- 投稿日:2025/11/06
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はアンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』2020年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:アンデシュ・ハンセン
出典:Wikipedia
1974年生まれ。精神科医。スウェーデン・ストックホルム出身。ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得後、名門カロリンスカ医科大学で医学を学ぶ。『スマホ脳』『ストレス脳』『運動脳』が世界的ベストセラーに。科学ナビゲーターとしても各メディアで活躍中。
✅ スマホ依存は脳の仕組みによるもの
✅ 集中力・睡眠・メンタルに悪影響
✅ 対策は「意識」と「環境づくり」
生まれて初めて息を吸ってから、人生最後の吐息の瞬間まで、あなたの脳はたったひとつの問いに応えようとしている。
それは「今、どうすればいい?」という問いだ。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
「スマホをやめたいのにやめられない」
「寝る前につい見てしまう」
スマートフォンは現代社会における最も便利なツールのひとつであるが、そんな悩みを持つ人は多い。
本記事では、『スマホ脳』をもとに、なぜスマホが脳を支配するのか、どうすれば上手に付き合えるのかを科学的に解説。
『スマホ脳』
意志の問題ではなく、脳の構造に深く関わる科学的な現象である。
できるだけ長い時間その人の注目を引いておくにはどうすればいい?
人間の心理の弱いところを突けばいいんだ。
ちょっとばかりドーパミンを注射してあげるんだよ。
ショーン・パーカー(ファイスブック社元CEO)
私たちは目につくところに無くても、スマホがどこにあるのかを把握している。
スマホは「現代のドラッグ」
新しいことを学ぶと脳はドーパミンを放出する。
それだけではない。
ドーパミンのおかげで人間はもっと詳しく学びたいと思うのだ。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
⇒ スマホはドーパミンを刺激し、依存を生む。
スマホは単なる情報端末ではない。
それは「脳をハックする装置」である。
なぜなら、スマホを操作するたびに脳内でドーパミンが分泌されるからだ。
ドーパミンは「頑張って勉強した→成績が上がった→嬉しい!」のように、長期的な努力に対する報酬として分泌されるものであり、このシステムがスマホによって簡単にハッキングされてしまう。
ドーパミンは「報酬物質」と呼ばれ、快感や期待感をもたらす神経伝達物質である。
とりわけSNSやゲームは「予測不能な報酬」を与える設計になっている。
これは心理学で「変動比率強化スケジュール」と呼ばれる仕組みであり、カジノのスロットマシンと同じである。
変動比率強化スケジュール:行動の成功回数が予測できないランダムな間隔で強化(報酬)を与えることで、行動の頻度を高く維持し、消去(行動がなくなること)を抵抗させる手法。
例として、パチンコやスロットなどのギャンブル、ソーシャルゲームのガチャ、ゲームのランダム報酬も行動が習慣化・持続しやすくなる。
近年、特に気をつけなければならないのは「ショート動画」だ。
脳は「新しい情報」に強い快感を感じやすい。
よりドーパミン(快楽物質)の分泌を促し、脳内の報酬回路を強く刺激する。
AIレコメンド機能もあるので、「視聴がやめられない状態」に陥りやすい。
その結果「もっと見たい」と感じ、やめにくくなる。
ショート動画は気軽で楽しい一方、「中毒性」「集中・思考力低下」「精神・生活への悪影響」など多面的なリスクを伴っている。
チャンネル登録者数や自分のお店の宣伝といった「作る側」には良いアイデアだが、「見る側」にとっては非常に危険な代物である。
いつ通知が来るかわからない。
だからこそ、私たちは何度もスマホを確認してしまう。
やめられないのは意志の弱さではなく、脳の仕組みの問題だ。
「報酬」と「情報」を常に探求したいと考えている私たちは1日に2600回以上スマホをタッチし、平均して10分に1度スマホを手に取っている。
スマホがなければ、自分の世界が崩壊すると思ってしまうほどに…。

アンナ・レンブカ著『ドーパミン中毒』
ドーパミン:脳内で合成される神経伝達物質。
「脳を喜ばせる」ホルモンの一種。
つまり、中毒を生み出す要因。
ドーパミンは良くも悪くも、人間に行動する動機を与えてくれる。
Feeling good, feeling good, all the money in the world spent on feeling good. (気分がいいこと、気分がいいこと、世界中のお金はすべて気分がいいことに費やされる。)
アンナ・レンブカ著『ドーパミン中毒』
集中力と記憶力の低下
「知りたい」という集中力は、生きる上で喜びと苦悩をもたらす。
画面ばかり見ていると、知能が犠牲を払わされるのはわかっている。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
スマホに触れた世代は過去から数千世代のうちの2,3世代だけだ。
人間の進化スピードがスマホに適応できるわけがない。
本や活字は、紀元前の粘土板やパピルス文書から始まっているので、まだ適応できる時間が十分にあった。
⇒ スマホがあるだけで人間の集中力は奪われる。
スマホは集中力を著しく低下させる。
その理由は「注意資源の分散」にある。
ある研究によると、机の上にスマホが置かれているだけで、集中力テストの成績が下がることが示されている。
たとえ電源がオフになっていても同じ効果がある。
脳は「スマホからの情報が来るかもしれない」という可能性を処理し続けているからだ。
この「無視するための認知的負荷」は、脳のワーキングメモリの10%近くを消耗するという報告もある。
さらに記憶力の低下も深刻だ。
検索エンジンやSNSに頼りきる生活は、「情報を覚える必要性」を低下させる。
その結果、記憶の定着が弱まり、「すぐ調べればいい」という癖がつく。
この現象は「デジタル健忘症」とも呼ばれる。
ただ、素早い意思決定の「道具」として活用されているうちは問題ない。
アナログとデジタル。できれば両方使いたい。

カル・ニューポート『A World Without Email』
脳には「アテンション・キャピタル(注意力資産)」があると語る。
タスク(作業、仕事)の切り替えが起こると注意力が激減してしまう。
スマホの通知はまさにこれである。
Do less Do better(少数に絞る方がより多くのことができる)
『超没入 メールやチャットに邪魔されない、働き方の正解』
子どもへの深刻な影響
明るいところで見るか、暗いところで眠るか、どっちかにしなさい。
IT企業のトップは、自分たちが開発した製品に複雑な感情を抱いている。
(中略)
ジョブズの答えは「iPadはそばにおくことすらしない」、そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
スクリーンタイムは画面に触れる活動全般の時間のこと。
⇒ 発達中の脳はスマホに弱い。
特に問題なのは、発達期の子どもに対する影響である。
子どもの前頭葉はまだ未成熟であり、自己抑制機能が弱い。
そのため、スマホの刺激をより過剰に反応しやすい。
特に、世界のIT企業のCEOやベンチャー投資家たちの多くは、わが子のデジタル・デバイスへのアクセスを認めていないか、極めて厳しく制限している点は興味深い。
ゲームやSNSで得られるドーパミンの快感は、大人以上に強い依存を引き起こす。
また、長時間のスマホ使用は学力や集中力にも悪影響を及ぼす。
米国の研究では、1日2時間以上スマホを使用する子どもは、読解力や記憶力のテストで低い成績を示す傾向があることが分かっている。
これは「ながら使用」による学習効率の低下が原因と考えられる。
また、スマホを近くに置くことで脳が「覚醒状態」を維持してしまう。
実際、寝室にスマホを置く人は、睡眠時間が平均で30分短くなるという報告がある。
睡眠不足はうつ症状や不安障害のリスクを高める。
精神の健康を守るためにも、スマホの使用時間や利用環境を整えよう。

齋藤考 著「本当の『頭のよさ』ってなんだろう?」
スマホ以外に夢中になれることを増やすのも大事である。
好きなことをとことん追求することで、楽しさと成功の両方を手に入れられる。
無理やり取り上げるよりも、もっと面白いことを見つけさせる方が健全かもしれない。
夢中になれる力は、さまざまな場面で生かされる。自分の新たな可能性を知るためには、「好きなこと」をどんどん増やしていくのがよい。好きなことを増やすには、「食わず嫌いにならないこと」が大切だ。つまり、好奇心を持つこと。知らない世界に踏み込めば、新たな興味が開けるかもしれない。
齋藤 考 著『本当の「頭のよさ」ってなんだろう?―勉強と人生に役立つ、一生使えるものの考え方』
スマホ依存対策のヒント
運動しているときこそ、見ない工夫を。
脳は身体を動かすためにできている。
そこを理解しなければ、多くの失敗を重ねることになるだろう。
マイケル・ガザニガ(カリフォルニア大学神経科学教授)
⇒ 「物理的な距離」と「代替習慣」がカギ。
スマホ依存を防ぐには、「意志」だけでは不十分である。
脳科学的には、環境を変えることが最も有効な戦略だ。
以下に実践的な対策を示す。
①寝室にスマホを持ち込まない
目覚まし時計を別途用意し、寝る1時間前にはスマホを別の部屋に置く。
②通知をオフにする
特にSNSやゲームのプッシュ通知は依存を強める。
必要なもの以外はすべてオフにする。
③スクリーンタイムを設定する
iPhoneやAndroidには使用時間を制限する機能がある。
強制的にアプリをブロックする仕組みを使う。
④デジタルデトックスデーを作る
週末の半日だけでもスマホを手放す時間を作る。
代わりに散歩や読書、運動を取り入れる。
⑤代替習慣を見つける
スマホを触りたくなったら、深呼吸する。
軽いストレッチをするなど、別の行動を定着させる。
特に、軽い運動は体中の血液を動かし、集中力の増加につながる。
脳は数百万年という長い時間をかけて進化してきた。
人類が最も長く行ってきた活動は「狩りや採集」である。
身体を動かすことは、太古の昔から行ってきたライフハック(より快適に過ごすための工夫)である。

カル・ニューポート著『デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方』
スマホにはこれまでに世界中で何十億、何百億もの資金が投じられている。
私たちの意志が弱いわけではなく、「いかにスマホを使ってもらえるか」に全力が注がれている。
触ってもらう=お金を払ってくれる機会を得られる。
ガジェットやアプリは巨万の富を得られることに稼ぐ人は気づいている。
まとめ
✅ スマホ依存は脳の仕組みによるもの
✅ 集中力・睡眠・メンタルに悪影響
✅ 対策は「意識」と「環境づくり」
スマホというテクノロジーが、人間を2.0バージョンにするよりも、むしろ0.5バージョンにしてしまうのだ。
アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
⇒ スマホは便利だが、脳をむしばむ危険もある。
スマホはもはや生活必需品であり、完全に手放すことは現実的ではない。
しかし、脳の仕組みを理解し、適切な距離を保つことは可能である。
依存を防ぐカギは、「意志ではなく環境を整える」こと。
すぐ調べられるのは重要だが、その調べた情報をどうするかは、自分の頭で考えなければならない。
2020年発行であるこの本は古い情報だろうか?
私はそう思わない。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

