- 投稿日:2025/12/03
- 更新日:2025/12/03
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』2018年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:ジョン・ケイ
1948年スコットランド生まれ。エジンバラ大学、オックスフォード大学を卒業後、同大で講師として経済学を教えた。その後、英国で最も信頼されるシンクタンクである財政政策研究所でディレクター、オックスフォード大学のサイード・ビジネス・スクールの初代ディレクターなどを務める一方、多くの企業の取締役を歴任した。英国政府から請われて証券市場改革案(ケイ・レビュー)を作成するなど専門家の立場から公共政策に関わり、大英帝国勲章を受章している。フィデューシャリー・デューティー、ガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードなどを提唱し、日本の金融庁などにも大きな影響を与えたことでも知られる。現在、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員教授、オックスフォード大セント・ジョンズ・カレッジ・フェロー。20年間フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し続けたコラムニストとして、経済全般に関する鋭い洞察力と筆力で世界的に尊敬を集める世界最高のエコノミストの一人である。
ジョン・ケイ(John Kay)が日本に与えた主な影響は、彼が提唱した「ケイ・レビュー」による金融改革と、それに基づくスチュワードシップ・コード(企業統治の指針)などの導入で日本の金融庁にも大きな影響を及ぼした。
ケイレビュー:ジョン・ケイ氏が英国政府からの要請により英国株式市場の構造的問題、上場企業 行動、コーポレートガバナンスについて調査・分析を行ったレポート。2012年に発表された英国株式市場の活性化を目的とした提言。
✅ 市場は80%効率的だが、利益は残り20%にある。
✅ 長期視点とシンプルな投資戦略が最強の武器。
✅ 金融業界の常識に流されるな、自分の頭で考えよ。
将来どうなるかの憶測に時間を費やすのではなく、将来は必然的に不確実だと心得よう。さまざまな偶発時に対して頑丈なポートフォリオをつくって身を守ろう。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
「市場は本当に効率的なのか?」
「個人投資家に勝ち目はあるのか?」
そんな疑問を抱くあなたに朗報である。
本書は、金融業界の常識を疑い、知性を武器に投資を成功させるための指南書。
短期利益や複雑な仕組みではなく、長期的な本質を見抜く力を養う方法を解説する。
端的にいうと、①出費を抑える、②できる限り分散する、③逆張りで行く。
①出費は金融業界の手数料を抑えること。

②分散は、地域ごとの、現金、株式(業界)、不動産、債券といった「資産そのものの形式の分散」のこと。

③逆張りは知的に「この部分はおかしい」と判断できる力を持って、市場の流れに逆らうことである。
このシンプルな3つのルールを守る投資戦略をしようと語る本。
投資家ではなくエコノミスト(経済学者)から見た、本気で金融を学びたい人向きの投資本。
なるべくわかりやすくしようと言葉を選んでいる印象を私は感じた。
また、英国人らしいユーモアのある語り口が特徴。
「ご自身の投資決定によるいかなる結果についても、当方は責任を負いかねます」。
あなたのことを決めるのはあなたご自身だ。
本書があなたの道連れになれますように。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
お金を増やすなら、自分の考えが重要だ。しっかりした石のような意思を。
ほとんどの投資本は取引のやり方を教えてくれるが、私がお勧めするのは、市場ではなく自分の頭で考えることだ。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
市場は完全効率ではない
私なりに言い換えれば、市場は80%効率的だが、投資の利益は概して、非効率な残りの20%から得られる。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
⇒ 非効率な20%にチャンスがある。
⇒ 自分のリスク許容度を知ることが鍵。
市場は効率的であるという「効率的市場仮説」は、長らく経済学の根幹を成してきた。
効率的市場仮説:金融市場に利用可能なあらゆる情報が瞬時に価格に反映されるため、投資家は継続的に市場を上回るリターンを得ることができないという学説。
しかし、ジョン・ケイはこの仮説を部分的に否定する。
彼の見解によれば、市場の約80%は効率的であるが、残りの20%は非効率であり、そこにこそ投資家のチャンスがあるという。
この非効率性は、情報の偏在、感情による価格の歪み、企業価値の誤認といった要因から生じる。
非効率な残りの20%があるおかげで、一部の投資家やアクティブファンドが平均リターンを大きく越えることができる。
2008年のリーマン・ショック後、株式は過剰に売られたが、その後に回復した。
日経平均株価も7000円台から2025年9月時点で4万2300円台になった。
今では5万円台を超えるようになった。
2008年の市場は一時的に恐怖に支配され、合理性を失ったのである。
この局面で冷静に価値を見抜けた2割の投資家は莫大な利益を得た。
本書では、手堅い投資家(他の機関投資家に従う。)から始めて、賢明なる投資家となり、自分の頭で考えて投資決定と運用する戦略にシフトしようと語る。
入門者が、手持ち資金のほんの少しだけを使ってそうするのを止める気はない。
手始めに市場の仕組みと心理を学ぶのには安い授業料だ。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
まずは、貯金という選択肢以外を持つことを学び、お金を増やす一番知的なやり方である賢明なる投資家を目指していく。
じゃあ他の投資家ってなんやねんというと。
例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオ(国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%)という資産構成割合から始めることである。
他の海外大手基金でも良い。
オランダの年金基金:ABP、ノルウェー銀行投資運用部門:NBIMなどを本書ではあげている。
日本円の貯金のみも利息が付く以上、1つの金融商品である。
もちろん、持っている資産すべてで25%ずつではなく、必要な現金を除いた金額での25%である。
仮に100万円なら、20万貯金し、80万円でそれぞれ25%(20万)ずつ分散させるようなイメージだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
予測不能で極めて稀な事象が、社会や金融市場に甚大な影響を与えると語る書籍。
リーマンショックや新型コロナウイルスのパンデミックなどは、その代表例である。
ブラック·スワン(黒い白鳥)とは、まずありえない事象のことであり、次の三つの特徴を持つ。 予測できないこと、非常に強い衝撃を与えること、そして、いったん起こってしまうと、いかにもそれらしい説明がでっち上げられ、実際よりも偶然には見えなくなったり、あらかじめわかっていたように思えたりすることだ。
ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
ハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え』
他人のお金を運用する者、自分のためにお金を増やす者、子供の学習資金のために準備する者…雑にいえば、リスクは人によって違う。
運用会社の立場、有名人の立場、私の立場、あなたの立場でのリスクは全く異なるのだ。
つまり、人によってリスク管理や投資手法が異なるため、投資に悪手はあれど、最適解は存在しない。
一部の投資家にとってリスクとなる要因が、ほかの投資家には影響しないケースも多い。 また、一部の投資家の特定の投資においては安全に見える要因が、ほかの投資においてはリスクとなる場合もある。
ハワード・マークス著『投資で一番大切な20の教え』
逆張りとは何か?
雨が降る時に外に出て、晴れているときは家にこもる。不健康だね。
実践のポイントは、市場の多数派に逆らうのではなく、市場が誤っていると確信できる限定的な場面を狙うことだ。
すべての価格が誤っているわけではない。
だからこそ、知的に「この部分はおかしい」と判断できる力が求められる。
「相手はなにかまずい理由があって売りたがっているものを、なぜ自分は買いたいのだろう?」と考えたとき、「相手はなにかまずい理由があって売りたがっているからだ」という答えが導かれるようなら、逆張りのチャンス到来である。
投資業界にノイズを無視する自由はないが、あなたにはある。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
逆張りは何でも下がったら買うということではない。
グレアムの『賢明なる投資家』のように、自分の頭で考えて、自分のリスク許容度を知り、自己の明確な基準で投資決定することである。
すなわち、自己の中では安全性と合理性が両立しているのに、なぜか売られている株式を買うことである。
会社の不正会計などが原因で大きく下がった株を買うのではない。
こちらは企業の財務や配当が信用できない明確な理由がある。
不祥事も、会社の構造的問題なのか?
社員、社長といった個人の問題なのかでも変わる。
売り手側だけの都合と問題で下がった株は逆張りのチャンスとなる。

ベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』
本書は「バリュー投資」に関する本であり、「賢明なる投資家」という言葉の元祖(元ネタ)である。
『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』の中で非常に参考にされている部分が多い。
投資家でなく、エコノミストから高い評価を得ているのは大変興味深い。
本書が対象としているのは投資家(investor)であって、投機家(speculator)ではない。
ベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』
ジョン・ケイは、「知識と行動のバランス」を重視する。
いくら知識があっても、恐怖や欲望に支配されれば判断を誤る。
逆に、根拠なき自信で行動すれば破滅する。
必要なのは、自分のリスク許容度を知り、それに基づいて投資スタイルを確立することだ。
彼の哲学は、ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』と共鳴する。
すなわち、安全性と合理性を両立させることである。
金融業界の罠を見抜け
君も、横一列に並ぼう!ここで待ってれば、餌がもらえるんだって!
巨額の報酬は強欲な人々を引きつける。
強欲な人の数が多ければ、金融サービス業界は最も有能な人材を選り取り見取りだ。金融業界には強欲で有能な人々と、強欲で無能な人々が大勢いるが、有能なのに欲深くない人はわずかしか見当たらない。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
⇒ 金融機関は顧客より自社を優先する。
⇒ 短期主義を排し、時間を味方につける。
手数料重視のビジネス構造や複雑な商品は、投資家の利益を損なうことが多い。
金融機関は顧客の利益を守るために存在する、というのは幻想に過ぎない。
現実には、彼らは手数料や自社利益を最大化するビジネスモデルで動いている。
これは善悪の問題ではなく、構造の問題である。
複雑な金融商品や高速取引が、社会全体ではなく一部の金融マンにのみ利益をもたらす「ゼロサムゲーム」であると見なしている。
金融業界の人間から、金融アドバイスを貰ったら、相手がだれであっても、どのような動機で助言しているのかを疑うべきである。
複雑なデリバティブ商品や高額なアクティブファンドは、投資家に高いリターンを約束するかのように見えるが、実際には高コストがリターンを食いつぶす。
これがインデックスファンドの方が高いパフォーマンスを上げる理由の一つでもある。
世の常として、タダで自分のお金を増やしてくれる人間は、資本主義社会にいてはいけないことになっている。
最低限のコストは受け入れて、ケチと節約を間違えてはいけない。
投資信託を買う際は経費率や手数料をちゃんと吟味してからのほうが、あなたは十分なリターンを得ることができる。
経費率:ETFの純資産総額に対して、運用会社が運用にかかる費用を自動的に差し引く割合のこと。
ジョン・ケイは、こうした現実を冷静に認識し、金融機関に盲目的に従うのではなく、自分の判断基準を持てと繰り返し説く。
彼のメッセージは明確だ。
「お金を守る最大の敵は市場ではなく、あなたの無知と業界構造である」。
よく理解できるビジネスに投資し、分散し、時間を味方につけること
シンプルな戦略で十分である。
財務担当役員とアナリストとの非生産的なやり取りは、個人投資家にとってはチャンスだ。
そんなの無視して儲けるチャンスだ。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』

ジョン・C・ボーグル著『航路を守れ』
個人向けインデックスファンドという「低コスト投資時代」を切り開いた人物の書籍。
おそらく、金融業界で有能なのに欲深くない1人である。
「If you have trouble imagining a 20% loss in the stock market, you shouldn’t be in stocks.(株式市場で20%の損失を被る想像ができないなら、株式に投資すべきではない)」
ジョン・C・ボーグル
まとめ
✅ 市場は80%効率的だが、利益は残り20%にある。
✅ 長期視点とシンプルな投資戦略が最強の武器。
✅ 金融業界の常識に流されるな、自分の頭で考えよ。
金融業界を改革するには、政治家や規制当局者や市民を説き伏せる必要があるが、あなたの資産運用を改革するために説得しなければならないのは、あなただけだから。
ジョン・ケイ著『世界最強のエコノミストが教えるお金を増やす一番知的なやり方』
⇒ 「シンプルな原則こそ最強の戦略」。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

