- 投稿日:2026/04/02
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
私たちは、なぜこれほど豊かな社会にいながら息苦しさを感じるのか。
なぜ知識は増えたのに、人は弱くなったように思えるのか。
今回は小林秀雄/岡潔著『人間の建設』2010年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:小林秀雄
1902‐1983。東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。戦中は「無常という事」以下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。’67年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(’77年刊)で日本文学大賞受賞
著者:岡潔
1901‐1978。大阪生れ。日本数学史上最大の数学者。1925(大正14)年、京都帝大卒業と同時に講師に就任、以降、広島文理科大、北大、奈良女子大で教鞭をとる。多変数解析函数論において世界中の数学者が挫折した「三つの大問題」を一人ですべて解決した。’60(昭和35)年、文化勲章受章
✅ 人間は知性だけでは生きられない。
✅ 情緒を失った文明は人を壊す。
✅ 再建すべきは社会ではなく心である。
人は極端になにかをやれば、必ず好きになるという性質をもっています。好きにならぬのがむしろ不思議です。ただ試験目当てに勉強するような仕方は、人本来の道じゃないから、むしろその方がむずかしい。
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
今回は、小林秀雄と岡潔が語り合った『人間の建設』を通して、文明が見落としてきた「人間の核心」について解説する。
『人間の建設』
人間はどのようにして組み立てられるのか?
情緒が全くなかったら、こういうところでお話ししようという熱意も起こらないでしょう。それを情熱と呼んでおります。どうも前頭葉はそういう構造をしているらしい。言い表しにくいことを言って、聞いてもらいたいというときには、人は熱心になる、それは情熱なのです。
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
知性が進むほど人間は壊れる理由
知性は人間に必要な要素だが、行き過ぎれば毒になる。
ある情緒が起るについて、それはこういうものだという。それを直観といっておるのです。そして直観と情熱があればやるし、同感すれば読むし、そういうものがなければ見向きもしない。
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
⇒ 情緒を失った合理性は、人を空洞化させる。
科学と技術は、対象を分解し、要素に還元する力に長けている。
分析し、切り分け、制御することで成果を上げてきた。
その結果、物質的な豊かさと利便性は飛躍的に向上した。
しかし同時に、人間そのものを全体として捉える視点は弱くなった。
医療は病巣を排除することに集中し、生命の在り方には踏み込まない。
兵器は効率的な破壊を可能にしたが、建設には何も寄与しない。
知性は本来、情緒という土台の上で働く。
情緒とは、感情の気分ではなく、世界を受け止める心の構えである。
この基盤が失われたとき、合理性は人を守らず、人を壊す方向へ向かう。
できる行動として、成果や効率だけで自分や他人を評価する癖を見直す。
役に立つかどうかではなく、心が動いたかどうかを日常の判断基準に加える。
数学・文学・言葉に共通する創造の根
物事に基準や単位を設けたのは、まさに人の情緒だ。
情緒のなかにあるから出てくるのには違いないが、まだ形に現れていなかったものを形にするのを発見として認めているわけです。だから森羅万象は数学者によってつくられていっているのです。詩に近いでしょう。
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
⇒ 確信は論理の外側で生まれる。
岡潔は、数学の最深部に情緒があると語った。
矛盾がないと納得する瞬間は、論理計算の結果ではなく、心の満足である。
見通しが立ったと感じる感覚がなければ、数式は書けない。
小林秀雄もまた、確信なき知識を厳しく批判した。
自分が本当に信じたことを書かず、他人を説得するための理屈だけが並ぶ文章は、魂を持たない。
言葉も同じである。
言葉は意味を伝える記号ではなく、人間の生命が形を取った姿である。
古典の言葉は、意味と音、リズムと身体感覚が一体となっている。
現代語訳で意味だけを抜き出せば便利になるが、言葉の重みは失われる。
素読とは、意味を理解する前に、言葉を身体に通す行為である。
行動として、理解しようとする前に、声に出して読む時間を持つ。
考える前に感じる訓練が、確信の感覚を取り戻す。
教育と文明が建設すべきもの
正直な話、歩かなくて済むなら、私は歩きたくない。
人は正直だから自分の身丈(みたけ)にあったことしか考えようとしないのですな。精神を集中しているとか何とかいうことではなく、ほかのことを考える暇がない、その赴くままに歩いているのですね。
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
⇒ 人間の再建は、心の耕作から始まる。
岡潔は、生存競争を教育最大の害と見なした。
他者を敵として認識する癖は、人格の深部に歪みを残す。
能力や成果で序列化される環境では、情緒は育たない。
同級生を友と感じられる関係性こそが、人間形成の基礎である。
共感なき能力主義は、社会を効率的に見せながら、内部から荒廃させる。
小林秀雄と岡潔が問い続けたのは、何を作るかではなく、何を育てるかである。
人は物質の世界に住んでいるのではない。
情緒という見えない海の中で生きている。
理性は情緒を信じたときにのみ、正しく働く。
無駄や遊び、遠回りは、人間の精神を耕す時間である。
行動として、成果に直結しない時間を意識的に確保する。
役に立たない読書や会話を、自分に許す。
生きている人間などというのは、どうにも仕方のない代物だな。(中略)其処に行くと死んでしまった人間というものは大したものだ。なぜ、ああはっきりとしっかりとして来るんだろう。まさに人間の形をしているよ。してみると、生きている人間とは、人間になりつつある一種の動物かな
小林秀雄著『無常という事』
生きている人間は何を言い出すか、何をしでかすかわからない。
自分のことにしても、他人のことにしてもわからない。
それが、人間を建設するという行為である。
揺らぎがあって定まらないことが「情緒」である。

宮野公樹著『問いの立て方』
「良い問い」とは、単に課題を解決するための道具ではない。
「いい」は “良い”と“善い”のいずれも含むという。
物事の根源に立ち返り、「なぜそれを問うのか」に迫ることが本質的な問いである。
ほんとうの「いい問い」を考えるにあたっては、そもそも論の果てまで考える必要があると思うのです。
宮野公樹著『問いの立て方』
ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』
心理学者でジャーナリストでもある著者のゴールマンは、「成功要因のうちIQは2割で、EQは8割」という。
・EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、人の感情を思いやり、自分の感情をコントロールして動機づける力のこと。
・IQ(Intelligence Quotient)は知能指数。
言語力や、合理的に物事を考える高い思考能力の数値化したもの。
本書はEQを解明し、1995年に米国でベストセラーになった一冊。
急に怒り出す人は、情動に忠実に行動している。 情動は扁桃核で起こる。 無意識の領域だから、逆上する人は自分の情動に気づかない。つまり自分が見えていないのだ。
ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』
情動(じょうどう)とは、恐怖や怒り、喜び、悲しみなどの感情。
扁桃核(へんとうかく)は、大脳辺縁系を構成する主要な部位のひとつ。
まとめ
✅ 人間は知性だけでは生きられない。
✅ 情緒を失った文明は人を壊す。
✅ 再建すべきは社会ではなく心である。
知や意によって人の情を強制できない
小林秀雄/岡潔著『人間の建設』
⇒ 人間は心を耕すことでしか前に進めない。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
