• 投稿日:2025/12/18
『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』:共に進化する社会の作り方

『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』:共に進化する社会の作り方

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シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

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要約
IQ180の天才という枠を超え、オードリー・タンの「共好」「楽しさ」「権威なきリーダーシップ」といった実践的な思考法を通じて、社会変革のヒントを示す一冊。 アドラー心理学やストア哲学、知的生産論など多様な思想の融合から、私たちが日常の仕事や人間関係に応用できる考え方を読み解く。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回は近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』2021年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

筆者:近藤弥生子

台湾在住の編集・ノンフィクションライター。1980年福岡生まれ・茨城育ち。東京の出版社で雑誌やウェブ媒体の編集に携わったのち、2011年2月に駐在員との結婚がきっかけで台湾へ移住。現地デジタルマーケティング企業で約6年間、日系企業の台湾進出をサポートする。台湾での妊娠出産、離婚、6年間のシングルマザー生活を経て台湾人と再婚。独立して、2019年に日本語・繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う〈草月藤編集有限公司〉を設立。雑誌『&Premium』、『Pen』で台湾について連載中。ブログ「心跳台湾」にも、台湾での暮らし、流行、子育て、仕事のことなど台湾の「いま」がわかる情報を執筆している。


補足:オードリー・タン

img_c8d7bfd207d5ce3c6129e9b08a4f4b811316553.jpeg出典:プレジデントオンライン

台湾のデジタル担当大臣(デジタル担当政務委員)を務める。

知能指数180以上、中学以後は学校に行かず、16歳で会社経営に参画、35歳で台湾史上最年少の大臣に就任と、異色の経歴の持ち主。


別の書籍

160.png石崎洋司著『「オードリー・タン」の誕生 だれも取り残さない台湾の天才IT相』

こちらは子供向けにルビが振られてオードリー・タンの歴史がわかる内容になっている。

コロナ下での台湾政府の迅速な対応や取り組みはこちらで。


00000.png✅ 社会を動かす力は「共好」と「楽しさ」にある。

✅ 特別な才能ではなく「協働」と「目的思考」で前進できる。

✅ 誰でも「社会を変える人」になれる思考法を持て。

オードリーの突出した能力は多々あれど、彼女は、自分が最も得意とするのは「共同作業」と「協業」だと言う。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』


「自分に特別な才能がないと、社会を変えるなんて無理だ」と思っていないだろうか?
本書はそんな思い込みを壊す一冊。

IQ180と称される台湾のデジタル大臣オードリー・タンは、天才性ではなく「共好(ゴンハオ)」という考え方を軸に、誰もが社会に貢献できる道を実践している。


00.png共好(ゴンハオ):もともとアメリカ・インディアンの「共同で仕事をする」という意味の「GungHo」の発音を中国語化したもの。

「相手の価値観を尊重し、全員が受け入れられる価値観を見つけながら共同で作業する状態」のこと。


①この世界には、非常に多くの面白い問題がある。

②あなたが1つの問題を解決したら、他の人が同じような問題に時間をかけないように思いついた解決方法をシェアする。

③単調でつまらないことは人類ではなく、機械を使って自動化させる。

④自由とオープンデータを追求し、どんな権威主義にも抵抗する。

⑤自らの知恵を差し出し、勤勉に鍛錬することで絶えず学習する。


今あげたのは本書に登場するハッカーにとって大切な5つの心得。

ちなみに、ハッカーとは、コンピューターやネットワーク、プログラム解析などに関して高度な技術や知識を持つ技術者のことで、本来は悪意を含まない。

悪用する者をブラックハッカーやクラッカーと区別している。

この記事では、彼女の思考法から、日常の仕事・人間関係・キャリア選択に活かせるヒントを学ぼう。


『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

Image_fx (7).jpg技術の発達には素直に喜ぼう。問題は私たちから生まれる。

検索技術の発達した現在、事柄を暗記しても、あまり役に立ちませんし、インターネット上で非常に多くの異なる文化を持つ人々と出会った時に、どのように文化を跨(また)いで自己を形成していくか、それは過去の教育では教えてくれなかったことでした。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

価値観から人と知り合い、何かを一緒に創り出し、それによってまた新しい人と知り合っていくのが、オードリーの考え方である。

睡眠不足の学生が暗記に多くの時間を費やしても意味がない。

天才神話を超える思考法

Image_fx (1).jpgパズルをどこからつなげるかは、ピースの数だけ存在する。

国民は発見したのです。そもそもデモとは、圧力や破壊行為ではなく、たくさんの人に様々な意見があることを示す行為だということを。政治は国民が参加するからこそ、前に進める。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

0.png⇒ 特別でなくても社会は変えられる。


オードリー・タンは「IQ180」という肩書を自ら否定し、「私は天才ではなく、ただの市民」と語る。

メディアで取り上げられる際は、「IQ」を「身長」にしてくださいとユーモアを交えるぐらいに「IQ」を気にしていない。

意見が対立している様々な立場の人が、共通の価値観について話し合うこと。
それは私が最も長い間取り組んできた得意分野です。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

「IQ(知能指数)」よりも大切なのは「EQ(心の知能指数)」を大切にしている。

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、人の感情を思いやり、自分の感情をコントロールして動機づける力のこと。


ここにあるのは、一人の英雄が社会を変えるという幻想を超える姿勢だ。

彼女が重視するのは「協働する場」を設計することであり、そこに参加するのは誰でもよい。

小さな声も、異なる視点も、場に加われば大きな変化の一部になる。

つまり、社会を動かすのは「一部の特別な人」ではなく、参加し続ける無数の普通の人々である。

討論に「感情」を持ち込まず、「合理的」であるかを判断基準にする歩み寄りには「EQ」があってできる「傾聴」が求められるのだ。


0000000.pngthumb_リベシティ用サムネ__6_.pngダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』

自分も相手もコントロールする秘訣は「EQ」である。

他人に共感できると、他人の感情に働きかけられる。
感情は感情表現が強い人から弱い人に伝染する。
感情表現力が強い人間の情動は多くの人を同調させる。

一部の言い方では「カリスマ」といってよい。

学校の成績がよくても、人生のピンチやチャンスにはほとんど役に立たない。 IQが高いからといって富や名声や幸せを得られる保証はないのに、学校も社会も学力ばかりに注目して、人生を左右するもう一方の大切な資質、すなわちEQには目を向けない。情動の知性にも、数学や国語と同じように能力差がある。

ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』


「楽しさ」を仕事の原動力にする

Image_fx (6).jpg誰だっておいしいものを食べたい。楽しいならなおさらだ。

オードリーはいつも「fast(速さ)」「fair(公平さ)」「fun(楽しさ)」という、3つの「f」がその要因であると話す。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

0.png⇒ 情熱よりも「楽しさ」が持続力になる。

⇒ 対立ではなく「共に良くなる」道を探す。


多くの人は「使命感」「責任感」で頑張ろうとするが、やがて燃え尽きてしまう。

彼女はむしろ「楽しいからやる」という姿勢を大切にしている。

笑いながら取り組むことは、緊張や不安を和らげ、自然と継続を可能にする。

楽しさは「惰性」ではなく、創造性を引き出すエネルギー源だ。

ワクワクを軸に働く人は、気づけば長期的な成果を築いている。

「共好(ゴンハオ)」とは、相手を否定することなく、全員が心地よい形で前進する考え方だ。

従来の議論は「勝者と敗者」を生みがちだが、タンのやり方は異なる。

彼女が設計する場では、異なる立場の人々がフラットに話し合い、全員が納得できる落とし所を探す。

結果として、多様性は分断ではなく、新しい解決策を生む力になる。

性別や階級、役割などは環境と共に変わっていきますが、相手が何に対して貢献しているのかを大切にするという考えは、とても尊いと思います

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』


【実生活アドバイス】

仕事がつらいと感じたら、「これは自分にとって楽しいか?」と問い直そう。

会議で冗談を一つ交える、好きな音楽をかけながら作業するなど、小さな「面白さ」を取り入れるだけで、仕事は軽やかに回り始める。

会議や人間関係で意見が対立したときは、「どちらが正しいか」ではなく「両者が納得できる中間点」を探してみよう。

小さな歩み寄りが、関係性を壊すどころか強化するきっかけになる。


0000000.png334.pngベン・ホロウィッツ著『Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる』

「あなたは何者なのか(Who You Are)」と行きついた結果が文化の正体であるという。

誰も見ていない時にどう行動するかこそ、文化の真の姿なのである。

最も強固で長続きする企業文化は、言葉ではなく行動に基づく。 企業文化はリーダーの人柄と戦略に合ったものでなければならない。 それは、ベテラン社員が感じるものではなく、新入社員が初日に感じ取る、この職場で成功するために必要な要素だ。

ベン・ホロウィッツ著『Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる』


権威なきリーダーシップ

Image_fx (5).jpg樹木に水を与えることはできるが、成長するかは樹木の問題だ。

「私は趣味でデジタル担当大臣をやっているので、この仕事をしているときが一番楽しいんです。ある漫画で主人公が『自分は趣味でヒーローになった』という台詞があるんですが、それと一緒ですね」

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

ちなみにその漫画は『ワンパンマン』(作者:ONE、リメイク版作画:村田雄介)である。

0.png⇒ 命令ではなく「場」をつくることがリーダーの役割。

⇒ 過去ではなく「なぜ・どこへ」を問う。

⇒ すべてに手を出さず、本質的な課題に集中せよ。


彼女は「上からの指示」ではなく、人々が「自ら参加したくなる空気」を生み出すことを重視する。

リーダーは命令者ではなくファシリテーターであり、安心して意見を言える場を整える存在だ。

権威に頼らないリーダーシップは、短期的には弱く見えるかもしれない。

しかし、それこそが人々を長期的に動かす力になる。

オードリーは「過去」ではなく「未来」に軸を置く。

情熱や使命感は一定の時間を過ぎると使い終わってしまうけれど、楽しさを原動力にすればずっと続けることができる、だから私たちは使命感ではなく自分が楽しいことを優先しよう、と提議しました。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』

彼女にとって重要なのは「なぜそれをするのか」「どんな社会を目指すのか」であり、行動はその目的に従って選ばれる。

失敗や批判も、未来の目的に沿うならば恐れる必要はない。

社会には無数の課題があるが、オードリーは「本当に解決すべき1点」にフォーカスする。

価値のない問題に時間を費やすのは、努力を浪費するだけだ。

鋭く問題を見極めれば、最小の労力で最大の成果を生むことができる。


【実生活アドバイス】

チームを率いる立場なら、細かい指示を連発するよりも「なぜこのプロジェクトが大切か」を共有しよう。

人は命令には従わなくても、納得した目的には自発的に動き出す。

毎日「なぜそれをやるのか?」を自分に問いかけてみよう。

明確な目的が見えれば、迷いや不安は減り、自然と行動に一貫性が出てくる。

ToDoリストを見直し、「今日解決すべき最重要の1つ」を最上位に置こう。

小さな雑務に追われる日々から抜け出し、本当に価値ある行動に集中できるようになる。


本書ではオードリー・タンがお勧めするORID法やデザイン思考、KJ法といったフレームワークやテクニックも紹介されている。

気になるなら、AIで検索してみても良いだろう。

ORID法はObjective(客観的事実)、Reflective(感情・反応)、Interpretive(解釈・意味)、Decisional(決定・行動)の4つのステップで問いかけを進め、思考を整理しながら具体的なアクションにつなげ、会議や振り返り、内省を段階的に深めていくためのフレームワークと教えてくれる。


0000000.png393.png安宅和人著『イシューからはじめよ』

「イシュー(issue)」は、単なる問題ではなく、以下の二つの条件を満たすものと定義されている。

「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり、

「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の

両方の条件を満たす"問題"である。

大抵の社会問題が該当する。

世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。

安宅和人著『イシューからはじめよ』


395.png岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』

「共好(ゴンハオ)」は、アドラー心理学の「共同体感覚」に深く関連している。

共同体感覚とは「人間は皆互いを支え合う仲間である」という感覚であり、その実現には「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の3要素が不可欠であるとされている。

欧米で絶大な支持を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な”答え”を提示します。

岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』

承認されないことを恐れず、自分の価値観で生きる覚悟を持つ。

それが『嫌われる勇気』だ。


まとめ

note_見出し用.png✅ 社会を動かす力は「共好」と「楽しさ」にある。

✅ 特別な才能ではなく「協働」と「目的思考」で前進できる。

✅ 誰でも「社会を変える人」になれる思考法を持て。

大部分の人は、コメント欄があると、別の人の意見の気に入らないところを見つけて攻撃を始めます。
賛成派は仲間を集めて、いいねを押します。
反対派も同じことをします。
それが分断ですね。
でもそれは日本人だからではありません。
台湾でも同じです。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』


⇒ 共に良くなる社会は「共好(ゴンハオ)」と「楽しさ」から始まる。


面白いと思ったことがわずかしか稼げないとしても、それで飢え死にすることがなののであればやってみます。
面白いと思いながら何かに携われる場合、私はその過程で新しい学びを得ることができ、私と一緒に仕事している人ともそういった学びの楽しさを共有でき、彼らもまたより積極的に参加してくれるようになるからです。

近藤弥生子著『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』


誰かが誰かをいじめたり、攻撃するのは当人の問題ではなく、「仕組み」の問題である。

同じようなことは別の場所でも起こり、時間を越えて繰り返される。

だからこそ、「ユーモア」を忘れてはいけない。


世界の中で「自分の役割」を見つけるには…。

①自分が面白いと思うことを行い。
②自分が得意なことを見つける。
③「やりたいこと」を社会で実践していく。
④リーダーシップを無理に取る必要はない。
⑤ただし、たくさん試すこと。

自分に何ができるかを制限してはいけない。

一人の天才を生むことは難しいが、一人ひとりの心に小さなオードリー・タンを宿そう。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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