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  • 投稿日:2026/02/28
  • 更新日:2026/04/05
第1章 第12話 時給1100円の衝撃。40度のハウスで知った「数字を超えた自由」の価値

第1章 第12話 時給1100円の衝撃。40度のハウスで知った「数字を超えた自由」の価値

ザトくん@Hands-on FIRE

ザトくん@Hands-on FIRE

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要約
退職を控え、週末家庭菜園の延長でトマト農家へ飛び込んだ65歳の税理士。そこで待っていたのは、時給1100円の現実と40度超の熱気でした。半日×3日でギブアップした私が、汗にまみれて掴み取った「自分の価値」と、じわじわ広がる「働き方を選べる自由」の正体にせまる実践記です。

【第12話】

リベシティの皆さん、こんにちは!

前回の第11話「苦労所得」のエピソードには、たくさんの温かいリアクションをありがとうございました。特に、まいち@農業AIさんからの「不動産は“育てる存在”」という言葉、胸に深く響きました。

即断即決の裏にある「日頃の備え」の大切さを汲み取っていただけて、一人の実践者として、これほど嬉しいことはありません。

さて、今回は少し趣向を変えて、私の「手痛い、けれど愛おしい失敗談」をお届けします。数字のプロであるはずの税理士が、計算機の外側で見つけた「本当の時給」のお話です。

退職希望と、静かに始まった「次の働き方」探し

一昨年の年末、私は1年半勤めた税理士事務所に退職の意向を伝えました。 「後任が育つまで」という言葉を意気に感じ、昨年9月までの延長を快諾。急ぐ理由もなかったので、人生のハンドルを少しずつ切り替えるような「じわじわ」とした移行期間を楽しみ始めました。

そんな折、ふと頭をよぎったのがドライブコースで見かけた「トマトのハウス栽培」です。 元々、MY腐葉土を自作するほど土いじりには自信がありました。定年後は、パソコンのキーボードではなく、日光を浴びながら、土の香りに触れて生きていくのも悪くない。そう思い立ったら、元税務調査官の行動力は早いものです。近所の農家さんへ、文字通り「飛び込み」でアルバイトを志願しました。

「えっ、税理士さんが……?」 農家さんの戸惑った顔は今でも忘れられません。そりゃそうですよね。でも、「せっかくだから」と受け入れてくださったその懐の深さに甘え、私の「第三の人生(仮)」が幕を開けました。

初日に知った「時給1100円」という現実

勤務条件も聞かずに初日を迎えた私に、農家さんがぽつりと言いました。 「うちは、最低賃金ギリギリの時給1100円だよ」

正直、一瞬だけ絶句しました。 長年、数字の世界で「専門性の価値」を扱ってきた身です。ですが、ここで「それは安すぎる」と計算機を叩くのは野暮というもの。「まあいいか、経験だ(いちおう、FIREしているし)」と、私は空調機付作業着に袖を通しました。

しかし、現実は想像を絶する過酷さでした。 時は7月、8月の盛夏。ビニールハウスの中は、息をするのも苦しい40度超えの世界です。 空調服を唸らせ、保冷剤を詰め込んでも、汗は文字通り滝のように流れ落ちます。 作業は、古い苗の撤去と掃除。腰を深くかがめ、土に深く根を張った苗を抜き、運び、また抜く。そうなんです。ビニールハウス栽培では、10月から5月までが、収穫時期(路地栽培とズラスから利益がある)なのです(;^_^A

午前中の3時間。たったそれだけで、私の体力は完全に底をつきました。 立ち上がろうとすると視界がゆらぎ、手足が鉛のように重い。 結局、私は午前中だけのわずか3日で「ギブアップ」を宣言することになったのです。

トマトハウスが教えてくれた「自分の価値」

3日間、計9時間の労働でいただいた給料は、9,900円。 「家庭菜園が得意です」というプライドは、プロの現場では1円の加点にもならない。そんな当たり前の現実を、私は自身の筋肉痛と焦げ付くような熱気の中で、身体ごと理解しました。

ですが、この3日間は、金額以上のリターンを私にくれました。 「資格と経験には、裏打ちされた価値がある」 その事実に、これほど感謝したことはありません。私が今、週3日という「じわじわFIRE」な働き方を選べているのは、決して偶然ではありません。40年以上にわたり、税務という泥臭い現場で積み上げてきた「信頼」という名の資産があったからこそ、選ぶ権利を手にしていたのです。

40度のハウスで泥にまみれたからこそ、エアコンの効いた事務所で税務相談に乗る今の時間が、どれほど恵まれているかを静かに噛み締めることができました。

その後、事務所からは「市内事務所への異動も含め、週3勤務で残ってほしい」と異例の提案をいただきました。時給に換算すれば、トマトハウスの何倍にもなります。 でも、本当に嬉しかったのは「数字」ではありません。「この働き方なら、自分らしく続けられる」と、人生のハンドルを自分で握っている確信——それこそが、何物にも代えがたい「心のリターン」でした。

心のFIは、こういう瞬間に育つ

今週の私は、祝日を挟んで2日働いただけで、なんと5連休です。 「ちょっと休みすぎじゃないかい?」と自分にツッコミを入れながら、庭先で七輪に炭を熾し、ビール片手にじわじわと赤くなる火を眺めています。パチパチと爆ぜる音を聞きながら、自分で選んだ「余白」を味わう贅沢。

この軽やかさこそが、私の提唱する「心のFI」です。 もし、あの過酷なトマトハウスの3日間がなければ、私は今の週3勤務を「もっと働かなければいけないのでは」という不安とともに過ごしていたかもしれません。

「自分で稼ぐ術を持っている。そして、働き方を選べる自由がある」 この確信があれば、通帳の数字が少し動くくらいでは、心は揺らぎません。

結び

働き方の価値は、決して時給だけでは測れません。 あなたの心がどう動くか。その働き方が、あなたを自由にしているか。 仕事を通じて社会と繋がり、かつ自分を楽しませることができているか。 その答えは、いつも「数字の外側」にあります。

トマトハウスでの3日間(正確には1.5日くらいで限界でしたが(笑)は、私に「選べることの幸福」を教えてくれました。 皆さんも、今持っている「資格」や「経験」を、もう一度温かな目で見つめてみませんか。それはきっと、あなたを自由へ導く最強の切符になるはずですから。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 あなたのFIREにも、心地よい手触りと、静かな余白が訪れますように。

※第13話は第1章のまとめ「こうした小さな点がつながり、静かに線になっていく。」です。第13話はこちらから読めます。

https://library.libecity.com/articles/01KHZXB1GVBNZHA69SCMDSNG1M

第13話 サムネイル 第1章まとめ.png

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ザトくん@Hands-on FIRE

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この記事のレビュー(1
  • 会員ID:ZhWOoq1f
    会員ID:ZhWOoq1f
    2026/03/05

    ザトさん 税理士さんがトマトハウスに飛び込むというユニークなエピソード、楽しく読ませていただきました。😊 「え、税理士さんが…?」という農家さんの困惑した顔が目に浮かんで、思わず笑ってしまいました。でもきっと農家さんも、心の中では「この人は違う場所で輝く人だ」とどこかで感じていたのではないでしょうか。 人には自分の居場所というものがあるのかもしれない、とこのエピソードを読んで感じました。 トマトハウスでの3日間は失敗ではなく、積み重ねてきたものが自然と"戻るべき場所"へ導いてくれたきっかけだったのだと思います。 週3勤務という今の働き方も、偶然ではなくザトさんが長年積み上げてきた価値の再確認なのでしょうね。

    ザトくん@Hands-on FIRE

    投稿者

    2026/03/05

    OGAさん レビューありがとうございます。 >「え、税理士さんが…?」という農家さんの困惑した顔が目に浮かんで、思わず笑ってしまいました。でもきっと農家さんも、心の中では「★なんだ。へんなやつ★」とどこかで思っていたでしょう(;^_^A 迷い道でたどり着いたのが「週3日」ですかね。 今後も、税理士以外の選択肢も探していきまーす

    ザトくん@Hands-on FIRE

    投稿者