• 投稿日:2025/03/27
  • 更新日:2025/10/26
鍼灸に行く前にまずは病院で検査を!またその理由

鍼灸に行く前にまずは病院で検査を!またその理由

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みつの@学び続ける鍼灸師/大学助手

みつの@学び続ける鍼灸師/大学助手

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1. はじめに(導入)

肩こりや腰痛など、身体に不調があった時の選択肢に鍼灸院、接骨院、整体院があるかと思います。しかし一鍼灸師としてお伝えしたいのが、鍼灸院らに行く前に是非1度、病院の検査を受けていただきたい。

2. 鍼灸院に来る前に検査をしてほしい理由

2-1. 命に関わる病気を見逃さないため

「ただの頭痛だろう」

「ただの腰痛だろう」

そう思われるかも知れませんが、実は「重大な疾患」が隠されているかも知れません。

例えば、頭痛であれば脳血管障害、脳腫瘍、癌、感染症などがありますし、

腰痛であれば脊椎炎、腰椎骨折、腎炎などがあります。

医療業界ではこのような重大な疾患の兆候を示す危険信号を「レッドフラグ」と言います。具体的には以下のような症状が該当します。

スクリーンショット 2025-03-26 15.55.40.pngこれらに該当する場合は、鍼灸の前に速やかに医療機関を受診することが推奨されます。

我々鍼灸師は問診を行う際にレッドフラグが無いかを必ず確認し、少しでも怪しいと感じたら医療機関の受診をお願いしています。

しかし、医療機関とは違い鍼灸院では正確な検査を行える設備(血液検査、画像検査装置)がありません。患者さんとの問診の話し合いからの推測からしか判断ができません。また、お医者さんレベルの病気の知識もないため、見逃してしまう可能性があります。

病院に行き、何もなければそれはそれで良いと思います。
「重大な疾患ではない」とわかった上で鍼灸を受ける安心感が得られます。

鍼灸は自然な方法で症状をやわらげる力がありますが、すべての症状に対応できるわけではありません。
まずは重大な病気が隠れていないか、医師の判断を受けることが何より大切です。

2-2. 鍼灸の治療方針が立てやすくなる

例えば、腰痛の原因として腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋筋膜性腰痛症、椎間関節性腰痛症など様々な種類があります。

病院でそれぞれ治療方針が違うように鍼灸でも治療方針が異なります。

さまざまな原因の可能性がありますがそれらを「診断」できるのは日本ではお医者さんのみです。

我々鍼灸師は徒手検査によってある程度の原因の絞り込みは行えますが、あくまで「疑い」止まりで、「診断」ではありません。

原因が明確な方が治療方針を立てやすく、より自信を持って施術出来るため、鍼灸院に行かれる前に一度病院を受診を検討してみて下さい。


ーーーーーーーーー(余談)ーーーーーーーーーーー

よく父に鍼灸をしているのですが、ある日、寝違えたのか首や肩甲骨周りが痛いと訴えるようになりました。何回か鍼灸をしたのですが改善が見られなかったため、一度整形外科の受診を勧めていたところ「胸郭出口症候群(斜角筋症候群)」と診断してもらい帰ってきました。診断してもらったことによって私の治療方針が明確に固められたのでその後の回復は早かったです。

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2-3. お薬のと相互作用によって治りやすくなる

病院に行くと、お医者さんが必要に応じて薬を処方してくれることが多いです。

鍼灸治療は体にやさしい方法で自然治癒力を高めることが期待されますが、病気の種類や症状によっては、薬と併用することでさらに効果を引き出せるケースがあります。

特に、慢性疾患や精神疾患など長期的なケアが必要な場合には、東洋医学と西洋医学の両方を活用することが非常に有効です。

例えば、うつ病の治療では、薬物療法が中心になりますが、そこに鍼灸を加えることで、より早い回復や症状の緩和が期待できるとされています。
2023年の系統的レビューでは、鍼灸と抗うつ薬を併用することで、単独の治療よりも効果的であることが示されました。この研究では、鍼灸が抗うつ薬の作用を補強し、改善のスピードを早める可能性があることが確認されています(参考文献)。

また、頭痛や睡眠障害、消化不良など、薬で症状の緩和を図りながら鍼灸で体質改善を目指すというアプローチも多くの現場で行われています。

私たち鍼灸師にとって最も大切なのは、目の前の患者さんの困っている症状を軽減し、生活の質(QOL)を向上させることです。そのためには、ときにお薬と鍼灸の併用が最も合理的で効果的な選択になる場合もあります。

「鍼灸だけに頼る」か「薬だけで治す」かではなく、両方の良さを取り入れることで、よりよい結果を導けることをぜひ知っていただきたいと思います。

3. 鍼灸師が大事にしている“安全第一”の姿勢

鍼灸は体に優しい自然療法のひとつで、副作用も少なく、体にやさしいアプローチとして注目されています。

しかし、だからといって何にでも効く万能薬というわけではありません。特に命に関わるような病気や、画像診断が必要な内臓疾患、感染症などについては、鍼灸で対応することはできません。

「まず病院で診てもらってください」と鍼灸師が丁寧に伝えるのは、決して責任逃れではなく、あなたの体と命を本気で守ろうとしているからです。

私たち鍼灸師は、目の前の患者さんの安全と健康を最優先に考え、必要があれば迷わず医療機関の受診を勧める責任があります。

西洋医学と東洋医学、それぞれに得意分野があり、互いに補い合うことで患者さんにとって最適なケアが可能になります。

「鍼灸でできること」「病院で対応すべきこと」をきちんと見極め、適切なタイミングで適切な医療を選択することが、最も安心で、効果的な健康管理の形だと私たちは考えています。

4. おわりに(まとめ)

不調を感じたとき、すぐに鍼灸を受けに来ていただけるのはとてもありがたいことです。

でも、その一歩手前で「念のため病院で検査をしておこう」という意識を持っていただけると、私たち鍼灸師としても、より安心して施術ができます。

体調が悪いとき、「どこに行けばいいのか迷う」という声もよく聞きます。
だからこそ、まずは検査で安心材料を増やして、鍼灸という選択肢をより安心して受け入れてほしいと思っています。

鍼灸と西洋医学をうまく組み合わせて、あなたの健康を守っていきましょう。不安なことやわからないことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談くださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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