• 投稿日:2025/06/21
  • 更新日:2025/10/01
村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』:《サバンナ思考》のその先へ

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』:《サバンナ思考》のその先へ

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
リベシティで紹介されたサバンナ思考。 ミシュラン一つ星シェフ・村山太一氏が、サイゼリヤでアルバイトをするという異例の選択から得た経営の知恵を紹介。 外からは成功に見えた高級レストランが抱える本質的な問題に対し、謙虚に学び直す姿勢がもたらした“経営の再構築”のリアルを語る一冊。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回は村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』2020年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

著者:村山太一

8416861.jpg出典:L’asse公式サイト

「レストラン ラッセ」(2022年8月31日に閉店)オーナーシェフ。

1975年、新潟県十日町市生まれ。北陸学園調理科卒業後、料理の道に進む。イタリア滞在8年。三ツ星レストランの「ダル・ペスカトーレ」で副料理長としてキッチンを采配する。無印良品有楽町店にあるCafe&Meal MUJI(カフェ&ミールムジ)勤務を経て、2011年5月、東京都目黒区に「レストラン ラッセ」をオープン、9年連続で一ツ星を獲得。しかしレストラン経営に限界を感じ、2017年よりサイゼリヤ五反田西口店にてアルバイトを開始。日本海最大レストランHIGH AMBITION総合プロデューサー、津南醸造取締役、食品企業コンサルタントとしても活動している。


原理原則とは、「より良い方向に変化し続ける」ということ。
当たり前のことではありますが、これ、できてない人が多いんです。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』


00000.png✅ 成功の陰にある「気づき」を得よ

✅ 経営とは、合理性と幸福の追求である

✅ 学ぶ姿勢が変革を起こす


サイゼリヤ創業者:正垣泰彦は座談会時に村山氏をこう評価している。

正垣 ものすごい素直になれて観察できるので、それが最大の武器なんだよね。だからサイゼリヤを見ていても人とは違うものが見える。それをすぐ試す行動力がある。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

000.png大前提として…。

多くの要約でどうしても省略されてしまうのだが…。

❶村山氏はとてつもない下積みを8年経験。
(イタリアでの理不尽ともいえる弟子入りまでの苦難と修行の日々)

職人世界特有の「見て覚える、盗む文化」である以上、「気づかなければ」次に進めない体質だった。

❷いろんな分野(芸術、宇宙、投資、歴史、ビジネスなど)と、
その業界のトップ(孫正義、バフェット、本田宗一郎など)の本や資料を調べ上げてから行動している。

特にサイゼリヤ創業者:正垣泰彦の書籍やネット記事、影響を受けた渥美俊一(ビジネスコンサルタント)の書籍はすべて見てからアルバイトに応募していたから理解と吸収が早かった。


また、村山氏は著書で自身のことを「バカ」だったと謙遜しているが…。

「バカ」は「頭が悪い」を意味しない。


つまり、「頭のよさ」には3種類ある。

❶ストックされた知識が多い人
❷頭の回転が早い
❸問題解決力がある

全部あるのが望ましいが、
起業家や経営者にとっては3つ目の「頭のよさ」が必要である。

人生は日々問題解決の連続である以上、解くべき問いと正しい仮説を立てて、上手に問題を解決していかなければならない。

村山氏は「❶ストックされた知識が多い人」を評価する学校のテストの評価に対して「バカ」だったと評価しているにすぎない。

算数として間違えたとしても、人として間違えていない「答え」もあるはずだ。


そして、「即行動」というのは考えなしではなく、情報を集め、人に会い、自分が納得できているからこそ、完コピで行動するという点だ。

この点をおろそかにしてしまえば、猪突猛進でしかない。

inosuke-6.png出典:漫画『鬼滅の刃』

教養や一般常識がなければ、正体不明なものにいきなり突っ込む危険人物と認識されてしまう。


人にはそれぞれの歴史と差がある。

歴史とは「好きなこと」や「できること」である。

そしてとは、「運」と「儲かる場所」である。

これを比較するのは実にナンセンス(意味のないこと)だ。


念のため伝えておくが、「運」とは諦めや言い訳のためではなく「試行回数」が必要な理由である。


ちなみに「サバンナ思考」自体はリベ大動画でも紹介されている。

危機感×気づき×即行動

話のオチは大半の人は、行動力が0だから、0で出力されて上手くいってないよ。

つまり、「すぐやれ」である。

リベ大Youtubeショートが一番簡潔なので下に貼る。

https://www.youtube.com/shorts/06rshcHHc1w


では、サバンナ思考のその先は何だろう?

より深く…つまみ食いしていく。


星付きシェフ、経営に挫折

Image_fx (1).jpg

その必勝法とは「落とし穴に落ちない」で「最短で成長する」というものです。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

0.png⇒ 著者は成功の裏にある「満身創痍」に気づく。

⇒ シェフの肩書だけではビジネスは成り立たないことに直面した。


村山氏が経営する「レストラン・ラッセ」は、外から見ればミシュランの星を9年間維持し続ける成功した高級レストラン。

しかし、「長時間労働の常態化」「最悪の人間関係」「低い生産性」「ギリギリの経営」に苦しんでいた。

強い危機感を持ち、サイゼリヤのバイトで気づき、レストランに導入できるものをマネして丸パクリの即行動した結果。


・スタッフ1人当たりの年間売上 850万円→1850万円(約2.2倍)

・経常利益率 8%アップ

・労働時間 16時間→9時間半(約4割減)

・従業員数 9人→4人(効率化により少人数で店を回せるようになったため)

人時生産性(従業員1人の時間当たり生産性)は約3.7倍。

スタッフのストレスが減ったことで、人間関係もよくなった。

2020年のコロナ危機では、最も厳しい3〜5月も黒字を達成し、「飲食店の奇跡」といわれたほど。


個人事業主やフリーランス、ビジネスパーソン全般に対して言える。

「固定観念を疑い、良さそうなことは徹底的に真似し、誰よりも早く実行すること」はシンプルながら王道の戦略であり、「安定」とは社会制度や法律ではなく、「自らの力」で作りだすものである。


0000000.pngスクリーンショット_2024-11-20_095243.pngチェット・リチャーズ著「OODA(ウーダ)ループ」

画像元:https://data.wingarc.com/what-is-ooda-11126(外部サイト)

ベストの戦略とは戦闘に参加することなく勝利することである。 優れた戦略は、実際に衝突が始まる前に、戦闘の枠組みを望ましい状態に形成する。

チェット・リチャーズ著「OODA(ウーダ)ループ」

⇒ 迅速な判断が組織の勝利を生む。

OODAループの真価は O → O → A で動くこと。

意思決定を極限まで減らした状態。

対戦相手が1手指すたびに、こちらは2手指す状態が最高だ。

「即行動」は王道戦略の積み重ねと訓練から生まれる。


■ サバンナ思考「人間の脳は経営に向いていない」

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現代社会はいつライオンに食われるかわからないサバンナだ。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

危機的な状況にある時こそ、一瞬の判断で勝負は決まってしまう。

▼ それは、あなたのミスではない。

人間の脳は10万年以上もの間、サバンナ(自然界)での生存に最適化されてきた。

「見えるものに反応する」「即断する」「空気を読む」

それはサバイバルの現場では有効だった。

0.png⇒ 人間は短期的な報酬に弱い。

⇒ しかし、経営は違う。


目先の忙しさ、感情での判断、属人的な指示出し。

どれも短期的には“動いたように見える”が、長期的には組織の首を締めるだけ。

悪い習慣も何かを解決・解消するための手段である。


村山氏は、ミシュランを取るレベルの職人であったがゆえに、ある意味…。

サバンナ的な直感と経験に依存したマネジメントに陥っていた。

この構造を見抜かない限り、現場のカリスマは「疲弊するリーダー」で終わってしまう。


村山氏はこれを打破するために、自身を弱者と認識した。

自分の価値観を消して、固定観念に左右されない「気づき」を得た。

そして、別世界と思われていたチェーン店のサイゼリヤに向かっていった。


▼ サバンナ思考の経営的弊害

サバンナで下っ端はリーダーに従うのは当たり前。
僕は自分の店ではリーダーであっても、サイゼリヤでは群れに入れてもらっている立場だから当然です。
ここで社会人がMBA代わりにバイトするときの鉄則をお教えします。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

❶自分を消して歯車になり、仕組みやルールに完全に組み込まれる。

❷完全にマニュアルに従い、没入する。
(仕組みを作成した人物になり切り、至った経緯を理解する)

❸たくさん失敗する。
バカになるには、これまでの経験や実績を脇に置いておくこと。

つまり、群れに入るならば、「敬意を払え」だ。

0.png外から見ているだけではわからない部分が必ずある。

強い組織や良い組織には必ず理由がある。


感覚に頼るため、人に仕事がひもづく(属人化)

環境(店舗、作業エリア)が変わっても判断軸が変わらない(非適応)

「目の前の仕事を回す」ことが目的化する(近視眼)

村山氏はサイゼリヤで、“短期的な修正”にはまっていた意識の差に「気づき」を得た。


■ マヨネーズ理論「一流に学べば、一流になれる」

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完コピするときは、「要領よくやろう」とか、「もっと効率的なやり方があるんじゃないか?」なんて考えてはいけません。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

▼ マヨネーズ理論とは?

マヨネーズは卵黄、油、酢、塩を混ぜる材料の少ない食品である。

しかし、マヨネーズの発明にはかなりの時間を要した。

これを一生かけて発明する人生も素晴らしいが、もっと良い方法がある。

それは、マヨネーズのつくり方を知っている人に教わることだ。

_00.png⇒ 他者の成功例を徹底的に模倣すること。

⇒ ゼロから開発するより、知っている人に教わる方が効率的。

既存の成功モデルを迅速に学び、適用し、改善していくアプローチが、生存と成長に不可欠である。

ノウハウ図書館にも多くの”マヨネーズ”が並べられている。

大いに参考にしよう。そして、実行しよう。ただし、断片ではいけない。


▼ 「誰でもつくれる仕組み」を作れる人は少ない。

3年独学で学ぶより、3年かけてでもベストな師匠を探して教わった方がいい

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

サイゼリヤは「“再現性”と“安定性”を最上位に置く”=当たり前品質」という設計思想だ。

・誰でも
・いつでも
・どこでも
・ミスなく

回るものをつくるための文化と仕組みと仕入れ先。

メンバーたちが「働き続けられるだけの給料を払えるモデルをつくる」

それは「効率化」ではなく、「経営の土台」を整えるという根源的なアプローチである。

多店舗展開しているチェーン店では、「当たり前のことを当たり前にできる」ように、ベースラインをそろえることのほうが、はるかに重要です。

堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」


ミシュランの星付きレストランもサイゼリヤも、「食で人を幸せにする」という飲食業の「本質はまったく変わらない」”共通点”に気づき、村山氏は「高級レストラン特有の慣習」を徹底的に見直していく。


村山氏が辿り着いたのは、次のような経営観だ。

❶現場で「頑張る」より、頑張らなくて済む構造をつくる

❷一人のスーパープレイヤーより、十人の凡人が同じ成果を出せる仕組み

❸「やったほうがいい」ではなく「やらなくて済む」が正義

0000.pngトップダウンの体制から「真逆でフラットな組織体制」へと変更。

経営改善が従業員の待遇改善に直結し、彼らの幸福度を高めるルール。

皿洗い作業の導線変更と設備の効率化。

金属製の重いお盆から軽い木のお盆にに変更。

短縮して生まれた時間で他のサービスをする。

⇒ 多くのマヨネーズを使いこなし、改善の積み重ねで生産性を高めていく。

人的生産性=お店が1日で生みだす粗利益÷その日に働いた従業員の総労働時間

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

「サバンナ思考」と「マヨネーズ理論」は、単なるアイデアではなく、具体的な行動戦略である。


0000000.png190.png堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」

「どの店でも同じ味を提供できる」という再現性や安定性は、「当たり前品質」そのものです。チェーン店が目指すべきなのは、やはり「当たり前品質」なのだということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」

参考

リベシティ用サムネ__5_.pngアマゾン創業者のジェフ・ベゾスが飲食店の紙ナプキンに描いたとされる伝説のループ図を見ると、内側のループを回すことで得られた「成長」を原資として絶えずインフラ整備に投資し、外側のループを回すことが描かれている。

このループ図はITだけのものじゃない。


348.png岩尾俊兵 著『世界は経営でできている』

「本来の経営」の欠如はすべての人の人生に不幸をもたらす。

岩尾俊兵 著『世界は経営でできている』

本来の経営は『価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること』である。


経験主義は特に「守り」に弱い。

良品計画前会長:松井忠三

「企業人が目指すべきは、あらゆる製品を水のように無尽蔵に安く生産することだ。これが実現されれば、地上から貧困は撲滅される。」

パナソニックホールディングス創業者:松下幸之助

「商いの基本は身体と心の全体でつかむものだと思うからです。 それでも敢えてこのことに触れたのは、結局、人間は弱いものですから、常にこうありたい、こうあらねばならないという理想や理念を持ち、それを意識して日々の実践を行わなければ流されてしまうからです。」

セブン&アイの創設者:伊藤雅俊

「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」

京セラ創業者:稲盛和夫

「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」

サントリー創業者:鳥井信治郎

人生は「見たり」「聞いたり」「試したり」の三つの知恵でまとまっているが、一番大切なのは「試したり」だ。

ホンダ創業者:本田宗一郎

夢を批判された時、一理有れば即改善。
それは既に夢実現への一歩前進。
単なる難癖なら更に決意を固く。

ソフトバンクグループ創業者:孫正義

よく成功体験から学ぼうとする人がいるが、成功とはほとんどの場合”まぐれ”みたいなもので、そこから何かを学ぶのは不可能に近い。失敗を繰り返し、その経験から学んでこそ、成功に近づける。

サイゼリヤ創業者:正垣泰彦


多くの創業者や社長、書籍から学べる「共通点=原理原則」は参考になる。

決して壮大なものである必要はない。

ただ、ビジョンがあり、行動があり、改善がある。

自分が納得できる”動機”で”行動”せよ。


まとめ

都合の良い情報に注意…。.png✅ 成功の陰にある「気づき」を得よ

✅ 経営とは、合理性と幸福の追求である

✅ 学ぶ姿勢が変革を起こす

僕はバカだけど、世の中を変えられると思っているんです。自分は世の中を良くする人間だと本気で思っています。

村山太一 著『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?』

ありのままに物事を見るには、それ以外のことは一切考えないというくらいの「集中力」が必要だ。一度に2つ以上のことを考えると、安易なモノマネや小手先で儲けるテクニックのようなものしか見えてこない。

正垣泰彦 著『おいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ』


⇒ プライドを脱ぎ捨てた先に、本当の成長がある。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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