- 投稿日:2025/10/09

(※記載内容は一般的な制度概要であり、地域や制度によって運用が異なる場合があります)
こんにちは、🌸桜🌸です。
前回、世帯分離について投稿しました。
今回は、更に深堀りして世帯分離について考えてみたいと思います。
https://library.libecity.com/articles/01K656JG9PX759P9SY3VZ8W1P7
子供が成人しても、親として支える日々は続いています。
しかし、医療費や日用品の出費が重なり、
「障害年金だけでは暮らせない」現実に直面する親御さんも多いのではないでしょうか。
その中でよく聞かれるのが、
という質問です。
結論から言えば、同じ住所でも世帯分離は可能です。
ただし、その効果や扱いは自治体や制度によって異なるため、
「必ずこうなる」とは限りません。
今回は、同居しながら世帯分離を行う場合の
メリット・デメリットを、実際の行政運用に即して整理します。
🧩 同居しながらの世帯分離とは?
住民票上の「世帯」を、親と子で分ける手続きのことです。
住所は同じでも、
親が世帯主
子(障害者本人)を新しい世帯主として登録
という形が可能です。
生活は一緒でも、行政上は「別の世帯」として扱われます。
ただし、福祉・税・保険などの制度上は“実態”が重視されるため、
「書類上だけの分離」では効果が得られない場合もあります。
✅ 世帯分離のメリット
(※以下は一般的な傾向であり、自治体によって扱いが異なる場合があります)
① 医療・福祉の自己負担が軽くなる可能性
障害福祉サービスや自立支援医療、重度心身障害者医療費助成などでは、
「世帯所得」を基準に利用料を決めます。
親と同一世帯だと、親の収入が合算されてしまい、
一方、世帯分離を行うと、
本人の障害年金のみで所得判定される場合があり、
医療費や福祉サービスの負担が軽くなることがあります。
ただし一部の自治体では、
② 将来の生活保護申請がスムーズになる
生活保護は「生活保護法第10条」に基づき、世帯単位で審査されます。
そのため、親と同一世帯のままだと「親の収入がある」として
対象外になることがあります。
世帯分離をしておけば
本人の障害年金や預貯金のみを基準に審査されやすくなり、
手続きがスムーズになります。
ただし、同居して家計が一体であれば「同一世帯扱い」と判断されることもあります。
形式上だけでなく、家計や生活実態の分離が大切です。
③ 同居による安心を保ちながら、制度上は独立できる
重度障害のある方にとって、親と同居しながら「制度上の自立」を整えることは、親亡き後の備えとして有効です。
世帯分離を行うことで、
④ 親の介護保険料や医療証の負担が軽くなる場合も
介護保険料や国民健康保険料は、世帯人数や所得によって変わります。
世帯分離により、親の所得計算が変わることで、保険料が軽減されるケースもあります。
ただしこれも全国一律ではなく、自治体ごとの制度設計に依存します。
「世帯人数」「均等割」「被保険者数」などで判断が異なるため、事前に役所の保険年金課で確認しておくのが確実です。
⚠️ 世帯分離のデメリット
① 扶養控除が外れる場合がある(ただし自動ではない)
親が子どもを税法上の扶養控除に入れている場合、
世帯分離をしても自動的に控除が外れるわけではありません。
税法上の「扶養」は、実際に生活費を負担しているかどうかで判断されるため、形式的な世帯分離だけでは影響がないケースもあります。
ただし、所得税法第83条などに基づき、
控除の可否は実態と扶養状況で決まります。
そのため、所得税や住民税の控除が外れる可能性もあるため、
税務署や市民税課で事前に確認しておくことをおすすめします。
② 家族割引・家族特典が使えなくなることがある
携帯電話の家族割引や公共料金の家族プラン、
NHK受信料の同一世帯免除などは、
「同一世帯」が条件となっている場合があります。
そのため、世帯分離により
一部の割引が使えなくなることがあります。
ただし、NHK受信料の全額免除は
「障害者本人が世帯主である場合」に認められる制度もあり、
ケースによってはむしろ有利に働くこともあります。
③ 生活保護では「実態」が重視される
厚生労働省の運用通知でも、
そのため、生活保護を目的とした世帯分離を行う場合は、
食費・光熱費・口座などをきちんと分け、
家計の独立性を説明できる状態にしておくことが必要です。
④ 行政窓口で理由を求められることがある
住民票の世帯分離届は、書類上は簡単に出せますが、
窓口では「なぜ分けるのか」と尋ねられる場合があります。
など、目的を明確に伝えるとスムーズです。
🪶 まとめ:世帯分離は“目的と地域”で結果が変わる
🌸 おわりに
世帯分離は、親子の絆を分けるための手続きではありません。
むしろ、将来の安心を整えるための準備です。
ただし、制度は全国一律ではなく、
自治体によって扱いや基準が異なります。
「うちはどうなるのか?」を一度、
市区町村の 福祉課・税務課・保険年金課 で丁寧に確認してみてください。
その一歩が、親子の安心と支援の持続につながります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。