• 投稿日:2025/10/28
  • 更新日:2025/10/28
タイムバケットが背中を押してくれた ──40代最後の年、100kmマラソンへの挑戦

タイムバケットが背中を押してくれた ──40代最後の年、100kmマラソンへの挑戦

こたにん@高知ナス農家

こたにん@高知ナス農家

この記事は約7分で読めます
要約
タイムバケットを作ったのは数年前。 ずっと書いたままにしていた「100kmマラソン完走」という一行。 40代最後の年、仲間の言葉と家族の支えに背中を押されて、ついに挑戦しました。 その挑戦を通して気づいたのは、結果よりも「挑戦できる今」がどれほど尊いかということでした。

① いつかやりたい。でも「いつか」は永遠に来ない

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2023年2月、46歳でフルマラソン初のサブ4(4時間未満で完走すること)を達成しました。
そのとき心のどこかで「次は100kmマラソンに挑戦したい」と思いました。

でも、6月に四万十川ウルトラマラソンの募集が始まっても、
申し込みボタンの前で指が止まりました。

「まだ早い」「もっと練習してから」と言い訳を重ね、
“完璧に準備してから挑戦しよう”として、結局行動できなかったのです。

「40代のうちにできたらいい」と自分に言い聞かせていたけれど、
本当は“挑戦するのが怖かった”だけでした。

転機が訪れたのは、2025年2月。
48歳で迎えた愛媛マラソンを完走し、5度目のサブ4を達成した後のこと。

オフ会で出会ったウルトラマラソンの達人が、穏やかに言いました。

「フルマラソンをサブ4で走れるなら100キロマラソンも完走出来るよ。」

その言葉が心に深く刺さりました。
“自分にもできるかもしれない”――
そう思えたのは、この一言があったからです。

それまで自分を縛っていた「完璧に準備しなきゃ」という思いが
少しずつほどけていきました。

そして、タイムバケットに記入していた
「40代のうちに100kmマラソン完走」という言葉がずっと気になっていました。

「来年はもう50代。今挑戦しないと書いたことが嘘になる。」
その瞬間、心が決まりました。

“エントリー”ボタンを押しました。

愛媛マラソンで出会ったウルトラマラソンの達人にエントリーしたことを報告すると、
「僕もエントリーしたよ。」と同じ大会にエントリーしてくれていました。

② 40代最後の年に、ようやく踏み出せた一歩

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数年前から作っていたタイムバケット。
「40代のうちに100kmマラソン完走」と書いたまま、
ずっと行動に移せずにいました。

でも、愛媛マラソンで出会ったウルトラマラソンの達人の言葉が、
心の奥で止まっていた歯車を動かしました。

4〜6月は毎年仕事のピークで、ほとんど走れません。
今年も例外ではありませんでした。
それでも、7月からは「暑いから走るのをやめよう」と言い訳せず、
朝夕の涼しい時間を使って少しずつ走り始めました。

最初は暑さに体がついていかず苦しかったけれど、
“やらない理由”を探す代わりに、“できる工夫”を探すようになっていきました。
やがて、暑さに慣れてくると日中にも走るようになり、
「本番を想定して走る」ことを意識するようになりました。

熱中症や足の痛みもあり、計画通りには走れませんでしたが、
「今できることは何か?」を考えるようになっていました。
少しでも前に進もうとする気持ちが強くなっていたのです。

妻もそんな自分を理解してくれていて、
「大会が近づいたら、1日くらい私が仕事しておくから走ってきていいよ」
と言ってくれました。
その優しさが、何よりの励ましでした。

リベの仲間たちからも、「100kmマラソン頑張ってね」「応援してるよ」と
温かいメッセージをもらいました。
挑戦が“自分ひとりのものではない”と感じるようになりました。

大会前日は、ホテルが取れずに泊まった民宿が印象的でした。
そこは「一人でも多くのランナーを布団で休ませ、完走してもらいたい」という想いで運営されており、
初対面の人たちと雑魚寝でした。

年齢も職業もバラバラ。でも、みんな明日の同じゴールを目指す仲間。
70代で挑戦する人の話を聞いて、「年齢を言い訳にできない」と思いました。
まるで修学旅行のような夜で、笑い声と緊張が入り混じっていました。

また大会前日にリベの仲間で大会ボランティアをしている人にも会いました。
「みんなが安全に走れるように早朝と晩に道を照らしてるんです」と笑顔で話してくれました。
100kmを走るのは自分ひとりでも、
多くの人の支えがあってこそ――

走ることが“感謝”に変わった。
40代最後の年に踏み出せたこの一歩は、
ただの挑戦ではなく、「今を生きる覚悟」そのものでした。

③ スタート地点に立った時、もう勝っていた

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大会前夜。
愛媛マラソンで出会ったウルトラマラソンの達人と、
一緒にラーメンを食べ色々な話をして緊張が少し和らぎました。

朝が早いので普段は寝ない時間に寝ないといけないのでなかなか眠れず、何度も目が覚めました。
朝は2時40分に起床。
本当ならコンビニのおにぎりで済ませるつもりだった朝食を、
民宿の大将と女将さんが、わざわざ大会に間に合うように朝食を作ってくれていました。

その温かさに、「この挑戦はもう自分一人のものじゃない」と感じました。

外に出ると、まだ夜明け前。
空は曇っていましたが、雨は降っておらず、気温もちょうど良い。
スタート地点のたいまつの明かりが、ランナーたちの心も照らしていました。

ゲストランナーの猫ひろしさんの声が響きます。

「スタート地点に立っている皆さんは勝ったも同然です。」

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなりました。
「ここに立っている人たちは、逃げずにコツコツ走り続けてきた人たちなんだ。」

“挑戦すること自体が、すでに成果”なんだと実感したのです。
そう思うと、目の前の景色が輝いて見えました。

朝5時30分の号砲とともに、長い旅が始まりました。
足が動き出すと、緊張は不思議と消えていました。
“やったるでー!”という気持ちと、
“自分を信じて走り続けよう”という穏やかな心が共存していました。

沿道のボランティアの笑顔、たいまつの灯り、
まだ夜が明けきらない四万十の空。
そのすべてが「挑戦できる今」への祝福のように感じられました。

④ ゴールに待っていたのは、達成感よりも感謝

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70kmを過ぎた頃から、体が重くなり始めました。
給水所で立ち止まる時間が長くなり、
「あと30km」という数字の重さを感じていました。

85km地点。
背後から聞き覚えのある声がしました。
振り向くと、ウルトラマラソンの達人が立っていました。

「61kmのレストポイントで寝てたんだよ。君が先に行ってると知って、追いかけてきたんだ。」

胸が熱くなりました。
そこからは、達人が並走してくれました。
その存在が大きな支えでした。

苦しさが不思議と消えていき、
孤独な旅が“共有する時間”へと変わっていきました。

90km地点、照明係のリベ仲間を探しながら走りました。
結局会えなかったけれど、「次の照明にいるかも」と思うだけで
足が自然と前に出ました。

そして、ゴールゲートが見えた瞬間。
たいまつの明かりが道を照らし、沿道の声援が響きました。
「本当にここまで来られたんだ…」

ゴールテープを切った瞬間、浮かんだのは「ありがとう」だけでした。
達人、ボランティア、仲間、妻――
すべての力がこのゴールに導いてくれたのだと思いました。

挑戦は自分を試すものではなく、
「人の温かさに気づく旅」なのかもしれません。

⑤ タイムバケットは、未来の自分へのプレゼント

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ゴールして少し落ち着いた後、空を見上げました。
「逃げずに挑戦できた自分を褒めたい」
そして、また来年も挑戦したいと思いました。

達人とゴール後に一緒に撮った写真は、今でも宝物です。

タイムバケットの「100kmマラソン完走」がやっと叶ったというよりも、
「挑戦を恐れない自分になれた」ことが嬉しかった。

やらなかった後悔は残るけれど、やれば後悔は残らない。
結果よりも、「挑戦できたこと」こそが人生を豊かにすると感じました。

そして改めて思いました。
挑戦は一人ではできない。
家族、仲間、応援してくれた人たちが元気でいてくれることが、
挑戦の土台なんだと。

今後は恩返しの意味も込めて、
よさこい祭りや龍馬マラソンのボランティアにも参加したい。
そして、ずっと心にあった「屋久島の縄文杉」にも来年こそ会いに行きたい。

挑戦は、人と人をつなげ、人生を豊かにする力がある。
もしあの時、勇気を出して“エントリー”ボタンを押していなければ、
この景色も、この感謝も、手に入れることはできませんでした。

タイムバケットは、夢を叶えるためのリストですが、
未来の自分へ希望を贈る手紙でもあります。

これからも一つひとつの挑戦を通して、
感謝と出会いを積み重ねながら生きていきたいと思います。

🌸 おわりに

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挑戦することで、人は変われます。
そしてその変化は、周りの人の温かさの上に成り立っている。

行動できる“今”こそが、人生からの最高のプレゼント。
あなたも、タイムバケットをもう一度開いてみませんか?

この投稿が皆さんの挑戦する後押しになれると嬉しいです。

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こたにん@高知ナス農家

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この記事のレビュー(3
  • 会員ID:7iM5NKmk
    会員ID:7iM5NKmk
    2025/11/03

    初めまして、とても参考になりました。 私も愛媛マラソンでサブ4を達成して、次はウルトラ100kmと思っているところです。

    2025/11/04

    レビュー有り難うございます😊 ウルトラ100キロの挑戦を応援してます💪 どこかのウルトラマラソンでお会い出来ることを楽しみにしてます😄

    こたにん@高知ナス農家

    投稿者

  • 会員ID:A7D1Pmiu
    会員ID:A7D1Pmiu
    2025/10/29

    ウルトラマラソン完走お疲れ様でした 記事を読んで、うるっとくるものがありました。 素晴らしき記事をありがとうございます!

    こたにん@高知ナス農家

    投稿者

    2025/10/29

    投稿を読んでくださりありがとうございます😊 ざいおんさんが企画してくれた愛媛マラソンのオフ会のおかげで100キロマラソンに挑戦することが出来ました💪 すんばらしい出会いを作っていただきありがとうございました😄

    こたにん@高知ナス農家

    投稿者

  • 会員ID:dl5xG4VT
    会員ID:dl5xG4VT
    2025/10/28

    私は同い年だと思います。 すごい挑戦です! 尊敬します。 だから思わず反応してしまいました。 私も、年齢を言い訳にしないぞーー!

    こたにん@高知ナス農家

    投稿者

    2025/10/29

    レビューありがとうございます😊 アンまるさんの挑戦する背中を押すことが出来れば嬉しいです😄 お互い年齢を言い訳にせず頑張りましょう💪

    こたにん@高知ナス農家

    投稿者