- 投稿日:2025/10/13
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』2023年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:村山綾(むらやま・あや)
1979年生まれ。州立モンタナ大学心理学部卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科博士前・後期課程修了。博士(人間科学)。日本学術振興会特別研究員を経て、近畿大学国際学部准教授。専門は社会心理学。集団や社会で生じるコミュニケーションの齟齬について研究する
✅ 私たちは誰もが「思考のクセ」に支配されている。
✅ 原因を単純化する「帰属バイアス」が誤解を生む。
✅ 社会心理学を学べば、心の偏りに気づける。
・あの人のテストの点数が悪いのは、努力が足りないから。
・日頃の行いがいいから、遠出する今日は晴れの天気になった。
・最近悪いことがよく起きるから、そろそろいいことが起こる気がする。
・あの子は勉強はできるけど、運動は苦手そう。
日常の生活を送る中で、ここで書いたように考えたことはありませんか?
こんなふうについ考えてしまうのは、この本のタイトルにあるように、私たちの心にクセがあるからです。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
「なぜ、あの人のミスを『怠けたせい』と思ってしまうのか?」
「どうして、自分の成功は“努力”で、失敗は“運のせい”にしたくなるのか?」
それは、私たちの心にひそむ“クセ”が原因である。
本書は、そんな無意識の思考パターンを社会心理学の視点で解き明かし、「見方のレンズを磨く方法」を教えてくれる。
『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
国家それぞれに「クセ」があるのだから、個人の「クセ」はより細かい。
社会心理学では、私たちを取り囲む「状況の力」を意識しながら、人の考え方や行動についてデータを取って調べることに興味・関心があるのです。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
心のクセと原因帰属のメカニズム
理由を探すときに多くの人が陥ってしまう「クセ」について、説明していきます。この章を読み終える頃には、自分がどれだけこの「クセ」に基づく判断をしていたか、気づくかもしれません。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
⇒ 人は無意識に「意味づけ」で安心を得ようとする。
私たちは日々、出来事に対して無意識のうちに「意味」を与えている。
テストが悪ければ「努力不足」、雨が降らなければ「日頃の行いがいい」と考える。
このような“心のクセ”は、偶然や不確実な出来事を受け入れにくい人間の本能から生じる。人は不安を減らし、世界を理解可能なものとして整理したいのだ。
社会心理学では、この「意味づけの習性」を原因帰属と呼ぶ。人はあらゆる結果に「なぜ?」を求めずにいられない。
成功したとき、「自分の努力の成果だ」と考える一方で、失敗すれば「運が悪かった」「上司が悪い」と考える。
これが自己奉仕バイアスである。
つまり、自尊心を守るために都合のよい理由を選び取る心理のことだ。
原因帰属は一見、合理的な分析のように見えて、実際には自己防衛の仕組みである。
自分を肯定し、心の安定を保つには役立つが、同時に他者への誤解を生む要因にもなる。
たとえば、他人の失敗を「怠けているせいだ」と内的に帰属させてしまうと、相手の状況を理解する余地を失ってしまうのだ。
人を動かすのは「性格」ではなく「状況」
シャボン玉も、外側からつつけば簡単に壊すことができる。
「出来事」、「行為」、「反応」のうちのどの言葉を使っていても、外的要因、内的要因の両方が原因帰属として用いられはしますが、これら2種類の要因の影響力(バランス)がそれぞれ少しずつ違っているということです。たとえば「行為」は、「出来事」や「反応」と比べて原因帰属において内的要因の影響力が強くなる可能性が高いでしょう。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
⇒ 行動の多くは環境に左右される。
私たちは他人の行動を見ると、つい「性格が悪い」「努力が足りない」と判断しがちだ。
しかし、社会心理学の研究はそれを否定する。
人の行動を決めるのは、むしろ「状況」である。
たとえば、いつも温厚な人でも、集団の圧力や時間的なプレッシャーが加われば、攻撃的になることがある。
性格が変わったのではなく、状況が行動を変えたのである。
心理学者フィリップ・ジンバルドーの有名な「スタンフォード監獄実験」は、この事実を象徴する。
スタンフォード監獄実験(Stanford Prison Experiment)は、1971年にアメリカのスタンフォード大学で行われた著名な心理学実験。
普通の大学生が「看守」と「囚人」の役割を与えられただけで、看守役の学生は残酷な行動を取り始め、6日間で打ち切られた。
人格が変わったわけではない。
環境という力が人を変える。
この視点を持てば、「あの人は冷たい」「あの部下はやる気がない」といった単純なレッテル貼りから距離を置ける。
状況を見極めることは、誤解を減らし、人間関係を柔軟にする第一歩である。
思い込みから自由になるということ
雨に濡れたいときもあるだろう。しかし、傘は持っていこう。
「どうやって(How)」、ばかりではなく、「なぜ(Why)」、の視点を意識することで、物事を長期的に捉え、目標達成に向けて自分をコントロールし、適切な行動を取れるようになる場合があります。より遠い未来を想像しながら活動できれば、目の前の課題に対する失敗や成功の意味も、また違って捉えられるでしょう。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
⇒ 「自分の見方」を疑う力が、人を成熟させる。
私たちは皆、「自分の考えが正しい」と思いたい。
だが、その確信こそが思考の罠であり、心のクセを強固にする。
社会心理学が教えるのは、正しさよりも柔軟さである。
心のクセに気づくとは、「相手の立場や状況を考える余白を持つ」ということだ。
他人の遅刻を「だらしない」と決めつける前に、「交通トラブルかもしれない」「家庭の事情かもしれない」と考える視点を持つ。
この“思考の保留”こそが、思い込みから自由になる最初の一歩である。
本書が伝える最大のメッセージは、「人間は誤る生き物である」という前提を受け入れること。
自分の判断や感情を絶対視せず、時に立ち止まって疑う勇気を持つことが、社会の中でしなやかに生きる知恵なのだ。
「成功したい」よりも、「失敗したくない」と考えて行動をおこす人が多いこともわかっています。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
しかし、自身の「成功したい」を成就させるためには自ら行動してリスクを取っていくしかないのだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ著『身銭を切れ』
「身銭を切る」とは、単にお金を出すことではない。
それは、自らの意思決定に対して責任を負い、リスクを自分の身体と生活で引き受けるという生き方である。
失敗を経験した者の知識こそが、真に価値を持つ。
実社会に対してリスクを背負い、良い結果と悪い結果を両方受け容れる。
タレブはこれを「仁義」と表現し、人間社会における最も基本的な公正の原則だと説く。
「自分がしてほしいことを他者にもせよ」
ナシーム・ニコラス・タレブ著『身銭を切れ』
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』
自由とは上を向くことだ。「いま、ここ」をありのままに受け容れよ。
ライフスタイルが先天的に与えられたものでなく、自分で選んだものであるのなら、再び自分で選びなおすことも可能なはずです。
岸見一郎・古賀史健 著『嫌われる勇気』
アドラー心理学における「ライフスタイル」は性格や気質、思考や行動の傾向のこと。
「いま、ここ」という連続する点(刹那)の積み重ねが人生である。
真の自由は「嫌われる可能性」を受け入れること。
承認されないことを恐れず、自分の価値観で生きる覚悟を持つ。
その覚悟がない限り、他者の期待からは逃れられない。
荒木博行著『努力の地図』
努力しても報われない人は、「どこに向かって(目標)」「何をすべきか(選択肢)」の地図を把握していない。
ただ、努力をした分だけリターンが返ってくるという神話を信じている。
努力を構成する単語として、注目すべき言葉がある。 それは「目標」だ。努力を語るうえで、目標は欠かすことのできないピースである。目標なくして、努力はない。
荒木博行著『努力の地図』
努力の報酬を得ていない人を総じて「努力不足」や「自己責任」と捉えてしまうのは早計である。
努力と報酬の関係にはいくつかのパターンがあることを知ろう。
あくまで、設計や選択のない努力は良くないだけだ。
まとめ
✅ 私たちは誰もが「思考のクセ」に支配されている。
✅ 原因を単純化する「帰属バイアス」が誤解を生む。
✅ 社会心理学を学べば、心の偏りに気づける。
たまに時間をとって、長期的な目標を確認し、未来のポジティブな自分の姿をイメージしながら行動できれば、不確実な状況で生きていくことに対する不安も少し和らぐかもしれません。
村山綾著『「心のクセ」に気づくには社会心理学から考える』
⇒ 「正しいと思い込んだ瞬間に、世界は狭くなる」
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
