- 投稿日:2024/02/23
- 更新日:2025/11/05
はじめに
高配当株投資は「購入したらずっと保有し続ける」が前提の投資ですので、割安の時に買うのが重要ですよね。
「配当金さえ定期的に貰えれば、株価が下がっても全く気にしない」
という強靭な心を持っている人はほんの一握り。
「含み損が出たとしても大丈夫!」と自信を持てる銘柄選びをしたい方にピッタリの記事になっています。
今回は、銘柄購入タイミングの見極める際に役立つ指標「PER」「PBR」の意味&見方を解説します。高配当株経験者の中でも一部の人しか知らないノウハウも"大公開"しちゃいます。
PER、PBRが理解出来ると、銘柄購入の判断の手助けになりますよ(^^)/ 「横文字は苦手っ!」という方でも理解しやすいように解説していますので、気軽に読んでみてくださいね。
【この記事を読む前にオススメの記事】
【"超"簡単!!】高配当株の割安感を見極める具体的な方法~"配当利回り推移"編~
PER、PBRの前に知っておくべき指標
PER、PBRを学ぶ前に大事な質問です。
以下の重要8指標の意味が分かりますか?
①EPS(イーピーエス)
②売上高
③営業利益率
④自己資本比率
⑤営業活動によるCF(キャッシュフロー)
⑥現金等
⑦一株あたり配当金
⑧配当性向
「えっ、なにそれ?聞いたことない!」という方は、まず以下の記事で勉強してからの方がスムーズにこの記事の理解が出来ますよ!
「当たり前だよ、そんなのもう知っているよ」という方は、足止めしてすみません。笑
早速読み進めていきましょう。
PERとは
PER(ピーイーアール、またはパー。Price Earnings Ratioの略称。) 日本語では「株価収益率」と呼ばれ、
PER = 株価 ÷ EPS(1株あたり純利益)
で計算されます。
株価がEPS(1株あたり純利益)の「何倍か=何年分織り込まれているか」を示し、株の割高・割安を知る一番代表的な指標です。
英語でいえば、This is a pen. を習うのと同じくらい重要!
日本株においては、
✅PER15倍以上 →割高
✅PER15倍程度 →平均的な数値
✅PER15倍以下 →割安
と一般的には判断されます。
上の計算式を株価目線でみてみると、
EPS(1株あたり純利益) X PER =株価
(例: EPS 500円 X PER 15倍 = 株価7,500円)
と言い換えられます。
普通であれば、
EPS(1株あたり純利益)が500円
↓
1株の価値が500円
↓
株価は500円
と考えませんか?
でも、実際の株価が7,500円(EPS 500円の15倍)になっているのは、
EPSの15倍になってもその銘柄を買いたい人がいる
ということなんです。
PERを分かりやすく言うと、
✓投資家からの期待値
✓投資家からの人気度
を表す数値である、と考えれば覚えやすそうですね(^^)/
PER平均15倍というのは一般的な数値です。業種やトレンド、会社の特徴等により異なるので、参考程度の数値と捉えておきましょう。
例えば、
✔電気自動車業界
✔AI企業
✔半導体産業
などは、今後伸びていくだろうと皆が期待している為、全体的にPERも高めだったりします。
ここで、業種別のPERを実際に見てみましょう。日本株は全33業種があり、上場企業は約3800社もあります。2024年1月末時点のプライム市場(全33業種/合計1648社)におけるのデータは以下の通り。

参照:日本取引所グループ/規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2024年1月末データ
このデータは、日本取引所グループが毎月開示してくれている有難いデータです。過去のデータも見たい、という方は簡単に見れますので、上記リンクからアクセスしてみてください。
上記データでは業界全体の平均PER=17倍となっていますが、業種毎にバラバラなのが良く分かります。電気・ガス業に至っては37.3倍と平均の2倍以上の数値ですね。PER=約15倍という数字にはこだわり過ぎないようにしましょう。
PERの割安・割高の見極めについては後述しますね。
(PBRの前に知ろう)BPSとは
次にPBRについて説明したいのですが、その前に知っておかないと理解出来ない用語がBPSです。
BPS(ビーピーエス。Book value Per Shareの略称)は1株あたり純資産のことです。
BPS = 純資産 ÷ 株式総数
で表され、
企業の「純資産を発行済株式数で割る」ことで計算できる指標です。
(正確には、BPS =純資産 ÷【発行済株式数-自社株式数】ですが、無理に覚える必要ありません。)
図にすると分かりやすいので見てみましょう。
発行済株式数が10株なら、
純資産600円÷10株=60円
が1株当たり純資産になります。
もし経営難に直面し、会社を倒産させることになった場合、真っ先に債権者に借金を返す必要があります(=上記表の負債400円)。
負債を返したら、手元に600円の資産が残りました。この600円を株主に返す必要があります。株主には、持ち株数に応じて分配するのがフェアですよね。この会社は全部で10株を発行しているので、1株あたり60円を株主に払えばいいのです。
上記の考え方から、「BPSは1株あたりの解散価値を表している」と言えますね。
これを理解出来たら、次はPBRです。アルファベットが続きますが、もうひと踏ん張り!
PBRとは
PBR(ピービーアール。Price Book-value Ratioの略称)とは、日本語では「株価純資産倍率」と呼ばれ、
PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)
で計算されます。
株価が1株当たり純資産(BPS)の「何倍か」を示す指標です。
一般的には、
✅PBR = 1.0倍以下 →割安
✅PBR = 1.0〜1.5倍 →適正
✅PBR = 1.5倍以上 →割高
と判断されることが多いです。数字だけ見ても分かりづらいので、極端な具体例で見てみましょう。
純資産600円の会社の株が1株だけ売りに出されていた場合、
・株価600円以下(PBR1.0倍以下)で買えたら
→安いっ!
・株価600円~900円で買えたら
→まぁまぁ(適正)
・株価900円以上だったら
→高いっ!
と大半の方は考える、ということですね。
600円入っている貯金箱が600円以下で買えるなら、「安いっ!お得っ!」と感じる、そんなイメージで構いません。
PERと同じく、プライム市場(全33業種/合計1648社)のPBRデータも見てみましょう。
参照:日本取引所グループ/規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧 2024年1月末データ
PBRも業種によってバラバラな数値ということが分かりましたね。PBRが1.0倍以下だからと言って、すぐに飛びつかない様にしましょう!
株式投資はいつも冷静に、が基本です!
PBR、PERのまとめ
上記説明を一度聞いただけでは区別つかないよ、という方もいるかもしれませんが、リベ用語では
PER:企業の収益性(=稼ぐ力)に対する評価を表す指標
PBR:企業の資産価値(=貯める力)に対する評価を表す指標
くらいで覚えておきましょう。
高配当株投資をしていると自然と覚えてくるので、苦手意識は持たなくて良いです。
各業種のPER、PBRは以下の通り。

業種っていうけど、具体的にどんな銘柄があるのか知りたい、というリクエストもあったので、皆さんに馴染みのある「4.食料品」の全68社(プライム市場)をピックアップしてみました。
知っている銘柄ばかりなので、親近感湧きますねっ!
PER15倍以下、または、PBR1.0倍以下には赤色で表示しましたので、皆さんの知っている会社がどんな数値なのかを見てみましょう。
(この表はPER、PBRを慣れる為のみに作成しました。購入を促すものではありません。笑)
PER、PBRで割安指標を見よう
PER、PBRは企業毎や業界毎に平均値が異なりますので、
どちらの指標も
①業界平均や類似企業と比較して高いor低いのか
②過去の数値(5~10年)と比較して高いor低いのか
を確認することが超重要です。
学長が紹介した銘柄でも、必ずPER、PBR情報が記載されていますので、今まで確認していなかった方、今後は要チェック!
今回は2023年1月に学長が紹介した
ニチレキ(銘柄コード5011)
について説明していきますね。
学長紹介銘柄:ニチレキ(4枚目)
いつも学長が紹介する銘柄の4枚目に、PER、PBR情報が記載されています。皆さん、スルーしてませんよね? この数値を楽に理解出来る方法を解説していきますね。

PER、PBR(業界平均値)のチェック
皆さんおなじみバフェットコードで見ていきましょう。これは会員登録もしないで簡単にアクセスできるので、重宝しますよっ!
①バフェットコードにアクセス
バフェットコードに飛んでみましょう。スマホでもPCでもどちらでもOKです!
②検索窓に対象銘柄を入力
今回はニチレキと入力しました。
銘柄コード(5011)でも検索できます。
③銘柄のすぐ上の業界名をクリック
ニチレキのすぐ上に「石油・石炭製品」と記載がありますね。これがニチレキの属する業界なので、こちらをクリックしましょう。
④業界のPER、PBR平均値を確認
ニチレキの属する業界のPER、PBR情報(最大値、平均値、中央値、最小値)が一覧で確認出来ます。この中で重要なのは平均値ですね。要チェック。
※たまに、「PERやPBRがテーブルに表示されないよ」という方がいらっしゃいますので、その場合には右上の”項目を編集”ボタンを押せば、表示項目を変更出来ますよ。

PER、PBR(10年間推移)のチェック
ここからが今回の大目玉です。PER、PBRの10年間推移表は喉から手が出る程欲しい情報なのですが、通常は有料でしか見れません。それが、実は簡単に見れちゃうんです。サイトの検索をしても出てこない情報なので、情報共有はリベ内だけにして頂けると有難いです(^^)
こちらもニチレキ(銘柄コード5011)で説明しますね。
➊IR BANKにアクセス
リベではおなじみのIR BANKにアクセスして、ニチレキと入力。
❷ページ下部のPER(連)、PBR(連)をクリック
ページ下部に青色の文字でPER、PBRと記載されている箇所(赤〇で明示しました)を選択しましょう。
【スマホ画面】

【パソコン画面】
PC画面だとニチレキのすぐ下に出てきます。よく迷子になってしまう方もいるので注意!!

❸”月足”をクリック
通常は以下の様に”日足”が選択されているので、半年間の推移しか表示されていませんよね。”日足”の右側にある”月足”をクリックしましょう。

❹約10年間の推移表が表示される
すると、以下のように約10年間の推移表が見れます。今回はスマホ画面の写真ですが、PCの方が見やすいので、分析をする際にはPCがオススメです!
結果は以下の通り
≪PER 約10年推移≫
数字ではなくて表で見れるところが有難いですね。数値は表の左側を見ます(右側は株価なので無視)。
ニチレキの約10年推移表だと、パッとみたところPER平均は9倍程度でしょうか(2019年はコロナの関係でPERが異常値になっており無視)。
現在はPER13倍付近なので、割高ですね。
現在購入タイミングではないかな、と私は判断しました。
≪PBR 約10年推移≫
PER同様、数値は表の左側を見ます(右側は株価なので無視)。
PBRの約10年間の平均は0.6倍程度でしょうか。
今は1.0倍なので、割高かなと判断しました。
判断結果
学長が紹介した時(2023年1月末)だと魅力的な銘柄だったのですが、今はPER、PBRともに10年平均の中では”割高”、と判断。今は購入タイミングでは無さそうですね。
過去に学長が紹介したからって、今は旬ではない銘柄もあるということは理解しておきましょう!
おわりに
今回はPER、PBRを解説しましたが、この指標は投資判断の一つの指標でしかありません。PER、PBRが割安だからと言って、金の卵を産んでくれないニワトリ(=銘柄)を選んでしまったらせっかくの苦労も台無しですよね。
【超初心者向け】高配当株投資のすべて にも記載のある通り、まずは重要8指標で基準点をクリアした銘柄であることが大前提です。
基準点を合格したら、
1.【メイン情報】
配当利回りを中心に
※割安と判断出来ればOK!!
2.【サブ補助】PER、PBRを確認
※割高では無いと判断出来ればOK!!
3.【更にもう一歩】
会社の成長性&将来性、株主還元情報等も確認
という順序で愛せる銘柄を選ぶようにしましょう。
また、高配当株に絶対的な基準はありません。複数の要素・情報を加味して判断する必要がありますので、たくさんの銘柄分析をすることで、感覚を掴んでいきましょう!
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