• 投稿日:2025/12/06
金利は「時間の価格」?歴史が示す経済の羅針盤

金利は「時間の価格」?歴史が示す経済の羅針盤

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シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

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要約
『金利 「時間の価格」の物語』は、古代から現代までの金利の歴史を俯瞰し、超低金利政策がもたらす危険性を警告する書籍である。 金利を「時間の価格」と捉え直し、経済活動におけるモノサシの役割を強調しつつ、資産バブルや不平等、債務膨張といった現代の課題を歴史的視点で明らかにしている。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はエドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』2024年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

著者:エドワード・チャンセラー

face_Edward_Chancellor.jpg出典:日経BOOKプラス

ケンブリッジ大学トリニティカレッジで歴史学を学び、第一級優等学位で卒業。オックスフォード大学で啓蒙思想史を研究し修士号を取得。1990年代初頭からロンドンの投資銀行ラザード・ブラザーズに勤務。その後、Breakingviews.com金融コラムニスト、投資会社GMOの資金運用チームのシニアメンバーを経て、現在、ロイター傘下となったBreakingviews.comのコラムニストを務める。ウォール・ストリート・ジャーナル紙、フィナンシャル・タイムズ紙、マネーウィーク誌、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス誌に寄稿。著書にDevil Take the Hindmost: A History of Financial Speculationがある(邦訳:『バブルの歴史』山岡洋一訳、日経BP、2000年。『新訳 バブルの歴史』長尾慎太郎・山下恵美子訳、パンローリング、2018年)。同書は数多くの言語に翻訳され、ニューヨーク・タイムズの年間注目書に選ばれた。

00000.png✅ 金利は「時間の価格」というモノサシである。

✅ 低金利は経済を歪め、危機を招く。

✅ 歴史の教訓を無視すれば、再び乱気流に陥る。

本書の趣旨は、金利とは資本の分配を導くために必要なものだということ、金利がなければ投資の価値を評価できなくなるということだ。 「節欲の報酬」としての金利があるからこそ、人は貯蓄をしようという気になる。 金利はまたレバレッジの費用であり、リスクの対価でもある。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』


「金利は低いほど経済に良いのか?」

本書は、低金利政策が資産バブルや格差の拡大を招き、経済全体をむしばむと警告する。

今回は、金利を「時間の価格」と捉える視点から、経済の本質に迫る。


膨大な金利の歴史を語るこの本からわかることは、ただ一つ。

金利は「絶対に敵に回すな、絶対に味方につけろ」だ。


『金利 「時間の価格」の物語』

Image_fx (5).jpgそれを剣と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。

「利子は両刃の剣のようなものだ」とプルードンは結論づけた。
「どちらの側が当たっても、相手を殺してしまう」

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』

ちなみに、ピエール=ジョゼフ・プルードンは1800年代のフランスの社会主義思想家・活動家で、カール=マルクスと同時代の人である。
(マルクスはドイツの経済学者で本『資本論』が有名。)

金利の本質を理解する

Image_fx (7).jpg金と時間はいつでも私たちを悩ませる。

金融市場の規制という点では、金利の存在は銀行家や投資家が過剰なリスクを取るのを思いとどまらせる。 外国為替市場では、金利が国家間の資本の流れを均衡させる。 金利はまた所得や富の配分にも影響を及ぼす。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』

0.png⇒ 金利は「時間の価格」というモノサシである。


金利を雑に説明すると、「お金を貸したときにもらえる『ありがとう』のお金の割合」のこと。

友だちに100円貸したときに、1年後に101円返してもらう約束をしたとします。この「1円」が貸してくれたお礼のお金で、これを利子(りし)という。

この利子がどれくらいつくか、その割合のことを「金利」という。

金利が1%というのは、「貸したお金の100円に対して1円のお礼がもらえる」という意味である。


まとめると…。

お金を貸すときにもらえるお礼が「利子」
(貸す側が「利子」、借りる側が「利息」となる)

その利子の割合が「金利」

金利は普通1年間の割合で言うことが多い。


金利1%で貯蓄額が2倍になるまでの年数は、およそ72年かかる。

金利2%で約36年、金利3%なら約24年、金利5%なら約14年半で元本が2倍になる。

0000.png1000万円を年利1%で借りて、毎月元利均等返済(元金と利息を合わせて均等払い)する場合の月額返済はどうなるか?

単純な計算で‥‥。
年利1%は月に0.083%の利息がかかる。(単利の計算方法)

・返済期間10年:約88,000円/月=1056万を払う

・返済期間15年:約60,000円/月=1080万を払う

・返済期間25年:約38,000円/月=1140万を払う

・返済期間35年:約30,000円/月=1260万を払う

返済期間が長くなるほど毎月の返済額は少なくなるが、総支払額は利息の分だけ多くなる。

元利均等返済は毎月の返済額は一定で、初期は利息部分が多く、返済が進むにつれて元金返済が増える構造にある。

単純計算なので、このひと回り、ふた回りは月に支払う精神的な負担は大きいと考えたほうが良い。

むしろこの記事で計算されている金額は本当なのか?と疑うぐらいで良い。

人間の心理上、即時報酬には敏感だが、長期となるとしっかりとした計算と計画(リスクの洗い出しと対策)が必要になる。

借金をする際、この点を決して忘れてはいけない。


金利は単なる数字ではなく、消費・投資・貯蓄の価値を計る基準である。

これを歪めれば経済全体の判断が狂ってしまう。

商品に価格があるように、お金にも利用するための価格がついているということだ。

銀行に預ければ利子を受け取り、借りれば利息を支払う。

この仕組みは一見単純だが、その背後には経済全体の動きを映し出す本質が隠れている。

0000000.png303.pngアーノルド・ベネット 著『自分の時間』

およそ100年以上前の時間活用術の名著

「人間というものは、貧乏人でも金持ちでも、とにかく1日24時間しかない」ということに目を向けている書籍。

24時間でいかに生きるかということに対する具体的なヒントを提供している。

時間があれば金は稼げるが、金があっても時間は買えない

アーノルド・ベネット 著『自分の時間』


歴史が示す金利の教訓

Image_fx (1).jpgお金を生みだす植物は「金利」なくして成長しない。

利子の起源が種子や動物の貸し出しにあるということだ。これらは生産目的のための貸し付けである。種子は収穫増をもたらす。収穫期には種子が、うまくすれば利子をつけて返済された。動物ならその子供の一部またはすべてを元の動物と一緒に返済できた。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』

貨幣制度が成立する以前から、物や穀物の「貸し付け」と返済時の上乗せ(利息)という形で、すでに利息の概念は存在していた。

そして、古代バビロニア(紀元前18世紀頃、ハンムラビ法典の時代)には、寺院や土地所有者が利子付きで穀物や銀の貸し出しを行い、具体的な金利率(銀は20%、穀物は33.3%など)も法典で定めている。

銀よりも、穀物は収穫の天候リスクや腐敗・保管の難しさがあり、貸し倒れリスクや目減りリスクが高かったため、利率が高く設定されているのは興味深い。

金利のおおよその原型は、紀元前2000年頃の粘土板に記録されている。

近代の歴史における金利は、世界全体に大きな影響を及ぼす存在になってきた。

ざっくりいうと、金利が2%を下回ると投機的な動きが広がりやすくなる。

0.png⇒ 物価安定のための低金利は逆効果を生む。

⇒ 特に長期的な低金利は経済を不安定化させる。

1920年代の大恐慌、1980年代の日本バブル、2008年の金融危機はいずれも低金利が一因で起きた典型的事例である。

0000.png2008年の金融危機(リーマン・ショック)

主に①アメリカの低金利政策、その後の②急な金利引き上げ、そして③危機発生時の急速な金融緩和という金利環境の変化が大きく影響した。

①2001年のITバブル崩壊後、米連邦準備制度理事会(FRB)は低金利政策を継続し、市場には多くの資金が供給された。

低金利政策により、リスクの高いサブプライムローン(信用力の低い層向け住宅ローン)が急拡大し、それらを裏付けとする証券化商品が世界へ流通した。

②2004年頃から物価上昇(インフレ)への懸念が高まり、FRBは政策金利を2006年までに5.25%まで引き上げる。

金利上昇により、信用力の低い層の返済負担が増加し、住宅ローンの延滞やデフォルト(債務不履行=お金が返せない)が多発してしまう。

関連金融商品を保有していた金融機関も大きな損失を出した。

③2007年後半から金融危機が本格化し、FRBは段階的な利下げを開始。

2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻によって危機が決定的となった後、FRBは政策金利を急速に0~0.25%へと引き下げ、事実上のゼロ金利政策を導入した。

金利低下→お金の過剰流動性→リスク資産バブルが発生→インフレ引き締めの金利上昇→金融機関の損失拡大→金融機能のマヒ→大規模な利下げとつながっている。

0.png金利が高い時=インフレ懸念や投資や消費が抑制される圧力になる。
「時間の先送り代+リスクの高さ」=貸し手側のインセンティブが上がる。

金利が低い時=経済が低迷し、資金需要が弱くなる。
「低い機会費用+低リスク環境」=借り手側のインセンティブが上がる。

金利は経済活動の温度計であり、また未来の不確実性に対する評価でもある。

異常な低金利は貧しい層よりも信用を得やすい富裕層に利益をもたらすかもしれない。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』

金利が低い時、借り手側が有利なのはお金持ちも同じ。

富裕層は信用度が高く低金利で容易に借り入れでき、資産運用や投資に有利に活用しやすく、株式や不動産などの投資資産を多く持つ富裕層が資産価値の増加で恩恵を受ける。

一方、貧しい層は金融資産保有が限定的なため恩恵が少ない。

つまり、あまりにも異常な低金利環境は信用力のある富裕層に資金調達や運用の面で有利に働き、貧困層との格差拡大の一因となる可能性が高いと言える。

金利とは「時間とリスクの価格」であり、経済の期待や不安が凝縮された数字なのである。


経済学者の視点から学ぶ

Image_fx (6).jpg金利は多くの経済活動を生みだしながら、今日も変動していく。

悪い経済学者は目に見える効果に頼る一方、良い経済学者は目に見える効果と、予見しなければならない効果の両方を考慮する。

フランスの経済学者:フレデリック・バスティア

0.png⇒ 「見える効果」だけを信じてはならない。

本書は長期的な副作用を無視する危険性を批判している。

さらに国際的な視点で見れば、金利は資本の流れを決定づける。


アメリカが利上げをすれば、世界中の資金がドルに集まり、新興国からは資金が流出する。

日本が長らく低金利政策をとってきた背景には、輸出産業を支え、円高を抑える狙いもあった。

つまり、一国の金利政策は国内だけでなく、世界経済にまで影響を及ぼす。

金利を上げる下げるといった話が逐一ニュースになるのには、私たちの社会生活に大きく必ず影響するからである。

目先の効果だけでなく、その後に起こりうる可能性を考慮できると、自身の生活への行動指針になるだろう。

金持ちであるとは、今日の消費か、明日の消費かという選択の問題だ。もし私が消費を大量に減らし、給料の大半を貯蓄に回せば、数年後にはより金持ちになる。賃金所得に貯蓄の利子収入を足したものが手に入るからだ。もし私が受け取った賃金をすべて消費していれば、いつまでたっても賃金所得しか手にできないことになる。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』


0000000.png413.png藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』

異次元緩和が株価を押し上げたが、金利引き上げを困難にし、長期的に物価上昇を加速させた。

株高不況は単なる経済現象にとどまらず、社会全体の不安や分断を引き起こす可能性が高い。

預金が「今」ならば、株式は「未来」というポジションを持っている。

賃金、物価、金融政策、金利、株価はすべてつながっている

藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』


まとめ

note_見出し用 (1).png✅ 金利は「時間の価格」というモノサシである。

✅ 低金利は経済を歪め、危機を招く。

✅ 歴史の教訓を無視すれば、再び乱気流に陥る。


ある手段が目標になったとき、それは良い手段ではなくなる。

エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』

⇒ 「金利は時間の価格」という視点を忘れるな。


旧約聖書でも、同族から利子を取る行為が禁じられる理由でもある。

見通しの立たない借金は、絶対にしてはいけない。

2008年の金融危機(リーマン・ショック)といった最近の歴史からもわかる。

繰り返すが、金利は「絶対に敵に回すな、絶対に味方につけろ」だ。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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