- 投稿日:2025/04/05
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はバイロン・シャープ 著『ブランディングの科学 新市場開拓篇』2020年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:バイロン・シャープ出典:Wikipedia
南オーストラリア大学アレンバーグ・バス研究所のマーケティングサイエンス教授兼ディレクター。
✅ 強いブランドは、明確なポジショニングではなく「思い出される頻度」で決まる。
✅ ターゲットを狭めず、ライトユーザーを重視せよ。
✅ ブランドの成功はカテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)を増やすことにある。
マーケティングは創造的な仕事だ。
建築もまた同様に創造的だ。 建築家はタージ·マハルやシドニーのオペラハウスなどの傑作を生み出してきた。 しかし建造物は自然界の法則に従ってその創造性を引き出さなければならない。 建築家は建築物が自重や風力で崩壊しないように設計する必要があり、そのためには引力を無視することはできない。 つまり自然界の法則の影響を受けない建築物を造ることは不可能である。
バイロン・シャープ 著『ブランディングの科学 新市場開拓篇』
つまり、マーケティングもブランドも自然界の法則の影響を受ける。
「強いブランドは強いポジショニングを確立している。『このブランドといえば○○○』と思ってもらえるようにしよう」という戦略だけではいけないと語られる。
カギとなるのがCEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)という考え方だ。
『ブランディングの科学 新市場開拓篇』
ブランド戦略の新常識
ブランドポジショニングは不要?
「このブランドといえば○○○」という戦略は必須ではない。
CEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)とは、モノを買う際に商品を絞り込む理由や状況のこと。
「暑い日」「夏」「自販機」など日常で生まれるシーンだ。
❶ 暑い日や喉が渇いたとき、「冷たいドリンクを飲みたい」と考える。
❷「冷たいドリンクを飲みたい」というときにコーラを思い出させる。
❸ コーラを買う。
ここで「サイダー」や「お茶」ではなく、「コーラ」をどれだけ思い浮かべさせるかに力を入れる。
そして、メンタル・アベイラビリティ(購入するときにブランドが思い出されやすいこと)を広げる。
「吉野家」という言葉を聞くと、何を思い出すだろう?
「牛丼」「昼食」「うまい、やすい、はやい」など。
街で吉野家を見かけ、店で食べるたびに、ブランド連想が築かれて強化される。
⇒ 入:消費者が購入を考える場面(CEP)でブランドを思い出すこと。
⇒ 出:消費者が購入した後のメンタル・アベイラビリティを広げる。
できる限り、多くの場面(入口~出口)で消費者の記憶に残り、多くの状況で選ばれることが鍵である。
⇒ さまざまな場面でブランドを想起させる戦略を構築する。
「強いブランドとは、多くのCEPとつながったブランドだ」
バイロン・シャープ 著『ブランディングの科学 新市場開拓篇』
アル・ライズ、ジャック・トラウト著『ポジショニング戦略[新版]』
ポジショニング:「消費者の脳内にある特別な場所に商品を位置づけること」と定義している。
ポジショニングの問題を解決したいなら、『商品』ではなく、『消費者の頭の中』を見つめよ。
アル・ライズ、ジャック・トラウト著『ポジショニング戦略[新版]』
競争優位より「思い出される頻度」
トルコのソフトドリンク市場
トルコの市場はコカ・コーラの独占だった。
コーラ・タルカというローカルブランドはシェアがコカ・コーラの8分の1に過ぎない。
まず、トルコではソフトドリンクのCEPは「暖かい日に」「少し健康によいモノ」「食事に合う」「自分へのご褒美」など8つあることを特定した。
この8つのCEPで、消費者がコカ・コーラとタルカをどれだけ思い出すかを調べた。
その結果、タルカの購買客の67%はどのCEPでもタルカを思い出さなかった。
一方でコカ・コーラの購買客は、多くのCEPでコカ・コーラを思い出した。
⇒ タルカはCEPを増やし、より多くの購買客からもっとメンタル・アベイラビリティを獲得する手法が必要とわかった。
「このブランドといえば○○○」という強いポジショニングより…。「○○○というときはこのブランド」になる範囲を広げろ。
デービッド・A・アーカー著『ブランド優位の戦略―顧客を創造するBIの開発と実践』
ブランド設計には4つの視点がある。
❶ 製品(顧客は製品を通じてブランドを実体験する )
❷ 組織(価値観や哲学がブランドを形成する )
❸ 人(消費者がそのブランドに対して感じる人格や特徴の集合)
❹ シンボル(象徴はブランドの魅力を強調する)
これらに加えて、「これを持つとこういう自分になれる」という自己表現の価値を持てる商品が望ましいと語る。
では、新ブランドの立ち上げ方はどうすればよいのか?🤔
ブランド成功の具体的戦略
新ブランド発売で、ありがちなパターン
❶ 消費者にとっての便益を明確にする。
❷ 差別化のメッセージを決める。
❸ 「○○が新発売」という説得力ある広告を出す。
たいていは売れずに終わる。
この1年間で新発売されたビールの名前をあげられるだろうか?
アル・ライズ、ジャック・トラウト著『ポジショニング戦略[新版]』
消費者は忙しいので、差別化メッセージを出しても、そもそも気がつかない。
⇒ 「多くの人は既存ブランドと新ブランドの違いを知らずに、商品を買っている」と認識せよ。
広告戦略の最適化は何か?
一度の広告で大きく売るのではなく、2段階で継続的に接触を増やす。
第1段階:ライトユーザーからノンユーザーに対して広告で幅広くリーチし、新商品を買うように働きかける。
ただし、予算は全部使わずに、第2段階に残しておく。
第2段階:ライトユーザーが買い続けるように、継続的に広告メッセージを続ける。
広告は少しでも目立ち、CEPとのつながりをつくる。リンクが多いほど売れる。
資生堂のTSUBAKI
茶髪や金髪ブームに陰りが見えたタイミングで「日本の女性は美しい」という直球メッセージを出した。
広末涼子、観月ありさ、仲間由紀恵、竹内結子、田中麗奈といった黒髪の人気女優を並べてビジュアルで圧倒した。
⇒ ブランドを記憶に定着させ、購入の確率を上げる。
また、新商品の広告では、小売店に並べた新商品を売り切ることが求められる。売れ行きが悪いと新商品が店頭から撤収されてしまう。
ジェフリー·ムーア著『キャズム Ver.2』
新商品普及の最大の壁は「キャズム(大きな谷)」
攻めるべきはライトユーザーからノンユーザーだ。
顧客が必要とする全ての要素を揃えること。
高級ブランドのマーケティング戦略
高級ブランドもCEPが重要
「高級ブランドでは『誰ももっていないこと』が大事。」ではない。
ロレックスなどの高級ブランドは、限られた富裕層がターゲットではない。
特に、中産階級(サラリーマン)を狙っている。
富裕層の人数と比べて圧倒的に規模が多く、ねらい目はロレックスを1本しか買わない中産階級のライトユーザーが、高級時計の典型的な顧客である。
著者の調査結果によると…。
高級ブランド所有者が多くても、その高級ブランドへの欲求度は高く売れる。『誰ももっていない』という希少性は関係なかった。
ロレックスをもつ人が多くても、人はロレックスが欲しいのである。
アルファードでもヴィトンのバッグでもこれは変わらない。
多くの消費者は「自分には高級ブランドの目利き力はない」と思っている。だからブランドの人気や評判が、その高級ブランドを買うかどうかの判断に影響を与えているのだ。
消費者はバイヤーでも、高級品を大量に買った経験も少ない。
要は、適切な「相場観」が存在しないのである。
株券も同じ。周囲や社会情勢、個人の行動によって変化する。
高級ブランドがお金をかけて広告を出すのは、認知度を高めて所有者を増やすためである。
「これを持つとこういう自分になれる」という自己表現の価値を持てる商品(ブランド)を思い出させる戦略はとても有効である。
⇒ 顧客が商品を選ぶ際にブランドを思い出させる(CEP)。
多くの人に購入意欲を持たせることにおいて、価格帯は関係ない。
2020年発行と比較的新しく、本書では、他にオンラインショッピング、クチコミ、新興国でのマーケティングなどさまざまな市場を取り上げて分析し、この理論が成り立つことをデータで検証している。
参考になる部分は多いだろう。
まとめ
✅ 強いブランドは、「思い出される頻度」で決まる。
✅ ターゲットを狭めず、ライトユーザーを重視せよ。
✅ ブランドの成功はカテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)を増やすことにある。
⇒ ブランドの強さは「思い出される頻度」で決まる!
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆