- 投稿日:2026/04/19
親がどんな資産を持っているか、ちゃんと把握していますか?
相続でよくあるトラブルのひとつが、「どこに何の資産があるのか分からない」という問題です。
・ 銀行口座がどこにあるか分からない
・ 保険に加入していたかどうか不明
・ ネット証券やサブ口座の存在を知らない
こうしたケースは、決して珍しくありません。
この記事では、生前に確認できるのか?死後にどう調べるのか?そしてどのくらい費用がかかるのか?を分かりやすく整理します。
◆ 結論:生前はほぼ無理、死後は可能。でも大変
まず、結論からお伝えします。
生前:本人以外が調べるのは基本的に難しい
死後:相続人であれば調査できる(ただし手続きが煩雑で、費用もかかる)
つまり、「調べられるけど、簡単でも無料でもない」というのが現実です。
◆ 生前に資産を調べることはできるのか?
結論から言うと、本人の同意なしに勝手に調べることはできません。
銀行や保険は個人情報の塊なので、本人の承諾なしに開示されることは基本的にないからです。
ただし、次のような場合は確認できます。
・ 本人から委任を受けている
・ 通帳や保険証書などの書類が手元にある
・ 家族間で情報を共有している
逆に言えば、何の情報もない状態ではほぼ手詰まりになります。
だからこそ、元気なうちの準備が大切なのです。
◆ 死後にできる資産の調べ方と費用
ここからが実務的な話です。それぞれの費用感も合わせて確認しましょう。
① 銀行口座の調べ方
相続人であれば、金融機関への照会が可能です。ただし、どの銀行に口座があるか分からないと、そもそも照会先が特定できません。
まずは手がかりを探すことが重要です。
・ 通帳やキャッシュカード
・ 銀行からの郵便物
・ スマートフォンのアプリ
口座が特定できたら、各銀行で残高証明書や取引履歴の開示を請求します。
費用の目安 → 残高証明書の発行手数料は、1口座あたり1,000〜1,500円程度が一般的です。口座数が多いほど費用もかさみます。
② 保険の調べ方(見落としがちな重要ポイント)
保険は特に見落とされやすい資産ですが、一括で調べる方法があります。
それが生命保険協会の「契約照会制度」です。亡くなった後に、どの保険会社と契約していたかをまとめて照会できる制度で、知らない方も多いですが非常に役立ちます。
費用の目安 → オンライン申請なら6,000円(税込)、書面(郵送)なら7,000円(税込)。2026年4月1日より値上がりしましたが、1社ずつ探す手間を考えれば非常に有用です。
③ 証券口座・投資の調べ方
株や投資信託も、各証券会社への照会で確認できます。ただし、最近はネット証券の利用が増えており、「証券保管振替機構(ほふり)」への開示請求が有効です。亡くなった方が口座を持っていた証券会社名が判明します。
費用の目安 → 1件6,050円(税込)
以前紹介した法務局発行の法定相続情報一覧図(コピー)を提出した場合は、1件4,950円(税込)となります。
④ デジタル遺産(暗号資産・スマホ決済)の調べ方
近年、見落とされがちな資産として急増しているのが「デジタル遺産」です。
・ 暗号資産(ビットコインなど)
・ PayPayや楽天ペイなどのスマホ決済残高
・ 電子マネー(交通系ICカードなど)
・ ポイント(楽天ポイント・Tポイントなど)
これらは紙の書類が一切存在しないため、ログイン情報(ID・パスワード)がなければ家族がアクセスする手段がほぼありません。
暗号資産に至っては、ログイン情報や秘密鍵が分からないと、資産があっても永久に取り出せなくなるケースもあります。
対策として最も重要なのは「ログイン情報のメモ」
・ どのサービスを使っているか
・ IDとパスワード
・ 2段階認証の設定内容
これらをエンディングノートや信頼できる場所にまとめておくことが、デジタル遺産における最大の備えです。セキュリティが心配な場合は、パスワード管理アプリを活用しつつ、マスターパスワードだけ家族に伝えておく方法もあります。
また、意外と見落とされがちなのがスマホ本体のパスコード(画面ロック解除番号)です。どんなにログイン情報をメモしていても、スマホ自体が開けなければ意味がありません。信頼できる家族に、パスコードだけでも伝えておきましょう。
費用の目安 → デジタル遺産の調査は、専門家でも対応できないケースが多く、費用をかけても取り出せないことがあるのが正直なところです。生前の情報共有が唯一の確実な対策と言えます。
※ 専門家に依頼する場合の費用
調査が複雑になる場合や、手間を省きたい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することもできます。
【依頼先や費用の目安】
司法書士 … 5万円〜20万円程度(相続手続き全体)
弁護士 … 20万円〜(争いがある場合など)
相続診断士・FP … 数万円〜(相談・整理のみの場合)
内容や地域によって異なります。複数の事務所に見積もりを取ることをおすすめします。
◆ 実は多い「見つからない資産」
これはかなりリアルな話ですが、
・ 長期間使われていない休眠口座
・ ネット銀行の口座
・ 家族に話していなかった保険
こうした「誰も知らない資産」は、普通に存在します。そして見つからなければ、そのまま埋もれてしまう可能性もあるのです。費用をかけて調査しても、すべてが見つかるとは限らないのが現実です。
◆ 結局、どうするのがベストか?
ここまで読んでいただければ、答えはシンプルです。
生前に整理しておくことが、最善の対策です。
理由は3つあります。
1. 家族が困らない
2. 手続きが圧倒的に楽になる
3. 調査費用をかけずに済む
具体的には、こうした準備をしておくだけで相続の負担は大きく変わります。
・ 口座の一覧をメモしておく
・ 保険の内容を家族と共有する
・ デジタルサービスのログイン情報をまとめておく
・ エンディングノートを作成する
費用も手間も、生前の準備次第で大幅に減らせます。
◆ まとめ
相続で本当に困るのは、「お金がないこと」よりも、「どこに何があるか分からないこと」です。
・ 生前は基本的に第三者が調査するのは難しい
・ 死後は調べられるが、手間も費用もかかる
・ デジタル資産はログイン情報がなければ取り出せないことも
・ 気づかれないまま埋もれる資産も少なくない
だからこそ、元気なうちに整理しておくことが何より重要です。
ご自身やご家族のためにも、ぜひ一度しっかりと話し合ってみてください。
※ 費用の数字については、現時点での一般的な目安を記載していますが、生命保険協会の照会制度など、制度の内容や料金は変更になることがあります。ご利用前に公式サイトで最新情報を確認されることをおすすめします。