- 投稿日:2025/08/06
- 更新日:2025/10/08

はじめまして。デザイナーのつかさんぽと申します。
ロゴってなんとなく「センスのいい人が作っている」というイメージがありませんか?
僕自身も、センスのいいデザイナーさんの作品を見るたびに、いまだにワクワクします☺️
でも実際には、そのセンスの裏側には膨大な知識と試行錯誤が積み重なっているということも、痛感しています。
今回はその一端として、タイポグラフィを軸にしたロゴ制作のリサーチからラフスケッチ、完成に至るまでの思考と工程を言語化してみようと思います!
👩🦰「ロゴってどうやって考え始めればいいの?」
🧑🦱「どんな制作フローでロゴを作っているか知りたい」
👱♀️「ラフや試行錯誤の過程を見て学びたい」
このような方にはオススメの内容になっています。
参考までに僕のポートフォリオを貼っておきますので、ご興味のある方はご覧ください☺️
https://www.behance.net/tsukasampo
✏️Case Study
早速、僕の制作事例を基にご紹介できればと思います。
これはタイポグラフィロゴと呼ばれる文字の造形設計の制作事例です。
僕は秋葉原にあるクラブにたまに遊びに行くのですが、そこの店長さんが毎週木曜日夜にDJ配信を開催されていて、僕もよく参加(賑やかし)してます笑
その特定の時間に同じ価値観を持って集まる人達をなぞらえ、配信内のチャット内でも『木曜界隈』という言葉が頻繁に飛び交っていたことがおもしろかったので、頼まれてもいないのに『非公式ファンアート』という名目で勝手にロゴステッカーを作って、リアルイベントの現場で店長さんやリスナーさんたちに半ば強引に配り歩いたときのものです(どういう状況?笑)
#001|アイデアやデザインを探しながら考える
まず「これ作りたい」の衝動が発生したら、制作意欲が熱を帯びているうちにアイデアやデザインを探し回ってみましょう!
探し方は問いません。本棚やスマホのカメラロールなど身近なものから、余力があるなら街中や本屋さんに足を運んでみることでたくさんの情報に触れることもできます。
どんな本がオススメか?については下のノウハウ図書館の記事にまとめてみました。興味のある方は是非ご覧になってみてください☺️
それでも「そんなに余裕ないよ〜!手っ取り早くあれこれ色々みたいよ〜!」という欲望に素直な方にはPinterestがオススメです。特筆すべきはその圧倒的な情報量ではあるのですが、AIの検索アルゴリズムが超優秀なので、手始めに探したいキーワードで調べると、そのキーワードと関連性が近い情報を瞬時に沢山提供してくれ、自分だけのデザインスクラップブックがすぐまとめられるのも魅力。しかも無料です😍
今回はPinterestと合わせて、僕のバイブル的著書である『日本字フリースタイル・コンプリート』を参考にしながら制作しました。
この参考書はパソコンが普及する前の1970〜80年代の実作例が数多く収録されていて、手描き文字愛好家にとって必読の見本帳です。幅広い手法でひらがな/カタカナ/漢字のそれぞれの日本字の実作例が収録されていて本当に便利。僕も事あるごとに開くことの多い本の一つです☺️
💡豆知識|デザイン収集する際のポイント
デザイン収集する際は『作るべき文字種のものを集める』のが圧倒的にオススメです。
たとえば同じ『りんご』という意味の字面でも、『ひらがな』は曲線が多く『カタカナ』はカクカクっとした印象、『漢字』は画数/文字の密度が多く、『英語』は雰囲気も字数も違うなど、それぞれ全く異なる造形の特徴があります。
文字種が同じデザインを収集することで、ラフを描く際に「ここの線のつなぎ目が難しいけど、他のデザインはどうやって解決していたんだろう?」というように、蟻の目でデザインを観察することでより一層深いデザインの観察眼が身につき、結果的に上達への一番の近道になるはずです☺️
#002|ラフを描く
基本的にはラフを描くのが超オススメです。ラフを描いた方が圧倒的にあなたの想いが乗ったデザインになります。
制作実績や知識が十分でない状態でデザインアプリを開いていきなりデザインし始めると、アプリが作った「それっぽいデザイン」にしかならないので、推奨しません😅
デザインアプリは人間の手で描くことのできない、寸分の狂いもない真っ直ぐな線やきれいな曲線を描いてくれますが、魔法のように造形を描いてくれるわけではありません(AIがサポートしてくれる日も近いかもしれませんが)
「○○っぽいものを作りたい」のように、好きなデザインを目指して作り始めるのも、動機としては十分だと思います。その目指すべきデザインの造形をじっくり観察しながら手を動かしてみてください✏️
手を動かすことで、そのデザインの癖や工夫している点に気づけるはずです💪
本当にきったねえラフ画なのですが、今回はより具体的な中身をお見せしたほうがわかりやすいかと思い、お恥ずかしながら公開します🫣
今回の制作にあたり、僕が心がけていたのは以下の3点です👇️
☑️ 配信者である店長のキャラクター性をうまく盛り込む
☑️ 『木曜界隈』という字面の密度感/画数をシンプルに処理する
☑️ 自分の得意なスタイルで楽しく作る
一つずつ解説していきます。
☑️ 配信者である店長のキャラクター性をうまく盛り込む
個性をどうブレンドしていくかは、日頃のクライアントワークでも大切にしている視点のひとつです。
「一番際立っているのは何か?」と常に人やサービスを観察することで、自分なりのデザインをつくるための“手札”が増えていきます。
さらに、それらを一度人に見せて反応を確かめ、磨き込んでいくことで、より共感性の高いデザインへと昇華できるはずです☺️
今回の場合は『目👀』をポイントにすることにしました。
目が印象的な有名なロゴといえば『ドラえもん』ですよね。
このくらいポップにわかりやすいものが作りたいな〜というイメージで作りました☺️
引用:映画ナタリー
☑️ 『木曜界隈』という字面の密度感/画数をシンプルに処理する
これは僕がデザイン処理する時に意識していることの一つなのですが、例えば線が重なる部分なんかは少し野暮ったく見えてしまうので、なるべく簡略化するようにしています。
赤枠の部分は線が重なって複雑になる部分なので、どうやって簡略化しようかな〜と悩んでいる様子ですね🤔
少し話は脱線しますが、みなさんはこの広告をご覧になったことはありますか?引用:ことばと
2021年のコペル英会話教室の広告なのですが、当時SNS上でも話題になりました。
この広告では「100%完璧に英語が喋れなくても伝わるから、気軽に英語学ぼうや〜」と、英会話教室に通うことへのハードルを下げるメッセージを送っています。
人は情報が全て揃ってなくても、その周囲にある情報や文脈を元に理解しようとする性質があるそうです。
この性質をうまく活用して、情報はシンプルに整理することを意識しましょう。抽象化・情報整理は、デザインの醍醐味の一つでもありますからね☺️
☑️ 自分の得意なスタイルで楽しく作る
僕が小中学生の90年代後半〜00年代前半の頃は、所謂『ストリート系・サーフ系』と呼ばれるファッションブランドが流行っていた時代でした。今でも最前線のAPEやStussyから、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったDC shoe、Fresh Jive、VOLCOMなど、どれも憧れのブランドでした。
そこで気づいたらやっていたのが『学校の自分の教室の机に自分がイケてると思っているブランドのロゴを落書きする』ということです。なんかそれがカッコいいと思ってたんでしょうね苦笑
当時はそんなんでしたけど、今となっては自分の得意技の一つになっているから不思議なもんです。『レタリング』という技法だったということは後から知ったことですが、紙とペンだけあれば自由にカキカキできるのでコスパも最強です。
是非みなさんもご自身の楽しいと思えるスタイルで、自由に作ってみてください☺️
💡豆知識|画材について
高い画材などは全く必要ないです。僕は今でも専門学生時代に講師の方から教えてもらった1本100円くらいのPILOTのサインペンを使っています。
象徴的なロゴを作る上で、ある程度の密度感・存在感は必要なので、太さは『中』。ノートやA4コピー用紙に描く時にも程よい太さです✒️
#003|ロゴを作り込む
紙で大枠が見えてきたら、今度はそのラフを写真やスキャンでiPadに取り込んで、もう一層深く作り込みます。
アプリケーションはProcreateというイラストレーターさんの定番のアプリを使っています。1,800円の買い切り型で追加料金がかからない点やPCのAdobeソフト形式へのファイル変換ができるのが嬉しい☺️
「なんでまた描き直すん?」と思われるかもしれませんが、ディテールを細かく詰めていきたい時に一番効率よく作り込めるというのが一番大きな理由です。
サインペンで引いた線はなかなか消せないですし、後述するPCのアプリ・Illustratorだと直感的に使うのには操作性が欠けてしまう。
その両者の欠点を補う存在がiPadだと思っています。
けどそもそもiPadは持っていないよ〜という人もいらっしゃると思うので、この工程は必須でなくてもOKです🙆
ラフが仕上がったらようやくPCのデザインアプリでの作業です。僕はAdobe Illustratorを愛用しています。グラフィックデザイナーの定番アプリの一つです👀
とはいえラフが仕上がったら、もはや60〜70%は完成したも同然です😤 あとはキレイに整形し、ディテールを詰め、着色したら完成です。ポイントは『ラフが完成した時点で自分がワクワクしているか』です笑
これが実際に使っていたデータです。
この時、どんな思考回路で作っていたかというのがコチラ👇️
💡豆知識|データの作り方について
データの細かい作り方についてはまた別の機会に改めてご紹介できればと思ってますが、アートボードは最低20枚は作りましょう。
試したいことがあったら別のアートボードで試してみることで、元の案との比較検証がしやすくなります。デザインの精度を高めていく一番の近道は比較検証だと思うので、どんどん色んな新しいチャレンジを試してみましょう!
これは広告業界をはじめプロのみなさんが当たり前にやっているデータの作り方なので、もしかしたら参考になる方も多いかもしれません☺️
#004|完成
というわけで完成したのがコチラです😍
いかがだったでしょうか?
次回は『ラフを描かないでつくる』という、今回とは全く逆の内容でまとめてみたいと思います笑
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙏少しでも役立った!と思った方のいいねやコメントなど、ハチャメチャ喜びます☺️
※今回ご提示する事例はあくまで個人のファンアートとしての趣味活動で、商用目的では利用しておりません