• 投稿日:2025/10/11
ウォール街のランダム・ウォーカー:プロが勝てないこの世界の片隅で。

ウォール街のランダム・ウォーカー:プロが勝てないこの世界の片隅で。

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シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

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要約
金融のプロでさえ市場平均に勝てない時代、個人投資家はどう資産を守るべきか? 『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、投資の常識を覆し、シンプルかつ堅実な方法で長期的リターンを得る戦略を提示する。 迷ったら市場全体を買え。それが結論である。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はバートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』1973年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

著者:バートン・マルキール

41JUw5fqF8L.jpg出典:Amazonのプロフィールより

1932年生まれ。1964年プリンストン大学経済学博士。同大学経済学部長(74‐75、77‐81)、大統領経済諮問委員会委員(75‐77)、エール大学ビジネス・スクール学部長(81‐88)、アメリカン証券取引所理事等を歴任。世界的な投信会社バンガード・グループなどの社外重役としても活躍。現在、プリンストン大学名誉教授、ウェルスフロント・インクチーフ・インベストメント・オフィサー、リバランス社投資アドバイザー

『ウォール街のランダム·ウォーカー』の初版を世に出してから、五〇年の年月が流れた。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、その時代ごとの市場環境や新たな投資対象に対応するため、定期的に改訂版が発行されてきた。

最新版は原著第13版であり、2023年5月29日に日経BP日本経済新聞出版から発売されている。

00000.png✅ 株式市場は予測不能である。

✅ プロも市場平均に勝てない。

✅ 長期・分散・低コストが正解。


「プロに任せれば安心」

「テクニカル分析が最強」

そんな投資神話に、あなたは騙されていないだろうか?

本書では、株式市場の動きは予測不能であり、熟練のアナリストでも継続的に勝てないことを実証している。

そこで今回は、「個人投資家が生き残る道はどこにあるのか?」をテーマに解説する。


「インデックス投資の継続が大事だよ」という理由付けは、この本と『敗者のゲーム』で十分である。

相手のミスを待つのが最良の戦略だ。投資も同じであり、市場に勝とうとしないことが一番よい方法だ。

チャールズ・エリス 著『敗者のゲーム』


第13版ではマルキール氏は現在のインフレ傾向が当面続くと予測しつつも、その中でもインデックスファンド投資が最も有効であるという従来の主張を堅持している。

暗号通貨、NFT(非代替性トークン)、ミーム株といった、近年注目を集める新しい投資対象についても言及しているがここでは取り扱わない。

「オナラ高額販売ビジネス」といった最新市場の「ノイズ」にまで言及する姿勢は80歳を超えてもなお、守備範囲の広さに驚くばかりだ。

本書を読めば、アメリカの株式市場では新しい投資情報は速やかに株価に織り込まれる、言い換えればかなり効率的だということを示唆する多くの証拠があることが分かるだろう。加えて、私が提唱し続けてきたインデックス·ファンドの優位性を支持する証拠も、年とともに着実に積み上げてきた。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』


人は「価値」を見出すものに黄金を差し出す。

だが、決して忘れてはいけない。

人は必ず、貯えた黄金をいつかは吐き出さなければならないのだから。


『ウォール街のランダム・ウォーカー』

Image_fx (1).jpg同じ事実でも、慌てる者とそうでない者がいるのはよくあることだ。

結局のところ、これは不特定多数の読者が皆同じような目論見で参加しているゲームなのだ。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

■ 市場は予測できない

2021年に、いわゆるミーム株ブームの一環で付和雷同した群衆がゲームストップ社を買い上げた結果、同社の株価はひと月のうちに一五ドルから五〇〇ドルまで暴騰した。しかしその翌月には、同社株はほとんど紙屑になってしまったのだ。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

00.pngアメリカのビデオゲーム小売り企業であるゲームストップの株価が、一部の個人投資家の行動によって急騰した金融事件。

個人投資家がヘッジファンドに一時的ながら勝った事例として挙げられる。

ソーシャルメディアや投資アプリの普及により、個人投資家は以前にはなかった手段で市場に参入しやすくなったことが1つの要因。
(と…もっともらしい説明がでっち上げられている。)

0.png⇒ 株価はランダムに動いている。

⇒ 明日の値動きは誰にもわからない。

⇒ パターンを探すほど損をする。

⇒ 感情が最大の敵になる。


どれほど過去のチャートを分析しても、未来の株価はサイコロの目と変わらない。

それが「ランダム・ウォーク理論」だ。

著者マルキールは、市場の値動きは“ランダムウォーク”であると主張する。


つまり、明日の株価は今日の情報からは予測できない。

どれだけ過去のチャートを分析しても、未来の方向性は「サイコロを振る」のと同じだというのだ。


本書では、テクニカル分析に頼った多くの投資法が、統計的に有意な利益を出していないことが示されている。

本書では、過去のバブル:チューリップバブル、南海泡沫事件、ITバブル、リーマンショックも丁寧に検証している。

今になって振り返ると、我々は2000年の初めにバブルはピークに達して弾けたことを知っている。しかし誰一人として、事前にピークのタイミングを正しく予想できた人はいなかった。実際、タイミングを読んでうまく売買益を稼ごうとした投資家は、個人であれ機関投資家であれ、総じてことごとくタイミングを間違えたことが分かっている。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

技術への過度な過信、投機熱、集団心理、企業の破綻、法規制・金融規制強化、新技術への盲信、不動産価格の永遠の上昇神話、リスク軽視、金融商品の複雑化…など。

マルキール氏が過去のバブル事例を詳細に分析するのは、市場が常に合理的であるという前提を打ち破るため。


どの時代でも、人々の「これは例外だ」という過信が破滅を呼んできた。

私たちがバブルとパニックに学べることはその傾向ではなく、投資に必要なのは、知識よりも“耐える力”ということである。

自分(投資家)の心理を理解することは、あなたに多くの黄金をもたらすかはわからないが、少なくとも多くの黄金を失うことはない。


0000000.png381.pngナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』

過去から未来は読めない。

たしかに「例外」はあるが、そんなに都合の良いものではない。

黒い白鳥は微笑む相手を選ばない。

黒い白鳥の論理では、わかっていることよりわからないことのほうがずっと大事だ。黒い白鳥は、予期されていないからこそ起こるし、だからこそ大変なのだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』


■ プロでも勝てない理由

Image_fx (5).jpg流れに従うか、それともボートで制御しようとするか…それが問題だ。

しかし、無理に動くと腕や頭が疲れてしまうものだ。

どうしても売る必要があれば、儲かっている銘柄ではなく、損している銘柄を売れ

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

マルキール氏がテクニカル分析を「自己矛盾」に陥ると指摘する背景には、もし予測手法が本当に有効であれば、それが広まるにつれてその効果が失われるという、市場の効率性を示唆する。

00.pngテクニカル分析:過去の値動きをチャートで表して、そこからトレンドやパターンなどを把握し、今後の株価、為替動向を予想すること

テクニカル分析の有効性は、それが少数の「知る人ぞ知る」手法である場合にのみ成り立つもの。

間違って価格付けされた賭けを探すこと、それが投資だ。 ただし、その賭けが間違った価格なのかどうかがわかる十分な知識を持っていなければならない。 それがバリュー投資だ。

デビッド・クラーク著『マンガーの投資術』

もしその手法が広く知られ、多くの投資家が同じシグナルに基づいて行動すれば、そのシグナルは瞬時に価格に織り込まれる。

つまり、優位性のある時間はほんの一瞬じゃね?ということだ。


ミーム株や暗号資産も優位性があるのは「仕掛けた人」だけである。

間違った価格の賭けに勝ったものが市場ですでに織り込み済みの「投資本」を出版して、「カモ」からお小遣いを稼ぐのだ。

0.png⇒ 市場はおおよそ効率的で株価は基本的に正しい。

⇒ 明日の株価がどう動くはランダムだから投資タイミングは読めない。

⇒ 大半のプロ(アクティブファンド)は指数に勝てない。


過去(2018年)のデータでは、アクティブファンドの約80%が長期的にS&P500などのインデックスを下回っている。

過去15年においてS&P500を上回る成績を残した投資信託はたったの7.7%しか無いという事実を表している。(約93%は負けている)

2022-06-05_18h15_38.png(出典:バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第12版>株式投資の不滅の真理」)


結論は最初に述べているが、正解はこうなる。


■ 個人投資家の正解とは?

0.png⇒ インデックス投資が王道。

⇒ 「退屈」が最強の戦略だ。

⇒ 投資は派手じゃなくていい。

一発逆転や流行銘柄に飛びつかず、退屈なほど安定した戦略が結果的に最も強い。

行き過ぎた売買のコストは、考える以上に大きい。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

ただし、何でも良いわけではなく、手数料といったロスが少ないものにしなければならない。

投資信託にかかる手数料は、主に「❶購入時手数料」、「❷信託報酬」、「❸信託財産留保額」の3つ。

❶投資信託の購入時に販売会社に支払う手数料が無料(ノーロード)の商品

❷投資信託の保有期間中、毎日差し引かれる費用(年率0.1%以下の商品

❸投資信託を換金(解約)する際に発生する費用が無料の商品

かつ、長期保有を前提にNISA口座で投資信託を購入すれば、分配金や売却益にかかる税金が非課税になる。

手数料の面だけでなく、税制上のメリットも利用しよう。

長期・分散・低コストが正解なのは…。

プロの投資家は頻繁に取引するため、手数料と税金で利益が圧縮されてしまう側面があるから。

アクティブファンドが指数を上回れない要因でもある。

当たれば一括投資が一番良いが、分散投資は心理的リスクを軽減してくれる。

あなたの投資目的がどこにあるにせよ。

分散投資は良い習慣(”市場”に居続ける)の奴隷になる手法である。


まぁ、まずは、市場全体を買え。

元手を蓄え、現金と適切な保険で万一に備え、投資にかかるコストに目を配る。

それで物足りなければ、少額で他の手法を試してみるといい。


そして、リスクを取っても報われない。

そういう現実を前にして初めて、人は「リスクとは何か」を思い知るのだ。(5敗)

それでも、人は過ちを繰り返すのだ。


0000000.png98.png荘子(荘周)およびその弟子著「荘子」

この本は無関係に思うだろうか?

感じてしかる後に応じ、迫られてしかる後に動き、やむを得ずしてしかる後に起(た)ち、知と故(こ)とを去りて、天の理にしたがう

自らの意志で動いたり変化したりするのではなく、周りが変化したので私も変化した、というのがよいというのです。まさに受身です。

NHK100分de名著ブックス 玄侑宗久 著『荘子』

天地の自然に身をゆだね、私利私欲を捨て去って、周りの状況に抗わず、必要に迫られてやむを得ず行動するのが最も好ましい姿であるのが「荘子」。

完全に受身に徹した時こそ、主体性の極意である。

無我の状態こそが、最も素晴らしい智慧が発揮できるのは投資の世界でも変わらない。

賢くも、揺蕩う(たゆたう)べし。


まとめ

384.png✅ 株式市場は予測不能である。

✅ プロも市場平均に勝てない。

✅ 長期・分散・低コストが正解。

ポーカーゲームのテーブルについて他のプレーヤーを見回し、誰が「カモ」か見極められない時は直ちに立ち去るべきなのだ。
なぜなら、「カモ」は他ならぬ自分だからだ。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

⇒ 勝者は市場に居続けた者である。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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