- 投稿日:2025/10/14
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はNHKスペシャル取材班『中流危機』2023年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
筆者:NHKスペシャル取材班(浜田裕造ほか)
NHKエデュケーショナル チーフ・プロデューサー。社会政策・雇用・福祉を長年取材し、日本のセーフティネット問題を継続的に報道。
✅ 中間層の崩壊は、日本社会全体の危機である。
✅ 「企業依存」から「自立型キャリア」への転換が必要だ。
✅ 鍵となるのはリスキリングと人材への投資である。
かつて「一億総中流社会」と言われた日本。戦後、日本の経済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛な中間層の人たちだった。しかし、バブル崩壊から30年が経ったいま、その形は大きく崩れている。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
かつて「中流」と呼ばれた普通の暮らし――正社員で働き、家を持ち、家族を養う。
しかし今、その当たり前が失われつつある。
給与は減り、将来の不安から副業や投資に走る若者が急増している。
なぜ日本の中間層はここまで追い詰められたのか。
NHKスペシャル『中流危機』は、その病巣を克明に描き出す。
2023年の書籍であり、2025年には「株高不況」と呼ばれるような時代に突入した。
『中流危機』
いま、こんなにも恵まれているのにどうして使えるお金は少ないのか。
引用画像:NHKスペシャル取材班『中流危機』より
単身世帯や高齢世帯の増加など、世帯構成も変化しているため、単純比較はできないものの、この25年間で中間層は確実に貧しくなっていると語られる。
中間層の定義はさまざまだが、複数の専門家は、日本の全世帯の所得分布の真ん中である中央値の前後、全体の約6割から7割にあたる層を所得中間層としている。その中間層の所得がこの25年間で大幅に落ち込んでいる。2022年7月に内閣府が発表したデータでは、1994年に505万円だった中央値が2019年には374万円。25年間で実に約130万円も減っているのだ。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
デフレ不況下においては、全社員の給料を一律引き上げるベースアップは長らく行われることはなくなってしまった。
【中間層の賃金減少】→【消費減】→【価格引き下げ】→【利益減】→【投資減】→【イノベーション難】→【賃金のさらなる減少】という負のスパイラルが継続してきた。
ようやく、日本ではインフレが進んできたものの、K字型経済も進んでいる。
日本経済新聞:K字経済とは 富裕層と貧困層が二極化
富裕層と貧困層の経済格差など経済の二極化が進む状態によって、株高の恩恵を受ける富裕層に富が集中する現象が世界的に広がっている。

藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』
✅ 株高不況は構造的な問題である。
✅ 現預金だけでは資産価値を守れない。
本書ではインフレと株価の関係に多くの紙面を割きました。 資産形成において、インフレを理解することはきわめて重要と考えられるからです。
藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』
失われた“中流”という幻想
いつの時代も窮屈さはあったが、日々連続して窮屈さを更新している。
多くの人が〝中流〟の象徴と考える「正社員」だが、その収入はこの20年あまりで大きく落ち込んでいる。労働政策研究・研修機構によると、大卒正社員の生涯賃金は1993年は男性で3億2410万円だったが、2019年には2億8780万円に、女性は1997年に2億7750万円だったのが、2億4030万円となり、男女ともにピーク時に比べて3500万円以上減少したと推計されている。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
⇒ 所得の中央値が崩れ、日本人の「普通」はもはや幻想となった。
かつて「一億総中流」と呼ばれた日本。
その中流層を支えたのは、安定した正社員雇用と右肩上がりの経済だった。
しかしバブル崩壊以降、経済構造は大きく変化した。
実質賃金は下がり続け、所得の中央値は25年間で505万円から374万円へと130万円も減少している。
正社員ではない非正規労働者がいまや全就労者の4割に迫ろうとしている日本。企業の多くが、一度採用した正社員の生活を最後まで保障するという「終身雇用」を維持しながら人件費を削減するために、使い勝手の良い非正規労働者を拡大してきた。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
しかし、物価高は進んできている。
スーパーや自販機で見かける値段を見ると…複雑な気分だ。
内閣府が2022年12月23日に発表した国民経済計算年次推計によると、経済協力開発機構(OECD)加盟国38ヵ国中20位に急降下している。
それでも多くの人が「自分は中流だ」と信じたい。
だが、現実には可処分所得が減り、教育・住宅・老後の三大コストが家計を圧迫している。
中流の象徴だった「マイホーム」「子どもの大学進学」「安定した老後」は、もはや一部の層しか実現できない。
人々の心理は「普通に暮らせればいい」から「落ちないように必死」に変わった。
中流とは安定の象徴ではなく、いまや不安定さの代名詞となっている。
いまほど億万長者になるのは簡単だが、百万長者になるのが難しい時代はかつてなかった。
スコット・ギャロウェイ著『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』
企業依存型雇用の終焉と新しい自立の形
誤解されると困るが、会社でしかできないこともある。
「上司を見ていると、仕事の大変さと給料が見合っていないと感じた。転職をしても待遇が良くなるとは限らず、家族もいるなかでそのようなリスクは取れないと考えた。一方で株式投資は勉強することで不確定要素をコントロールでき、投資先やタイミングを分散させることでリスクも減らせる。将来的には投資の利益だけで家計を支えて早期退職したい」(30代男性・地方公務員)
NHKスペシャル取材班『中流危機』
⇒ 「会社に守られる時代」は終わり、「自分で稼ぐ力」が問われている。
中流崩壊の背景にあるのが、企業に依存する働き方の限界だ。
戦後日本を支えた終身雇用・年功序列のモデルは、グローバル競争と非正規雇用の増加によって崩壊した。
大卒正社員であっても生涯賃金はかつてより3500万円も減少。
努力しても給与が上がらない現実が、若者の勤労意欲を奪っている。
この変化は「安定の喪失」であると同時に、「自立の契機」でもある。
かつては会社が教育・昇進・保障を提供していたが、今は自分自身がキャリアを設計し、学び直しや副業を通じてスキルを磨く必要がある。
NHK取材班はこれを「リスキリング社会」と呼ぶ。
リスキリングとスキルアップの違いは、下の図がわかりやすいので引用する。
引用画像:NHKスペシャル取材班『中流危機』より
リスキリングは英語で書くと「Reskilling」。
英和辞典をひくと「(就職支援のための)新技術教育」と訳されている。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
すなわち、知識と技能の更新が、かつての“会社の安定”に代わる“個人の安定”を生む時代なのだ。
ただし、「器用貧乏」になるのはまずい。

リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』
本書で語られる「無形資産」は知識やスキル、人的ネットワーク、健康、友人関係、自己認識力など、お金では買えない資源のことを指す。
無形資産は「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つ。
❶スキルと知識
❷肉体的・精神的な健康と幸福
❸多様性のある人的ネットワークで生業を変化できる状態
これらを育てることが幸福と成功の基盤になる。
人が長く生きるようになれば、職業生活に関する考え方も変わらざるをえない。人生が短かった時代は、「教育→仕事→引退」という古い3ステージの生き方で問題なかった。
リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』
自分に投資する時代へ――“中流再生”の鍵
投資とは未来に賭ける行為だ。自分に賭けたっていいじゃないか。
「毎月20万円の収入があれば良いんです、最低限の生活さえできれば。自分の収入で車を買ったり、家を買ったりすることは現実的には無理だと思うので。今はそれよりも、サラリーマンを辞めて、自分の好きなことだけして生きていくことを目指しています」
NHKスペシャル取材班『中流危機』
⇒ 「他者依存の安定」から「自己成長の自由」へ。
若い世代はすでに動き始めている。
NISAや不動産投資、副業やスキル販売など、新しい収入源を模索する人々が急増している。
彼らは「贅沢のため」ではなく、「自由を得るため」に働く。
昇給や昇進を待つよりも、自分の手でリスクを取り、自分の時間をコントロールしようとする。
これは単なるマネー戦略ではなく、生き方そのものの変化である。
「(会社からの給料は)1年間頑張って3000円上がるとかだと思うんですけど、ブログであれば1年間頑張って、ゼロから毎月1万円入るようになった。サラリーマンだと、給料なかなか上がらないし、時間もすごい拘束される。やりたくもない仕事をして給料をもらっても、本当に幸せなのかな……」
NHKスペシャル取材班『中流危機』
では、どうすれば“中流再生”は可能なのか。
鍵となるのは「人」への投資である。
教育・再挑戦・スキル開発を社会全体で支援する仕組みを整え、個人が何度でもキャリアを作り直せる社会を目指すこと。
これは一部の意識高い層の話ではなく、日本全体の再構築に関わる課題だ。
「会社に人生を預ける」時代は終わった。
とはいえ…会社に在籍することは決して悪いことではない。
言い方を変えるなら、「より自分に合った会社を選ぶべきである。」
これからは「自分に投資する」ことこそ、最大の防衛であり最大の攻撃になる。
中流崩壊の時代を生き抜く道は、外にではなく、自分の中にあるのだ。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」
NHKスペシャル取材班『中流危機』
リスキリングに関する補助金を利用するのも一つの手である。
最も重要なのは、現行事業がこのままで持続可能かを見極めることである。
デジタルを必要とせず成長できる事業であれば、リスキリングは必須ではないかもしれない。
しかし、デジタルと無縁で存続できる業態は極めて少ない。
現事業の維持を考えると同時に、将来の不確実性に備え、新たな収益源を生むためのデジタル活用を検討することが重要である。

カイフー・リー/チェン・チウファン著『AI 2041』
人間の労働者をどのように再訓練するか。 変化に労働者を備えさせ、雇用をつくるために必要なのは「リスキリング」「リキャリブレート」「ルネサンス」の3Rである。 これはAI経済革命の最大課題に対応するための、途方もない努力の一部となる。
カイフー・リー/チェン・チウファン著『AI 2041』
■リスキリング(再学習)
AIに代替されにくい戦略性、想像力、共感力、器用さなどを身につける必要がある。国家規模での実施には体制整備が課題である。
■リキャリブレート(再調整)
業種別にAIツールが導入され、効率と精度が向上している。人間は共感・判断・対人関係を担い、AIと役割分担が進む。医師などもAI診断を活用し、人間的ケアに注力するよう再定義される。AIは業務ツールとして定着しつつある。
■ルネサンス(創造性の再興)
AIの発展で自由時間が増え、人々は芸術や学問など創造活動に力を注げるようになる。芸術家や教育者はAIを活用し、創造の質を高める。教育現場でもAIが個々の才能と感情知能を伸ばし、技術進化が新たな人間ルネサンスを導く。
まとめ
✅ 中間層の崩壊は、日本社会全体の危機である。
✅ 「企業依存」から「自立型キャリア」への転換が必要だ。
✅ 鍵となるのはリスキリングと人材への投資である。
かつてアメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルから「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と高く評価されたが、そのベースにあるのは、日本型雇用システムともいうべき新卒一括採用、年功賃金、終身雇用だ。
この恩恵を最も多く受けてきたのが、所得中間層、いわゆる〝中流〟層である。
NHKスペシャル取材班『中流危機』
⇒ 「安定に頼る者は、変化に飲まれる。」
決して、この問題は今の時代の話だけではない。
幕末の日本では、運命共同体のような「藩」という「会社」の中で守られていた雇用が、近代化という世界的なイノベーションの波にさらされた。
このグローバリズムに乗り遅れないために、社会変革を迫られたのが明治維新である。
中流の行方に着目したのが福澤諭吉であり、当時のベストセラー『学問のすすめ』の中で、「国の文明は……必ずその中間より興りて、衆庶の向かうところを示し」得る人材が必要だと力説している。
すなわち「学び直し」こそが〝中流再生〟のカギとなることは歴史が物語っているのだ。
歴史は少しずつ事情を変えながらも、繰り返している。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
