- 投稿日:2025/07/23
- 更新日:2025/09/29

🟩 そもそも「利益」は誰のもの?
まず確認したいのは、「利益=自由に使えるお金」ではないということ。
利益が出たからといって、すぐに現金がたくさん手元にあるとは限りません。
それでも、利益が出たことで「使いみち」を決める余地が生まれるのは事実です。
では、その使いみちは大きくわけてどんなものがあるのでしょうか。
🟩 儲けの使いみち3パターン
利益の使いみちは、大きく分けて次の3つに整理できます。
税金を払う
配当する
会社に残す(内部留保)
まずはここから順に見ていきましょう。
① 税金を払う
法人であれば、利益に応じて法人税などの税金を払う必要があります。
利益をすべて自由に使えるわけではなく、まずこの分は「国に納める義務がある」ということですね。
おおまかな目安としては、利益の約30%前後が税金になることが多いです。
② 配当する(株主への分配)
次に、株主へ利益を還元する「配当」です。
配当は、「この会社に出資してよかった」と思ってもらうための重要な手段です。
ただし、配当を出すということは、会社の中のお金が減るということでもあります。
そのため、配当をどうするかは、
今後の投資資金は足りているか?
借入返済に影響しないか?
競合と比べて配当が魅力的か?
といった観点から戦略的に判断する必要があります。
③ 会社に残す(内部留保)
最後に、会社に残して将来の投資や備えに使うという選択肢。
これを「内部留保(ないぶりゅうほ)」と呼びます。
内部留保=現金の貯金、というイメージを持たれがちですが、実際は、会社にとっての余力や体力に近い概念です。
たとえば、設備投資、研究開発、採用、人件費の引き上げなど、将来の成長に向けて投資をするための源泉になります。
🟩 内部留保が多い会社=いい会社?
ここでよくある誤解に触れておきます。
「内部留保が多い=健全で立派な会社」というイメージを持たれがちですが、多ければいいとも限らないのです。
・攻めるべきときに投資しない
・株主還元をおろそかにしている
・資産を遊ばせている
こうした状態が長く続けば、「何のための利益なのか?」ということになってしまいます。
適度に内部留保を保ちながら、投資・配当・備えのバランスをどう取るかが、経営の腕の見せ所と言えるでしょう。
🟩 内部留保はどこに出てくる?
「決算書のどこを見れば、内部留保がわかるの?」
そう思った方へ。
内部留保は、貸借対照表の「純資産の部」に表れます。
中でも、「利益剰余金(りえきじょうよきん)」という科目に注目です。
これは、これまでに稼いだ利益のうち、配当などで社外に出なかった分が蓄積されている場所です。
つまり、企業の「貯金箱」のようなイメージですね。
🟩 自己資本比率とセットで考える
内部留保とあわせて見たいのが、「自己資本比率」という指標。
これは、資産全体に占める自己資本(=返さなくてよいお金)の割合を示すもので、
財務の安定性を見るときに欠かせない数字です。
内部留保が多い会社は、自己資本比率も高くなりやすいという特徴があります。
「長期的に見て、この会社は安心して任せられるか?」
という視点で、投資家や取引先もこの数字を見ているのです。
🟩 まとめ|利益は「使ってこそ」価値がある
今回のまとめです。
そして何より大切なのは、「利益は使ってこそ」意味があるということです。
貯めすぎても動けなくなる。
使いすぎても体力が尽きる。
そんな中で、未来に向けた“最適なバランス”を見極めていくことが、経営の知恵なのだと思います。
📝 次回予告
次回は「会社のお財布事情(流動比率、キャッシュ残、自己資本比率)」についてお届けします。
会社の資金繰りが健全かどうか、どこを見ればわかるのか? 一緒にやさしく見ていきましょう。
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