- 投稿日:2025/08/26
- 更新日:2025/10/17
夫から「税金が得になるからiDeCo(イデコ)をやりたい」と言われたとき、私はFP2級を持つ立場から「やらないほうがいい」と答えました。
一見すると、イデコは節税できて老後資金も増やせる魅力的な制度に思えます。
しかし、夫が国家公務員という立場や、我が家の資産状況(小金持ち山登頂済み)を考えると、必ずしもメリットが大きいわけではありません。
この記事では、私が国家公務員の夫にイデコを勧めなかった3つの理由と、もし始めるなら注意すべき受け取り方についてお話しします。
イデコを夫に勧めなかった3つの理由
1. 万が一のときに資産が宙ぶらりんになるリスク
イデコは加入者本人が掛金を拠出し、自分で商品を選び、60歳以降に自分で受け取る制度です。
この「自分で管理し、自分で受け取る」という仕組みが大きなネックでした。
わが家では普段の資産管理は私が担当しています。
夫は「よくわからないから任せたい」「節税になるならやっておいて」と言うのですが、もし私が先に亡くなったり、病気や認知症で管理できなくなった場合どうすればいいのでしょうか。
夫がイデコの運用や受取手続きを理解していないと、資産が放置されてしまいます。
資産運用は「自分で理解できないもの、わからないものは手を出さない」が大原則です。夫婦でも老後のことはわかりませんから、人任せにしてはいけません。
これが夫に対してイデコを反対している一番の理由です。国家公務員という職業とは全く関係ない部分です。
「自分で口座開設から商品選定、運用、受け取りまで全部できるならいいよ」と言いましたが、イデコをやりたいと言い出してから、3年経っても5年経ってもやろうとしません。
2. 国家公務員は退職金と年金が手厚い
国家公務員は、民間企業のサラリーマンに比べて退職金が多く、年金(厚生年金+共済年金)も手厚いのが特徴です。
例えば、国家公務員として35年以上勤務した場合、退職金は2,000万円前後になることもあります。←現在はだいぶ減っているそうですが、自営業の私から見たら多いと思います。
また、年金も月20万円以上を受け取れるケースもあり、老後の生活資金としてはかなりの金額を確保できます。
この状態でさらにイデコを積み立てても、受け取る時期には退職金や年金と重なり、税金の計算が複雑になります。
とくに、一時金として受け取る場合は退職所得控除を使えますが、退職金と同じ年に受け取ると控除が分散できず、税負担が増えるリスクもあります。
3. 節税目的だけでは失敗する可能性がある
イデコの魅力といえば、掛金が全額所得控除になる節税効果です。
夫も「税金が得になるならやりたい」と言っていました。
しかし、注意したいのが「出口課税」。
イデコは積み立て中に節税できても、受け取るときに税金がかかります。
✅一時金で受け取る → 退職所得として課税(退職所得控除あり)
✅年金で受け取る → 公的年金等控除の対象だが、課税対象額が増える
国家公務員の夫の場合、退職金も年金もある程度あるため、イデコの受取時に控除枠を使い切ってしまい、結果的に税金が増える可能性があります。
つまり、「今の税金が減るからお得」と思って始めても、老後に思ったほど手取りが増えないケースがあり得るのです。
将来的に税負担が増える可能性は大。60歳まで引き出せないお金を積み立てて節税するよりも、今使えるお金を残しておいたほうがいいのではないでしょうか。
【注意】もしiDeCoを始めるなら…受け取りかたが重要
最近、公務員の掛金上限が引き上げられました。これからイデコを始めようとしているかた、始めたばかりのかたも多いことでしょう。
もし国家公務員がイデコを運用して、退職金を60歳または65歳で受け取るとしたら現時点では
「できるだけ受給開始を遅らせ、75歳で一括受取」
が税金面で最も有利です。
10年ルールを活用する
2026年1月から導入される「10年ルール」により、退職金を受け取ってから10年以上経過していれば
イデコの退職所得控除をもう一度満額使える
そのため、65歳退職 → 75歳で自動一括受取なら控除をフル活用できます。
また、受給開始を遅らせることで運用期間が延びるメリットもあります。
しかし、75歳で一括受け取りしてうまく使いこなせるでしょうか・・・?
毒キノコリストに引っかかったりして資産を失うことも十分あり得ます。私は受け取れる年齢になった時点で必要だと思う金額を一括受取して、残りは月々受け取る併用受取がよさそうに思います。
老後の認知症リスクにも注意
受給開始を遅らせるほど運用益や節税メリットは大きくなりますが、
✅高齢になって手続きができなくなる
✅本人が内容を忘れてしまい、家族が管理できない
✅亡くなった際の受取が複雑になる
といったリスクもあります。
そのため、もしイデコを始める場合は
✅本人が運用内容や受け取り手続きを理解しておく
✅受取開始時期を家族で共有しておく
✅必要なら75歳より前に計画的に受け取る
といった対策が欠かせません。
まとめ:国家公務員にイデコは必須ではない
✅国家公務員は退職金と年金が充実しているため、イデコの必要性は低い
✅イデコは本人が自分で管理・受け取りできないと資産が宙ぶらりんになる
✅節税だけを目的に始めると、老後に税負担が増える可能性がある
✅もし始めるなら「10年ルール」を活かして70~75歳で一括受取が有利だが、老後の認知症リスクを考えると慎重に
老後資金の準備は、制度の有利・不利だけで判断するのではなく、
「誰が管理するのか」「将来どう受け取るのか」まである程度考えておいて、いざ必要になったときに柔軟に対応できるようしておくことが大切です。
わが家では、夫がイデコをするよりも柔軟に動かせるつみたてNISAを活用する方法が向いていると考えています。