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  • 投稿日:2026/03/13
鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』:「学び」は教えられるものではない

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』:「学び」は教えられるものではない

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シロマサル@ノウハウ図書館×本の要約🍀

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要約
「学び」を認知科学の視点から挑む一冊。 能力は固定された個人の属性ではなく、環境との相互作用の中で一時的に立ち上がる現象だと著者は説く。 知識は伝達されるものではなく、学習者自身の内部で構築される。 上達やひらめきもまた、直線的ではない「揺らぎ」を含んだ創発のプロセスである。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!


「勉強すればできるようになるはずなのに、なぜか伸びない」。

「努力しているのに、成長している実感がない」。

多くの人が一度は抱くこの違和感は、学びに対する前提そのものが間違っているからかもしれない。


今回は鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』2022年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。

著者:鈴木宏昭

1958年生まれ。東京大学大学院単位取得退学。博士(教育学)。東京工業大学助手、エジンバラ大学客員研究員を経て、現在、青山学院大学教授。日本認知科学会フェロー。認知科学が研究領域であり、特に思考、学習における創発過程の研究を行っている。著書に『教養としての認知科学』(東京大学出版会)『認知バイアスーー心に潜むふしぎな働き』(講談社ブルーバックス)『類似と思考 改訂版』(ちくま学芸文庫)がある。

00000.png✅ 学びは知識の注入ではなく創発のプロセスである。

✅ 能力・上達・ひらめきは環境との相互作用で生まれる。

✅ 教育も自己成長も、直線モデルを捨てるべきだ。

人の持っている心の働きを「力」で捉える、もう少し言うと「能力(ability)」として考えることはふつうに行われていて、何も専門書でなくてもしょっちゅうお目にかかる。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』


「学びとは何か」「人はどう変わるのか」を、認知科学の最前線から解き明かしていく。

雑にいうなら、「学び」とは知識を一方的に“身につける”ことではなく、無意識的な働きも含めて、頭の中で起こる認知の変化=創発のプロセスとしてとらえ直すべきだ。


『私たちはどう学んでいるのか』

Image_fx.png私たちは進化の過程で強力な学習能力を手に入れた。

私たち人間は原因を探る生き物と言える。何かがあるとその原因を知りたくなる。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』

「ひらめき」や「急に分かるようになる」といった体験も、裏では地道な蓄積と無意識的処理がからみ合った創発の結果である。


能力とは「個人の中」にあるものではない

Image_fx (2).png学習には無駄になることなど1つもない。引き出せないだけだ。

練習による上達にはうねりがあり、直線的に上達が進むわけではなく、複雑なうねりが存在する。このうねりは、そこで用いられる複数のリソースが、微細に異なる環境の中で相互作用する中で創発する。そしてうねりは次の飛躍のための土台となる。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』

0.png⇒ 能力は文脈と環境の中で一時的に現れる。


能力は、その人の中に固定された資質のように語られがちである。

記憶力が高い。

論理的思考力がある。

コミュニケーション能力が低い。

しかし本書は、こうした見方そのものが錯覚だと指摘する。

同じ人間であっても、課題の出され方が変わるだけで成績は大きく変動する。

抽象的な記号問題では解けなかった人が、日常的な文脈に置き換えた瞬間、正解にたどり着く。

これは能力が「内側に保存された道具」ではないことを示している。

知性とは、脳の中だけで完結するものではない。

身体の状態。

置かれている環境。

過去の経験。

その場の文脈。

これらがリアルタイムで組み合わさったときに、一時的に立ち上がる現象である。

能力を個人の所有物だと考える限り、人は簡単に「向いていない」「才能がない」という結論に逃げてしまう。

だが実際には、能力とは常に状況依存的であり、引き出し方の問題にすぎない。

この視点の転換が、学びと成長の出発点となる。


知識は伝達されず「内部で構築」される

Image_fx (1).png仕事で身につけた知識、情報、体験は記憶される。

書物を読んでも、そこから知識を得ることはできないのだ。それを表すのは「情報」であり、もしそれを覚えたとすれば「記憶」となる。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』

0.png⇒ 知識は受け取るものではなく、立ち上がるものである。


私たちは無意識に、知識を「渡せるもの」だと考えている。

教師が説明し、生徒が理解する。

教科書を読めば、知識が頭に入る。

しかし本書は、この前提を根底から否定する。

教師が与えられるのは、あくまで情報にすぎない。

言葉。図。数式。

それぞれは、知識ではない。

それらが知識になるかどうかは、学習者の内部で何が起きるかにかかっている。

過去の経験とどう結びついたか。

身体感覚とどう接続されたか。

自分なりの意味のネットワークを構築できたか。

知識とは、脳内に保存されるデータではない。

その場その場で再構成され、使われる「出来事」である。

だからこそ、丸暗記はすぐに使えなくなる。

一方で、深く理解された知識は、文脈が変わっても応用される。

学びとは、情報を集めることではない。

内部で構築が起こる環境に身を置くことなのだ。


上達とひらめきは「揺らぎ」から生まれる

Image_fx (3).png頭の中が整然としているなんて事はない。自然な姿だ。

ひらめきは練習による変化、発達による変化と同じ、つまり多様で冗長な認知リソースとその間の競合による揺らぎが、それが実行される環境と一体となり創発される。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』

0.png⇒ 停滞と混乱こそが、次の飛躍を準備する。


多くの人は、成長を直線でイメージしている。

努力すれば少しずつ上手くなる。

練習すれば必ず前進する。

しかし現実の上達は、そんなに素直ではない。

実際の成長には、停滞がある。

むしろ、下手になる時期すらある。

この「揺らぎ」は失敗ではない。

複数のやり方が同時に競合し、システムが不安定になっている証拠である。

人は新しいやり方を試すとき、一度パフォーマンスが落ちる。

だがこの不安定さがあるからこそ、古い安定状態を壊し、より高い次元へ移行できる。

揺らぎは、進化のための必要条件なのだ。

ひらめきも同様である。

突然思いついたように感じるが、実際には長い試行錯誤が水面下で続いている。

無意識下で制約が緩み、環境との相互作用が再編された瞬間、答えが「現れる」。

停滞していると感じるとき。

混乱して前に進めないとき。

それは失敗ではなく、創発の直前に立っている状態なのである。

読者の皆さんは創発のメガネをかけたり、外したり、または別のメガネをかけることで、教育のさまざまな側面を観察し、そこから自分にとっての問題とその解決を創発してほしいと願う。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』

練習してもすぐ成果が見えないのは、創発的な変化が起こるまでに時間差があるからであり、「見えないところで進んでいる学び」に目を向けよう。


0000000.png554.png為末大著『熟達論』

著者が”熟達者”と考えている人々にはいくつか共通点があるという。

①基本となるものがある(生き方、構えやルーティン)

②迷うと基本に戻る

③人生で何かに深く没頭した時期がある

④感覚を重視している

⑤おかしいと気づくのが早い

⑥自然体でいようとする

⑦自分の行いに距離を取る態度を身につけている

⑧専門外の分野から学び、ヒントにしている

ある境地に到達するためには、壁をどうにかしなければならない。

人はどうやって学んでいるのだろうか。なぜうまくなるのだろうか。どうやって問題に「気づいて」いるのか。学習していく中でその人の内側で何が起きているのか。何がその人の成長を阻害するのか。そしてどうやって切り抜けるのか。外から働きかけることでその人の成長を促すことはできるのか。

為末大著『熟達論』


551.png荒木博行著『独学の地図』

大まかに持っておくべき心構えは5つ

①自分の中に他者の目線を入れる。
(できるだけ自分とは真逆の思想や批判者を)

②意味不明なものは保留する余裕を持つ。
(仕組みのわからない機構やシステムは大まかに)

③似た者同士で抽象化する。
(ある政党とVTuberグループ運営のビジネスモデルは似ているなど)

④それぞれの些細な違いにも注目する。
(対象としている相手や要素の違いなど)

⑤自分が心動かされる表現を記録し、模倣する。
(言い回し、仕組み、流れ、アイデアなど)

繰り返していると、すでにあなたは「独学」しているのだ。

一般的な地図は、他者が描くもの。しかし、「独学の地図」は「自分だけのオリジナルの知の体系」という意味で使っています。

荒木博行著『独学の地図』


277.png外山滋比古著『思考の整理学』

文庫版は126刷以上にもなる。

2024年には電子書籍版も登場した。

もはや、文句のつけようがないほどに名著である。

どんなにいい素材といかにすぐれた酵素とが揃っていても、いっしょにしたらすぐアルコールになるということはあり得ない。 頭の中の醸造所で、時間をかける。あまり騒ぎ立ててはいけない。 しばらく忘れるのである。

外山滋比古著『思考の整理学』


まとめ

note_見出し用 (1).png✅ 学びは知識の注入ではなく創発のプロセスである。

✅ 能力・上達・ひらめきは環境との相互作用で生まれる。

✅ 教育も自己成長も、直線モデルを捨てるべきだ。

人は行き詰ってあることに固着しているような状態であっても、複数の認知リソースを用いて試行を行っている。

鈴木宏昭著『私たちはどう学んでいるのか ——創発から見る認知の変化』


⇒ 学びとは、環境と共に変わり続ける創発の旅である。

具体的な勉強法よりも、「学ぶとは何が起きていることなのか」というメタな理解を持つことで、どの分野にも応用可能なしなやかな学び方が身につく。

人に合った勉強法が違うのは、創発のプロセスが異なるからである。


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆

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