- 投稿日:2025/09/30

「やるからには失敗しないようにしないと・・」
「失敗をしていないかな・・」
「まだまだ自分はうまくできていない・・」
こんな風に考えたことはありませんか。
このような考え方は心理学で完璧主義と呼ばれています。
完璧主義はよく知られた心の特徴ですが、うまく付き合えないと、心の不調を招いてしまうことがあります。
一方で、上手に扱えればあなたを助けてくれる頼りになるパートナーにもなります。
この記事では、完璧主義の特徴やメリット・デメリット、そして無理なく付き合うための方法をわかりやすく解説します。
完璧主義ってなに?
完璧主義とは「自分や物事に極端に高い基準を持ち、失敗やミスを許せない傾向」のことです。完璧主義はストイックな人や真面目な人に見られることが多く見られる特徴で、その力をうまく活かして社会的に成功している方も多くいます。
一方で、完璧主義をうまく扱うことができないと、「思うように成果が出ない」と自分を責め、行動を止めてしまったり、心が辛くなってしまうことも少なくありません。
完璧主義はうまく付き合えると強い味方。でも、うまく付き合えないと行動を止めるブレーキにもなります。
・完璧主義のメリットとデメリット
完璧主義は「考え方のクセ」のひとつです。努力を後押しして成果につながることもあれば、逆に負担となって行動を止めてしまうこともあります。
ここからは、完璧主義にはどんな「メリット」と「デメリット」があるのかを、具体的に見ていきましょう。
◯メリット
1.高い成果を出しやすい
目標に向けて高い基準を設定して、細かいところまで気を配りながら努力するため、完成度の高い成果を得やすくなります。
2.周りから信用される
責任感を持ち、コツコツと抜けがないように取り組む姿勢は、「しっかりしている」、「この人なら任せられる」という印象を与え、信用を得やすくなります。
3.向上心が高く成長できる
「もっと良いものにしていこう」という姿勢は、学習やスキルアップなど生産的な行動を導き、成長を加速させます。
4.計画性・準備力の獲得
高いレベルのものを達成する意欲から、事前の計画や入念な準備を進める力が養われます。
このようにみていくと、完璧主義は適切に扱えれば、強みとも言える武器になりうることがわかります。
⚫️デメリット
1.行動が止まってしまうことがある
「ちゃんとやらなければ」という思いがプレッシャーになり、取りかかるのに時間がかかってしまうことがあります。その結果、行動が遅れ、挑戦の機会を逃してしまうこともあります。
2.達成しても満足できない
目標を達成しても「もっとよくできたはず」、「まだ不十分」と感じやすく、達成感や喜びを十分に味わえない傾向があります。そのため、常に満たされない感覚を抱えやすくなります。
3.心身が疲れやすくなる
課題をクリアするため、頑張りすぎて燃え尽きのような状態になることがあります。緊張状態の持続が睡眠不足や頭痛、だるさなどの身体の症状として表れることもあります。
4.柔軟性を失いやすい
「こうあるべき」という基準に強くこだわりすぎてしまうと、臨機応変に対応することが難しくなります。その結果、状況に適した対応ができず、ストレスを感じやすくなります。
一方で、適切に完璧主義を扱えないと、弱点になってしまうこともあります。
・一人で出来る完璧主義の改善方法
1.’’70点でOK’’ルールを試す
「高いレベルでやらなきゃ」と思った時はあえて「70点で大丈夫」と声に出して言ってみましょう。実際、資格試験なども合格ラインは7割程度。100点満点でなくても十分成果になる、という感覚を身につけるのがポイントです。
2.タスクを小分けにする
課題が難しい時ほど、プレッシャーでなかなか手が動きません。そこで、課題を小さく分けて、手のつけられる形にしてしまいましょう。例えば、たとえば「企画書を作る」ではなく「構成だけ考える」といった具合です。ハードルが下がると取りかかりやすくなります。
3.失敗リストを作る
失敗は誰であっても必ずするもの。それならむしろ、次の改善や学びの材料にしてしまいましょう。「何が原因だったか」「次にどう工夫できるか」を書き留めてストックしていきます。まさに、「失敗を成功のシード(種)」に変えてしまうのです。
4.ネガティブな考えを置き換えてみる
「まだ不十分だ」、「満足のいくできじゃない」と思った時は、一度立ち止まって「違う角度から見たらどうだろう」と、別の角度から見てみましょう。大丈夫。どんな結果であっても’’完全な失敗’’なんてありません。必ず良かった部分があるはずです。
たとえばテストで30点しか取れなくても、「30点分は理解できていた」と捉えれば、次はどこを伸ばせばいいかが自然と見えてきます。そのポイントを押さえれば、次の一歩は確実に前進につながります。
・完璧主義の改善に本格的に取り組みたい方へ
完璧主義は考え方のクセであり、自分自身で考え方の練習をすることでも改善していくことも可能です。
一方で、「一人でやるのが難しい」と思う方は精神科医や心理師のカウンセリングを利用するのも1つの方法です。完璧主義の背景には、その人なりの理由が隠れていることがあります。例えば、失敗することへの強い恐怖や「完璧にできない自分を許せない」という信念などです。そういった背景・理由を理解しながら取り組むことで、改善の効果は高まりやすくなります。
現在、完璧主義への支援を受けられる場としては、
① 精神科・心療内科などの医療機関、② カウンセリングオフィス、③ オンラインカウンセリングなどがあります。
なかでもオンラインカウンセリングは、自宅から気軽に利用できる点が大きなメリットです。カウンセラーに十分な知識と経験があれば、対面と同等の効果を期待することができます。
筆者のN.jもスキルマーケットでオンラインカウンセリングを提供していますので、カウンセラーを探す際の参考にしてみてください。
【臨床経験14年 公立病院心理師の深掘りカウンセリング】
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ライフスタイルによって通いやすさや続けやすさは人それぞれです。ぜひ、ご自身に合った方法を選んでみてください。
・おわりに
完璧主義は、付き合い方によっては「頼れる相棒」にも「行動を止めるブレーキ」にもなり得ます。
でも、それはごく自然なことです。そもそも、この世に「完璧な人間」がいないように、「完璧な考え方」も存在しません。
きっと、完璧主義で悩んできた方も、過去にはその完璧主義のおかげで助けられた経験があるはずです。
それも、あなたらしさの一部です。
その「あなたらしさ」が、もっと輝けるよう、心から願っています。