- 投稿日:2025/03/21
- 更新日:2025/10/26
春になると多くの人が花粉症に悩みますよね。
くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの人によって症状は様々だと思います。
かく言う私も花粉症持ちの一人です。🤧
私は鍼灸師として日々患者さんに携わらせているのですが、今回、私が患者さんにお伝えしている花粉症対策のセルフケアをご紹介します。
ただ、ご注意いただきたいのが、あくまで1例のため、他のやり方やセルフケアを否定する考えは一切ありません。
東洋医学的な花粉症の考え方
花粉症は花粉などに身体が異物として攻撃するアレルギー反応が引き起こされる症状の総称です。西洋医学ではアレルギー反応として捉えられますが、東洋医学では 「風邪(ふうじゃ)」の影響や「肺」「脾」「腎」のバランスの乱れ が関係していると考えられます。特に、「脾」を補うことが花粉症対策の重要なポイントとなります。
脾とは?
東洋医学において、「脾」は津液(血液以外の全ての体液)を管理しています。「脾」の機能が低下すると、全身の水分代謝はもちろん、諸器官粘膜の代謝に支障をきたし、「痰」や「湿」と呼ばれるさまざまな病態を引き起こす物質を作り出すと言われています。それが花粉症だと、鼻水や涙として出てくると考えられています。
脾は西洋医学的な器官に当てはめると消化器官に当たります。(厳密には異なるのですが今回はどう意義と考えていただいて構いません。)
そのため、脾を補う(=腸内環境を整えること) が東洋医学的花粉症の対策の1例となります。
西洋医学的根拠と最新の研究
西洋医学的からも腸内環境を整えた方が良いのではないかと提唱されたりしています。
腸内細菌叢の多様性と花粉症: 研究によると、花粉症の患者は腸内細菌叢の多様性が低下していることが示されています。この多様性の減少は、腸内の炎症を引き起こし、アレルギー反応を悪化させる可能性があります(引用)
ビフィズス菌の役割: 特に、ビフィズス菌(Bifidobacterium longum BB536)が花粉症の症状を改善する可能性があることが示されています。この菌は腸内の免疫バランスを整える働きがあり、花粉の飛散に伴う免疫反応を抑制することが報告されています(引用)
腸内細菌叢の変化とアレルギー: 花粉症患者の腸内細菌叢は、花粉の飛散に伴い変動し、特定の細菌群(例:Bacteroides fragilis)が増加することが観察されています。この細菌群の増加は、アレルギー症状の悪化と関連していると考えられています(引用)
腸内と鼻腔の微生物叢の関連: 2024年の研究では、アレルギー性鼻炎患者と健康な個体の腸内微生物叢に違いがあることが示されました。これにより、腸内細菌がアレルギー反応に与える影響がさらに明らかになっています。(引用)
腸内細菌とアレルギーの因果関係: 2023年の研究では、腸内微生物の構成がアレルギー、特に花粉症に与える因果関係が支持される結果が得られました。これにより、腸内細菌の調整が新たな治療法として期待されています(引用)
脾を補うセルフケア
では、本題の脾を補うセルフケアのポイントをお伝えします。
✅ お臍(へそ)を温める
え!?お臍!?とびっくりされる方もいるかと思いますが、東洋医学には腹診というのがあります。お腹は足裏や耳と同じように身体の反応が出やすい場所であり、私たち鍼灸師はよく診断や治療に用います。お腹を五臓に分類すると、脾はお臍に該当します。
また、私たち鍼灸師の参考書にも以下のように記載しています。
なぜ臍の傍らなのでしょうか。臍は、五臓では脾に相当します。先述したように、脚は津液を司り、この津液は粘膜に及んでおり、粘膜下リンパ組織を活性化します。花粉症などのアレルギー反応は、鼻粘膜上で起こっているわけですから、これを抑える働きをすると考えることができるのです。
よくわかる長野式治療 日本鍼灸のスタンダードをめざして
どうすれば良いのか?ポイントは温熱刺激です。
市販の貼るタイプのカイロや、せんねん灸さんが出している「太陽」をお臍の上に貼って持続的に温めます。
(※この商品を紹介することで筆者への収益は発生していません。)
「お風呂でお腹温めるのではダメなの?」「湯たんぽで代用はできないの?」と言う疑問があるかもしれませんが、結論、お風呂や湯たんぽなどはあまりおすすめできません。理由は主に2つあります。
1つ目は刺激時間が短い点。
お風呂や湯たんぽは温めている時間は長くて30分程度です。その点カイロや「太陽」は数時間お臍を温められます。長く温めれば温める方が良いと言うわけではありませんが、一定の持続時間はあると良いです。
2つ目は刺激範囲が広すぎる点。
腹診の図でも示した通りポイントはお腹を温めるのではなく、お臍を温めることなのです。これは爪楊枝に例えるとわかりやすいですが指に爪楊枝を刺すとき、100本束になった爪楊枝と一本だけの爪楊枝だと、一本の方が痛みが感じやすいと思います。刺激される範囲が狭まるとツボとしての効果が出やすくなります。
カイロやお灸を毎日貼ってみて下さい。人によってはすぐ効果が出ることと思います!(ヤケドには注意!)
特にお臍周りを手で押し込んだとき、圧痛を感じる人は脾が弱っている可能性が高いので特におすすめです。
✅ 脾を補う食事
⭕️温かい食材を選ぶ: 脾は冷えに弱いため、冷たい食べ物や飲み物は避け、温かい食材を摂ることが推奨されます。
⭕️甘味の食材を取り入れる: 脾を補うためには、甘味のある食材が有効です。ただし、ここでいう甘味はお菓子やジュースなどのことではなく、食材自体の甘味のことです。具体的には、米、さつまいも、かぼちゃ、豆類などが挙げられます。これらは脾の機能を助け、消化を促進します。逆に脂っこい・味の濃い食事、お酒、お菓子に脾の働きを弱らせるため、控える方が良いです。
⭕️消化に良い食材を選ぶ: 脾の機能を高めるためには、消化が良い食材を選ぶことが重要です。以下におすすめの食材をまとめました。
〜おすすめ食材〜
穀物類: 米、麦、オートミールなど
豆類: 大豆、インゲン豆、黒豆、ひよこ豆など
イモ類: じゃがいも、さつまいも、山芋など
野菜: キャベツ、かぼちゃ、にんじん、オクラなど
果物: りんご、バナナ、柿など
肉類: 鶏肉、豚肉など
これらの食材は、脾の機能を高め、消化吸収を助ける役割があります。特に、甘味のある食材や消化に良い食材が脾を補うとされています。
✅おすすめの経穴(ツボ)4選
続いて、セルフケアで使える経穴(ツボ)についてご紹介します。
指の腹でじんわり押してみて下さい。
🔵 迎香(げいこう):鼻の通りをよくする
場所:鼻の横、小鼻のふくらみのすぐ外側

🔵 合谷(ごうこく):免疫調整・アレルギー緩和
場所:手の甲の親指と人差し指の間、骨が合流するくぼみ
🔵 足三里(あしさんり):脾を強くし、体力をつける
場所:膝の下、すねの外側
🔵 中渚(ちゅうしょ):体内の巡りをよくし、鼻詰まりを改善
場所:手の甲、小指と薬指の間のくぼみ

3. 注意点(個人差があることを理解する)
体質によって合うケアが異なるため、自分に合った方法を見つけることが大切です。かくいう私も花粉症の症状が全くないわけではありません。
食事やツボ押しは継続してこそ効果を実感しやすくなります。
体調に異変を感じた場合は無理をせず、必要に応じて専門家に相談しましょう。
まとめ
花粉症の対策として、東洋医学では 「脾(腸)を補うこと」 が重要視されます。日々の食事や生活習慣を見直し、体質改善を意識して取り組むことで、花粉症の症状を軽減できる可能性があります。また、ツボ押しを併用することで、さらに症状を和らげる助けとなると思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。文章が拙かったところもあったかもしれませんが、皆さんの健康増進に繋がれば幸いです。