- 投稿日:2024/12/18
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はマキアヴェッリ著『君主論』(1532年発行)をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:マキアヴェッリ出典:Wikipedia
ニッコロ・マキャヴェッリ。
マキャベリ、マキアヴェッリと、いくつかの表記ゆれがある。
フィレンツェの政治思想家。1469年生まれ。少年時代より独学で古典教養を身につける。外交·内政·軍事の官僚政治家として国内外で活躍、さまざまな君主と身近に接する機会をもつ。政変によって追放処分を受け、失意の日々に「君主論』を執筆、没後出版された。当時は権謀術数に長けた非道な思想家とされたが、19世紀になって人間を冷徹な目で観察し、科学的に認識した人物として評価される。
『君主論』は誤解されている。
実は1527年没。『君主論』は1532年発行。
つまり、写本で読まれたものが刊行された。
「本」が世界に誕生した時期は諸説あるが、いま図書館や書店に並んでいる、「目次があり、ページ番号がつけられ、持ち運びやすいサイズの本」(現在の形式)は、15世紀(1401年 – 1500年)頃とされている。
当然ながら、そんな書籍は手に入らないし、読めない。
なので、1998年の岩波文庫版である。
岩波文庫は書物を安価に流通させ、多くの人々が手軽に学術的な著作を読めるようになることを目的とした日本初の文庫本。
本書ほど、読まれずに批判される本は中々ない。
マキャベリズムというと…。
「いかなる権謀術数であっても、政治目的のためなら許される」
手段を選ばない冷酷なリーダー像をイメージされる。🧐
「自国民を結束させ忠誠を誓わせるためには、君主は冷酷という悪評はなんら気にかける必要はない。憐れみ深くて混乱を招くよりは、はるかによい」
マキアヴェッリ著『君主論』
まあ、大方のイメージは間違っていない。
しかし、本書の本質は有事のあるべきリーダーの姿を示した点にある。
その前に本書を理解するには、"厄介なこと"に当時の状況を知る必要がある。
面倒なら飛ばしてOKです😅
マキアヴェッリ登場前のイタリア🇮🇹フィレンツェは、平穏な時代が続くルネサンス全盛期だった。
そのため、本書以前の君主論の内容は「君主は謙虚であれ。そして尊厳と慈愛を備えよ」だった。
しかし、ロレンツォ死後は動乱の時代に突入。
フランスやスペインも攻め入ってきた。
この時期、マキアヴェッリはフィレンツェ政庁の書記官に任命され、外交交渉などを15年間担当。
温厚だが凡庸な君主でも平時は問題ないが、戦時下では優柔不断さが命取りになる。
君主はスペイン軍が攻めてきても決断を先送りし、最後は逃げた。
マキアヴェッリは失脚し、冤罪で拘束。
牢獄で理不尽な拷問を受け、2週間後に釈放。
その後、山荘で執筆活動を始めた。
まぁ、そう書くよな…。😅という経緯である。
失意のマキアヴェッリは「将来性ある大ロレンツォの孫に自分の能力を売り込んで政治に復帰しよう」とひらめく。
本書を5カ月で一気呵成に書き上げて献上した。
本書は、マキアヴェッリが気合いを入れて書いた就活論文。
まさに、「熱意」「本音」「エネルギー」の塊。
私たちが本書から学べることは多い。
「負」のエネルギーを「正」の作品にしているアンガーマネジメントも参考になる。
歴史には敬意を払うべし。
「知は力なり」
ものごとを深く知ることは大きな力である。
改めて、本書の本質は有事のあるべきリーダーの姿を示した点にある。
では、本題に入ろう。
1. 君主論の基本哲学
本書は、
❶君主国の統治パターン
❷軍事関連
❸君主のあるべき姿
❹運命論
の4部分に分けられる。
❸と❹が主にリーダーシップに関係する。
本書の基本スタンスは、意外なことに「民衆ファースト」。
君主を支えるのは民衆。
民衆の信頼を得ることが国の安定と繁栄につながると考えている。
これは日本の戦国時代も同じ。
領国の民を豊かにしようと心を砕いた。
民の豊かさが国力に直結し、国力が強い武力を生み、安泰につながると理解していた。
⇒ 現代の企業でいえば、顧客と従業員の満足度向上が組織の目指す姿勢である。
現代の企業経営でも、従業員が存分に力を発揮できる場をつくり、顧客に支持されることが企業の力に直結する。
2. 理想のリーダー像
冷酷さと慈悲のバランス
リーダーに必要なのは冷酷さを恐れず行動する力。
混乱を避けるためには決断が不可欠と語る。
本書の例
ロマーニャ(チェーザレが支配した町)は、征服されたときに治安がとても悪かった。
チェーザレ(町を支配するリーダー)は、家来のオルコを役人にして、大きな力を与えた。
オルコ(厳しい役人)は、厳しく治安を取り締まった。
その結果、短い時間で平和が戻った。
しかし、人々はオルコの厳しいやり方に不満を持ち始めた。
そこでチェーザレは、なんとオルコを町の広場で処刑した。
人々はびっくりしたが、「厳しいオルコがいなくなった」と安心し、チェーザレを尊敬するようになった。
オルコからすると、「命令どおりやったのに、どうして……」と思ったはず。
チェーザレは冷たいリーダーだったけれど、結果的に平和な世の中になった。
当時、人々が幸せになるには、冷酷さも必要だった。
⇒ 必要なときに「悪評」を恐れず行動することが大事。
もちろん時代背景、周囲との関係を踏まえたうえである。
君主の仕事はきれいごとばかりではない。
必要なら悪いこともあえて行う必要がある。
「君主は信義に厚く、人情味があり、裏表なく、敬虔であるべき」といわれるが、「冷酷さ」を備えているように「見せかける」ことは大事としている。
また、マキアヴェッリは「誰もが直言できると君主は威厳を失う」としている。
君主(社長)に直接触れる人は少人数。
いちばん危険なのが、媚びへつらう人物。
人は騙されやすい。こんな人物が近くにいると君主はダメになる。
参考記事:世界最古の帝王学:貞観政要
戦い(稼ぐこと)に勝ち、国(会社)の維持に全力を挙げれば、自然と民衆(従業員)は賞賛する。
景気の良さが民衆(従業員)に還元されていることも重視される。
君主を支えるのは民衆である。
決断力とリスクテイク
中立的な立場は最悪の選択。
決断できずに「両方の顔を立てよう」とつい中立の立場を取りがちである。
マキアヴェッリは「決断力のない君主は当面の危機を回避しようと中立を選び、滅ぶ」と忠告する。
中立はいちばんダメ。
両方から敵と見なされる。立場を明確にするべきとしている。
組んだ相手は勝っても負けても恩義を感じてくれる。
そして君主の明確な態度は尊敬を集める。
とてもしたたかな考えである。🤔
⇒ 優柔不断を避け、明確な態度を示すべき。
「リスク管理」と称し、リスクをとらないのは単なる優柔不断な「リスク回避」。
リスクをとらない現状維持は破滅を招くと語る。
有能な側近の力
また、リーダーの力は側近でわかる。
信頼できる人材に名誉と報酬を与え、力を引き出す。
側近が有能で誠実なら、実力を見抜き忠誠を守らせる。
参考になる本リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー共著の「NO RULES 世界一『自由』な会社、NETFLIX」
⇒ 社員に判断を任せ、迅速な業務を可能に。
⇒ 側近を活用し、適切な仕事を任せる重要性を。
⇒ 最高の人材を最高峰の報酬で採用し、最高の仕事をさせる。
3. 運命に対する哲学
運命のコントロール
運命は半分が人間の手に委ねられている。
マキアヴェッリ曰く…。
「運命は女神だ。彼女を征服するには、打ちのめして突き飛ばせ。」
マキアヴェッリ著『君主論』
現実に備え、変化に適応する力が必要。
⇒ 成功には準備と行動が不可欠。
⇒ 現状に満足せず、積極的に挑戦する。
要は運命を味方につけるために必要なのは、攻めの姿勢である。
そうだ、ガンガンいけ!
まとめ
⇒ 君主論が現代に残る理由を知っておこう。
⇒ 有事のあるべきリーダーの姿を明確に伝えている。
⇒ 理想の君主像は、カリスマリーダー
カリスマリーダーの注意すべき点
業績と部下の満足度を劇的に高めるが、平時では組織を弱体化させる。
参考記事:マネジメントの問題は、人の問題である。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆