- 投稿日:2025/12/07
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はエドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』2000年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:エドワード・チャンセラー
出典:日経BOOKプラス
ケンブリッジ大学トリニティカレッジで歴史学を学び、第一級優等学位で卒業。オックスフォード大学で啓蒙思想史を研究し修士号を取得。1990年代初頭からロンドンの投資銀行ラザード・ブラザーズに勤務。その後、Breakingviews.com金融コラムニスト、投資会社GMOの資金運用チームのシニアメンバーを経て、現在、ロイター傘下となったBreakingviews.comのコラムニストを務める。ウォール・ストリート・ジャーナル紙、フィナンシャル・タイムズ紙、マネーウィーク誌、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス誌に寄稿。著書にDevil Take the Hindmost: A History of Financial Speculationがある(邦訳:『バブルの歴史』山岡洋一訳、日経BP、2000年。『新訳 バブルの歴史』長尾慎太郎・山下恵美子訳、パンローリング、2018年)。同書は数多くの言語に翻訳され、ニューヨーク・タイムズの年間注目書に選ばれた。
✅ バブルは「市場性・信用・投機」が揃うと必ず生まれる。
✅ 人は「今回は違う」と思い込み、強欲と恐怖に振り回される。
✅ 歴史を学ぶことで冷静な投資判断が可能になる。
身分の高いものも低いものも、賢明なのもそうとはいえないものも、あらゆる人たちが引きつけられ、だまされた。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
「バブル」という言葉の語源は、英語の「泡(bubble)」に由来する。
特に18世紀イギリスで発生した「南海泡沫事件(South Sea Bubble)」が象徴的な由来とされている。
南海会社の株価が「実態のない利益」の誇張と過剰な配当の約束が相まって、株価は急騰し、利益が期待外れだったことで株価は急落、多数の破産者や社会的混乱が生まれた。
ちなみに有名な天才科学者のアイザック・ニュートンも南海株で大損害を被っている。
株価の急落時に「ナンピン買い」まで行ったことで、現在の価値にして数百万ドル、あるいは数億円に相当する損失を出したと言われている。
天体の動きなら計算できるが、人々の狂気までは計算できなかった
アイザック・ニュートン
たとえ偉人や天才でも、熱狂には勝てないものである。
さて、「バブルは過去の話」と考えていないだろうか。
しかし人類は、チューリップからIT株まで、同じ過ちを繰り返してきた。
本記事では、金融投機の古典『バブルの歴史』を要約し、バブルが生まれる仕組みと冷静に市場を見るヒントを解説する。
投資先がない行き詰まりのときに、バブルは生まれる。
今はどうなのだろうか?
それは誰にもわからない。
熱狂が終わったときに、「バブルだった」と人は口をそろえて言うことになる。
『バブルの歴史』
シャボン玉は傍から見ていると綺麗に見える。それが歴史だ。
会社に箔をつけるために、有力者に株式が無料で配られた。
株価を操作し、議員を買収しようとしたことをみれば、不正があったのは明らかである。
金融詐欺と投機がからみあっていて、このふたつを区別するのは容易でなかったほどだ。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
ポンジ・スキームや実体のない不動産特定共同事業法に基づく不動産投資型の金融商品が横行するのは現代も変わらない。
原野商法という資産価値や利用価値がほとんどない山林や原野などを「将来値上がりする」「開発計画があり高値で売れる」などと偽って、高額で売りつける悪徳商法もある。
ビジネスも詐欺も「相手に価値があると思ってもらう」ことが始まりである以上、見抜くのは難しい。
せいぜいできることは、「シンプル」なものにだけ関心を向けよう。
投資先がない行き詰まりのときに、欲は生まれる。(3敗)
バブルの三要素を知る
積みあげた原因と同じように、崩れる原因もある。
喧嘩と火事が江戸の華なら、バブルと暴落は経済の華といえるのではないだろうか。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
⇒ 市場性・信用・投機の三角形が炎を生む。
火事が「酸素」「燃料」「熱」の三要素が揃うことで起きるように、金融バブルもまた「市場性」「通貨と信用」「投機」という三つの要素が十分に揃ったときに、わずかな火花によって引き起こされる。
①市場性(燃料):潜在的な売り手と買い手の数が膨らむ。
②通貨と信用(酸素):金利水準が2%を下回ると投機的な動きが生まれる。
③投機(熱):無関心だった一般人までもが市場に参入し始める。
資産の取引しやすさ、信用拡大、投機熱が同時に高まると、価格は理性を超えて上昇する。
市場に十分な流動性があり、銀行などの金融機関が積極的に融資を行うと、人々は「まだ上がる」という期待を抱きやすい。
そこに短期的な値上がり益を狙う投機資金が流れ込むと、実体価値との乖離は急速に拡大する。
バブルは偶然ではなく、これら三つの要素がそろったとき必然的に発生する構造的な現象である。
心より軽いものは何か。思考である。
では、思考より軽いものは。
このバブルの世界だ
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』

マルコム・グラッドウェル著『急に売れ始めるにはワケがある』
「少数者の法則」ともいわれ、影響は驚くほど少数の人間から広がっていく。
流行をつくるのはごく少数の特殊な人物で3種類いる。
❶社交性で人をつなげる「コネクター」(弱いつながり)
❷知識を拡げる「メイヴン」(説得力)
❸説得力で背中を押す「セールスマン」(相手をその気にさせる)
⇒ 3人ではなく、3タイプが揃うことが重要。
アイディア、製品、メッセージ、行動などはウィルスのように広がっていくのである。
マルコム・グラッドウェル著『急に売れ始めるにはワケがある』
①市場性の役割
ベンジャミン・グレアムは、投資にあたっては「安全のための余裕」をもたせ、予期できない悪条件にぶつかっても、元本を維持できるようにすべきだと論じた。情報が乏しいなかで投資した場合、あるいは思い付きで投資した場合には、予想される収益率を十分に時間をかけて調査し、検討して投資した場合より投機的になる。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
⇒ 流動性が熱狂を後押しする。
⇒ 一般でも手を出しやすくなった燃料となる。
株式や不動産の「売買のしやすさ」は、市場に新規の参加者を引き寄せる。
売買が活発になると価格形成が迅速になり、値動きはさらに注目を集める。
例えば株式市場では、オンライン取引の普及が短期売買を加速させ、過剰な期待を増幅することがある。
市場性が高いほど、「いつでも買って、すぐに売れる」という安心感が投機のハードルを下げ、熱狂を呼び込むのである。
②通貨と信用の罠
借金をして株を買うのは、どのような場合であれ投機だともグレアムは述べている。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
⇒ 低金利は投機の酸素になる。
金利が低いということはお金を借りやすいということ。
しかし、金利は「時間のモノサシ」である。
「貸付可能な資本は、他のあらゆる商品と同様に、それを作るのに最も適した場所にやってくる」
エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』
政策金利が2%を下回る水準に長期間とどまると、預金による利息収入はほとんど期待できず、資金はより高いリターンを求めてリスク資産に向かう。
銀行の融資姿勢も緩み、借入による投資が広がる。
こうした環境では、投資家は「レバレッジ」をかけて利益を追求しやすくなり、資産価格は一層の高騰を見せる。
だが信用拡大は裏返せば脆弱さの源泉でもあり、資金繰りが滞れば一気に逆流が起きる。
雑にいうなら、金融緩和、量的緩和、為替安が組み合わさるとバブル発生と崩壊の危険度が上がる。
未来(株式)に期待する者が多くいる中で、時間(金利)の価値が低いというのは、酸素濃度が高くなるのに近い。
③投機心理の力
投機は混乱をもたらす力なので、つねに政府による制限を必要とするが、どのような鎖で縛りつけていてもそれを切って暴れ出す。
経済の自由と制約の間で、振り子が振れることになろう。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
⇒ 強欲と恐怖が市場を揺らす。
価格が上昇している局面では、「もっと儲かるかもしれない」という強欲が支配し、人々は冷静な計算よりも周囲の熱気に流される。
そして、多くの投機家が「いずれ暴落が起こることは分かっていたが、自分だけはその前に売り抜けられると信じていた」
反対に、下落が始まると一瞬にして恐怖が広がり、全員が出口を目指して殺到する。
投機心理は群集行動を生み、相場の変動を必要以上に大きくする。
歴史を振り返れば、どのバブルにもこの感情の振り子が見て取れる。
多くの書籍で言われていることだが、自分の心理を制御できるものがバブルを乗り越えることができる。
「厳しいな」と思ったら一切かかわらない胆力も求められる。
生き残るには適切に恐怖し、未来を考えることが必要だ。
バブルの代償と現代への教訓
それでも、泡に包まれているときが一番楽しい。
空売りが株価暴落の原因になったとしてつねに非難されるが、問題はそれ以前の強気相場の段階で、強気筋が株価を維持できない水準に押し上げることにある。
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
⇒ 形を変えても本質は同じ。
⇒ 崩壊のツケは庶民が負う。
南海泡沫事件、19世紀の鉄道株ブーム、1929年の米国株式市場、そして1980年代の日本の不動産――どの時代にも、投機家は「今回だけはこれまでと違う」と信じた。
新しい産業は以前のテクノロジーほど多くの投資資金を必要としない。
新しい技術や制度の登場は、確かに市場に革新をもたらすが、資産の本質的価値を無視した過度な期待は、やがて同じ結末に行き着く。
特に1980年代後半の日本では、地価と株価の急騰が社会全体を巻き込み、最終的にバブル崩壊が長期停滞を招いた。
資産価格が下落すると、企業や個人のバランスシートは損失を抱え、消費や投資は冷え込む。
被害を最も受けるのは、熱狂に乗り遅れまいと最後に参加した一般の人々である。
一部の小さな熱から勢いは生まれ、最後に訪れる被害はより多くの人を巻き込む。
庶民の数は多いのだから、必然的に被害が多いのは庶民になるわけだ。
私たちができることは何か?
それは現代においても、冷静な分析と分散投資(株や貯金、外貨といった大きな枠組み)、そして「過剰な借金を避ける」という基本を忘れない姿勢が、同じ悲劇を防ぐ最大の防波堤となる。

ベンジャミン・グレアム著『証券分析』
「投資とは成功した投機である」
ベンジャミン・グレアム著『証券分析』
エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』
同じ著者がまとめた「金利の歴史」に関する書籍。
⇒ 金利は「時間の価格」というモノサシである。
膨大な金利の歴史を語るこの本からわかることは、ただ一つ。
金利は「絶対に敵に回すな、絶対に味方につけろ」だ。
ゼロ金利になれば労働時間が減り、「人間のあるべき姿」を考える時間が手に入る。でも人間は相変わらず働け働けで、貨幣を求めているだろう。
ジョン・メイナード・ケインズ
イギリスの経済学者は、経済的豊かさを得た人間が、貨幣や仕事に追われず、本来考えるべき「人間の在り方」や思想、文化的・精神的活動により多くの時間を使えるようになると信じていた。
しかし実際には、生産性向上の成果が労働時間の短縮ではなく消費拡大と格差拡大に使われた。
さらには、ITのおかげで目の前に嫌でもちらつく基準や比較対象に広告収入が乗るようになり、ますます私たちの心を駆り立てる。
「もっと働いて、もっと稼ごう」「隣人よりも豊かになりたい」という欲望が消費・労働を駆動し続け、人間は依然として貨幣や仕事のために多くの時間を費やすことになった。
「経済の発展によって生まれる余裕を、単なる消費や労働の拡大に使うのではなく、人間が本来的に追求すべき精神的成長や内面の充実に充てる」
この境地に至れるほど、私たちはまだ進化できていない。
藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』
異次元緩和が株価を押し上げたが、金利引き上げを困難にし、長期的に物価上昇を加速させた。
株高不況は単なる経済現象にとどまらず、社会全体の不安や分断を引き起こす可能性が高い。
預金が「今」ならば、株式は「未来」というポジションを持っている。
インフレ経済では「リスクを取らないことがリスクになる」という側面があります。「インフレ負け」をいかに防ぐか、それが重要な視点になってきます。
藤代宏一著『株高不況―株価は高いのに生活が厳しい本当の理由』
儲けるためというよりも、インフレ負けを防ぐために株式を購入する方が健全である。
1980年代のバブル時代に比べれば、インフレ、物価高で見た目の売り上げは過去最高益の企業も多い。
ある意味、実態に伴なった成長であると言われている。
さて…今は「バブル」なのだろうか?
少なくとも、世界を含めた現実と乖離していないかを知らなければならない。

出典:漫画『チェンソーマン』(Chainsaw Man)
理性だけでは、やっぱりつまらない。
そして私たちは状況が少し違った過ちを繰り返して、歴史を作る。
まとめ
✅ バブルは「市場性・信用・投機」が揃うと必ず生まれる。
✅ 人は「今回は違う」と思い込み、強欲と恐怖に振り回される。
✅ 歴史を学ぶことで冷静な投資判断が可能になる。
遅れた者は悪魔の餌食
エドワード・チャンセラー著『バブルの歴史』
大きく長く続くほど、資産バブルが大きく膨らむほど、その後に続く資産バブル崩壊も大規模になる。
エドワード・チャンセラー著『金利 「時間の価格」の物語』
⇒ 「歴史は繰り返す」と知る者だけが未来を守れる。
しかし、完全に同じではない。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
