- 投稿日:2025/11/15
- 更新日:2025/11/16
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』2023年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:佐々木裕一
東京経済大学コミュニケーション学部教授。一橋大学社会学部卒業。学部時代にフランス高等商業学院(HEC)に給費留学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了(博士政策・メディア)。電通、アーサー・ディ・リトル・ジャパン、NTTデータ経営研究所を経て大学教員に。2011~2013年カリフォルニア大学サンディエゴ校訪問研究員。
✅ YouTubeの「ハマり」は人間の意志ではなく設計の問題である。
✅ アルゴリズムと心理構造が連動して没入を生む。
✅ 能動的視聴より受動的ハマりが圧倒的に強い。
「ネット系動画」の1つの特徴は、利用者が動画を制作し、アップロードできる点にある。これは免許を持つ放送局が公共性も意識しながらある程度のマスに向けて製作するコンテンツとは異なり、多種多様なジャンルや内容が作られることを意味する。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
「気づけば1時間、YouTubeを見ていた」
多くの人が経験しているこの現象。
実は、あなたの“意志の弱さ”ではなく、スマホとアルゴリズムの設計構造に原因がある。
本書は、2020〜2021年に実施された調査データをもとに、「なぜ人はYouTubeにハマるのか」を科学的に解析した一冊だ。
そこから見えるのは、アテンション・エコノミー(注意の経済)に支配される現代の姿。
本稿では、著者が提示する3つの核心をもとに、「ハマりのメカニズム」を読み解く。
逆に、YouTubeのような媒体で稼ごうと考えるなら、利用していこう。
学術的な視点から人間を画面の中に引き込むのかをまとめている。
『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
YouTubeで稼ぐということは、他人の大量の時間を手に入れることだ。
月の再生数が10万回/100万回/1000万回であれば、広告からの収益額の目安はそれぞれ1万~3万円/10万~30万円/100万~300万円であるというものが1つの見解としてある。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
YouTubeチャンネルから収益を得る手法は主に5つ。
❶広告(アドセンス)
❷月額会員サービス(メンバーシップ)
❸スーパーチャット(投げ銭)
❹動画終盤に表示されるエンドロールからの商品販売サイトへの誘導
(ただし商品が購入された場合のみ)
❺YouTubeでのタイアップ広告(企業案件)
YouTube内での収益化にも種類がある。
実店舗への周知や認知のための広告まで考えると、その応用性は幅広い。
アルゴリズムが支配する注意経済──「おすすめ」が意思を奪う構造
動画を見ている君を、動画もまた見ているのだ。
「建築家は夫婦を仲良くさせることも離婚させることもできる」
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
⇒ 見ているようで、見させられている。
YouTubeの「おすすめ」機能は、単なる便利なガイドではない。
それは、ユーザーの興味・離脱タイミング・視聴履歴を常に監視し、「次にあなたが見たいと思うであろう動画」を自動で提示する、極めて戦略的な設計だ。
単に「おすすめ」機能と言っているが、大きく2種類ある。
「コンテンツマッチ」と「協調フィルタリング」である。
コンテンツマッチとは、アイテム同士の類似度を元に利用者にアイテムを推奨する方式であり、事前に各アイテムの特徴を数学的なベクトル量として把握している必要がある。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
このアルゴリズムは、私たちの「意志決定」を外部化する。
つまり、視聴者の“選ぶ自由”を奪い、プラットフォームの設計意図の中で行動を最適化させる。
それは「便利さ」と「没入感」を武器に、ユーザーをデータと広告収益の循環構造へと導く仕組みである。
特にスマホ環境では、通知 → 自動再生 → 無限スクロールという一連の導線が、人間の“意識のスキマ”を突くように設計されている。
アルゴリズムが常に行動を先回りし、次の刺激を用意することで、私たちは「見たい」よりも「見せられている」状態に近づいていく。
協調フィルタリングは、「Xが好きな利用者はYも好む傾向があるので、Xが好きなあなたにはYを推奨します」という利用者の類似度を元に推奨する考え方で最大の利点は蓄積されていく利用者行動データを活用できることである。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
この構造こそが、現代のアテンション・エコノミーの中核である。
視聴者の注意は「奪われる資源」と化し、YouTubeはその最大の“採掘場”となっているのだ。
情報推奨の仕組みである「コンテンツマッチ」と「協調フィルタリング」の組み合わせに踊らされてはいけない。
ジャンルが決めるハマりの質──心理報酬のメカニズム
好きなものだけを延々と君の視界に表示する。よりお好きなものを。
全体としては量と質に関わる過多感をある程度は抱えつつも利用者はスマホYouTubeでの動画視聴を楽しんでいる。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
⇒ あなたが“ハマる理由”は、動画ジャンルが決めている。
佐々木氏らの分析によると、視聴ジャンルは「ハマりのタイプ」を決定づける最大の要因である。
動画ジャンルは大きく6つある。
❶スポーツ・芸能・現場情報
❷消費・生活系
❸学びと社会情報
❹エンタメ
❺サブカル系
❻音楽
動画ジャンルによって視聴者の好みは異なる。
娯楽・Vlog・ゲーム実況などの「感情共鳴型」は、共感や癒し、安心といった感情的報酬を与える。
一方、教育・ビジネス・ドキュメンタリーなどの「知的報酬型」は、学習・達成感・自己成長といった認知的報酬をもたらす。
両者の違いは「目的性」にある。
前者は「気づけば見ている」時間消費型の没入。
後者は「学びたい」という動機から入る能動的な没入だ。
だが、最終的にどちらも視聴時間を最大化する設計に従う点で共通している。
さらに著者は、動画のサムネイル・タイトル・再生時間といった“動画構造”が視聴者の心理トリガーと密接に連動していると指摘する。
たとえば、「3分でわかる」「衝撃の真実」という短い刺激語は、脳内で報酬系を作動させ、ついクリックしてしまう。
そして、大した情報も得られず、動画の内容も実行もしないで次の動画を再生し始める。
つまり、私たちはジャンルを“選んでいる”のではなく、脳の快楽回路に最適化された映像設計に“選ばされている”のだ。
この「感情×構造×設計」の三層構造こそが、YouTubeがユーザーを離さない理由である。
「なかなか良いものをおすすめしてくれて、楽しめるしためにもなる。あまり動画を見つけるのがうまくない自分にとってはありがたい」という感覚だ。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
キーワード検索と推奨するアルゴリズムの組み合わせは実に合理的であることがわかる。
スマホが生む「無意識の没入」──社会が設計した中毒構造
私たちは何かに縛られていないと生きていけない。もちろん、私も。
YouTubeでは「音楽」を頻度高く視聴するものの、テレビでの「音楽番組」を頻度高く視聴してはいなかった点である。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
⇒ ハマりは個人の弱点ではなく、社会の設計である。
テレビの時代、人は決まった時間に“受動的に”番組を見ていた。
しかしスマホの登場によって、その受動性は“常時接続型”へと変質した。
もはや動画は「見る」ものではなく、「生活のすき間に流れ込む」ものになった。
著者はこの変化を「無意識の没入」と呼ぶ。
通知の振動がトリガーとなり、ドーパミンが放出され、脳が“次の報酬”を求めてアプリを開く。
この神経反応は、ギャンブルやSNS依存と同じ構造を持つ。
問題は、これが個人の意志では止められない設計であることだ。
そもそも内容が細分化されうるようなジャンルの場合は、テレビからYouTubeへの移行ということが起こりうることが示唆された。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
スマホは片手で扱える“携帯型テレビ局”であり、いつでもどこでも、あなたの集中力と時間を奪い取る。
その影響は心理的・社会的にも広がり、注意の断片化、思考の浅薄化、時間感覚の喪失を生み出している。
佐々木氏は結論づける。
「ハマりとは、プラットフォームが人間を設計した結果である」
つまり、私たちは自分の意志でハマっているのではなく、社会全体が“ハマるように設計された世界”で生きているのだ。
「通知」をよく利用する人は視聴するものがおおむね決まっていて、「通知されれば視聴する」程度の習慣も持っているのだろう。一方「キーワード検索」を2本目以降でもよく利用するような人は視聴するものが決まっているわけではなく、視聴の習慣化の程度は低いだろう。つまりどこかで知ったことをYouTubeアプリで都度調べて視聴するスタイルということだ。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』

ブリュノ・パティノ著『スマホ・デトックスの時代―「金魚」をすくうデジタル文明論』
アテンション・エコノミー(注意の経済)に注目した書籍。
金魚は金魚鉢の中を一周するたびに「未知の景色」と錯覚するという。
だが実際は、限られた水槽の中をぐるぐる回っているだけだ。
グーグルの調査によると、現代人の注意持続時間はわずか9秒前後にまで短縮しているという。
結果、長文を読むのが苦痛になり、本や映画を最後まで楽しむ力すら失われていくのだ。
気づかぬまま、私たちはガラスの内側を回り続ける金魚に似ている。
グーグルは金魚が継続して集中できる時間を、デジタル技術を駆使して突き詰めたという。 これが有名な注意持続時間だ。 その時間はわずか8秒未満だ。 8秒後には別のことに関心を抱き、金魚の世界はリセットされる。
ブリュノ・パティノ著『スマホ・デトックスの時代―「金魚」をすくうデジタル文明論』
アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』
特に問題なのは、発達期の子どもに対する影響である。
子どもの前頭葉はまだ未成熟であり、自己抑制機能が弱い。
そのため、スマホの刺激をより過剰に反応しやすい。
特に、世界のIT企業のCEOやベンチャー投資家たちの多くは、わが子のデジタル・デバイスへのアクセスを認めていないか、極めて厳しく制限している点は興味深い。
ゲームやSNSで得られるドーパミンの快感は、大人以上に強い依存を引き起こす。
また、長時間のスマホ使用は学力や集中力にも悪影響を及ぼす。
米国の研究では、1日2時間以上スマホを使用する子どもは、読解力や記憶力のテストで低い成績を示す傾向があることが分かっている。
IT企業のトップは、自分たちが開発した製品に複雑な感情を抱いている。 (中略) ジョブズの答えは「iPadはそばにおくことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
大人でさえ、夢中になるのだから無理もない。
三原聡子著『マンガケーススタディゲーム依存』
依存は「努力では治らない」脳の変化。
依存を「意志の弱さ」と誤解してしまう人は多い。
しかし、依存とは単なる怠惰ではなく、脳の報酬系が繰り返し刺激されることで起こる「神経回路の変化」である。
ゲームの勝利やレベルアップの瞬間、脳内ではドーパミンが分泌され、「快感と達成感」を強烈に刻みつける。
これが報酬系を強化し、同じ刺激を繰り返し求めるようになる。
最初は「暇つぶし」や「ストレス発散」だった行為が、次第に生活の中心に取って代わる。
授業中も仕事中もスマホのことが頭を離れず、現実生活に支障を来すようになる。
依存とは、対象にとらわれのめり込むあまり、ほかの生活に支障を来すことです。代表的なものにタバコやアルコール、薬物などの物質依存、ギャンブルやゲームなどに依存する行動嗜癖があります。そのほかにも人によってはさまざまな対象に依存することがあります。
三原聡子著『マンガケーススタディゲーム依存』
ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」
アーキテクチャー(architecture)は簡単に言えば、「システムの基本的な設計」
⇒ 「自由を守るには、自由を設計せよ」
ログイン制限や閲覧フィルターのように、ネット空間の「設計」が我々の行動をあらかじめ決めている。
彼は、「自由を守るために規制する」ことを主張した。
何も規制せず、自由に任せていれば、権力をもった企業や組織によって規制が行われ、人々の自由は縮小されていくと予想している。
いまは現実逃避の時代だ。われわれは分からないものに興奮させられている。 見えざる手に物事をまかせて堂々としている。 その手が「見えざる」のは、単にわれわれが別の方を向いているからだ。
ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」
オマケ
【本当は教えたくない】書籍と人に会って見えた!YouTubeで収益化するための7つの法則!
企業YouTubeでも『収益化の共通法則』は変わらない。
人に会い、大量の書籍を読んだシロマサル独自調査による黄金即7選を紹介中!
5万円するような情報商材を買うぐらいなら、ノウハウ図書館で書いたから一度見てってや~。
まとめ
✅ YouTubeの「ハマり」は人間の意志ではなく設計の問題である。
✅ アルゴリズムと心理構造が連動して没入を生む。
✅ 能動的視聴より受動的ハマりが圧倒的に強い。
YouTubeが目指すべきは、ユーザーを夢中にして、できるだけ長い時間をこのサイトで過ごしてもらうことだ。
佐々木裕一ほか著『スマホでYouTubeにハマるを科学する』
⇒ 「意志より設計が強い」
これがYouTube時代の真理である。
写真データの数十倍、数百倍の動画データが簡単にアップロードできる通信技術が生まれた。
この勢いは更に進化し、増大していく。
これもまた、メガトレンドである。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

