• 投稿日:2025/05/27
  • 更新日:2025/12/13
【花粉症撃退】【がん・糖尿病予防】今注目されているビタミンDについて徹底解説

【花粉症撃退】【がん・糖尿病予防】今注目されているビタミンDについて徹底解説

オペカン

オペカン

この記事は約24分で読めます
要約
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の形成や維持に不可欠で、骨粗鬆症予防に役立つことは広く認められています。近年では免疫機能の強化やがん・自己免疫疾患・心血管疾患のリスク低減、認知症・うつ病への関与、腸内環境の改善やアレルギー対策など様々な効果がみとめられ注目されています。

ビタミンといえばビタミンCが一般的には有名ですね。ですが今回皆さんにはビタミンDの重要性について知って欲しいと思いこの記事を書きました。
この記事ではビタミンDについて徹底解説しますので、是非皆さんの健康資産を守るのに参考になれば嬉しいです。

ビタミンDとは

【ビタミンDの種類】

・ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)
主に植物や菌類(きのこ類)に含まれます。
紫外線を浴びた植物由来の食品やサプリメントで摂取できます。
・ビタミンD3(コレカルシフェロール)
主に動物性食品(魚、卵、乳製品など)や、皮膚が紫外線(UV-B)を受けることで体内合成されます。
D3の方が体内での吸収・利用効率が高いとされています。

※ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、D4~D7は食品にはほとんど含まれておらず、活性も低いため、一般的には高い生理活性を示すビタミンD2とビタミンD3の2つに大別されます。

【ビタミンDの吸収と代謝】

・皮膚での生成
皮膚にはプロビタミンD3が存在しています。
太陽光の紫外線B(UV-B)が皮膚に当たると、プロビタミンD3がプレビ
タミンD3に変化します。
プレビタミンD3は体温によってビタミンD3へと異性化されます。
生成されたビタミンD3は皮膚から血流に入り、肝臓で25-ヒドロキシビタ
ミンD(25(OH)D)に変換されます。

・消化管での吸収
食品やサプリメントから摂取したビタミンD(D2またはD3)は、脂溶性
ビタミンのため、食事中の脂肪とともに小腸で吸収されます。
小腸でミセルに取り込まれ、腸上皮細胞に吸収されます。
吸収されたビタミンDはカイロミクロン(脂質輸送粒子)に組み込まれ、
リンパ管を経由して血流に入ります。
その後、肝臓に運ばれて25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)に変換され
ます。

この25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)不活性型ビタミンDとされ血
液中を循環するビタミンDの主要な形態ですが、生理活性はほとんどあり
ません。採血でビタミンDの血中濃度を測定したときはこの不活性型ビタ
ミンDの量が測定されます。

25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)は腎臓で水酸化され、活性型ビタミ
ンD(1,25(OH)2D)になります。これは生理活性が非常に高く、VDR(ビ
タミンD受容体)を介して全身で生理作用を発揮します。

600×600.png【ビタミンDの排泄】

ビタミンDは主に脂肪組織に蓄えられますが、肝臓に貯蔵される量は少ないです。
活性型ビタミンDは、体内で使われた後、主に胆汁を介して糞便中に排泄されます。

ビタミンDの効果

【ビタミンDの骨に関する効果】

1. カルシウム・リンの吸収促進と骨形成
ビタミンD(特に活性型ビタミンD(1,25(OH)2D))は、小腸からのカル
シウムとリンの吸収を促進します。吸収されたカルシウムとリンは、骨の
主成分であるハイドロキシアパタイトの形成に不可欠で、骨の石灰化や骨
密度の維持に重要な役割を果たします。

2. 骨代謝の調整と骨密度の維持
活性型ビタミンDは骨代謝を調整し、骨吸収(骨の分解)と骨形成(骨の
新生)のバランスを保ちます。
骨吸収を抑制することで骨密度を改善し、骨粗鬆症の予防や治療に役立ち
ます。

3. 骨へのカルシウム沈着促進と骨折予防
ビタミンDは骨へのカルシウムの沈着を促進し、骨の強度を高めます。
これにより骨粗鬆症や骨折のリスクを低減します。

4. 欠乏時の影響
ビタミンDが不足すると、カルシウムとリンの吸収が低下し、骨の石灰化
障害が起こります。これにより、子どもでは「くる病」、大人では「骨軟
化症」や「骨粗鬆症」などの疾患が発生します。
余談ですがディズニーのノートルダムの鐘の主人公カジモドは背中が大き
く曲がっており、足の変形、歯並びの異常があります。これはノートルダ
ム大聖堂の鐘楼に閉じ込められて育ったため、日照不足によるくる病が発
症したと推測されています。600×600 (300 x 300 px).png

【ビタミンDの免疫機能への効果】

1. 免疫細胞の活性化と分化促進
ビタミンDは、マクロファージや樹状細胞などの自然免疫細胞に存在する
ビタミンD受容体(VDR)を介して作用し、これらの細胞の分化や活性化
を促進します。
マクロファージは体内に侵入した細菌やウイルスを捕食・分解する役割を
担い、ビタミンDによってその働きが強化されます。

(600 x 400 px).png2. 抗菌・抗ウイルスペプチドの産生誘導
ビタミンDは「カテリシジン」や「ディフェンシン」といった抗菌・抗ウ
イルス作用を持つペプチドの産生を誘導します。
これらのペプチドは細菌やウイルスの膜に穴を開けて死滅させるほか、ウイルスの複製速度や生存率を低下させることが期待されています。

3. 免疫応答の調節とサイトカインストーム抑制
ビタミンDは、必要な免疫応答を促進する一方で、過剰な免疫反応(サイ
トカインストーム)を抑制する働きがあります。
サイトカインストームとは、体内で炎症性サイトカインが過剰に産生さ
れることで起こる免疫の暴走状態で、重篤な肺炎や多臓器不全の原因と
なります。ビタミンDはこのリスクを軽減することが示唆されています。
(600 x 400 px) (1).png近年では新型コロナウイルス(COVID-19)の重症患者でも多く観察されました。実際、スペインの研究では重症COVID-19患者の82%がビタミンD欠乏状態であったという報告もあり、ビタミンDの十分な摂取が感染症の重症化予防に役立つ可能性が示唆されています。

4. 皮膚や腸管のバリア機能の強化
ビタミンDは、皮膚や腸の上皮細胞同士をつなぐ「タイトジャンクション」などのバリア機能を強化します。
タイトジャンクションは、皮膚では上皮細胞同士を密着させ、隙間から異
物が侵入しないようにするバリアです。
腸管では腸壁を強化し、これにより、有害物質や細菌が血流に侵入するの
を防ぎ腸漏れ(リーキーガット症候群)を防ぐ働きがあります。

リーキーガット症候群は、腸の上皮細胞同士をつなぐ「タイトジャンクシ
ョン」が緩み、未消化のタンパク質や毒素、アレルゲンなどが腸壁を通過
して体内に漏れ出すことで、アレルギーや自己免疫疾患、慢性炎症などの
リスクを高める状態です。
(600 x 400 px) (3).png5. 炎症の抑制と自己免疫疾患への影響
ビタミンDと抗炎症性サイトカインの関係
1. サイトカインとは?
サイトカインは、免疫細胞同士の情報伝達を担うタンパク質で、「炎
症を促進するもの(炎症性サイトカイン)」と「炎症を抑えるもの(抗炎症性サイトカイン)」があります。
炎症性サイトカイン:IL-6、TNF-α、IL-1βなど(炎症や免疫反応を活性)
抗炎症性サイトカイン:IL-10、TGF-βなど(炎症を鎮め、過剰な免疫反応を抑制)

2. ビタミンDの作用メカニズム
ビタミンDは、免疫細胞(T細胞、マクロファージ、樹状細胞など)に
存在する「ビタミンD受容体(VDR)」に結合して働きます。
炎症性サイトカインの産生を抑制
ビタミンDは、IL-6やTNF-αなど炎症性サイトカインの遺伝子発現を
抑えることで、過剰な炎症反応をブレーキします。
抗炎症性サイトカインの産生を促進
特にIL-10やTGF-βなど、炎症を抑えるサイトカインの産生を促進し
ます。これにより、自己免疫疾患や慢性炎症のリスクが低減されま
す。

3. 具体的な効果
炎症性疾患の予防・改善
ビタミンDが十分にあると、関節リウマチ、炎症性腸疾患、アレルギ
ー、花粉症などの発症や悪化を防ぐことが報告されています。
関節リウマチ(RA)へのエビデンス
複数の研究で、関節リウマチ患者の血中ビタミンD濃度は健常者より
有意に低いことが示されています。また、ビタミンD欠乏の有病率は
RA患者で55.2%、健常対照群で33.2%と、RA患者で有意に高いこと
がメタアナリシスで報告されています。
5年間のビタミンD補給により、関節リウマチを含む自己免疫疾患の新
規発症リスクが低減したという大規模研究も報告されています。

慢性炎症性腸疾患(IBD)へのエビデンス
バリア機能の強化と炎症抑制
ビタミンDは腸粘膜のバリア機能を強化し、腸上皮細胞のタイトジャ
ンクションを維持することで、腸管からの異物侵入や炎症を抑制しま
す。これにより、クローン病や潰瘍性大腸炎などのIBD患者でビタミ
ンD不足が疾患活動性や再燃リスクの増加と関連していることが報告
されています。
補給による症状改善
ビタミンD補給がIBD患者の炎症マーカー低下や症状改善に寄与する
可能性が示唆されています(臨床研究やレビューでの報告)。

花粉症予防効果のメカニズムとエビデンス
免疫バランスの調整
ビタミンDは免疫細胞の働きを調整し、過剰なアレルギー反応(IgE産
生や炎症性サイトカインの分泌)を抑制します。
免疫バランスが整うことで、花粉などのアレルゲンに対する過剰反応
が軽減され、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が和らぐと考え
られています。
粘膜・皮膚バリア機能の強化
ビタミンDは皮膚や粘膜のバリア機能を高め、アレルゲンの侵入を防
ぎます。粘膜の防御力が低下すると花粉などの異物が体内に入りやす
くなりますが、ビタミンDが十分だとこのバリアが強化され、症状の
発症や悪化を防ぐことができます。
腸内環境の改善
ビタミンDは腸内細菌叢の多様性をサポートし、腸内環境を良好に保
つことで免疫の過剰反応を抑制します。
腸内環境の乱れも花粉症の悪化要因とされており、ビタミンDは腸か
らもアレルギー体質の改善に寄与します。   

1型糖尿病との関連
膵島保護メカニズム
ビタミンDがβ細胞の生存を促進し、免疫細胞の攻撃から膵島を保護。
遺伝的リスクの高い小児で血中濃度25(OH)Dが30ng/mL以上の場
合、膵島自己免疫リスクが60%低下します。
臨床試験結果
ビタミンD補充群では抗GAD抗体陽性率が有意に低く、発症遅延効果
が観察されています。

多発性硬化症(MS)への影響
神経保護作用
ビタミンDがミエリン鞘の修復を促進し、炎症性サイトカイン(IL-
6)を抑制。フランスのD-Lay MS試験では高用量ビタミンD(10万
IU/2週)投与でMRI上の新規病変が34%減少しました。
血中濃度との相関
血中25(OH)D濃度が40ng/mL以上の患者では再発率が62%低いとの
報告があります。

その他の自己免疫疾患

甲状腺疾患
橋本病患者にビタミンD補充(4000IU/日)を行うと、抗TPO抗体が
42%減少しTSH値が改善。

全身性エリテマトーデス(SLE)
ビタミンD濃度が20ng/mL未満の患者では疾患活動性指数
(SLEDAI)が2倍以上高くなる。

アレルギー疾患へのエビデンス
免疫調整作用
ビタミンDは免疫バランスを調整し、Th2優位のアレルギー体質を抑
制する作用があるとされます。血中ビタミンD濃度が低い人はアレル
ギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎など)のリスクが高い傾向がある
ことが疫学研究で示されています。

ビタミンDと喘息の関係
世界中の無作為化比較試験をまとめたメタ分析では、ビタミンD補充
が全体として喘息増悪率(発作率)を有意に低下させることが確認さ
れています(調整後発生率比0.74, 95%CI 0.56~0.97, p=0.03)。
喘息患者においてビタミンDサプリメントの連日摂取により、風邪か
ら気管支肺炎までの急性気道感染症の発症が27%減少したという報告
もあります。

ビタミンDとアトピー性皮膚炎の関係
1. ビタミンD補給による症状改善効果
ポーランド・ワルシャワ医科大学の研究などで、ビタミンDの補
給がアトピー性皮膚炎の臨床症状を改善する可能性が示されてい
ます。安全性・忍容性も良好と報告されています。
重度のアトピー性皮膚炎を持つ小児86人を対象にした試験では、
標準治療に加えビタミンD3(1600IU/日)を12週間経口投与し
た結果、症状の緩和が確認されました。

2. ビタミンD不足が皮膚炎悪化のメカニズム
ビタミンDは皮膚の炎症を引き起こす「インフラマソーム」とい うタンパク質複合体の活性化を抑制し、炎症性因子IL-1βの産生 を減らすことで、皮膚の炎症を抑えることがわかっています。 これにより、皮膚のバリア機能が保たれ、アトピー性皮膚炎の 悪化を防ぐ新たなスキンケアアプローチの可能性が示唆されて います。
3. ビタミンD欠乏とアトピー性皮膚炎の関連
韓国の国民健康栄養調査(1万5,212人対象)では、アトピー性 皮膚炎患者は非患者に比べて血中ビタミンD濃度(25(OH)D 値)が有意に低く、ビタミンD不足者は約1.5倍アトピー性皮膚 炎の発症率が高いことが報告されています。

【ビタミンDのがん予防と腫瘍成長抑制効果】

1. がん予防効果のエビデンス
疫学研究の結果
日本人を対象とした国立がん研究センターの大規模調査では、血中ビタミ ンD濃度が高い人ほどがん全体の罹患リスクが低いことが示されました。 特に大腸がん乳がん前立腺がんなどでリスク低下が報告されていま す。

リスク低下の具体例
ビタミンD濃度が高い人は、低い人と比べてがんになりやすさが0.8倍(20%減)になるとされています。

抗腫瘍メカニズム
ビタミンDは細胞の増殖や分化を正常化し、異常な細胞増殖を抑制するこ とでがんの発生リスクを下げると考えられています。また、抗炎症作用も がん予防に寄与します。

2. 腫瘍の成長抑制と再発・死亡リスク低減
臨床試験の成果
東京慈恵会医科大学の「アマテラス試験」では、消化管がん患者にビタミ ンDサプリメントを投与したグループで、再発や死亡リスクが8%減少し ましたが、統計的有意差は得られませんでした。ただし、がん抑制遺伝子 「p53」に異常がある患者では、ビタミンDサプリが特に有効な可能性が示 されました。

高リスクがんへの有効性
さらに詳細な分析や追加試験(アマテラス2試験)では、p53変異陽性のがん患者に対し、ビタミンDサプリが再発や死亡を抑制するかどうかを検証中です。

海外の研究
ハーバード大学の研究では、ビタミンDサプリメントががん死亡を25%減少させる可能性が示唆されています。

悪性度の高いがんでの効果例
一部の研究では、ビタミンDが悪性度の高いがんの再発・死亡を最大73% 抑制したとする報告もあります。

3. 作用メカニズム

細胞増殖・分化の制御
ビタミンDは細胞周期を調整し、がん細胞の異常増殖を抑制します。

アポトーシス(細胞死)の誘導
がん細胞の自然死(アポトーシス)を促進し、腫瘍の増殖を抑えます。

血管新生の抑制
腫瘍が新たな血管を作るのを防ぎ、成長を妨げます。

抗炎症作用
慢性炎症を抑えることで、がんの発生や進行を防ぎます。

免疫調整作用
免疫細胞の活性化を通じて、がん細胞の排除をサポートします。

【ビタミンDの糖尿病予防効果】

1. 1型糖尿病の予防効果

ビタミンD濃度が高いほどリスク低下
血中ビタミンD値が45ng/mL付近で1型糖尿病のリスク低下率が最大 (72%減少)となることが報告されています。40ng/mLを超えると自己免疫疾患全般に対する最適な予防効果が得られるとするデータもあります。

小児期の摂取が重要
小児期にビタミンD摂取量を増やすことで、1型糖尿病の発症リスクが大幅に低下する可能性が示唆されています。

2. 2型糖尿病の予防効果

発症リスクの低減
血中ビタミンD濃度が高い人は、2型糖尿病の発症リスクが低いことが複数の疫学研究で示されています。米国内科学会の発表によると、ビタミンDの摂取により糖尿病リスクは15%減少し、十分な摂取を続けていた成人では3年間での発症率が22.7%、不足していた成人では25%でした。

血中濃度が低いとリスク増大
ノルウェーの研究では、血中ビタミンDが低い人は高い人に比べて2型糖尿病の発症リスクが1.72倍に上昇することが示されています。

3. カルシウムとの相乗効果

ビタミンD+カルシウムで効果増大
ビタミンDはカルシウムの吸収を高め、両者を合わせて多く摂取することで糖尿病発症リスクが男女ともに有意に低下することが日本の大規模コホート研究で示されています(男性で約38%、女性で約41%リスク低下)。

4. 作用メカニズム

インスリン分泌促進・感受性向上
ビタミンDは膵臓β細胞に働きかけてインスリン分泌を促進し、全身のインスリン感受性も高めます。

抗炎症作用
ビタミンDは炎症を抑制し、糖尿病の発症や進行に関与する慢性炎症を軽減します。

5. 妊娠糖尿病や高リスク群での補給

妊娠糖尿病予防にもビタミンD補充(例:1,600IU/日)が有効であるという臨床研究があります。

【ビタミンDの心血管疾患予防・血圧調整効果】

1. ビタミンDの心血管系への作用メカニズム
血管内皮機能の改善
ビタミンDは血管内皮細胞の健康を保ち、血管の柔軟性を維持します。これにより動脈硬化や高血圧のリスクを下げます。

炎症抑制と酸化ストレス軽減
血管内の炎症や酸化ストレスを抑えることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクを低減します。

レニン-アンジオテンシン系の調節
ビタミンDは腎臓でレニンの産生を抑制し、血圧上昇の主因となるレニン-アンジオテンシン系の過剰な活性化を防ぎます。

カルシウム・リン代謝の調整
ビタミンDはカルシウムやリンの代謝を調整し、血管の石灰化(動脈硬化)を防ぎます。

心筋機能の維持
心筋収縮に必須なカルシウム代謝を通じて、心臓の収縮力を保ちます。

2. 臨床・疫学的エビデンス

ビタミンD不足と心血管疾患リスク
血清25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)が低い人ほど、心血管疾患による死亡率や全死亡率が高いことが大規模コホート研究で示されています。

ビタミンD補給の効果
慢性腎疾患や透析患者でビタミンD製剤を使用すると、心血管死や全死亡率が20~26%低下したという報告があります。

高血圧との関連
血中ビタミンD濃度が高い人ほど高血圧の発症リスクが低いという逆相関が報告されています。

【ビタミンDの筋肉量・筋力維持効果】

1. 基礎的メカニズム

筋萎縮遺伝子の抑制
ビタミンDは、筋肉の萎縮に関わるユビキチンリガーゼやリソソームタンパク質分解酵素などの発現を抑制し、筋萎縮を防ぎます。

筋タンパク質合成の促進
活性型ビタミンDは筋肉細胞のビタミンD受容体(VDR)を介して、筋タンパク質の合成を刺激します。特に速筋線維(タイプⅡ筋線維)の維持・増加に寄与し、筋力や瞬発力の維持に重要です。

分岐鎖アミノ酸(BCAA)の分解抑制
筋肉の主成分であるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)の分解を抑制し、筋量維持に作用します。

2. 疫学・臨床研究のエビデンス

高齢者での有用性
日本の高齢者を対象とした大規模調査(SONIC研究)では、血中ビタミンD濃度が高いほど筋肉量や握力が良好であることが確認されています。

サルコペニア予防ビタミンDの栄養状態が良好な高齢者は、筋肉量・筋力低下(サルコペニア)の発症リスクが低いことが複数の研究で示されています。

筋力への直接作用
筋肉線維の収縮・弛緩に関わる遺伝子(Serca1, Serca2a)の発現をビタミンDが調整し、筋力発揮に直接寄与することが動物・ヒト実験で証明されています。

ビタミンD補給の効果
ビタミンDサプリメント投与で骨格筋量・筋力の維持・増加が報告されており、特に血中ビタミンDが低い高齢者や疾患患者で効果が大きいとされています。

3. アスリート・若年者での知見

健康な若年成人やアスリートでは、ビタミンDと筋肉量・筋力の関連は一部で報告されていますが、プロアスリートなど身体活動レベルが非常に高い集団では明確な効果が見られない場合もあります。ただし、ビタミンDが不足している集団や高齢者では、補給による筋力低下の改善や転倒リスクの減少が期待できます。

【ビタミンDの精神・神経系への効果】

1. セロトニン分泌促進と精神安定、頭痛への関連
ビタミンDは、脳内でセロトニンの分泌を促進し、精神のバランスを整える役割を果たします。セロトニンは感情や気分の安定、睡眠リズムの調整に関わる神経伝達物質で、ビタミンDはセロトニン合成酵素の発現を直接促進します。セロトニンが不足すると、うつ状態や不安、攻撃性の増加など多様な精神症状のリスクが高まります。ビタミンDの補給は、うつ病や不安障害、双極性障害、統合失調症などの精神疾患の症状改善にも効果が報告されています。

脳内セロトニンの調整は、片頭痛の発症メカニズムに影響を与える可能性も示唆されています。
ノルウェーの健康調査のデータから、約1万2千人を対象に頭痛と血中ビタミンD濃度の関連を検討した。頭痛のある人はない人に比べ血中ビタミンD濃度は低かった。片頭痛の人は血中ビタミンD濃度の高低と相関はなかったが、片頭痛以外の頭痛の人は血中ビタミンD濃度が低いと頭痛になるリスクは20%増加することが明らかになった。以上、頭痛など痛みがある人はビタミンD不足であり、ビタミンD補給は有益と考えられています。

2. 脳の炎症抑制と神経保護作用
ビタミンDは脳内の炎症を抑制し、神経細胞の機能を保護する作用があります。これにより片頭痛に関与する脳内や末梢の炎症反応を抑制します。
脳の炎症はうつ病や認知症など多くの精神・神経疾患のリスク因子とされており、ビタミンDの抗炎症作用はこれらの疾患予防・進行抑制に寄与します。

3. 認知機能・集中力・記憶力の向上
ビタミンDは記憶力や集中力、情報処理能力の向上にも関連しています。特に高齢者で、ビタミンD濃度が高いほど認知機能が良好であることが報告されています。

4. 睡眠リズムの調整
ビタミンDは睡眠ホルモン「メラトニン」のリズムにも影響し、睡眠障害の予防にも役立ちます。ビタミンD不足は夜型生活や睡眠障害のリスクを高めることが示唆されています。

5. 発達障害・神経発達への影響
ビタミンDの不足はADHDや自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害とも関連が指摘されています。ビタミンD補給により、これらの症状改善がみられるケースも報告されています。

【ビタミンDの認知症予防効果】

1. ビタミンDと認知症発症リスク低減のエビデンス

大規模コホート研究の結果
2023年に発表された米国の前向き研究では、認知症を発症していない70歳以上の12,388人を10年間追跡したところ、ビタミンDサプリメントを摂取していた群は、摂取していなかった群に比べて認知症発症率が40%低下していました。

アルツハイマー型・血管性認知症の両方に有効
2024年の英国バイオバンクを用いた研究でも、血中ビタミンD濃度が30nmol/L(12ng/mL)未満の人は、アルツハイマー型認知症・血管性認知症のいずれもリスクが高いことが示されました。

効果が大きい集団
ビタミンDの予防効果は、女性やAPOE ε4遺伝子を持たない人、認知機能が正常な人で特に顕著でした。

2. 作用メカニズム

アミロイドβの除去と蓄積抑制
ビタミンDは脳内のビタミンD受容体(VDR)を介し、認知症の原因物質とされるアミロイドβの除去を促進し、蓄積から脳を保護する働きがあります。

神経細胞の保護と抗炎症作用
ビタミンDは神経細胞の生存を助け、脳内の炎症を抑制することで認知機能低下を防ぎます。

タウタンパク質の蓄積抑制
アルツハイマー病のもう一つの特徴であるタウタンパク質の異常蓄積も、ビタミンDによって抑制される可能性が指摘されています。

3. 補給方法と注意点

サプリメントや日光浴での補給が推奨
特に冬季や高齢者では、日照不足によるビタミンD欠乏が起こりやすいため、サプリメントでの補給が効果的とされています。

必要な血中濃度
血中ビタミンD濃度が50nmol/L(20ng/mL)未満の場合、認知症リスクが増加するため、十分な濃度の維持が重要です。

ビタミンDの摂取量と血中濃度

【日本人の食事摂取基準(2025年版)】

18歳以上の男女の目安量
9.0μg/日(=360IU/日)

耐容上限量
100μg/日(=4000IU/日)

※1μg=40IUで換算されます。

推奨摂取量に関しては複数の見解がありますが、免疫強化や花粉症予防には100μg/日(=4000IU/日)が推奨されています。この量は「健康障害が起こらない最大量」です。
参考になるかはわかりませんが私は100μg/日(=4000IU/日)摂取しています。

【血中ビタミンD濃度の基準】

骨や健康維持のために推奨される血中濃度(25(OH)D)
30ng/mL以上が望ましいとされています(骨粗鬆症予防やフレイル予防の観点)。
50ng/mLは十分に充足した状態とされることが多いです。
逆に20ng/mL未満は欠乏、30ng/mL未満は不足とされることが多いです。

血中濃度に関してもいろいろな見解がありますが50ng/mLを目標に摂取量を調整することが推奨されています。

ビタミンD(25(OH)D)の血中濃度が安定する(落ち着く)までの期間は、約3週間(21日)から30日程度とされています。
これは、血中25(OH)Dの半減期が約3週間(15~30日)と比較的長いためです。
したがって、ビタミンDのサプリメントや食事での補給を開始した場合、3週間ほどで血中濃度の変化が明確に現れ始め、1か月程度で新たな摂取量に見合った濃度に近づくと考えられます。

日本人の98%がビタミンD不足
東京慈恵会医科大学などの研究グループが2019年4月~2020年3月に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に行った大規模調査によるものです。この調査では、日本代謝内分泌学会・日本整形外科学会が提唱するビタミンD基準濃度(30ng/mL)に達していない人が全体の98%にのぼることが判明しました。具体的には、男性で7~30ng/mL、女性で5~27ng/mL、全体で6~29ng/mLという分布でした。

血中濃度と体型

肥満者はビタミンD不足が多い
肥満者では、血中25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)濃度が低い傾向があり、BMI(体格指数)が高いほどビタミンD濃度が低くなる「負の相関」が認められています。

脂肪組織への蓄積
ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、体脂肪が多いと脂肪組織に取り込まれやすく、血中に出回るビタミンDが減少します。

肥満者はビタミンDの補給効果が出にくい
同じ量のビタミンDを摂取しても、肥満者では血中濃度の上昇が鈍い傾向があります。

体重が減ると血中ビタミンD濃度は上昇
肥満者が減量すると、血中ビタミンD濃度が上がることが報告されています。これは脂肪組織に蓄積していたビタミンDが血中に戻るためと考えられています。

妊娠中の母親のビタミンD濃度が子供の体型に影響
妊娠中にビタミンDが不足していると、特に男児で出生後の過体重や体脂肪率増加リスクが高まることが示されています。

【ビタミンDの血中濃度は加齢により減少】

一般的に30代と比べると60代のビタミンDの生成能は1/3まで落ちます。

日光によるビタミンD生成

日光浴でどのくらいビタミンDがつくられるのか

ある実験結果で具体例をあげて説明します。条件は帽子は被らず両手の甲と顔を露出した場合です。
400IU(10μg)を作るのに必要な日照時間

夏季(7月)昼12時
那覇5分 つくば6分 札幌8分

冬季(12月)昼12時
那覇14分 つくば41分 札幌139分

以上が実験結果です。
ビタミンDの生成量は変動が大きいためあくまで参考値となります。
日焼けすると皮膚が黒くなりUVBが吸収され生成量は落ちてしまいます。

ビタミンD含有量が多い食品

魚類(ビタミンD3が豊富)

しらす干し(半乾燥品):61μg/100g

まいわし(丸干し):50μg/100g

すじこ:47μg/100g

カワハギ(生):43μg/100g

鮭(焼き):39μg/100g

サンマ(生):16μg/100g

うなぎ(養殖・生):18μg/100g

サバ(塩サバ):11μg/100g

イクラ:44μg/100g

きのこ類(ビタミンD2が豊富)

きくらげ(乾):85μg/100g

乾しいたけ:17μg/100g

まいたけ(生):4.9μg/100g

エリンギ(生):1.2μg/100g

えのきたけ(生):0.9μg/100g

その他

卵(全卵):1個あたり約2.2μg

牛乳:100mlあたり0.3μg

まとめ

以上のようにビタミンDには様々な効果があり私たちの健康には欠かせないビタミンです。しかしビタミンDの効果についての一般的な認知は低いためこの記事を読んでもらい少しでも皆さんがビタミンDを積極的に摂取し、健康維持に役立てて頂けると嬉しいです。
専門的な用語が多く読みにくい記事になってしまい申し訳ありません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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オペカン

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オペカン

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この記事のレビュー(1
  • 会員ID:aJKKPxsP
    会員ID:aJKKPxsP
    2025/12/06

    難しくてあまり理解はできていませんが…😅免疫疾患や様々なアレルギーを抱えています。ビタミンDを多く含む食品は全く摂取していませんでした…サプリで摂取して体質改善に努めたいと思います。有益な情報をありがとうございました。

    オペカン

    投稿者