- 投稿日:2025/05/18
- 更新日:2025/10/05

1.目標:親名義のマンションを私名義に変更する
父と共有名義で20年以上も前に購入したマンションで、父名義の所有分を少しずつ私名義に移していました。父名義が10分の1だけが残っていて、ずっと放っておいたものを親も高齢なので、今回すべて変更してしまおうと思いたちました。今までは、父が元気だったので、委任状を渡して、父に手続きをしてもらっていたのですが、知識にもなるので、自分でやってみようと思い、手続きが完了しましたので、記録の意味も込めて書きます。
贈与だけではなく、相続や財産分与等で不動産を移転登記される方のお役にたてる知識だと思います。もちろん、時間を節約するために、司法書士さんなどの専門家に頼むのも良いと思います。学長も”苦手は人に頼め”っておっしゃっていますし😊
でも、お金の節約にもなるし、知識の蓄積にもなって、子どもやお友達にも教えてあげることもできますので、ぜひご参考ください。
2.手続の流れを把握する
何をすべきか全くわからなかったため、早速、おなじみChatGPT、パプちゃん(perplexity)、法務局のサイトで調べました。
法務局のサイトに『不動産登記の申請様式』があります。この中に、所有権の移転として、以下の項目があり、私は2-3 贈与の様式を参考にしました。この書類の記載例に従って入力していけば良いのですが、入力するための根拠となる資料が必要となります。手続き方法と入手が必要な資料について、説明していきます。
👇法務局のサイト👇
2 所有権の移転
2-1 相続
○法定相続
○遺産分割
○遺産分割(数次相続)
○公正証書
○自筆証書
○相続人に対する遺贈
2-2 売買
2-3 贈与 →今回は、こちらを利用しました。
2-4 財産分与
3.贈与の場合の書類の構成について
上記、2‐3 贈与のひな形は、以下の4つの書類から構成されていました。
①登記申請書、②贈与契約書、③登記原因証明情報、④委任状
4.書類を作成~上記①②③④を詳しく説明
不動産に関する資料を取り寄せないと、入力できない項目がありますので、土地と建物を、父(贈与する側)➔ 私(贈与を受ける側)を例に、詳しく説明します。
①登記申請書~登記移転する不動産(土地・家屋)の詳細(所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造等々)を記入するため、「全部事項証明書(不動産の戸籍謄本のようなもの)」が必要となります。取り寄せ方法は、法務局へ行くか、郵送、オンライン申請がありますが、私は以下からオンライン申請して送ってもらいました。
登記情報提供サービスの「一時利用」か、継続的に利用したい場合は「個人利用」となります。私は、今後、相続の時にも役立つと思い、「個人利用」を申込みました。(登録料も発生しますが、仕事をなるべく休みたくないので、オンライン申請し、郵送受取を選択しました。)
「全部事項証明書」内に記載された情報が、ひな形の内容に一致しない部分もありますが、「全部事項証明書」の内容を出来る限り詳しく書いておきましょう。
次に、課税価格と登録免許税を自分で計算して記載する必要があります。土地と建物の評価証明書を取り寄せても良いですが、毎年届く固定資産税の納税通知書があれば計算できます。
🔢課税価格の計算方法:固定資産税の納税通知書で説明します。恐らく2枚目だと思うのですが、課税明細書というのがあります。土地と家屋で分かれていますが、その中に価格(評価額)という項目があります。この金額が、土地と家屋のそれぞれの評価額となります。建物は、そのままの金額で問題ないですが、土地はとんでもない金額になるので、自分の持分を掛ける必要があります。
例)土地:180,000,000円、持分が450,000分の6,500とします。持分は、全部事項証明書に記載があります。建物:6,543,210円とします。
180,000,000円(土地の評価額)×6,500/450,000(持分)+6,543,210円(建物の評価額)=9,143,210円となり、千円未満は切り捨てるので、9,143,000円(課税価格)となります。架空の数字ですが、私の場合は残りの10分の1になりますので、この金額に10分の1をかけます。914,300円となりますので、千円未満を切り捨て、914,000円が課税価格となります。
🔢登録免許税の計算方法:贈与の場合、現在、課税価格の2%になりますので、上記で計算した金額に2%をかけます。
914,000円×2%=18,280円となり、100円未満は切り捨てなので、18,200円となります。
登録免許税は、計算した金額分の収入印紙を購入して、登記申請書に貼り付けました。収入印紙は高額の場合、コンビニでは購入できず郵便局になると思います。
②贈与契約書~作成した方がより良いのでしょうが、不動産の登記移転の贈与は口頭で交わしても、登記が完了したら贈与が完了されるため、作成しませんでした。
③登記原因証明情報~父と私の間で、どの不動産について、いつ、どういう理由(今回は贈与)で移転したかを記載し、押印します。不動産情報は、上記①で記載したものと同じです。父の印鑑証明書の提出が必要なため、この書類の父の押印は実印となります。贈与を受ける側の印鑑証明書の提出は必要ないので、認印となります。
④委任状~今回、私がすべての手続きをしますので、委任状に父の実印を押印してもらいました。不動産情報は①と同じです。
◆ポイント~不動産情報で記載する住所の情報は、「全部事項証明書」から持ってきますが、郵便などで記載する住所と少し異なります。「全部事項証明書」に記載されたものと完全一致で記載してください。○○番地○が、○○番○と書かれていて、「地」が無かったりして、不備にされる可能性もあります。
5.法務局のオンライン相談申込
書類ができましたら、一旦、法務局に見ていただきましょう。なんと、今はオンライン相談があります。自信があれば不要です!
法務局オンライン相談:ご自身の管轄法務局を選択し、不動産登記手続案内から、日時を予約してください。20分程の短い時間ですが、課税価格や登録免許税の計算方法も教えてくれます。また、事前相談をしてから書類を送付した方が、気のせいかもしれませんが便宜を図っていただけたような気がします。
6.収入印紙を購入して、書留で郵送
同封する書類は、以下になります。
◆贈与する側(今回は父)の印鑑証明書
◆贈与される側(今回は私)の住民票
◆土地評価証明書・家屋評価証明書➔もしくは、毎年届く固定資産税の納税通知書でも問題ありません。
◆権利証➔原本を送付しますが、手続きが完了したら返送してくれます。
◆返信用封筒(切手):本人限定受取郵便で送られてくるため、郵送料の計算を間違えないように。私は、書留の金額も計算して、多めに切手を入れたつもりでしたが、不足していると電話がかかってきて、切手を郵送で送付することになってしまいました。
移転登記が完了すると、郵便局から「本人限定受取郵便物到着のお知らせ」が届きます。郵便局で受取か、自宅郵送か選ぶことができます。本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)を提示して受け取れます。
同封物は、返送をお願いした権利証と「登記識別情報通知」。登記識別情報通知とは、従来の登記済権利証に代わるもので、不動産の名義変更がされた場合に、新たに名義人となる人に登記所から通知される書類(情報)です。12桁の符号(パスワード)が与えられ、次に登記移転する時には、権利証の代わりに提出することになります。便利になっているようです。
7.暦年贈与について
贈与税の場合、110万円の控除がありますので、その範囲内で贈与をされるかたは多いと思います。ところが、令和6年(2024年)1月1日以後の暦年贈与財産の加算が、3年から7年になりました。ただ、すぐに7年分を遡っての加算ではなく、令和13年(2031年)1月1日から完全に7年分となります。それまでの延長分は、合計100万円が控除されます。わかりにくいので、以下で説明します。
◆2024年(令和6年)1月1日~2030年(令和12年)12月31日までに相続開始:相続開始直前の3年間を引いた年月分は、合計100万円の控除があります。
例)2029年7月1日死亡の場合:2024年1月1日から5年6カ月となり、相続開始直前の3年を引いた、2年6ヶ月の間に贈与があった分は、合計100万円が控除されます。
◆2031/1/1以降に相続開始:相続前7年間分加算
この税制改正のため、親が高齢の場合は、「相続時精算課税制度」を選択した方が良いとの意見も多いです。暦年贈与の改正にともない、今まで人気のなかった「相続時精算課税制度」も改正されて使いやすくなったとのことです。ノウハウ図書館でも調べてみてください。
私も今回、贈与された分を計算して、来年、確定申告をします。「相続時精算課税」を選択するか検討中です。申告するときの土地の評価は、路線価で計算しますので、以下のサイトで路線価図を入手して計算していきます。ご参考までに➔路線価図・評価倍率表
8.最後に
専門家に頼んだ方が早く確実に完了できますが、お金も節約できるし、知識も増えると思ったので、自力で頑張りました。
また、公的機関のサービスも色々あることを知りました。税金を払っているので、公的サービスをもっと利用しようと思いました。公的機関のホームページには、意外と充実した内容が掲載されていたり、住民票や印鑑証明書の取り寄せもオンラインで申請して取り寄せが可能です。
法務局や市役所に行くよりは、時間もお金も節約でき、その時間とお金を趣味に回しています。この得た知識が少しでもお役に立てれば幸いです😊