• 投稿日:2025/05/19
  • 更新日:2025/10/04
愛するための4つの力~他者貢献による感謝と勇気の循環~

愛するための4つの力~他者貢献による感謝と勇気の循環~

チャコ@ダイエット中

チャコ@ダイエット中

この記事は約14分で読めます
要約
主体的に動けない人、他者貢献できないとモヤモヤしている人に一度読んでもらいたい。他者貢献による感謝と勇気の循環のお話です。愛するとはどういうことか?人間の機能の話から掘下げてお伝えしております。この記事が誰かの参考になれば幸いです。

「愛する」とは?

現在、「愛する」ことを明確に定義した共通の言葉は存在しない。しかし、過去の偉人たちが残した愛に関する言葉には共通点が存在する。それは、愛することは「能動的な活動」である点である。ここでは私が一番定義に近いと思っている、エーリッヒ・フロムの言葉から愛するとはどういうことかを説明したいと思う。『愛するということ』には次のように説明している。

“このように人は自分の生命を与えることで他人を豊かにし、自身を活気づけることで他人を活気づける。もらうために与えるのではない。与えること自体がこのうえない喜びなのだ。だが、与えることによって、かならず他人のなかに何かが生まれ、その生まれたものは自分に跳ね返ってくる。ほんとうの意味で与えれば、かならず何かを受けとることになる。与えることは、他人をも与える者にする

“(引用:エーリッヒ・フロム『愛するということ』2023年1月26日第13刷発行、44-45頁)

本書ではこの言葉をベースに「愛する」を分解・言語化していくが、この言葉だけでは理解しにくいため、それぞれの言葉を細かく分解して解釈すると次のようになる。

「自分の生命」とは「自分の時間」のことであり、自分の興味や関心、労力、エネルギーと言い換えるとイメージしやすい。「生命を与えること」をより具体的に分解すると次の四つになる。

1. 愛する者の生命と成長を【積極的に気にかける】こと

2. 相手が口に出すにせよ、暗黙のうちにせよ、【何か求めてきたときに応答する】こと

3. 【相手への気遣いを動機として】相手のことを深く知ること。相手を深く知ったうえでなければ、先に示した1と2はあてずっぽうになってしまう。自分に対する関心を超越し、相手の立場に立ってその人を見ることができたときはじめてその人を知ることができる。

4. 相手のありのままの姿を見て、その人が唯一無二の存在であることを知ること。否定したり判断したりせずに、そのままを受け入れ、その人らしく成長・発展していくように【気を遣う】こと。

この1~4を実行するためには、自分の興味や関心、労力などのエネルギーだけでなく、時間が非常に必要である。この点から、愛する行為は、自分の生命を他人に分け与える行為と解釈することができる。また、【】は能動的な行いである。愛することの最重要ポイントはこの「能動的な行動や感情」である。

「他人を豊かにし、自分を活気づける」とは、他者を豊かにすること(=他者貢献)で、他人から「感謝」が返ってくる(相手によっては感謝されないこともあるが、フロムの言葉にある「他者も与える者になる」に従えば、相手が与える者になれば必ず「感謝」を受け取ることができる)。その「感謝」によって、自分に「勇気」が湧き、それが自分には価値があると思うことで湧いてくる。この勇気が湧いている状態だと、(相手に裏切られる・嫌われる)リスクを許容して能動的に行動できるようになる。愛するためには必ず能動的である必要があるため、勇気はとても重要な動力源である。

「もらうために与えるのではない。与えること自体がこのうえない喜びなのだ。」と後半にある「ほんとうの意味で与えれば」というのは、自己犠牲や諦めの感情が一切ない状態で与えることを指す。この状態で与えるためには、大きく分けて二つのことが必要である。 1つ目は、自分が「満ち足りた状態」である必要がある。そうでなければ、与えること自体が喜びとはならず、自己犠牲や諦めの感情が発生してしまう。「満ち足りた状態」とは、「勇気」と「幸福感」であふれている状態を指す。 2つ目は「与えること=与えられること」という意味である。例えば、教師(与える側)は生徒(与えられる側)に教えられ(与えられ)、俳優(与える側)は観客(与えられる側)に刺激される(与えられる)ように、与える側の感度(与えられていることに気づく感度)も重要である。利己と利他が一致している状態であり、一般の人よりも与えられることに敏感な状態といえる(一般的には与えたことの方が記憶に残りやすいため)。

「与えることによって、かならず他人のなかに何かが生まれ、その生まれたものは自分に跳ね返ってくる」は、GIVE & TAKEの本質である。相手へのインプットを変える、もしくは先に与えることによって、相手の中で必ず変化が起きる。ただし、相手が「満ち足りた状態」になるまでは返ってこないが、与えることで変化は確実に起きている。相手に与え続けることで、相手が「満ち足りた状態」になったとき、自分に返ってくる。

「与えることは、他人をも与える者にする」とは、「自分の生命を与えること」を継続することによって、相手が成長し、同じように「愛する」ことができるようになることを指す。植物を育てるように、最初は種の状態からスタートし、水を与えても花が咲くのか、芽が出るのか分からない中で、相手に与え続けることは困難である。しかし、「本当の意味で与えれば(自らが満ち足りた状態であれば)」「与えること自体が喜び」となるため、継続は容易である。

長々と解説をしたが、最後にざっくりまとめると、次の通りとなる。

“愛することは、自分の時間やエネルギーを相手に与えることで成立するものである。それは能動的な行為であり、自己犠牲や諦めのない状態で行われるべきである。愛することで相手を豊かにし、感謝や勇気を得ることができる。この行動を継続することで、相手も同じように愛を与える者に成長する。愛は利己と利他が一致する行為であり、他者へのインプットを変えることで変化が生まれ、自分にも返ってくる。愛することは、互いに成長し豊かになるための永続的な循環である。(ただし、満ち足りた状態に自分を成熟させないと、永久的な循環とはならない。)“

愛するために必要な4つの力

「‎「愛する」とは?」にて、愛するとはどういうことかを具体的に説明した。ここでは、「愛する」を次の4つの要素に分解して理解を深める。

①自分を満たす力

②他者を受け入れる力

③他者に貢献する力

④心をクリーンに保つ力

自分を満たす力

「満ち足りた状態」とは「勇気」と「幸福感」であふれている状態である。この状態を自ら作り出せなければ、他人に与えることで、自己犠牲や諦めの感情が発生してしまう。自分を深く理解し、心の葛藤を制御(心をクリーンに保ち)して、勇気と幸福感を【能動的に】作り出せるかが問われる力である。

他者を受け入れる力

他者を受け入れるとは、他人との違いを理解して、そのまま受け入れること。そのままとは、良い悪いなどの判断や評価をすることなく、違いを尊重すること。人は自分の価値観で自動的に善悪を判断し、相手を否定・拒絶しがちである。そのままを受け入れることができれば、否定することがなくなる。世の中には間違いはなく、ただの違いがあるだけと理解できるからです。いかに判断しないか(心をクリーンに保てるか)、いかに相手の主観で物事を見たり考えたりできるかが問われる力である。

また、他者を受け入れるとは、担保のない能動的な働きかけでもある。相手から何か見返りがあるかは不確定であるため、怖くてできない。だから、勇気がいるし、続けることも苦しいと感じる。

他者に貢献する力

他者への貢献は能動的で、相手を知らなければ、貢献はできない。有難迷惑という言葉がある通り、相手のプラスにならなければ、100%の善意からの与える行いも相手へは迷惑となる。このことからも、相手のことを深く知り、求めているいるモノを相手の主観で想像し、積極的に行動できるかが問われる力であることが分かる。

心をクリーンに保つ力

心をクリーンに保つとは、感情に振り回されないように制御することである。また、心の中に湧きあがるモヤモヤを因数分解して、自分の本当の気持ちを探ることでもある。心の仕組みを知ることで、無駄な感情やモヤモヤ、自分ではどうしようもできない事などを排除し、心をクリーンな状態に保つことで、勇気を使いやすくし、相手へ感謝の視野を広げ、能動的に行動しやすくする。①自分を満たす力②他者を受け入れる力③他者に貢献する力をサポートする力と捉えてほしい。

愛するために必要な4つの力はどのように高めることができるかについて、次の章から説明する。

最強の循環

人の機能

人にはあらかじめ備わっている機能がある。例えば、暑い時に自動的に汗をかいて、体を冷やす機能や体内にウィルスが入った場合に戦う免疫機能、ケガをした際に修復する自然治癒など。同様に「生き延びたい」「死を避けたい」という生存するための機能が備わっている。

我々の祖先は、この機能によってさまざまな危険を避けて生き延びた。また、生存確率を上げるために、集団で生活するようになったとされる。この集団において、何かしら優れていた人(他者へ貢献して喜ばれる人)は生存確率が上がるため、自然と「他者と比べて優れた点を追求すること」が行動の中心となった。逆に、集団において迷惑をかける人は、集団から排除されていくこととなる。人類の祖先が生きていた時代、一人になることは死を意味する。こうした状況から、集団において自分の優れた点が発揮できない、つまり、他者よりも「自分が劣っていることが明確になること」は、死に直結するほどのリスクであった。

現代社会では、集団から排除されても、猛獣に襲われて死ぬような危険はない。しかし、この機能が残っているため、恐れや不安という感情は依然として存在している。例えば、会議や大勢の前での発言は怖いと感じる人が多いだろう。これは、集団で自分の発言が間違っていること、つまり、「自分が劣っていることが明確になること」を恐れているためである。自分が劣っていることが明確になれば、集団から排除され、孤立し、最終的には「死ぬ」と本能的に感じ「生き延びたい」「死を避けたい」という機能が働くことで、恐怖の感情が発生しているのである。

この「生き延びたい」「死を避けたい」という機能からの「他者と比べて優れた点を追求すること」「自分が劣っていることが明確になることを避けること」が人間の本能であり、行動原理の根本である。そのため、不安や恐怖などのネガティブな感情は決して悪いものではなく、むしろ人間として正常に機能しているということである。うまく自分をコントロールして、付き合っていくことが重要となる。

同じように、自分を変えたい、成長させたいという時に不安から「一歩踏み出せない」と感じることはないだろうか?これも、原理は全く同じである。変化とは、今の安全な場所から未知の場所へ移動することであるため、不確定な未来に対しての不安が発生する。(自己啓発本によく出てくる、コンフォートゾーンという言葉と同じ意味である。)

人の性格(「愛されたい」から「愛する」へ)

人の性格は必ず「愛されたい」という価値観から始まる。赤ちゃんは「生き延びたい」「死を避けたい」という本能から、泣くことで守ってくれる人の注目を集めようとする。注目してもらえなければ生きていくことができないため、他者に愛されることが生存にとって重要となる。そのため、「愛されたい」という価値観が性格の基盤となる。

いかに愛されるか、注目されるか、褒められるか、承認されるかが重要な価値観となる。この時、注目すべきポイントは受動的である点である。他者に自分の価値を認めてもらう価値観や他人を操りたいという欲求が膨らむことが多い。

集団でのコミュニケーションにおいて、注目を浴びたいような言動をする人(キラキラしたSNS投稿、マウントを取る発言、自慢話、ネガティブな態度、疲れているアピールなど)を見かけたら、その人は「愛されたい」という価値観が性格の基盤となると思ってよい。その人が子供であれば「愛する」という気持ちを育ててあげると良い。一方で、大人であれば距離を取ることをお勧めする。

では、この「愛されたい」という価値観を「愛する」という価値観へ成長させるにはどうしたらよいか?それは、愛するための4つの力を高めればよい。

① 自分を満たす力

② 他者を受け入れる力

③ 他者に貢献する力

④ 心をクリーンに保つ力

4つの力を高めることで「愛されたい」という価値観が性格の基盤となっているものを、「自分の意志で他者を愛する」ことが性格の基盤となるように成長させる。このとき、注目すべきは能動的となっている点である。

この考えは、マズローの欲求5段階説とも一致する。「生理的欲求」「安全の欲求」は「生き延びたい」「死を避けたい」という機能から発生するものであり、「社会的欲求」「承認欲求」は集団における「他者と比べて優れた点を追求すること」「自分が劣っていることが明確になることを避けること」から発生するものである。下位の依存状態では、意識は「自分」に向いており、上位の成長欲求は「他者」に意識が向いている状態となる。これは、愛されたいという「自分」への方向から、愛するという「他者」へ向いていることを意味する。

スライド4.PNG👆マズローの欲求五段階説

4つの力の成長サイクル

愛するための4つの力は、「図‎2.3 4つの力の成長サイクル」のように、お互いに関係しあっている。ここでは、この関係を説明する。

スライド1.PNG👆4つの力の成長サイクル

まず、「①自分を満たす力」を高めることで、自分を満ち足りた状態にする。自分に価値がある人間だと思えると、勇気が湧いてくる。勇気が湧くと、リスクを受け入れやすくなる(「②他者を受け入れる力」UP)。

次に、「②他者を受け入れる力」を高めることで、相手をありのまま受け入れる。他人を無条件で信頼すると、能動的に行動できる。無条件の信頼は、言い換えると、担保のない能動的な働きかけである。相手が受け入れてくれるか分からない、否定されるかもしれない状況で、自ら一歩相手に踏み出す行為である。これは愛の告白によく似ている。だから、勇気がいるし、続けることも苦しいと感じることがある。他人を無条件で信頼し、能動的に行動すると、他者へ影響を与えることとなる(「③他者へ貢献する力」UP)。

最後に、「③他者へ貢献する力」を高めることで、相手が本当に望むことをすれば、感謝されることになる。感謝されると、人は集団において、自分には価値があると感じることができる(「①自分を満たす力」UP)。

①②③は相互に関係しており、1つの力が増すとその隣の力を増すようにできている。このサイクルをくるくる回しながら、これらの力を成長させていく。特に②と③の力には、他者が関係してくる。この他者の状態によっては、この成長サイクルが阻害される場合がある。他者へ貢献した際に「感謝」が返ってこないことがある。これは、相手がまだ満ち足りた状態にないため、感謝する(相手に与える)ことができないためである。満ち足りた状態でないと、相手に与える行為は苦しみとなる。そのため、与えた側は感謝が返ってこないと、なんとも言えないモヤモヤが心の中で発生する。この時、このモヤモヤを解決するための力が「④心をクリーンに保つ力」である。なお、相手が満ち足りた状態になれば、必ず感謝が返ってくるようになる。これは、フロムの言葉にある「与えることは、他人も与える者にする」に関連する。

「④心をクリーンに保つ力」を高め、モヤモヤが発生しない状態で他者へ貢献する。これにより、①②③のサイクルを回し、愛するための力を育てることで、「愛されたい」価値観から「愛する」価値観へ成長することができる。

つづく

愛するための4つの力については、別途記事を書いていく予定です。

 ① 自分を満たす力

https://library.libecity.com/articles/01JVKX307MPDYB9XD1T5ETJJ7B

 ② 他者を受け入れる力

https://library.libecity.com/articles/01JVM10MBHJCJQ58R8HCGX9RSZ

 ③ 他者に貢献する力

https://library.libecity.com/articles/01JVM1NTMVECTFXN4P0WNMCB6W

 ④ 心をクリーンに保つ力

https://library.libecity.com/articles/01JVKYRRSEJMA2567TFCQ979X5

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この記事のレビュー(2
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    2025/07/07

    勉強させていただきました! わたくし、今年結婚しました。お互い年齢を重ねてからの新しいスタートなので、これから学び合いながら、譲り合いながら楽しく生きていけるといいなと思っています。

    チャコ@ダイエット中

    投稿者

    2025/07/07

    さっちぃさん、コメントありがとうございます♪ 今年ご結婚されたんですね!おめでとうございます㊗️ 夫婦関係で大事なことを詰め込んだないようになっていますので、少してもさっちぃさんのプラスになれば私も嬉しいです♪

    チャコ@ダイエット中

    投稿者

  • 会員ID:XXCb4AvD
    会員ID:XXCb4AvD
    2025/06/03

    ご著書のPDFを読ませていただきました。 冒頭からぐいぐい引き込まれて、気づいたら109ページを一気に読んでしまいました。 内容も身近な課題ばかりで、とてもためになり、すぐにでも試してみたくなりました。読み終わったときには、思わず小さく拍手してしまうほど感動しました(笑)。 素敵な本を読ませていただき、本当にありがとうございました!

    チャコ@ダイエット中

    投稿者

    2025/06/03

    みきさん、ありがとうございます。 読んでいただきとてもうれしいです。 どこかで聞き覚えのある内容も多いかと思いますが、 私なりの解釈を踏まえてまとめています。 ぜひ実践してみてください♪ きっと人生がより好転していきます!

    チャコ@ダイエット中

    投稿者