• 投稿日:2025/01/04
  • 更新日:2025/10/01
ハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」:スターバックスの低迷から復活への原点回帰

ハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」:スターバックスの低迷から復活への原点回帰

シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
2008年、スターバックスは急成長の影で低迷していた。創業者シュルツがCEOに復帰し、徹底的な原点回帰を実施。店舗の品質向上、顧客との絆再構築、無駄の排除を通じて、再び成長を遂げた成功の物語を紹介。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」2011年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。


著者:ハワード·シュルツHoward_Schultz_by_Gage_Skidmore.jpg出典:Wikipedia

スターバックスコーヒーカンパニー会長兼CEO,1982年、まだ4店舗しかなかったスターバックスコーヒーカンパニーにマーケティング責任者として加わり、シアトルへ移る。その後、スターパックスを買収し、同社を高い企業倫理で知られる世界的なコーヒチェーンへと育て上げた。タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど受賞歴多数。


_000.pngスターバックス(Starbucks)

公式サイトhttps://www.starbucks.co.jp/?nid=mm

世界に約90カ国以上で事業展開、日本だけで1700店舗以上。

カフェ業界の競争が激しい中で着実に店舗数を増加している。


0000000.png222.pngスコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』

こちらはナイキとスタバのブランド構築に携わった人物の書籍。

2000年初頭に書かれた、企業ブランディング論。

ブランドは上手な戦略。下手な戦略。合格点以下の戦略。問題外の戦略の総和である。

スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』

今回話す内容にも大きく影響してる。


00000.png✅ 低迷から復活する鍵は「らしさ」の徹底追求。

✅ 店舗拡大とブランド維持の両立は難しい。

✅ 改善や修正は即座に行うべし。


スタバは2007年頃、実は世界中で低迷していた。

本書は急成長企業が低迷から成長に回帰するストーリーを学べる一冊。

著者は創業者のシュルツ。

スタバを創業し、15年間成長させ続けた後、CEOを後任に譲り、2007年当時は会長職に専念していた。

店舗も順調に拡大し、売上も利益も一見順調。

しかし、来店客の伸びが明らかに減っていく…。

そんなところから物語は始まる。


2008年、スターバックス再生物語

低迷の始まり

来店客1人当たりの支払額が減り始め、来店客の伸びが顕著に落ち込んでいた。

シュルツは「スタバの本質的な何かが失われた」と感じていた。🤔


実際に店を訪れると、狭い店内で肩をすぼめて座らされる。

挽き立てのコーヒー豆から立ち上る豊かな香りが消え、味は落ちている。

何故か、香りが強いチーズの臭いが漂っていた…。


0.png原因は効率化を優先したため。

・大量出店のために店舗デザインの簡素化。

・効率化のためコーヒーの粉を袋詰めして出荷・保管する方法に変更。

・研修不十分なバリスタが客にコーヒーを淹れる。つくり置きもあった。

・当時、米国の消費者レポート誌が行ったコーヒーの味のテストで、スタバはマクドナルドよりもまさかの低評価。

・香りが強いチーズを使った朝食用サンドイッチを販売した。

「今週のサンドイッチの売上は目標を大きく上回りました!😊」と得意顔で報告する店長もいるほどだった。


2007年、急速な店舗拡大によりスターバックスの強みが薄れた。

効率化優先の結果、コーヒーの香りや顧客体験が損なわれていたのだ。

本来、スターバックスが提供してきたのは、「第三の場所」だった。


スターバックスの創業当初。チーム内でブランド方針の対立があった。

スターバックスはフードサービス業であると主張。 もう一方はスターバックスは逆に一杯のコーヒーで元気を提供するビジネスなのだと主張した。

スコット・ベドベリ著『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』

スターバックスは由緒ある伝統的なコーヒーハウスを目指していた。

しかし、スタバは自らの手で、「スタバ体験」をコモディティ化してしまった。

つまり、「客の腹を満たすフードサービス業」になっていたのだ。


00.pngコモディティ化:機能や品質などの差別化が薄れて一般化すること

これが起こると、価格や量を判断基準に購入されるようになり、低価格競争が余儀なくされる。


⇒ 2008年、シュルツはCEOに復帰し、即座に改革を実施した。


シュルツの復帰と改革

創業者の情熱が導いた決断

シュルツはCEOに復帰した際に、こう考えた。

00000000.png「原点回帰」する。

・しかし歴史を守るのでなく、改革や革新の気風に結びつける 。

・過去の間違いは責めない 。

・戦略や戦術では混乱は乗り切れない。

・何よりも、「即座に実行すること」

そして、「手を付けないこと」を明確にした。


全米7100店舗を一斉休業し、バリスタ13万5000人全員を再研修。

エスプレッソマシンも高性能なものに一斉に入れ替えた。

コーヒー豆を店で挽く方針に戻し、1時間経ったコーヒーを捨てるルールを30分に改めた。

休業で売上600万ドル(6億円)を失ったが、コーヒーの品質は向上した。

臭いが強い朝食用サンドウィッチは販売停止、臭いが少ない商品を開発。


また、コーヒー豆の調達・焙煎・包装・倉庫管理・店舗配送を担うサプライチェーンは未熟なまま急成長し、店舗にしわ寄せがいっていた。

店が注文しても、時間通り配送されるのは35%だけ。

お客さんに商品を提供できないことも多かった。

業務システムも古く店舗作業が増えていた。

POSを一新、最新型パソコンも導入した。

全体のプロセスを見直して簡素化し、徹底的にムダを省いた。


⇒ 即座に徹底した品質改善と文化再構築を目指した。

00.pngサプライチェーン:原材料の調達から生産、加工、流通、販売に至るまでの一連の流れを指す経営用語。

POSシステム:商品が販売された時点での情報を記録・管理するシステム。POS(ポス)は「Point of Sale」の略。


0000000.png190.png堀埜一成 著「サイゼリヤ元社長が教える 年間客数2億人の経営術」

スタバとは違う飲食店でも同じことが言える。

企業における「当たり前」を徹底する姿勢が重要である。


では、「手を付けないこと」とは何だったのだろうか?


人と文化への投資は減らさない。

スターバックスは、社員との絆を大切にした。

健康保険制度が未成熟な米国で、スタバは充実した健康保険を全従業員に提供していた。

しかし、コストが急増する原因にもなっていた。

「廃止すべし」という声も多かったが、それでは大切な店舗スタッフとの信頼が失われる。

この部分は費用がかかっても、手を付けずに維持した。

それでも仕方なく、600店舗を閉鎖。

その際、可能な限り店舗スタッフに新しい職を斡旋した。


また、顧客体験を中心に据えた戦略を採用した。

顧客がスタバ改善のアイデアや意見を自由に投稿でき、アイデアに顧客が人気投票できる「マイスターバックスアイデアドットコム」(My Starbucks Idea.com)を開設。

当然、社員が対応するので、コストは増える。

しかし、開設して24時間で7000件のアイデアが寄せられ、1週間で4万1000件のアイデアに10万人が投票した。

スターバックスのWiFiサービスやポイントカードなどもここから生まれた。

より顧客と密にコミュニケーションをとり、顧客が事業活動に参加するような「双方向」でのマーケティング活動に重きを置き、「見える化」した。


0.png⇒ 健康保険維持や顧客との対話を重視。

「スタバは人々にコーヒーを提供するコーヒービジネスではない。人々にコーヒーを提供するピープルビジネスなのだ。スタバの文化を守るという無形の価値を理解していない。」

ハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」

『なぜみんなスターバックスに行きたがるのか?』で語られるように。

ブランドは社員や顧客の行動で形作られる。


2009年、スタバは再び成長を始めた。わずか1年のことである。

シュルツは「規律のない成長を戦略としたため、スターバックスは道を誤ってしまった」と語る。

「創業者の強みは、会社の基盤となるブロックの一つひとつを知っていることだ。」(中略)「スタバは世界に通用する「スタバらしさ」という価値観を持っていたおかげで急速にグローバル化し、「らしさ」を見失って低迷し、再び「らしさ」を徹底追求して復活したのだ。

ハワード·シュルツ著「スターバックス再生物語」


まとめ

247.png⇒ 改善や修正は即座に行うべし。

⇒ 急成長は原点を忘れがちになる。

⇒ 徹底して“らしさ”を磨き続ける姿勢。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆_.png

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この記事のレビュー(3
  • 会員ID:l65BwAqo
    会員ID:l65BwAqo
    2025/01/04

    全店を一斉休業し、バリスタ全員を再研修したというエピソードには、本当に驚かされました🫢 一時的な利益を犠牲にしてでも、長期的な視点で品質を改善することの大切さを強く感じます。 私の会社のトップがこのような大きな決断をするのは難しいかもしれませんが、現場の立場からでも改善できるところを見つけて実践していきたいです。

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者

    2025/01/04

    いつもお世話になっております。 スタバには「手持ち資金」と「社員ロイヤルティ」があったこと。 トップが「企業ブランドを理解していた」3点が大きいです。 もし、現場からの場合は小集団で小さな改善を積み上げるほうが良いです。本記事の「トップダウンからの改善手法」との混同は注意です。

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者

  • 会員ID:2XYmMdqS
    会員ID:2XYmMdqS
    2025/01/04

    シロマサルさん🌱 『らしさ』の徹底追求は最高です😎🍆

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者

    2025/01/04

    ゆう@気ままなナスビ🍆様。 いつもお世話になっております🍀✨ 自分が心地よい状態も「らしさ」ですね😎

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者

  • 会員ID:dzJmxlhb
    会員ID:dzJmxlhb
    2025/01/04

    スタバってこうやって復活したんですね・・・👀低迷して少しずつ復活してきたのは知ってたんですが、原点回帰や改善や修正をすぐにしていったことで今のスタバがあるんですね。勉強になりました!ありがとうございます!☺️

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者

    2025/01/04

    あらお@ノウハウ図書館がんばり中!様。 いつもお世話になっております<(_ _)> 修正が早かったのはCEO自身が問題点に気づけていたからだと思います。🤔 元々、リピーター(既存顧客)が多く、専用のサイトで顧客に顧客ロイヤルティを高めるアイデアを得られたのも大きいです。💡

    シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

    投稿者