• 投稿日:2025/11/08
  • 更新日:2025/11/08
『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』ジョン・C・ボーグルが語る普遍の原則

『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』ジョン・C・ボーグルが語る普遍の原則

  • 1
  • -
シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

この記事は約12分で読めます
要約
ジョン・C・ボーグルは、短期利益を追う投機ではなく、価値と信頼を重んじる投資哲学を提唱する。 本書では「コストより価値を」「複雑さよりシンプルさを」という普遍的原則を解説。金融に限らず、人生において人格と責任が成功を導く鍵であると説いている。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』2021年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。


著者:ジョン・C・ボーグル

Photo_of_a_John_C._Bogle_By_Bill_Cramer.jpg出典:Wikipedia

投資信託会社バンガード・グループの創業者。1974年にバンガードを設立し、1996年まで会長兼CEO、2000年までシニアチェアマンを務めた。世界で初めて個人向けのインデックスファンドを創設したことで知られ、1999年には『フォーチュン』誌で、20世紀における4人の「投資業界の巨人」の1人に選ばれた。2004年には『タイム』誌で、「世界で最も力があり、影響力の強い100人」に選ばれている。『インスティテューショナル・インベスター』誌からは、ライフタイム・アチーブメント賞を贈られた。2019年1月没。


著者の他の本

402.pngジョン・C・ボーグル著『航路を守れ』

こちらは、彼が最後に書き遺した、同社誕生から現在までを振り返り、さらにインデックス業界の将来をも予言する回顧録である。


00000.png✅ 結論は「コストではなく価値を追求する」ことである。

✅ 信頼と責任を最優先にする。

✅ 真の成功は足元にある。

人生で「足る」とはどういうことか。
この質問に対する私の答えは、生来の性質と若いころの様々な経験から形づくられたのだと思う。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』


「なぜ努力しても成果が出ないのか?」

「投資で成功するには才能が必要なのか?」

そんな悩みを抱えるあなたにこそ読んでほしいのが本書だ。

ボーグル氏は、短期的な成功や利益よりも、長期的な価値と人格こそが本当の豊かさをもたらすと説く。

元のタイトルは「enough」。

本書は「足る」に全てが集約されている。


19世紀のイギリスでつくられた風刺詩をここに載せる。


自然から、自分の手で生計を立てる者がいる。

それを「労働」と呼ぶ。

自然から、自分の手で生計を立てる者から、生計を立てる者がいる。

それを「商売」と呼ぶ。

自然から、自分の手で生計を立てる者から生計を立てる者から、生計を立てる者がいる。

それを「金融」と呼ぶ。


本書は、「コスト」と「価値」、「成功」と「人格」という二項対立を軸に、現代社会で当たり前とされている企業や投資の価値観をいくつかのエピソードで問い直すことを読者に促している。

その結果、インデックス投資が生みだされたのは興味深い。

彼が「インデックス運用の父」と呼ばれる所以はここにある。


『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

Image_fx (1).jpg多くのアクティブファンドや投資信託を受け持つ機関投資家がインデックスファンドにリターンで勝てない。

その理由は「手数料や仲介料」を無駄に取り、自分自身の身体(市場はほぼ機関投資家で出来ている)ということを知らずに利益を貪ろうとする醜いセールスマンだからだと述べられる。

もちろん、セールスマンの存在が悪いわけではない。必要な職業だ。
(自己保身)

「足る」という感覚が失われると、「職業人」としての価値観が堕落する。
投資のための資金を委託された「受託者」であるべき人間が、ただの「セールスマン」になり下がる。そして、「信頼」の上に築かれるべきシステムが、「計算」に基づくシステムに変わってしまう。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

初めて個人向けのインデックスファンドを創設した人物の思想がうかがえる。

成功の核心は「価値」にある

Image_fx (8).jpgダイヤモンドはどこに価値があるのか?

本書では「ダイヤモンド=本当の資産」と位置付けている。

言うまでもなく、個別銘柄を選び出すアナリストや、市場の動きを予測する魔法使いたちが長期的な価値をもたらすなどと私は思っていない。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

0.png⇒ コストではなく価値を選べ。

「価値を選ぶことは、未来を選ぶこと。」


ボーグル氏は、投資の世界で「コストの小さな差が、長期的には驚くほど大きな結果を生む」と指摘する。

たとえば、年1.5%の運用手数料と0.05%の手数料の差は、30年後に数百万円どころか、数千万円の違いになることもある。

投資家が本当に意識すべきは「自分が払うコスト」ではなく、「受け取る価値」だ。

1%のコストを削った分、複利の力が最大化され、時間を味方につけることができる。

短期的な派手な利益ではなく、長期的に堅実なリターンを選ぶ――これが成功の第一歩だ。


人は「価値」を見出すものに黄金を差し出す。

だが、決して忘れてはいけない。

人は必ず、貯えた黄金をいつかは吐き出さなければならないのだから。


投機ではなく投資を続けよ

Image_fx (6).jpg長期投資はリスクが比較的小さいと言われるが、放置してはいけない。

株式市場は、短期的には投票のための装置である。‥‥‥(しかし)長期的には価値をはかるための装置である。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

00.png引用における投票とは、経済学者ケインズが提唱した「美人投票」のこと。

投票者は、自分が美しいと思う人を選ぶのではなく、他の人が美しいと思う人を選ぶことで、賞金(利益)を得ようする働きのこと。

AIやデータセンターに関する設備、半導体が「人気」を集め、多くの投資家が購入することで株価が上昇する状況に似ている。

問題はその人気が実力に基づいたものでなければ、株価は下落する可能性がある。


日常生活を過ごしていて、「使っていていいな」と思う商品の会社の株を買う。

こちらの方が実力に基づいた判断といえる。


0.png⇒ ゼロサムではなくポジティブサムへ。

「短期の賭けより、長期の信頼。」

株価の上下に一喜一憂し、短期で利益を狙う投機は「ゼロサムゲーム」である。

誰かの利益は、誰かの損失の上に成り立っている。

しかも、手数料や税金を考えれば、実際にはマイナスサムだ。

一方、投資とは企業の成長に伴って利益を共有する「ポジティブサムゲーム」だ。

経済全体が成長する限り、投資家全員がプラスになる可能性を秘めている。

ボーグル氏は「市場のタイミングを当てようとするのではなく、市場全体に乗り続けよ」と説く。

そのために有効なのが、低コストのインデックスファンドである。


複雑さよりシンプルさを追求せよ

Image_fx (7).jpg複雑なダイヤモンド製造装置は中で何が起きているかよくわからない。

金融システム側の取り分が多いほど、投資家の取り分は少なくなる。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

0.png⇒ わかりやすさが最大の力。

「シンプルは、最強の戦略。」


金融業界は複雑な商品を好む。

なぜか?それは複雑さが「高い手数料」を正当化する理由になるからだ。

しかし、複雑な商品ほどリスクを理解できず、投資家は失敗しやすい。


何も、金融商品だけではない。

キャッシュレス決済も人々の購買を助けるものだが、店舗の売り上げに対する「手数料」が高くなれば、経営に大きくかかわり撤退や商品が人々に届かなくなる。

キャッシュレスの規模が大きくなれば、管理や維持に膨大なコストがかかるのは否定できないが、どこかで成長は必ず止まることは間違いない。


ボーグル氏が生み出したインデックスファンドは、その真逆だ。

「市場全体に長期的に投資する」というシンプルな戦略。

派手さはないが、確実に市場の平均リターンを享受できる。

この「平均」に徹する姿勢こそが、実は長期ではほとんどのアクティブ運用を上回るという事実がデータで示されている。


0000000.png384.pngバートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』

本書を読めば、アメリカの株式市場では新しい投資情報は速やかに株価に織り込まれる、言い換えればかなり効率的だということを示唆する多くの証拠があることが分かるだろう。加えて、私が提唱し続けてきたインデックス·ファンドの優位性を支持する証拠も、年とともに着実に積み上げてきた。

バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー』


333.pngチャールズ・エリス 著『敗者のゲーム』

相手のミスを待つのが最良の戦略だ。投資も同じであり、市場に勝とうとしないことが一番よい方法だ。

チャールズ・エリス 著『敗者のゲーム』

インデックス投資に関する書籍としては、この2冊で十分だろう。

そもそも、どちらか一冊でも読むのは大変だが…。


信頼こそビジネスの土台

Image_fx (10).jpgレシートを積み上げることは簿記の観点なら価値があるだろう。

価値あるものすべてが数えられるとはかぎらない。
数えられるものすべてに価値があるとはかぎらない。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

0.png⇒ 計算ではなく信頼を重んじよ。

「信頼は、最強の資産。」


数字や契約よりも重要なのが「信頼」だ。

顧客との信頼関係があってこそ、ビジネスは長続きする。

ボーグル氏は、自社の利益よりも投資家の利益を優先するために、バンガードを「投資家のための会社」として構築した。

つまり、株主ではなく投資信託の運用会社自体が投資家に所有される構造だ。

この革新的なモデルが、バンガードを世界最大級の資産運用会社に育てた理由である。

信頼をベースにした仕組みは、長期で圧倒的な競争力を持つのだ。

0000000.png335.pngセス・ゴーディン著『パーミッション・マーケティング』

顧客数を追うのではなく、個々と深い関係を築くことが成果につながる。

今は、誰から買うかの時代である。

マーケティングの大半はスパムだ。テレビCMも、知らない人に送りつけるDMも、パーミッションを得ずに送るという点で顧客の時間を盗んでいる

セス・ゴーディン著『パーミッション・マーケティング』


販売精神を超えて責任を全うせよ

Image_fx (5).jpg不確かな足場を渡るには、協力と声掛けが必要だ。より責任感が出る。

本当の意味でのビジネスの成功とは、困難を乗り越えることに尽きるのだ。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

0.png⇒ 顧客第一が本当の勝者。

「売るより、守る。それが真の使命。」


金融業界では「いかに商品を売るか」が優先されがちだ。

しかし、それでは顧客に本当に必要な商品が提供されない。

結果、業界全体が信頼を失う。

ボーグル氏は「販売ではなく受託者責任」を強調する。

つまり、顧客のお金を預かる者は、その利益を最優先しなければならない。

これは投資だけでなく、あらゆるビジネスに通じる原則だ。

短期の売上を追うか、長期の信頼を築くか――その選択が未来を決める。


目の前にはつねに「ダイヤモンドの山」があり、私に見つけられるのを待っている。だがその価値を手にするには、責任をもって全力を尽くさなくてはならないのだ。

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』

0.png⇒ 人生の豊かさは所有よりも関与。

「豊かさは、所有ではなく関与にある。」


お金やモノをどれだけ所有しても、満足感は長続きしない。

足るを知り、欲望に振り回されることなく、自分自身や身近な人、大切な日常から価値や満足を見出すべきと語る。

一方で、自分の仕事や社会に「責任ある形で関わる」ことで得られる充実感は、人生を豊かにする。


ボーグル氏自身、巨額の資産を築きながらも質素な生活を貫いたことで有名だ。

1929年、ニュージャージー州モントクレアに生まれたが、幼少期に父親の事業失敗や両親の離婚など、経済的困難や家庭崩壊を経験し、少年時代から家計を助けるために働く必要があり、勤勉さ・節約志向・自立心が芽生える環境にいた。

「成功しても慢心せず、誠実に人々の役に立つこと」

家族のサポートが十分でなく、自己努力によってプリンストン大学へ進学。その過程で「自分自身の力で人生を切り開く」ことを強く意識した。


ジョン・C・ボーグルという名前が、多くの投資家やインフルエンサーよりも目立たない理由でもある。

その生き方が示すのは、「お金は手段であり、目的ではない」という普遍の真理である。


関与と責任を重んじることで、足元にある本当の成功を見つけることができるのだ。

とはいえ、『足る』お金も大事である。


商いの基本は身体と心の全体でつかむものだと思うからです。 それでも敢えてこのことに触れたのは、結局、人間は弱いものですから、常にこうありたい、こうあらねばならないという理想や理念を持ち、それを意識して日々の実践を行わなければ流されてしまうからです。

伊藤雅俊 著『商いの道』


0000000.png303.pngアーノルド・ベネット 著『自分の時間』

時間があれば金は稼げるが、金があっても時間は買えない

アーノルド・ベネット 著『自分の時間』

時間とお金には明確な交換レートはなく、時間は減る一方である。

現代、工業用の人工ダイヤモンドは簡単にできる。

長い時間、地下深くで炭素原子が強く結びついて結晶化した天然のダイヤモンドにはそれ以上の価値が出る。

時間以上の『価値』は中々ないだろう。

どのような使い方をしても、明日の時間が23時間にはならない。
(今のところは…。)


まとめ

リベシティ用サムネ.png✅ 結論は「コストではなく価値を追求する」ことである。

✅ 信頼と責任を最優先にする。

✅ 真の成功は足元にある。

彼が手にできないものが、私にはある。それは、『足るを知る』ということだ

ジョン・C・ボーグル著『人生のダイヤモンドは足元に埋まっている』


⇒ 成功とは、コストを削り、価値と信頼を選ぶことである。


高コストの投資手法が広まることは社会に多大な悪影響を及ぼす。

この国の道徳をわきまえた優秀な若者が、儲けの多い金融の世界へと引き寄せられ、それにともなって、より大きな価値を社会にもたらす職業とのあいだで摩擦が生じている。

チャーリー・マンガー


「金融」から、生計を立てる者がいる。

それを「国家」と呼ぶ。

そして、自然から遠く離れ、何から生計を立てているのか誰にもわからぬ者がいる。

それを「文明」と呼ぶ。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

note_見出し用.pngBGO.png

ブックマークに追加した記事は、ブックマーク一覧ページで確認することができます。
あとから読み返したい時に便利です。

シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

投稿者情報

シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

イルカ会員

この記事に、いいねを送ろう! 参考になった記事に、
気軽にいいねを送れるようになりました!
この記事のレビュー(0

まだレビューはありません