- 投稿日:2025/07/27
- 更新日:2025/10/08

どうも、デザイナーのつかさんぽです。
今回は人の心を動かすアイデア手法『あつめる』のアプローチについて事例を基にご紹介します。
集めることそのものも人間の原初的な行動に通じる行為だ。だからこそ、多くの情報が人々に圧迫感を与えるような現代社会において「集める、束ねる」方法はときに潔い力を発揮する。
僕自身もこの『あつめる』というギミックは好きな表現手法の一つで、特にステッカーコラージュなんかは好きを詰め込んでる感じと、重ねちゃいけないものを重ねて、なんか悪いことしてる感じが好きです(笑)
こちらは1年おきに買い替えているEDiTの日誌。その年どんなイベントに行って、どんなものに興味があったのかを一目で知ることのできるツールにもなってます。
一方、集まったものをただ『眺める』ことについては効果を発揮しますが、『選ぶ』というアクションになると、人は思考がストップする傾向にあるらしいと行動科学の学術的根拠を基に証明されているそうで、この使い分けは必要そうです。
詳しくは過去のブログ『#002|簡単にする―選択肢の数はなるべく減らす』に詳しくまとめておりますので、ご興味ある方は是非ご覧ください☺️
https://library.libecity.com/articles/01JXV5H7Y72WYV56NX20D6KZBN
それでは、実際の事例をもとにその企画意図や効果について読み解いていきましょう。
✏️ 『気持ち』をあつめる
#001 やだなー展(2022年)
クリエイティブディレクター・明円卓さんとチームentakuが企画した『やだなー展』は、2022年に東京・表参道で開催された展示で、日常の“ちょっとした嫌な瞬間=やだなー”を募集し、約300個を一般から集めて可視化した共感型エキシビション。『あるある』自体は今も変わらずSNSのバズワードではありますが、集めて展示してしまうという着眼点はさすがです。
日常の「やだなー」をたくさん集めました。「つり革に触りたくない」「ガムを出す瞬間が恥ずかしい」「チャーハンの最後の一口がすくえない」「ポケットにスマホを入れると洋服が膨らんでしまう」日常にはちょっとした「やだなー」が溢れている。そんな、やだなーが世界一集まる展示を開催。
引用:entaku
引用:entaku
✏️ 『懐かしい』を集める
#002 カジコム/kazzycom
引用:カジコム
平成(90〜00年代)の日本で一世を風靡したガジェットやサブカルチャーアイテムを集め、再現撮影やノスタルジックなフォトポートフォリオを公開しているクリエイター・カジコムさん。ど真ん中の世代(つまり私)にとっての「うわ〜懐かしい」が美しい切り取られ方で集められていておもしろいし、なんだか嬉しい。
引用:カジコム
#003 「ゴミうんち展」のレトロフィギュアを集めた展示
誰かにとっての『ゴミ』でも、コレクターにとっては『宝物』にもなる。モノって不思議。
✏️ 『キャラクター』を集める
#004 みんな集まれ!DJピカチュウライブ(2025年)
ポケモン新作発表前施策としてYouTube上で行われた『みんな集まれ!DJピカチュウライブ』では、ピカチュウをフロアに集めることで誰もが幸せになれる空間を演出。ピカチュウがフロアに集めるだけで何故こんなにも愛おしいのか。コメントも「ピカチュウ」しか発せられてない小ボケも効いてるし、何よりサウンドがめたくそカッコいい。誰リミックス担当してんだろ。
#005 劇場版 鬼滅の刃 無限城編のOOH広告(2025年)
今話題の鬼滅の新作映画の駅構内OOHでは、B0サイズ14連という掲出面を活かし、鬼殺隊+柱+禰豆子の全14キャラクターそれぞれにフォーカスを当てたOOH施策。誰一人欠けてはいけないというストーリーの背景を知っている人々からすれば、よりグッと刺さるものがありますね(ネタバレではない。というか早く映画観に行きたい)
#006 50 selfies of Lady Gaga(2015年)
資生堂が若者との離れていた距離を縮めるために2015年元旦に実施した全国の新聞50紙をジャックした新聞広告。プロが撮影した「完璧な」スチールではなく、SNS上にガガ本人がアップされているセルフィーにこそ、彼女の本当の美しさが映し出されている、という企画意図のもと、極端に加工(レタッチ)されていないセルフィーを軸にした写真が使われた。
ファンは50紙すべてを入手すべく手を尽くし、新聞発行後はより加速して、テレビやネットと、日本国内のみならず、話題は海外へも拡散していった。
余談ですが、YouTubeが『好きなことで、生きていく』というメッセージを発表したのもちょうど2014年だったりするので、『自分らしい生き方』にフォーカスされるようになったのもこの頃からなんだな〜と改めて🤔
✏️ 『町』を集める
#007 INDUSTRY JP(2016年)
INDUSTRIAL JPは、日本各地の“町工場”を“レーベル”に見立て、その工場が日々奏でる機械音を素材に、映像と音楽を融合させて発信するプロジェクト。隠れた技術や職人技術に光を当て、日本のものづくり文化を音と映像の形で紹介。
一定のリズムとユニークなサウンドがトラックメイカーによって「フロアで踊れる音」になることは有意義なプロジェクトだな〜と思っていたのですが、現場の町工場のおっちゃんからすると「(この取り組みが)何になるのかわからない」とイマイチ理解していなそう。三方よしとは難しいですね😂
#008 絶メシプロジェクト
絶メシプロジェクトは、「絶やしてしまうには惜しい絶品グルメ(=絶メシ)」をテーマにした地域創生型の“食文化保全プロジェクト。単なる地域グルメの紹介にとどまらず、地域経済・文化保全・メディア活用の面で多角的な効果をもたらした。
別事例ですが、サウナ施設をレビュー形式に取り上げた『サウナイキタイ』も「誰かにとっては特別で、誰かにとっては知られていないローカル体験」を掘り起こし、共感と希少性を武器にコンテンツ化した事例でもありますよね✏️
✏️『ゴミ』をあつめる
#009 TRACE OF WATER(2024年)
TRACE OF WATERは、水を起点に生活と環境を創造する「アクアクララ」と プロダクトデザインラボ「HONOKA」で創り出すウォーターボトルアップサイクルの展示。アクアクララのウォーターサーバーボトルは、リサイクルを前提に繰り返し使われていますが、一定の使用期限を迎えると役目を終えます。このプロジェクトでは、その使用済みボトルを再利用して「素材」として活かし、タイルや家具など新たな形に再構築しています。
展示会にお伺いした際、以前お仕事をご一緒したご縁のあるHONOKAの原田さんにご案内していただきました。「プラスチック素材でも、何度も水を入れ替えて使い続けるうちに水分を含み、一般的なプラスチックとは異なる独特の質感が生まれる。そんなユニークな素材でモノづくりができた」と語っていたのが、とても印象的でした👀
さいごに
いかがでしたでしょうか☺️ぜひ改めて『あつめる』というレンズで、周りを見渡してみてください。そこには、まだ発見されていないあなただけのアイデアが、きっと眠っているはずです💡
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙏少しでも役立った!と思った方のいいねやコメントなど、ハチャメチャ喜びます☺️