- 投稿日:2025/10/14
日本酒を五十音で覚えるシリーズ、今回は「タ・チ・ツ・テ・ト」。
この行に並ぶ蔵はどれも、強い信念と味の芯を持つ造り手ばかり。
派手さではなく“哲学で語る日本酒”が揃っています。
それぞれの蔵がどんな風土の中で、どんな想いで酒を醸しているのか。
タ行は、まさに日本酒の「個性と職人魂」を感じる行です。
タは「玉川(たまがわ)」
京都・京丹後の木下酒造が手がける、熟成と旨味の世界。
蔵の看板杜氏は英国出身のフィリップ・ハーパー氏。
自然仕込み(無添加の酵母や乳酸菌)による野生的な発酵が生み出す味わいは、
酸味・旨味・香ばしさが共存する“骨太な酒”。
冷では重厚、燗にすれば驚くほどまろやか。
まるで「旨味を飲む」ような深さがあります。
おすすめペアリング:
・豚の角煮
・焼きサバ
・チーズ味噌漬け
チは「千代むすび(ちよむすび)」
鳥取・境港の千代むすび酒造。
山陰の冷涼な気候が生む、上品で香り高いお酒です。
果実のような吟醸香を持ちながら、口当たりは穏やかで食事に寄り添う。
“華やかだけど芯がある”——そんな絶妙なバランスが魅力。
冷やして軽やかに、常温でしっとりと、燗でふっくら。
三段変化が楽しめる万能型です。
おすすめペアリング:
・白身魚の昆布締め
・湯葉刺し
・アジの南蛮漬け
ツは「土田(つちだ)」
群馬・土田酒造。
“添加物を使わない酒造り”を徹底し、酵母無添加・山廃仕込みなど、
自然の力だけで発酵を進めるスタイルを貫いています。
その味わいは、酸の層が複雑で、香りよりも「余韻」で語る酒。
どこか哲学的で、飲むほどに深まるタイプ。
まさに“静かに燃える日本酒”。
おすすめペアリング:
・おでん
・きのこの炊き込みご飯
・味噌田楽
テは「田酒(でんしゅ)」
青森・西田酒造。
“米だけで酒を造る”という信念から名付けられた田酒は、
全国の酒好きが憧れる“純米酒の王道”。
米の旨味、香りの清らかさ、キレの良さ。どれを取っても非の打ちどころがない。
飲み口は柔らかいのに、どこか背筋が伸びるような緊張感。
「これぞ日本酒」と言いたくなる一本です。
おすすめペアリング:
・刺身盛り合わせ
・ホタテのバター焼き
・煮魚
トは「東洋美人(とうようびじん)」
山口・澄川酒造場。
名前の通り、香りも味も“美しい”の一言。
華やかな果実香と、透き通るような飲み口。
冷やで飲むとワインのような印象さえあり、
日本酒のモダンスタイルを牽引する存在です。
造り手・澄川宜史氏の哲学は「一杯で世界を変える日本酒」。
その言葉通り、繊細でありながら力強い余韻が残ります。
おすすめペアリング:
・カルパッチョ
・生ハムとチーズ
・冷製パスタ
まとめ
タ行の日本酒は、まさに“職人と哲学”の世界。
「玉川」:自然仕込みの力強さ。
「千代むすび」:華やかで寄り添う酒。
「土田」:自然発酵の深み。
「田酒」:米を極めた王道。
「東洋美人」:香りで魅せる美学。
この五蔵を飲み比べれば、日本酒の多様性と造り手の情熱が一目瞭然。
あいうえおで覚える——けれど、タ行を知ると“覚える”から“感じる”へ変わる。
次にボトルを選ぶとき、きっとタ行の棚があなたを呼んでいるはずです🍶✨