- 投稿日:2025/05/19
- 更新日:2025/09/30

「もう○○分もかかってるよ!」
「いつまで食べてるの?」
子育てをしていると、食事のたびに“ダラダラ食べ”に悩まされることって、ありますよね。
我が家にもかつて、朝ごはんに40分、夜ごはんに1時間以上かかる時期がありました。
小学校教諭として16年間、数多くの子どもたちと関わってきた中でも、「食事が進まない」「時間がかかって困る」という声はよく耳にします。
ただ、食事は「しつけ」だけで解決できるものではありません。
実際には、子ども自身の発達の特性や、そのときの心理状態、そして環境づくりが深く関わってきます。
今回は、そんな悩みに対して、我が家や学校現場で効果のあった「5つの工夫」をご紹介します。
目次
1. テレビや動画を消す:「ながら食べ」を卒業する第一歩
「食べなさーい!」「もう30分たってるよ!」
そんな声を繰り返していた頃、我が家では朝のニュース番組がつけっぱなし、夕飯のときは録画したアニメが流れている…ということが当たり前になっていました。
でもふと、気づいたんです。子どもが“食事”よりも“画面”に集中していることに。
映像は子どもの注意を強く引きつけます。大人でも「ながら食べ」をすると味が分からなくなったり、満腹感を感じにくくなったりするように、子どもにとっても「画面と食事の両立」はとても難しいのです。
● 実際にやってみたこと
「ごはんのときはテレビを消す」ルールを明確にする
食卓に来る前にテレビの電源を切る
「今日はどんなことがあった?」など、会話のきっかけを用意する
BGMとしてお気に入りの音楽を流す
画面がないぶん、目の前の“食事”と“家族の会話”に集中できる環境ができてきました。
● ポイント
「ながら食べ」が減ると、“食べる行為”への意識が高まる
親子の会話が生まれ、食事時間が“楽しい時間”になる
動作が丁寧になり、食べ終わるまでの時間も短くなる
「テレビを消す=ごはんの合図」という流れができてから、食べ始めのテンポもよくなりました。
2.動物になりきる!遊び心でテンションアップ
次女(当時4歳)がごはんを全然食べない時期がありました。
様々なものに注意がいき、食べることへの集中がありませんでした。でもある日、ふと「おお!ジンベエザメみたいな大きな口!」と声をかけてみたんです。妻が沖縄ということもあり、美ら海水族館へ行った時、本物のジンベエザメを見て目をキラキラさせていたことを思い出しました。
すると急に、顔つきが変わり…大きく口を開けてパクっと食べたのです。そこからはずっとジンベエザメになりきり、パクパクとあっという間に食べ終わってしまいました。
そこからは、様々な動物へ変身して食べるように。
「カバ」「ワニ」「ライオン」は定番。
ときには「マンモス」や「ティラノサウルス」など昔の生き物に変えてみたり、兄弟で「お!こっちはライオン!あ!あっちにはゾウが!」とゲーム感覚にしたりすることもあります。
● ポイント
「食べさせられる」から「自分が楽しむ」へ気持ちが変わる
モチベーションが上がる
指示されている感覚がなくなり、スムーズに受け入れられる
年齢が上がると、「じゃあ今日は人間に戻ろうか〜」と笑いながら自然に切り替えていくことも可能です。
3.実況中継スタイルで“食べる時間”が楽しくなる
これは長女(年中)のときに一番効果を感じた方法です。
当時、長男が小1、次女が2歳と3人に手がかかり、ついつい強い口調になってしまうことが多かった時です。強く言うとよい方向にいかないのは分かっているのですが、気づけば怒ってしまう・・・。
そんなことが続いていた頃、「どうせなら、今の状況をそのまま言ってみよう」と、冗談まじりでスタート。
「さあ、長女がお茶碗を手に取りました。これはご飯を食べるのか。反対の手にはお箸を持った。そして、ご飯を持ち上げ、いったーーー。さらにもう一口いったー。」何とどんどんと食べ進めていくではありませんか。
これは、長男や次女も同じで「一方、お兄ちゃんのほうはどうだ。お兄ちゃんは味噌汁を持っている。そして・・・」と言うと、楽しそうに食べていきます。
ポイントは事実を言う事。小さな変化も見逃さないこと。それをSASUKEの実況風に言うとあら、不思議。あっという間に食べ終わってしまいますよ。
● ポイント
低学年〜年中・年長くらいの子
「注目されるのが好き」「盛り上がるのが好き」な子
食事が単調で飽きやすいタイプ
親が自分のために“実況してくれている”という感覚が、子どもにとって大きな安心や嬉しさになります。
もちろん、恥ずかしがり屋さんには無理強いせず、別の工夫と組み合わせるのが◎です。
4.一口サイズにカットして“食べやすさ”アップ
子どもの食べるスピードや量には、「意欲」と「物理的な食べにくさ」が影響しています。
たとえば、ハンバーグが大きいままだと、食べ始めるまでに構える気持ちが必要だったり、
レタスが長くてうまく噛みきれず、いつまでも口に残っていたり。
そんな時は「とにかく一口で食べられるサイズにしておく」のがカギです。
我が家で一番効果があったのは、焼きそばでした。作った焼きそばを一皿でドンと置くとその量に圧倒されてしまいますが、それをわんこそば風に小分けしました。一口で食べられるサイズだけ、皿に入れ、「はい、どんどん」「はい、じゃんじゃん」と言いながらちょっとずつ盛り付けるとテーブルが岩手に早変わりし、挑戦者の気分で食べていきました。
これをすると大盛りの料理もすぐにペロッと食べてしまいますよ。
● ポイント
最初からカットした状態で皿に盛る(本人が食べやすい)
食具に合ったサイズに調整する(小さなスプーンに合う大きさ)
手づかみでもOKなものはあえて「スナック風」に演出する
成功体験を積むことで、「食べきれた!」「自分でできた!」という自己肯定感も育ちます。
逆に、大きなものを出して「食べられない」と言われてしまうと、意欲も下がってしまいます。
5.共食で“食事のリズム”をつくる
最も効果的だったのは「一緒に食べる」ことかもしれません。
我が家でも以前、忙しい朝は「先に食べててね」と子どもに言っていたのですが、
気づくと遊び始めていたり、牛乳だけ飲んで終わっていたり…
一緒に座って「さぁ、いただきます」と声をかけるだけで、驚くほど集中力が変わりました。
● ポイント
「一緒にいただきます」を合図に始める
大人がスマホや新聞を見ず、食べる姿勢を見せる
1日1回だけでも「共に食卓を囲む時間」を大切にする
「食事は楽しい」「家族とつながれる時間」という経験が積み重なることで、自然と食事時間への集中力が育っていきます。
おわりに:怒るより、工夫で変わる!
子どもがごはんをダラダラと食べていると、
どうしても「早くして」「まだ終わらないの?」と焦ってしまいます。
でも、子どもは「食べない」のではなく、「食べられない」「気が乗らない」ことが多いのです。
そんなときに、ちょっとした工夫で“食べるスイッチ”を入れてあげるだけで、ガラッと変わることがあります。
今回紹介したのは、我が家や教員生活の中で効果を感じた5つの方法です。
☑ まとめ:5つの工夫
おやつや間食との調整:空腹のリズムを整える
テレビや動画を消す:ごっこ遊びで楽しさをプラス
実況中継スタイル:注目されることでモチベアップ
一口サイズにカット:達成感につながる食べやすさ
共食で一緒に楽しむ:家族でつくる「食べる習慣」
いきなり全部を取り入れる必要はありません。
まずは1つだけでも、できることから始めてみてください。
食事の時間が「怒る時間」から「笑える時間」に変わる。
そんなきっかけになれば、とても嬉しく思います。