• 投稿日:2025/10/12
  • 更新日:2025/10/19
畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』:「失敗」は“知識の源”である

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』:「失敗」は“知識の源”である

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シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

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要約
「失敗学」は、失敗を恐れる文化に一石を投じる学問。 失敗を「人間が関わる望ましくない結果」と定義し、そこから学ぶ方法を体系化している。 失敗の中に潜む知識を抽出し、他者が追体験できるよう「主観的記述」により知識化する重要性を説く。失敗を「未知への遭遇」として扱う視点が成長を導く。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回は畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』2005年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

著者:畑村洋太郎

1941年生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。現在、東京大学大学院工学系研究科教授。専門はナノ・マイクロ加工学、知能化加工学、創造的設計論。編著書に『実際の設計』『続々・実際の設計―失敗に学ぶ―』(日刊工業新聞社)、著書に『設計の方法論』(岩波書店)など。

00000.png✅ 失敗は隠すものではなく、活かすものである。

✅ 主観的記述が知識化を可能にする。

✅ 失敗を「未知への遭遇」として受け止めよう。

「想像的な設計をするにためは、多くの失敗が必要だ」

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』


「失敗は悪」「結果がすべて」。

そんな空気に疲れた人は多いのではないだろうか。

しかし日本の工学者:畑村洋太郎は言う。

「失敗こそ、人間が学ぶための最も貴重な教材だ」と。

今回は、『失敗学のすすめ』から“失敗を知識化する力”を徹底的に学ぶ。


工学おける失敗は、多くの被害をもたらしやすい分野である。

人の命や環境に大きな影響を及ぼす失敗は過去に何度もあった。

自動車のブレーキが利かなくなる、橋が崩れる、モバイルバッテリーが発火する。

人為的なものから構造的欠陥からも失敗は生まれる。

これからの時代は”失敗”にこそ価値がある。

そして、”失敗”を忘れずに生かす仕組みは、より価値が高まっている。


「失敗は恥ではなく、むしろ創造の第一歩」。

失敗を隠したり避けたりするのではなく、その原因を分析・共有し、自らや組織の知恵として蓄積し未来に活かすことが重要である。

大学講義のように堅苦しいと思うかもしれないが、失敗には学術的な面白さもあるのだ。


『失敗学のすすめ』

Image_fx (1).jpg割れたカップから黄金が出てくるかもしれない。

負のイメージでしか語られない失敗は、情報として伝達されるときにどうしても小さく扱われがちで、「効率や利益」と「失敗しないための対策」を秤にかけると、前者が重くなるのはよくあることです。

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』

失敗とは何か――“人間の行為”としての現象

Image_fx (5).jpg橋はいつか必ず崩壊する。だから保守や点検が必要なのだ。

「人間が関わっている」「望ましくない結果」、それが失敗

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』

0.png⇒ 失敗は“物理”ではなく“人の判断”が生む現象である。


畑村洋太郎は、失敗を「人間が関わる望ましくない結果」と定義する。

重要なのは、単なる技術的ミスではなく、人間の思考や組織の判断過程そのものに原因が潜んでいる点だ。

失敗は、偶然の事故ではなく「人の行為がもたらした必然的な結果」である。

そこには意思決定の歪み、過信、そしてコミュニケーションの断絶が絡む。

たとえば設計段階で「この程度なら大丈夫だろう」という思い込みが、致命的な事故へとつながる。

つまり失敗は、個人や組織の中に内在する“見えない構造”を映し出す鏡なのだ。

畑村は、失敗を隠すのではなく、あらゆる前提を見直すための「観察の出発点」として捉える。

0000.png失敗の種類と原因はいくつもある。

❶無知:知らないことによる失敗

❷不注意:注意不足で起こる失敗

❸手順不順守:決められた手順を守らないことで起こる失敗

❹誤判断:状況判断の誤り

❺調査・検討不足:必要な情報を持たずに起こる失敗

❻制約条件の変化:想定条件が変化して発生する失敗

❼企画不良:計画そのものに問題

❽価値観不良:価値観の違いによる失敗

❾組織運営不良:組織としての能力不足

➓未知:誰も知らないことによる失敗

私たちが思っている以上に失敗の種類と原因は多岐にわたる。

失敗は敵ではなく、未知への扉なのである。


0000000.png343.pngティム・ハーフォード著『アダプト思考』

「計画に時間をかけすぎず、失敗を恐れずトライ・アンド・エラーで、どんどん新しいことをやろう!」

それが「アダプト思考」。

私たちはまず「失敗」を前提とする仕組みをつくる必要がある。

ティム・ハーフォード著『アダプト思考』


良い失敗と悪い失敗――未知への遭遇から学ぶ力

Image_fx (6).jpg失敗を記録するというには実に苦しい作業だが、最も価値がある。

「よい失敗」に数えているのは、起こってしまった失敗から人々が学び、その経験を生かすことで、「未知」なる知識の発掘に成功したからです。

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』

0.png⇒ 「良い失敗」は、未知を知識に変える力を持つ。


畑村は、失敗を「良い失敗」と「悪い失敗」に分けて考える。

良い失敗とは、今まで知らなかったことを明らかにする“未知への遭遇”である。


たとえば、タコマ橋の崩落は風による共振現象という新たな物理法則の発見につながった。

00.png1940年11月7日、アメリカ・ワシントン州のピュージェット湾に架かっていた吊橋「タコマナローズ橋」で発生した有名な橋梁事故。

dc236c7635606097dda5f91bd3157701.pngタコマ橋崩落によって、長大橋梁の設計では「動的な風の振動問題」への配慮が不可欠であることが世界中の技術者に強く認識されるようになり、多くの吊橋には補剛トラスなどの補強が標準装備されるようになった。


コメット機(デ・ハビランドDH.106 コメット)は、世界初のジェット旅客機として1952年に就航したが、1953年~1954年に連続して空中分解事故を起こした。

o1024075115149790232.jpgコメット機の空中分解は、機体の金属疲労という構造的弱点を初めて人類に示した。

この事件をきっかけに、航空機の設計で与圧機体の疲労試験が厳格化され、角や穴の応力集中への配慮が世界標準となった。


これらは経済や人命に高い代償を伴いながらも、社会全体の知識を飛躍させた「価値ある失敗」である。

一方で、悪い失敗は、すでに知られている教訓を無視して繰り返すものだ。

たとえば、過去の事故報告を軽視したり、他人の失敗から学ぼうとしない態度。

これは「学ばない文化」が生み出す二重の損失である。


ちなみに、わざと失敗するとわかっていて確認することは、実習や実験、検証である。

失敗を“恐れる”のではなく、“解析する”ことで初めて人は成長できる。

未知を明らかにする失敗こそ、人類の進化を支える推進力である。

車輪を再発明することは良くないかもしれないが、”自分の手で発明・発見した”ということには大きな価値があるのだ。


失敗の知識化――主観を記録し、語り継ぐ文化を持て

Image_fx (7).jpg数多の失敗の先に、長く繁栄する成功が待っている。

失敗のデータを活用するとき、これを単なる情報の羅列とするのではなく、もう少し整理した形、すなわち「知りたい中身」を「欲しい形」にして情報提供する必要があります。

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』

0.png⇒ 失敗を隠す文化では、進歩は生まれない。


畑村が最も強調するのは、「失敗の知識化」である。

多くの組織は、事故報告書や会議資料に「何が起きたか」だけを淡々と記録する。

だが、それでは本当の教訓にはならない。

2万個の失敗情報があっても、正しい時に調べられないのであれば、人間の心理上、目を通さなくなる。

本当に重要なのは「なぜそう考えたのか」「どんな迷いがあったのか」という主観的な部分だ。

人間の判断には感情や恐れが伴う。

だからこそ、失敗を他者が追体験できるように書き残す“主観の記録”が不可欠なのである。

しかし日本では、「失敗=恥」という文化が根強く、情報が隠蔽・減衰・神話化していく。

失敗が語られない組織は、同じ誤りを何度でも繰り返す。

沈黙こそ、最大のリスクなのだ。

畑村は言う。「一流の落語家の持ちネタは300」。

人間が実際に活かせる知識には限界がある。

だからこそ、自ら体験した失敗や他人の失敗から厳選した“300の知識”を血肉にせよ、と。

失敗は墓場に持ち込むものではない。

記録し、語り継ぎ、未来への知恵に変えること――それこそが「失敗学」の核心である。

失敗は誰にとっても嫌なものだが、人間の活動につきもので人が生きているかぎり避けて通れない。そうであるなら大切なのは失敗しないことではなく、失敗に正しく向き合って次に生かすことである。

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』


0000000.pngthumb_リベシティ用サムネ__7_.png伊藤 羊一と尾原和啓 著『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』

アマゾンの成功は「イテレーション」(反復改善)の積み重ねによるものであり、失敗を恐れる発想は無意味になると語られる。

むしろ、小さく迅速な失敗を重ね、その経験を活かして次の行動に移ることが重要である。

失敗を楽しみ、学びを共有する力が評価される社会では、「失敗した回数の多さ」が成功確率を高める鍵となる。

いまは勇敢な冒険家でなくても、普通の人が冒険に出られる時代です。   それを可能にしてくれたのがChatGPTです。   どんどん変わっていく状況に適応して、行動しながら修正していく。   その変化をぜひ楽しんで、「好き」から始まる一歩を踏み出してほしいと思います。

伊藤 羊一と尾原和啓 著『努力革命 ラクをするから成果が出る! アフターGPTの成長術』

⇒ 「いかに失敗を減らすか」という発想は変えなければならない。


まとめ

note_見出し用 (1).png✅ 失敗は隠すものではなく、活かすものである。

✅ 主観的記述が知識化を可能にする。

✅ 失敗を「未知への遭遇」として受け止めよう。

どうしても起こしてしまう失敗に、どのような姿勢で臨むかによって、その人が得るものも異なり、成長の度合いも大きく変わってきます。
つまり、失敗との付き合い方いかんで、その人は大きく飛躍するチャンスをつかむことができるのです。

畑村洋太郎著『失敗学のすすめ』


⇒ 「失敗を知る者こそ、真に成功を語れる」


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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