アートの側面も強いと感じます。理学療法の世界でも、見方や解釈が異なることで、治療方法や結果が変わることがよくあります。
そのアートの側面が強い理由は、理学療法士の教育カリキュラムで、解釈をするトレーニングをして来なかったからです。
(専門用語で言いますと臨床意思決定・臨床推論・クリニカルリーズニングというカリキュラムです)
大学院での学び
私がこの「解釈の違い」に向き合うために選んだのは、大学院でした。29歳で大学院に進学し、実務と理論を学び直しました。高度専門職大学院では、理学療法士としての実務経験を積みながら、実際の患者さんにリハビリを提供し、見学者や教員とディスカッションを繰り返しました。
高度専門職大学院について
はじめて聞いた方もいらっしゃるかと思いますので、ご説明させていただきます。
高度専門職大学院とは、高度専門職業人の養成を目的とした大学院の課程です。科学技術の進展や社会・経済のグローバル化に対応するため、2003年度に創設されました。法律、会計、経営、教育、情報技術など多岐にわたる分野で、実践的な教育を提供しています。専門職大学院は、学術的な理論と実務スキルの両方を備えたプロフェッショナル人材を育成することを目的としており、修士論文は必須ではなく、実務家教員を一定割合配置することが特徴です。
大学院の実習
大学院のメインである実習は、どのようなものだったのか?
整形外科クリニックの協力の元、理学療法士の免許を持った大学院生が患者さんに理学療法を提供し、実習後は、レポート作成と見学者と一緒に、判断が妥当かどうかをディスカッションをします。
こちらが実習のイメージ図です。

登場人物は
①実習生(大学院生の理学療法士)
②患者さん
③メンター(教員)
④見学者(大学院生)
こんな実習を2年間行い、修士号を取得しました。
修士号が転職市場で大きなメリットになるのか?
大学院修了後の就職活動では、この修士号が転職市場で大きなメリットになることはありませんでした。臨床力は上がり、結果が出せるようになりましたが、収入に直結するわけではなかったのです。
大学院に行ったことにより、学習意欲があると思われる可能性はありますが、大学院に行ったことで、医療現場において、リハビリの点数が加算されるなどの診療報酬上のメリットは何もありません。
卒業後は、ご縁があった地元の整形外科クリニックに5年間務めました。
以前より、臨床力は上がり、結果が出るようになったのは、間違いなかったです。
しかし、大幅な収入アップにつながったのかって言われると、
答えはノーです。
スキルを学ぶための自己投資は浪費か?
私自身、大学院で多くのスキルを学びましたが、それが直接収入増加に結びついたわけではありません。ただし、自分のスキルアップと患者に対するケアの質の向上という点では非常に価値があったと思っています。学長が言うように、自己投資の定義が「1年以内に回収できる見込みがあるもの」とするならば、スキルを学ぶためにスクールや大学院に通うことは、回収までの期間が長い場合、浪費に近いかもしれません。
結論
スキルを学ぶことが自己投資か浪費かは、そのスキルをどのように活かすか、どのくらいの期間で回収できるかによります。特に医療や理学療法の分野では、学んだスキルが直接的に収入アップにつながることは少ないかもしれませんが、患者に対してより良い治療を提供するためには必要不可欠です。
最終的に、学んだスキルを活かしてどのように自分の価値を高めていくかが鍵です。
最後に
理学療法を極めたいという思いから、スキルを学んだ私の経験談でした。この体験が、スクールに通うかどうか悩んでいる方の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
理学療法士のお仕事やリハビリテーションについてさらに知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
https://library.libecity.com/articles/01J4B24JTE8W0B7RE301PRXJM5