- 投稿日:2025/01/07
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はデービッド・A・アーカー著『ブランド優位の戦略―顧客を創造するBIの開発と実践』1997年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:デービッド・A・アーカー出典:https://e-wms.jp/2020/speakers2020/davidaaker/
アメリカ合衆国の経営学者、マーケティング理論家、コンサルタントである。専攻はブランド戦略。カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクール名誉教授、電通顧問。
✅ ブランドは企業の重要な資産である。
✅ 顧客が信頼するブランドを築くには戦略が必要。
✅ 長期的かつ首尾一貫した蓄積が成功のカギ。
ブランドは企業の重要な資産
ブランドの持つ見えない価値
本書では強いブランドを戦略的につくる方法を教えてくれる。
ブランドが持つ見えない価値を、アーカーは「ブランドの資産価値」(ブランド・エクイティ)と名付けている。
ブランドはヒト・モノ・カネと同じく企業の資産である。
スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』
カジュアルなブランド論の書籍。
ブランドとは「名前・シンボル・デザイン・ロゴ」などを組み合わせた総称。商品の価値やイメージ・顧客との信頼関係なども含まれる。
理論ではなく、マーケティング担当の実学なので読みやすく人気。
フレデリック・F・ライクヘルド 著「顧客ロイヤルティのマネジメント」
こちらは理論の話。
顧客ロイヤルティと呼ばれ、「自社や製品、サービスに対して顧客が抱く愛情や信頼」のこと。
顧客ロイヤルティの延長線上にブランドは存在する。
そして、『ブランド優位の戦略―顧客を創造するBIの開発と実践』は理論の話。
ちなみに、タイトルのBI(ブランド・アイデンティティ)は企業や商品・サービスが持つ独自性や価値観、ビジョンなどを表現し、顧客にどう思われたいかを明確にした概念のこと。
つまり、「ブランドをどう見られたいのか?」を定義し、顧客が信頼できるブランドイメージを形成すること。
何を目指すかを決めるものなのだ。
⇒ 顧客を引きつけ、価格競争を回避する。
⇒ BIは企業の方向性を示す羅針盤となる。
強いブランド・アイデンティティを実現するには、次の4つの視点がある。
4つの視点でのブランド設計
1. 製品としてのブランド
顧客は製品を通じてブランドを実体験する
コーラはのどの渇きを癒やす。
おいしいバニラアイスクリームと言えば、ハーゲンダッツ。
シンプルにブランド(消費者の中で作り上げられるイメージ)を感じさせる。
⇒ ただし製品のみでは真似されやすいので弱い。
2. 組織としてのブランド
価値観や哲学がブランドを形成する
「単に化粧品を売るのではなく、世の中をより豊かにする。だから搾取しない」という創業者の哲学が企業の活動に反映されているとわかりやすい。
自然原料だけを使い、動物実験もしない。社員もこの考えを徹底している。
活動に賛同する消費者はブランドをイメージしやすい。
また、ハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」も「スタバらしさ」の徹底追求で復活した。
ブランドは結局人間がするものである以上、常に不備な点を抱えた概念だ。
スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』
⇒ 顧客の共感を引きつける。
3. 人としてのブランド
ブランドパーソナリティが熱狂的支持を生む
意味:消費者がそのブランドに対して感じる人格や特徴の集合を指す。
ハーレー・ダビッドソン:アメリカの超大手オートバイメーカー。
引用画像:Sportster XL1200X Forty-Eight (フォーティエイト)
外部サイト:Bike Life Lab
ブランドマークの刺青、タトゥーを入れる顧客が世界一多いと言われる。
多くのライダーにとって憧れのバイク。
自由の象徴であり、米国そのものであり、力強いバイク乗りの男らしさをイメージさせる。
ドラマ:「サンズ・オブ・アナーキー」や映画:「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」を見るとイメージしやすいかもしれない。
ブランドは短い人生を共にする「相棒」にもなる。
⇒ ブランドが象徴する価値を顧客が自分に投影。
4. シンボルとしてのブランド
シンボル(象徴)はブランドの魅力を強調する
コーラの「赤や青」の色。
ハンバーガーのマスコット。
アップルの創業者:「スティーブ・ジョブズ」。
カブアンドやZOZOの人と言えば?
⇒ 〇〇と言えば?の〇〇がシンボルである。
⇒ ロゴやマスコット、色、人が記憶に残る。
しかし、強いブランドをつくるには、4つの視点だけでは、不十分である。
顧客がブランドを信頼し、商品を買うようにするには、「顧客にとっての便益」を明確にしなければならない。
顧客にとっての便益を明確化する
1. 機能的便益
製品の機能性がもたらす価値
「製品としてのブランド」に基づく、製品のみでは真似されやすい。
そもそも、使いやすくなければ、繰り返し使いたいとは思われない。
最低限、冷却機能が高いエアコンだけでは厳しい。
マイナスイオンや省エネ機能も標準機能になっているものも多い。
⇒ 機能的便益だけの差別化は難しい。
「顧客にとっての便益」は、このレベルに留まっているとブランドにはなりずらい。
フレデリック・F・ライクヘルド 著「顧客ロイヤルティのマネジメント」
「既存顧客」と「優良顧客」が増えるには、もう一段階必要になる。
2. 情緒的便益
製品を使用することで得られる気持ち良さ
ダン・アリエリー著『予想どおりに不合理』の記事では紹介していないが、こんな実験があった。
コカ・コーラとペプシを目隠しの状態で試飲した実験では、脳の活動に違いはなかった。
しかし、どちらを飲んでいるか分かると、好きな炭酸飲料のほうが脳の活動が活発になる。
これはまさに「コーラというブランド」が機能的便益を超えて、感情によい影響を与えていると言える。
⇒ 顧客の感情に訴える良さを持つべし。
3. 自己表現的便益
ブランドが個性やステータスを反映
高級車や高級時計、ブランド品の所有は単に気持ちいいだけではない。
「これを持つとこういう自分になれる」という自己表現の価値を持っている。アップルの商品が高いのは、ジョブズが「自社商品を高級品にしたい」と考えた結果である。
もともとアップルのブランドイメージは、パソコンオタク向けに洗練された商品を提供することだった。
ジョブズが贅沢品を参考にした際、贅沢品は「高額所得者」に対して、直営店を通じて販売することで、所有する喜びや自己表現を提供していることに目を付けた。
そこで当時の消費者向け電子機器では非常識だった直営店を展開し、さらに「アップル=クール」というキャンペーンを行った。
カフェでのマックブックもイメージから来ている。
ヴォルフガング・ヒュアヴェーガー著『レッドブルはなぜ世界で52億本も売れるのか 爆発的な成長を遂げた驚異の逆張り戦略』では…。
キャッチフレーズ「レッドブル、翼をさずける」が該当する。
「喉の渇きを癒やす」ことではなく、「力をさずける」というイメージを売ることにした。😎
従来の飲料とは異なる「エネルギー」を提供する概念を強調した。
これが「ブランド・アイデンティティ」=「ブランドをどう見られたいのか?」である。
アクションスポーツやモータースポーツ、ゲーミングなどの分野でレッドブルがスポンサーになる理由も「自己表現の提案」をしているからである。
現在のブランド・イメージとのギャップを把握し、イベントや企画をする。
⇒ 顧客が自分を表現する手段を用意せよ。
ブランド・アイデンティティは長期間、首尾一貫してキャンペーンをすることが必要になる。
それはなぜか?🧐
蓄積効果でライバルの真似を防ぐ
首尾一貫した蓄積がブランドを構築する
「製品としてのブランド」のみでは、真似されやすいのが現実である。
サイゼリヤは「当たり前」を徹底する姿勢がある。
投資は一度やったらおしまいではなく、継続していかないと、とくに生産技術はあっというまに陳腐化していきます。ある会社でどんな技術を採用しているかという情報は、少しずつ流れ出ていくものなので、それを真似するだけでキャッチアップできてしまう。だから、先行している側は、つねに前進を続けて、追いつかれないようにしなければいけません。
ブランドにつながる生産技術を投資することで、他社に真似できない「安さ」を維持している。
また、いつまでも変えないと時代遅れで古くさくなる。
コアとなるブランド・アイデンティティから離れずに、時代に合わせることが必要でもある。1892年にトーマス・エジソンは会社を設立した。
「電気を使った快適な生活を提供する」というキャッチフレーズで「ゼネラル・エレクトリック」というブランド名を付けた。
しかし、電気と結びついたこの名前は古くなった。
そこで今では「GE」の名前を前面に出している。
GE(ゼネラル・エレクトリック)
アメリカ合衆国ニューヨークを主な拠点とした航空エンジンメーカー。
航空宇宙、電気、医療、金融など様々な事業を行っていた。
現在は航空宇宙事業のみを主な事業としている。
参考:ジャック・ウェルチ 著『ジャック・ウェルチ わが経営 上下』
⇒ 長期的な一貫性が必要。
⇒ コアアイデンティティを維持しつつ進化もしていく。
ブランドとは何なのかを理解したい人は、ぜひ本書を一読してほしい。
まとめ
✅ ブランドは企業の重要な資産である。
✅ 顧客が信頼するブランドを築くには4つの視点と3つの便益が必要。
✅ 長期的かつ首尾一貫した蓄積が成功のカギ。
⇒ ブランドは顧客との信頼を築く資産である。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆