- 投稿日:2026/01/26
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はW. チャン・キム/レネ・モボルニュ著『破壊なき市場創造の時代』(2024年発行)をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:W. チャン・キムとレネ・モボルニュ
(左)W・チャン・キム (右)レネ・モボルニュ
INSEADの教授であり、同校ブルー・オーシャン戦略研究所の共同ディレクターを兼ねる。2人の共著『ブルー・オーシャン戦略』は世界的なベストセラーとなり、史上最も影響力の大きい戦略書の代表格と見なされている。5大陸でベストセラーとなり、44カ国語に翻訳されるという記録を打ち立てた。キムとモボルニュはThinkers50が選ぶ世界のマネジメントの大家トップ3に名前を連ね、世界中の多数の賞に輝いてきた。世界経済フォーラムのフェローを務めるほか、ブルー・オーシャン・グローバル・ネットワークの設立者でもある。
✅ 競争を壊すより、空白を創れ。
✅ 経済善と社会善を両立せよ。
✅ 未解決課題こそ最大の市場機会である。
地に足のついた楽観主義者は優位な立場にある。
なぜなら「解決は可能であり、よりよい世界を築ける」と信じているからだ。
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
「イノベーションは破壊を伴うもの」
そう信じていないだろうか?
長年、経済成長を支えてきたのはシュンペーターの「創造的破壊」だった。
だが、それは同時に雇用喪失や社会不安といった負の連鎖も生んできた。
本書が提唱する「破壊なき市場創造」は、その常識を覆す。
競争を壊さず、社会的コストを生まない“新しい市場の創造”こそ、次の時代の成長エンジンになる。
今回は、「破壊なき市場創造」の本質を3つの視点。
創造的破壊との決別・社会的価値との統合・課題起点の戦略から紐解いていく。
『破壊なき市場創造の時代』
元々ある氷の大地を壊さずに、新たな市場を作るのだ。
非ディスラプティブな創造とは、企業の破綻、雇用の喪失、市場の荒廃を引き起こさずに、新たな産業を創出することを意味する。
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
いきなり難しく感じるだろうが、例えば、眼鏡の発明がこれに該当する。
視力に問題のある人々の新たな需要を喚起し、他産業を破壊せずに生活の質を向上させた。
フリマアプリ「メルカリ」などのプラットフォームも、使われていなかった中古品流通の新市場を作り上げたといえる。
非ディスラプティブな創造とは、従来の産業構造や競争関係を「破壊」しないで新しく生み出されたルールである。
創造的破壊からの脱却──「壊す」発想を捨てよ
ライバルを蹴落とすだけがビジネスじゃない。城攻めは下策だ。
科学的発明や技術的イノベーションそれ自体、まったく新しい製品やサービス、あるいは特定の地理的市場や社会経済特性とは異なるものであり、これらと混同すべきではないということである。
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
⇒ 成長の鍵は、破壊ではなく共存にある。
長年、イノベーションの代名詞として語られてきたのが、シュンペーターの「創造的破壊」だった。
だが、現実にはこの“破壊”の裏で、雇用喪失・賃金低下・地域崩壊という副作用が蓄積してきた。
市場を壊すことで新たな市場を生む。
その成功の陰には、取り残される人々や、価値を失う企業がある。
W. チャン・キムとレネ・モボルニュは、この「破壊こそ進化」という幻想を切り捨てる。
彼らが提示する「破壊なき市場創造」は、壊すのではなく、共に生かすという新しい経済思想だ。
既存の市場を敵に回すのではなく、その外側に「まだ存在しない価値圏」を築く。
ゼロサムではなく、パイそのものを拡大する。
これが根幹にあるポジティブサムの考え方である。
たとえば、マイクロファイナンスは銀行を破壊しなかった。
マイクロファイナンス:貧困層向けに少額融資を提供し、主に「無担保の少額融資(マイクロクレジット)」から始まり、預金や送金、保険といったサービスにも拡大し、特に新興国で重要な役割を果たしている。
マイクロファイナンス機関(MFI)は、寄付、政府補助金、銀行融資、預金、株式発行、ファンド出資など複数の方法で資金を集め、融資は生活費ではなく、ビジネスや生計向上のための「事業費」に使われる。
多くのMFIでは、グループごとに融資(例:5人1組など)を行い、メンバー同士が相互監視し合うことで高い返済率を実現している。
むしろ、既存の金融構造の外に“金融アクセスを持たない人々”という新たな市場を開拓した。
セサミストリートもまた、教育業界の秩序を壊すことなく、「家庭で学ぶ」という新しい教育圏を生み出した。
つまり、「破壊による創造」ではなく、「調和による創造」である。
イノベーションの本質を、競争から共存へと再定義する発想だ。
もはや「壊して勝つ時代」は終わった。
これからは、共に価値を築く者が市場を制する時代である。
経済善と社会善の両立──“誰も取り残さない市場”を設計する
氷の大地に白熊以外のクマがいることに目を付けよ。
ビジネスにおいて攻撃と恐怖がいかに大きな意味を持つか、気づいたことがあるだろうか。(中略)「先に攻撃しなければ、排除されたり破滅へと追いやられたりするこもしれない」と感じさせるからだ。
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
⇒ 利益だけを追う企業は、もはや成長できない。
従来の企業戦略は「利益の最大化」を目的としてきた。
だが、その過程で犠牲になるのは、必ず“誰か”だった。雇用・地域・環境。
それらの犠牲の上に成り立つ成長は、もはや持続可能ではない。
「破壊なき市場創造」は、この構造的欠陥を修正する「倫理的成長戦略」である。
著者らは、経済的価値(Economic Good)と社会的善(Social Good)の両立を「ポジティブ・サム・アプローチ」と定義する。
つまり、成長とは誰かを排除することではなく、全員が果実を分かち合うことなのだ。
この発想は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsとも親和性が高い。
企業が社会と切り離されて成長する時代は終わった。
社会的信頼を得ることが、長期的な企業価値の源泉となる。
インドの発明家:ムルガナンダム氏の例は象徴的だ。
アルナーチャラム・ムルガナンダム氏
参考外部サイト:「生理用品」で5億人を救ったインドの起業家から、事業開発者が学べること
妻や妹が不衛生な布や紙を生理用として使っている現状を知り、安価で機能的なナプキンを開発しようと決意した。
そして彼が開発した低コストの生理用パッド製造機は、大手企業の市場を奪うことなく、農村の女性に新しい職と尊厳をもたらした。
2014年に『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれている。
これこそ「誰も犠牲にしない成長」の理想形である。
「破壊なき市場創造」が目指すのは、社会と経済の共進化である。
単なるCSR(企業の社会的責任)の延長ではなく、社会善そのものを成長戦略の中心に置くこと。
利益を独占する時代から、信頼を資本に変える時代へ──。
それが、破壊なき市場創造が提示する未来像なのだ。
未解決課題に挑め──「空白」を見つける者が市場を創る
ちょっとしたことこそ、大きな企業にはできない。
「今日において可能なことはすべて、かつては不可能とみなされていました。今のところ不可能に見えることが、実現への軌道をたどっているのと同様です。もしそれに価値があり、情熱がわいてきたなら、私たちは『なぜ今やらないのか、なぜ自分たちでやらないのか』を掘り下げます」
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
⇒ 競合分析ではなく、“空白分析”をせよ。
「破壊なき市場創造」の出発点は、競争ではない。
重要なのは、誰も手をつけていない「未解決課題」を発見することである。
市場の中ではなく、外にこそチャンスが眠っている。
著者らはこれを“課題駆動型アプローチ”と呼ぶ。
競合他社を分析しても、新しい市場は生まれない。
見るべきは、まだ満たされていない人々の「小さな不満」や「不便」だ。
GoProはその典型である。
引用画像:公式サイト
スマホカメラの向上により、デジタルカメラは大きく市場から退いた。
しかし、GoProは既存カメラを壊さず、「臨場感のある映像を簡単に撮りたい」という未充足ニーズに応えた。
Squareは、複雑な決済システムに苦しむ小規模事業者の課題を拾い上げた。
ポストイットも、偶然の“失敗作”を「剥がせるメモ」という新価値に変えた。
ここで鍵となるのは、技術よりも価値を先に定義することだ。
多くの企業は「新技術があれば勝てる」と考えるが、それは誤りである。
技術は手段であり、目的は「買い手の価値をどれだけ変えられるか」にある。
「破壊なき市場創造」とは、技術革新のための革新ではない。
人々の暮らしや社会の中にある“解かれていない問題”を発見し、それを壊さずに解くことで、新しい市場を共に育てる戦略である。
これからの時代、競争の勝者になるよりも、空白の開拓者になることが求められている。
破壊ではなく創造。
奪い合いではなく分かち合い。
具体的なアプローチとしては――。
❶社会課題の解決や未充足ニーズへの着目
既存の市場が満たしていない課題(例:衛生、教育、環境、アクセシビリティ)を探し、新しい顧客層や用途を生み出せる分野を特定する。
❷既存技術や知識の新しい組み合わせ
新技術だけに頼らず、今あるものを新たな文脈や方法で応用できるアイデアを模索すると、破壊を伴わずに市場創造が可能となる。
❸「誰も競争していない分野」を発見
強い既存プレイヤーと正面から戦うのではなく、未開拓ゾーン(ブルーオーシャン)や無視されてきた需要に注目する。
❹共存・対話型のイノベーション思考
既存企業や社会と「協調・共生」で価値を生み出そうとする姿勢を持つことで、摩擦や雇用喪失などの痛みを伴わない市場創造に結びつく。
「破壊なき市場創造」はそのための「静かな革命」なのだ。

A・プランデンパーガー著『ゲーム理論で勝つ経営』
プレイヤーにはいくつか種類がある。
つまり、自社商品の価値を下げるプレイヤーが「競争相手」になる。
そして、ゲームの仕組みを変えられればビジネスで有利になる。
⇒ 「ビジネスはゲームであり、ルールを知る者が勝つ」
安宅和人著『イシューからはじめよ』
「イシュー(issue)」は、単なる問題ではなく、以下の二つの条件を満たすものと定義されている。
「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり、
「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の
両方の条件を満たす"問題"である。
「破壊なき市場創造」とは何か?を考えるうえで参考になるだろう。
世の中にある「問題かもしれない」と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。
安宅和人著『イシューからはじめよ』
W・チャン・キム/レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン・シフト』
同じ著者の書籍。
未開拓ゾーン(ブルーオーシャン)や無視されてきた需要に注目する戦略を語る。
研究では、競合がひしめく既存市場、すなわちレッドオーシャンを抜け出して最高の自信、市場、成長を手にした、大小の営利・非営利組織、政府機関について調べた。
W・チャン・キム/レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン・シフト』
まとめ
✅ 競争を壊すより、空白を創れ。
✅ 経済善と社会善を両立せよ。
✅ 未解決課題こそ最大の市場機会である。
誰しも自給自足はできず、他者に依存している。
W. チャン・キム/レネ・モボルニュ『破壊なき市場創造の時代』
⇒ 「壊す勇気」より、「創る知恵」
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

