- 投稿日:2026/02/13
はじめに
日本酒の味わいを決める要素はいくつもありますが、その中でも「酒米」は酒質の骨格を形づくる最も重要な要素の一つです。
特に長野県は、寒冷な気候と山岳地帯特有の水質を活かし、地域に適した酒米開発を積極的に進めてきた県として知られています。
現在、信州酒の中心を担っているのが 美山錦・ひとごこち・山恵錦 の3品種。
それぞれが異なる酒質を生み出し、同じ長野の酒でも「味の方向性の違い」をはっきり体感できるのが魅力です。ここでは、それぞれの特徴と代表的なおすすめ酒を紹介しながら、酒米の違いによる楽しみ方を詳しく解説していきます。
美山錦
シャープでキレのある味わいを生む寒冷地型酒米
美山錦は長野県を中心に東北・北陸でも広く栽培される酒米で、寒さに強く、冷涼な地域で安定して品質を保てることが大きな特徴です。心白が現れやすく溶けやすいため、雑味を抑えたクリアな酒質に仕上げやすく、すっきりした飲み口と鋭いキレを持つ酒になりやすい傾向があります。
食中酒としての完成度が高く、料理と合わせることで真価を発揮するタイプの酒米といえるでしょう。
おすすめの日本酒
MIYASAKA 純米吟醸 美山錦(宮坂醸造|長野県)
ペアリング
信州そば
白身魚の塩焼き
カプレーゼ
そばの繊細な香り、白身魚の淡い旨み、トマトの酸味など、繊細な味の料理と合わせることで、酒の透明感がさらに際立ちます。
ひとごこち
香りと旨みのバランスに優れた万能型
長野県で開発された酒米「ひとごこち」は、大粒で心白が安定して出ることから、造り手が設計した味わいを表現しやすい品種です。
香りが出やすい一方で味の厚みも確保しやすく、華やかさと旨みのバランスが非常に良い日本酒に仕上がる傾向があります。
そのため、単体で楽しむ酒としても、食中酒としても幅広く活躍する、いわば信州酒の万能エースともいえる存在です。
おすすめの日本酒
御湖鶴 純米吟醸 ひとごこち 無濾過生原酒(諏訪御湖鶴酒造場|長野県)
ペアリング
野沢菜漬け
鶏の塩唐揚げ
クリームチーズ
塩味・油分・乳製品など、味の強さがある料理とも調和しやすく、香りの華やかさと旨みの広がりが食事を一段豊かにしてくれます。
山恵錦
なめらかな口当たりと整った余韻を生む新世代酒米
山恵錦は長野県が近年開発した比較的新しい酒米で、耐冷性や栽培の安定性に加え、酒にした際のなめらかな口当たりと上品な余韻が評価されています。
味わいは派手すぎず、軽すぎず、バランスの整った酒質になりやすく、近年急速に採用蔵が増えている注目品種です。
飲み疲れしにくく、料理とゆっくり合わせながら楽しむタイプの日本酒を生み出しやすい酒米といえるでしょう。
おすすめの日本酒
夜明け前 山恵錦 純米大吟醸(小野酒造店|長野県)
ペアリング
野菜のおやき
湯豆腐
生ハム
優しい甘みや旨みを持つ料理と合わせることで、酒のなめらかさと余韻の美しさがより引き立ちます。
まとめ
長野県の酒米は、寒冷地に適した品種改良の歴史と、地域の酒造り文化が結びついて発展してきました。
シャープでキレのある味を生むタイプ、香りと旨みのバランスに優れた万能型、そしてなめらかな余韻を生む新世代品種。酒米を意識して飲み比べることで、信州酒の奥行きは格段に広がります。