- 投稿日:2025/09/15
- 更新日:2025/11/16
はじめに
国民年金保険料は、経済的に厳しい状況のときには “未納” のままにしないで、「免除制度」や「学生納付特例制度」を活用することが重要です。将来の年金受給の資格を守るためにも、制度の内容をよく知って、該当するなら早めに手続きをしましょう。
1. 免除制度とは何か
免除制度は、保険料の納付が経済的に困難な人が申請して、保険料の全部または一部を免除してもらえる制度です。納付猶予制度と並び、支払えないまま未納になることを防ぐための仕組みです。申請免除と法定免除に分かれます。
2. 免除制度の種類
①法定免除:法律で定められた条件に該当する人には、所得審査なしで免除される制度。例:生活保護の「生活扶助」を受給している人、障害基礎年金(2級以上)を受給している人、特定の療養施設で療養中の人など。
②申請免除(一般免除等):所得が一定以下であること等の審査を受け、本人・配偶者・世帯主の所得を基に、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」のいずれかが認められることがあります。 なお、学生は申請免除を申請することはできません。次の学生納付特例制度を申請しましょう。
3. 学生納付特例制度とは
学生納付特例制度は、大学・短大・高専・各種学校等に在学する学生が、所得等の審査を経て、「在学中の国民年金保険料の納付を猶予」してもらう制度です。申請により、保険料を今すぐ払う必要がなくなります。将来、収入があるときに “追納(後から支払う)” することが可能です。
4. 比較:免除制度 と 学生納付特例制度
所得基準については、こちら(日本年金機構のHP )をご確認ください。
5. 手続き・申請のポイント
どの制度も 申請書の提出が必要(年度単位で申請する)。提出先は 年金事務所 または市区町村の国民年金担当窓口。電子申請(マイナポータル等)でも可能です。過去の期間に遡って申請できるケースあり(申請月の2年1カ月前まで)。
失業した人(雇用保険の離職票や雇用保険受給資格者証などで確認可能な人)は、失業による特例が受けられます。失業した者の所得がゼロとみなされるため審査が有利になります。
提出書類例
学生納付特例:在学証明書や学生証
失業特例:雇用保険の離職票や雇用保険受給資格者証
その他:本人確認書類(マイナンバーカード写しなど)
6. メリットと注意点
メリット
未納状態を防ぎ、将来の年金受給資格を守れる。
障害(障害年金)・死亡(遺族年金)など「もしものとき」に備えることができる。
学生など収入が少ないときに負担を軽くできる。
納付勧奨や督促状を送付される(差押される)ことがない。
注意点・デメリット
年金受給額は “全額納付” した場合と比べて少なくなる(免除の種類によって差あり)。
納付猶予・学生特例期間は、年金額の計算には含まれないため、将来「追納」しないと年金額が増えない。
所得が審査基準を超えていたり、申請書類の不備があったりすると承認されないこともある。
7. 追納(後から支払う制度)
免除・学生納付特例などで保険料の納付を猶予または免除された期間については、追納制度により、10年以内で保険料をさかのぼって納めることができます。納めることで、年金額を増やすことが可能です。ただし、3年度目以降に追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。年度末で加算額が変わりますので、3月31日までに納付することをお勧めします。
8. 行動呼びかけ(まとめ)
まずは、自分が学生か否か、収入・所得の状況、家族構成などを整理して、「どの制度が使えるか」を確認しましょう。
過去分の申請も可能ですが、申請には期限があります。ねんきん定期便、納付勧奨が届いて自分の年金記録に未納期間がある場合は、市区町村役場や年金事務所の窓口で相談してみましょう。困っていることを率直に話すと、適用可能な制度を案内してくれます。