- 投稿日:2024/12/19
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はジェームズ・P・ウォマックほか著『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。』1990年発行をつまみ食いします。
筆者:ジェームズ・P・ウォマック
マサチューセッツ工科大学教授として、日本と欧米の製造業を比較研究。
トヨタ生産方式(TPS)の分析を通じ、リーン生産方式という生産革命の全貌を明らかにした第一人者。
歴史が複雑な分、分割しました。
登場人物
大野耐一 出典:Wikipedia
日本の技術者、経営者である。トヨタ自動車工業の元副社長。
米国の自動車会社は同じ不良品が大量につくられていた。
大野は「コレはムダが多い」と考え、「問題が起きたら即ラインを止めよ」と指示を出した。
参考 外部サイト
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
「ムダは犯罪にも等しい」トヨタ生産方式の父・大野耐一が許さなかった"無意味な仕事7つ"
本書刊行時点で米国のみに生産拠点をつくっていたトヨタ。
現在では、海外27の国や地域にも工場がある。
トヨタ生産方式:(以後はTPS)は日本だけでなく、現地従業員がTPSを実践している。
私たちは「TPSを実践できるのは、日本人が勤勉だから」と考えがちだが、それは違う。
国民性などに関係なく実施できるということだ。
参考 外部サイト
トヨタ公式サイト「クルマは世界中でつくられています」
https://global.toyota/jp/kids/where-are-cars-made/production/
マサチューセッツ工科大学教授はTPSを普遍的な「リーン生産方式」という方法論にまとめた。
方法論ができたことにより、チェット・リチャーズ著「OODAループの戦略」2019年発行にも利用された。TPSはOODAループの代表として知られる。
「トヨタの作業員は特に並外れた激務を行っているようには見えないが、工場のラインスピードは競合他社のどこよりも速い。……このシステムが機能するのは、トヨタの作業員がもつ感知力・改善業務における直観的能力の高さがあるからにほかならない」
チェット・リチャーズ著「OODAループの戦略」
では、本題に戻ろう。
リーン生産方式の実践例とその効果
GM(ゼネラルモーター)との比較調査
著者らは米国GMフレミンハム工場(大量生産方式)とトヨタ高岡工場(リーン生産方式)の生産性と品質を調査し、比較した。
結果は、高岡工場のほうが組み立て時間は半分以下、欠陥は3分の1、在庫はGMの"2週間"分に対し、"2時間"分だった。
作業員の脇には最低限の1〜2時間分の在庫品があるのみ。
GMフレミンハム工場はまさにムダだらけ。
各作業場の横には在庫が山積み。🤔
生産ライン最後部では欠陥がある完成車が大量に置かれ、出荷前の手直しをしていた。
作業員はやる気のなさが目立った。
これの原因はレイオフ(一時解雇)を6回も行ったことだが。😅
トヨタは終身雇用で職が保障されている。
また、GMではライン停止権限をもつのは上級幹部だけだが、トヨタの作業員は誰でも問題を発見するとラインを止めていた。🧐
現場で「5つのなぜ」(通称:なぜなぜ分析)を繰り返し、原因を徹底究明する。
大野は、この仕組みを豊田市の自社工場で実験していた。
当初、生産ラインは再三再四止まったが、根本原因を追い続けるうちに不良箇所は大幅に減少。
そして出荷する完成車の品質も向上し始めた。
個の積み重ねで、トヨタは効率性と品質で圧倒的な優位を持っていた。
リーン生産方式は大量生産方式と比べて、圧倒的に低コスト、かつ高品質だった。
リーン生産方式の本質は次の3点。
これらを実践できるか否かがカギ。
❶作業の責任を、車に価値を付与する現場作業員にできる限り委譲する
❷欠陥を発見したら、原因を徹底究明するシステムをもつ
❸ダイナミックなチームワークをもつ
(作業員は「いい車をつくる」という目的意識がある)
⇒ トヨタの現場主義が成功を生んだ。
部品メーカーとの共存共栄
米国の自動車会社は部品設計図をつくって部品メーカーに渡し、期限を示して競争入札させた上で、最安値メーカーに発注していた。
「部品メーカーの改善や提案意欲を削いでしまう。長期的なお互いの利益も考えなくなり、短期的な儲けを追求するようになる。私たちは共存共栄の仕組みをつくる必要がある」
大野耐一
トヨタは競争入札ではなく、部品メーカーとの関係を改善し、共同で効率的な生産を目指すべきだと考えた。
大野は部品メーカーをグループに分けて別々の役割を割り振り、具体的な目標を与えた。
例 ブレーキの具体的な目標
時速100キロで走る車を60m以内で止めるブレーキ。
コストは1個1万5000円で作ること。
そして、部品メーカー同士で協力して改善策を探るようにさせる。
ブレーキとひと言でいっても、ネジ、パッドとブレーキにもそれぞれ部品が存在する。
グループの部品メーカー同士は、お互い別々の部品をつくっていて競合しないので、積極的に協業できる。
⇒ 協力関係によりコストと品質が向上した。
リーン生産方式のグローバル化
TPSは自動車産業にとどまらず、製造業全体に大きな影響を与えた。
著者らは、トヨタとGMの合弁企業の工場(NUMMI)でも同じ調査をした。
NUMMIはGMの古い工場を使い、元GM従業員が80%。
トヨタから来た上級幹部がトヨタ流で工場を運営した。
⇒ 他業界にも応用され、効率化が進んだ。
参考:トヨタ公式サイト GM社との合弁
ほぼ同じメンバーでも、やりようによってチーム力は何倍にも増幅するし、逆に間違えると何分の一にも低下するのだ。
参考書籍ダニエル・コイルの『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』
まとめ
⇒ ムダを排除し、現場主導の改善を徹底すれば、圧倒的な成果が得られる。
⇒ 徹底した無駄の排除は恐るべし。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆