- 投稿日:2025/11/09
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回は立花義裕著『異常気象の未来予測』2025年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:立花義裕
1961年北海道生まれ。三重大学大学院生物資源学研究科、地球環境学講座・気象・気候ダイナミクス研究室教授。札幌南高等学校卒業。北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。小学生のときに、雪の少ない地域や豪雪地域への引っ越しを経験し、気象に興味を持つ。「羽鳥慎一モーニングショー」を始め、ニュース番組にも多数出演し、異常気象や気候危機の情報を精力的に発信。北海道大学低温科学研究所、東海大学、ワシントン大学、海洋研究開発機構等を経て、現職。専門は気象学、異常気象、気候力学。2023年三重大学賞(研究分野)、2024年東海テレビ文化賞。日本気象学会理事、日本雪氷学会理事。
✅ 日本はすでに「四季の国」ではなく「二季の国」である。
✅ 異常気象は今後さらに激化し、戻れない境界=ティッピングポイントに近づいている。
✅ 脱炭素と生活の最適化を両立する「実践」が唯一の道である。
いまや日本は、「世界一異常気象が発生する国」です。
まさに異常気象が「普通」の時代に突入しているのです。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
「日本の四季がなくなった気がする」
「夏が長すぎて、春と秋がない」
その実感は、単なる感覚ではない。
日本はすでに“二季の国”へと変わりつつある。
猛暑や豪雨が当たり前になった今、私たちの生活はどう変わり、何をすべきなのか。
本書は、気候変動を“怖い話”ではなく、“科学的かつ実用的なテーマ”として捉え直す指南書である。
『異常気象の未来予測』
平成の時代から、不都合な真実は言われてきた。それだけのこと。
実は無関心な多数の人々のほうがよっぽどの「危機」だといえます。このまま二酸化炭素を増やし続ければ、すぐに地獄のような気候がやってきます。無関心のままでは、この問題は解決しません。一人でも多くの方に異常気象や気候問題に関心を持ってほしい。それが本書の最大の目的なのです。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
四季が消える日本──「二季の国」の現実
夏と冬だけの世界で私たちは過ごしていかないといけない。
日本は四季の変化が鮮明で、その移ろいを愛でる文化が1000年以上も根付いていますが、今では四季を自慢できなくなってきています。激しい異常気象が満載の「二季」の国が現在の日本なのです。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
⇒ 日本はすでに「四季を失った国」になりつつある。
「日本は世界で最も異常気象が多発する国だ」。
この一文は、誇張でも悲観でもない。
実際、2024年には観測史上最高の平均気温を記録し、11月にすら夏日を観測。
春と秋という“緩衝の季節”が失われ、長く厳しい夏と冬だけの「二季の国」となりつつある。
桜が散った翌週には30℃を超える真夏日。
秋の運動会では熱中症搬送が相次ぎ、夜になっても気温は下がらない。花火大会では観客が暑さで倒れ、救急車が何度も出動する。
もはや「夏の思い出」はロマンではなく、リスクそのものだ。
熱中症による年間死者数は1000人を超え、風水害の死者の約10倍。
高齢者や持病のある人にとって、猛暑は“災害”と呼ぶにふさわしい。
日本では熱中症で毎年1000人規模の人が命を失っています。この数は風水害による死亡者の約10倍。夏の気温が高い年ほど熱中症死亡者の数は増えているのです。そして隠れ熱中症の死亡者は、その数倍にも及びます。基礎疾患を持つ人や高齢者ほど、命の危機にさらされているのです。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
しかもこの暑さは一過性ではない。
「夏が長い」「秋が来ない」という感覚は、単なる気のせいではなく、気候構造そのものの崩壊を意味している。
長年「四季の国」として知られてきた日本の文化は、もはや過去形だ。
俳句や短歌、食材や行事など、四季を前提にした風習が成立しにくくなりつつある。
つまり、異常気象は自然環境の問題にとどまらず、文化・生活・経済の根幹を揺るがす社会問題へと発展しているのだ。
異常気象が「普通」になる理由──戻れない地球の仕組み
家の壁面温度があり得ない数値になる時代がやって来る。
仮に20年後から二酸化炭素排出を減らし始めたとしても、その効果が現れるのは、そこから20年以上も先です。つまり、40年は気温が上がり続け、さらに激しい異常気象となってしまいます。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
⇒ 温暖化は“止めても止まらない”。今はもう臨界点の手前にいる。
立花は、異常気象を単なる“一時的な異変”と捉えるのは危険だと警告する。
地球の気候は巨大なシステムであり、一度加熱すると容易には戻らない。
これを「熱慣性」と呼ぶ。
たとえるなら、ブレーキを踏んでもすぐには止まらない暴走トラックのようなものだ。
仮に今日から世界が一致団結してCO₂排出をゼロにしても、その効果が実感されるのは20年以上先。
つまり、これから40年は気温が上昇し続ける──それが「地球の時間軸」である。
さらに厄介なのが「ティッピングポイント」だ。
ティッピングポイントとは、物事がある一定の条件を超えると一気に広がる現象のこと。温暖化が一定のレベルを超えると、その後どんなに二酸化炭素を減らしても、下がることがないのです。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
これは、温暖化がある限界値を超えると、一気に別の気候状態に移行し、元に戻らなくなる現象のこと。
北極海氷の減少、永久凍土の融解、森林火災の増加などが連鎖し、温暖化が温暖化を呼ぶ“正のフィードバック”が発生する。
2023年には世界中の海面水温が異常上昇し、地球全体の平均気温は産業革命前より1.4℃高くなった。
科学者が「危険水域」とする1.5〜2.0℃上昇の境界は、もはや目前である。
一度ティッピングポイントを超えると、どれだけ二酸化炭素を減らしても、元の気候には戻らない。
まさに「アナザーワールド」異常気象が日常化し、災害が“生活の一部”となる世界だ。
「私たちはすでに、その入り口に立っている」
これは未来予測ではなく、現在進行形の現実である。
気候危機を乗り越える「生活の再設計」──個人ができる実践策
これからは地球に合わせて生きるしかない。それがトレンドだ。
残念なことに、人は楽なほうを好むので、少し頑張るだけでも多くの人は嫌悪します。「1人がやっても、貢献度は限りなくゼロに等しい」「我が社だけが対策していても意味がない」などと後ろ向きです。「なぜこんなことが起きるのか」という疑問は、気象・気候に興味を持ち、好きになる大きなきっかけとなります。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
⇒ 脱炭素は「難しいこと」ではなく、「日常の選択」である。
気候危機に立ち向かうには、国家政策だけでなく「個人の再設計」が欠かせない。
立花はその実践を「気候変動適応策」と呼び、生活の中で無理なく続けられる方法を提案する。
たとえば、運動会を秋ではなく春(4月)に開催する。
春なら気温が穏やかで、災害級の雨も少なく、熱中症リスクも低い。
このような小さな季節シフトが、学校や地域社会を守る「現実的な適応」になる。
また、生活時間を2時間前倒しすることも提案されている。
朝6時に通勤・通学を始めれば、猛暑のピークを避けられる。
これは単なるライフスタイルや小説の話ではなく、熱中症対策とエネルギー効率の最適化を兼ねた合理的行動だ。
さらに、「脱炭素=我慢」ではなく、「楽しく・得をする」方向で行動を促す。
徒歩や自転車への切り替え、シェアサイクルの利用、遮熱カーテンの導入など、身近な行動の積み重ねが社会全体のCO₂削減へとつながる。
群馬県の調査では、100m未満の距離でも車を使う人が25%。
「歩く」こと自体が、経済的にも健康的にも環境的にも“得”なのだ。
立花が強調するのは、“科学の面白さ”を通じて行動を促すというアプローチである。
スマホ用のサーモグラフィーカメラを使えば、自宅の窓や地面、木陰の温度差を目で見て体感できる。
「気候を理解することが、もっとも強力な対策になる」
それが彼の一貫したメッセージである。
個人の一歩は小さくても、無関心を関心に変える力は確実にある。
そして、その変化が社会全体の方向を変える。
ありきたりかもしれませんが、カーテンを断熱カーテンに切り替えることでも脱炭素対策になります。暖房をつけても冬は熱が逃げ、冷房をつけても夏は熱がどんどん入ってきます。遮熱カーテンに切り替えるだけで、電気代や暖房代が節約できて、脱炭素になります。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
逆に言えば、猛暑や極寒対策はより儲かる市場になると言える。
投資やビジネスの機会でもあるのだ。
人間のたくましさを舐めてはいけない。
悲観するな。上手く活かせ。
「麦わら帽子は冬に買え」

マルコム・グラッドウェル著『急に売れ始めるにはワケがある』
ティッピングポイントは環境問題だけでなく、マーケティング用語でもある。
流行を“感染症”と捉え、そのメカニズムを解き明かしたマーケティングの名著。
それまで知られていなかった本が一躍ベストセラーになる現象や十代の喫煙率の上昇、あるいは口コミによる伝播、あるいは日常生活上の不可思議な変化理解するには、それを伝染病のようなものとして考えるのが一番だということである。
マルコム・グラッドウェル著『急に売れ始めるにはワケがある』
ケイト・ラワース著「ドーナツ経済学が世界を救う」
「最低限の社会基盤」と「環境の上限」を示すモデル。
ドーナツの外側は「やりすぎて地球を壊しちゃう状態」
ゴミを出しすぎる。木を切りすぎる。空気や海を汚しすぎる。
不足と超過の間「ちょうどよい」を目指す。
人間が必要なものを手に入れられる。でも地球には無理をさせない。
全ての人が範囲内で暮らせる経済が「ドーナツ経済学」
木村俊雄 著『省エネのプロが教える みんなの節電生活』
節電もまた環境問題と財布に優しいアイデアである。
大半の電気は「熱」から生まれている。
そして、その過程ではエネルギーロス(損失)が発生している。
困ったことに電気を熱に変える電化製品は、総じて消費電力が大きいのです。 平均的な電気ポットの消費電力は、湯沸かし時は約1000ワット、保温時は約35ワットです。 電気代高騰に負けない「賢者の節電」を実践するのであれば、まず電気を「熱に戻す」のは、絶対的なタブーであると肝に銘じなければなりません。
木村俊雄 著『省エネのプロが教える みんなの節電生活』
なるべく、エアコンの暖房や電気ポット、オーブントースター、コーヒーメーカー、IHクッキングヒーターの使用を抑えるのがコツ。
もちろん、ほどほどに。😊
まとめ
✅ 日本はすでに「四季の国」ではなく「二季の国」である。
✅ 異常気象は今後さらに激化し、戻れない境界=ティッピングポイントに近づいている。
✅ 脱炭素と生活の最適化を両立する「実践」が唯一の道である。
個人の場合、脱炭素は身近なことから始めればいいのです。重要なのは、それを実行する人の割合を高めること。そのためには、「おもしろい×儲かる」を満たせるアイデアを生み出せるかどうかが鍵を握っています。
立花義裕著『異常気象の未来予測』
⇒ 「恐怖より興味を、無関心より行動を」
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆

