- 投稿日:2026/01/25
「校正をお願いしたいけれど、メニューがいろいろあって迷う」
「校正?校閲?素読み?違いがよく分からない」
現場でもそんな声をよく聞きます。
実はこの3つ、役割も、見るポイントも、守っているものも違います。
違いを知らないまま依頼してしまうと、
「見てほしいところを見てもらえなかった」
「そこまでのチェックは求めていなかった」
といったズレが起きてしまいます。
今回は、これから人に校正校閲を頼みたい方に向けて、
「校正」「校閲」「素読み」
それぞれの違いを、できるだけ分かりやすく整理します。
校正とは、表記や文章の「整合性」を見る仕事
そもそも校正の「校」には「比べる」という意味があります。
つまり校正は、資料や指示書と原稿を「比べて」、誤りを「正す」作業を指します。
校正でチェックするのは、
●誤字脱字
●表記ゆれ(漢字/ひらがな、全角/半角など)
●記号や数字の使い方
●体裁(文字の位置、罫線の太さなど)
といった形式的な整合性についてです。
明確な正解が多いため、AI校正が最も力を発揮しやすいのが、この「校正」です。
ただし、人の校正では
❌ルールとして正しいかだけ見る、のではなく
⭕️全体を通して読みやすいか、という視点でもチェックします。
校閲とは、内容の「信頼性」を見る仕事
「閲」は「調べる」ことを意味します。
そこから校閲は、内容の正しさや事実関係を「調べて」、文章の品質を担保する作業を指します。
校正が形式的に整えることを目的にしているのに対し、校閲は論理の整合性や不適切な表現をチェックし、信頼性を守ることを目的にしています。
つまり校閲は、校正よりも一歩踏み込んだチェックです。
校閲でチェックするのは、
●事実関係は正しいか
●数字・日付・固有名詞に誤りがないか
●内容が矛盾していないか
●読み手を誤解させる表現になっていないか
といった内容の正確性についてです。
たとえば、とあるお店の宣伝の投稿に
2026年4月1日(木)に新商品発売!
所在地:京都府日向市~
と書かれていたとします。
ここで、違和感に気づいた方はいらっしゃいますか?
カレンダーを見ていただくと、2026年4月1日は水曜日ですので、
2026年4月1日(水)
or
2026年4月2日(木)
どちらが正しいか、事実確認を促す指摘を書き込みます。
また、京都府にあるのは向日市(むこうし)、日向市(ひゅうがし)があるのは宮崎県ですので
京都府向日市
or
宮崎県日向市
この場合も、正しい所在地について確認を促します。
書き手にとっては単なる誤字やうっかりミスでも、読み手からの信頼は簡単に損なわれてしまいます。
それを防ぐために校閲は、こうした「一見それらしく見える誤り」を丁寧に拾い、指摘や疑問を書き込んでいます。
素読みとは、「読み手がどう感じるか」を見る仕事
素読みに「校」の字が入っていないことからもお分かりの通り、原稿を資料などと「比べる」突き合わせはしません。
「素読み」は、原稿単体で通し読みし、全体の流れや印象、違和感の有無を確認する作業を指します。
結果として誤字脱字や不自然な表現に気づくことはありますが、それは副次的なものです。
メインの目的は「読み手の受け取り方」を確認すること。
あえて言うならば、第三者としての率直な読後感チェックです。
素読みでチェックするのは、
●読みづらくないか
●引っかかる表現はないか
●冷たく感じないか
●逆に軽すぎないか
●書き手の意図は伝わっているか
といった違和感の存在です。
一文一文は正しくても、
「なんとなく不安になる」
「なんとなく読み進めづらい」
と感じてしまう文章は存在します。
その「なんとなく」という違和感を解消するため、素読みを行います。
SNS投稿、プロフィール文、サービス紹介文など、印象がものを言う文章で、特に力を発揮します。
「どれを頼めばいいか分からない」場合は?
「校正」「校閲」「素読み」
3つそれぞれ紹介しましたが、実は完璧に使い分けられているものではありません。
校正として依頼された場合でも、どうしても気になる点があり、
⭕️校閲の観点から、事実確認を促す
⭕️素読みの観点から、修正の提案をする
なんてことは日常茶飯事です。
大切なのは、
●どこに出す文章か
●誰に読まれるか
●その文章で何を守りたいか
というゴールを添えて依頼することです。
たとえば、
●社外に出る正式な文章 → 校正+校閲
●Webサイトやサービス紹介 → 校正+素読み
●SNSやプロフィール → 素読み
といったように、目的に合わせて使い分けたり、組み合わせたりすることが大切です。
校正校閲の指摘は「絶対服従の正解」ではない
よく誤解されるのですが、私たち校正校閲は、書き手の代わりに文章を決める仕事ではありません。
書き手の意図を尊重しながら、
●読み手にどう届くか
●誤解される余地はないか
●信頼を損なう可能性はないか
を一緒に確認する仕事です。
これらを踏まえて指摘や疑問を書き込んでいますが、書き手はそれにまるっと従う義務はありません。
なぜなら、一番大切なのは書き手の意志や意図だからです。
校正校閲は信頼低下のリスクを回避するため、守りに入った表現を提案しがちです。
しかし書き手が
●リスクを承知で、あえて強い表現を使いたい
●読み手に刺さってほしいからこそ、この言葉を使いたい
という意思・意図があるのならば、校正校閲の指摘をすべて受け入れる必要はありません。
大切なのは、リスクを把握したうえで、伝えるのに適した表現を選びとることだからです。
そのお手伝いをするためにぜひ
「何を大切にしたい文章であるか」
を共有していただけると、校正校閲の精度は上がり、安全装置としての本領を発揮できます。
まとめ
どのメニューで依頼したらいいか迷ったら「文章の目的」から選びましょう。
「校正」「校閲」「素読み」の違いは、見る場所の違いです。
●文字や体裁を見てほしい → 校正
●内容を見てほしい → 校閲
●印象を見てほしい → 素読み
目的に合わせて適したメニューを選び、校正校閲を文章品質の安全装置として活用していただけたらと思います。
次のコラムでは、実際に人に校正校閲を依頼したあとの
「入れられた指摘の種類」「指摘への向き合い方」
について、触れていきたいと思います。